介護報酬

実はメリットがいっぱい!神奈川県の「さがみロボット産業特区」とは?

実はメリットがいっぱい!神奈川県の「さがみロボット産業特区」とは?

全国でも1・2を争うスピードで高齢化が進んでいる神奈川県。そんな神奈川県では、深刻化する超高齢社会にむけて、3つの「特区」を設けて独自の取り組みを行っています。「特区」とは、規制緩和などの特例措置が適用される特別なエリアのこと。今回は、そのうちのひとつである「さがみロボット産業特区」をご紹介します。さがみロボット産業特区とは?画像提供: さがみロボット産業特区特設HP さがみロボット産業特区は、生活支援ロボットの研究開発や、実用化・普及を推進しているエリアです。生活支援ロボットとは、介護・医療、高齢者等への生活支援、災害対応など、人々の生活を支えるロボットをさします。一般的に想像するような二足歩行ロボットだけでなく、ロボット関連技術を使った製品や機器、たとえば、高齢者の見守りセンサーやドローンのようなものも含まれます。そうした生活支援ロボットの実用化を通じて、地域の安全・安心を実現することが目標として掲げられています。そのために、特区ではおもに4つの支援を行っています。1.規制緩和ロボットの実用化に向けて必要となる規制緩和について国との協議を行い、実証実験や実用化を支援しています。たとえば、通常であれば市町村等からしか受け付けていない介護保険適用の提案も、この特区から行うことが可能です。2.開発支援企業や大学等の各機関がもつ技術・資源を最適に組み合わせる「神奈川版オープンイノベーション」によって、共同研究開発を促進します。その他、「重点プロジェクト」の実用化に向けて、アドバイザー支援や広報支援、国の補助金等の獲得に向けた支援等も行っています。3.実証実験生活支援ロボットの実証場所やモニターのコーディネートを行っており、 「重点プロジェクト」や「公募型ロボット実証実験支援事業」では、実証実施にかかる一部経費を補助しています。 「公募型ロボット実証実験支援事業」では、毎年度全国から公募を行っています(※  平成29年度の募集は終了)。 また、本格的な実証実験の前に、あらかじめ動作確認等を行うことができる「プレ実証フィールド」を用意しています。4.立地支援特区制度を活用して新たに事業展開をはかる企業にたいして設備費など投資額の一部を補助したり、低い利率で融資を受けられる制度があります。具体的には、「企業誘致促進補助金」では、県外からの立地の場合、投資額の10%・上限額10億円が、「企業誘致促進賃料補助金」では賃料月額の2分の1・上限900万円が補助されます。さがみロボット産業特区で商品化した介護ロボットさがみロボット産業特区の支援によって、これまでに数々のロボットが商品化されてきました。その中でも、今回は介護ロボットに絞って紹介していきます。パワーアシストハンド|株式会社エルエーピー画像提供: さがみロボット産業特区特設HP 「パワーアシストハンド」は、脳血管疾患などにより麻痺した手指や固まりかけている関節の曲げ伸ばしをサポートするロボットです。専用グローブのなかに手を入れることで、空気圧を利用したシステムで手指の曲げ伸ばしをサポートしてくれます。特区では、実証実験や発売に当たっての検査や手続きに関するアドバイス等の支援を行いました。ReWalk(リウォーク)|株式会社安川電機 画像提供: さがみロボット産業特区特設HP ReWalk(リウォーク)は、脊髄損傷により起立できなくなってしまった方向けの歩行アシスト装置です。腕時計型のコミュニケータと補助杖と一緒に使用します。センサーが身体の傾きなどを検知し、それに合わせて歩行をアシストしてくれます。特区では、神奈川リハビリテーション病院における実証実験を支援しました。 OWLSIGHT(アウルサイト)|株式会社イデアクエスト 画像提供: さがみロボット産業特区特設HP  OWLSIGHT(アウルサイト)は、非接触・無拘束の見守りシステムです。ベッドのそばに取りつけることで、ベッドの上にいる人の立ちあがりやもたれかかりなどを検知するほか、もだえやふるえのような小さな動きも検知してくれます。特区では、2ヶ所の介護施設で一定期間使用してもらい、そこで出た意見を改良に反映させ、商品化を実現しました。ベッドサイド水洗トイレ|TOTO株式会社画像提供: さがみロボット産業特区特設HP ベッドサイド水洗トイレは、ベッドのそばに設置できるポータブル水洗トイレです。 水洗機能により、 従来のポータブルトイレのメリットをそのままに、ポータブルトイレでは気になりがちなニオイや処理の負担が軽減されています。特区では、介護施設において排泄に関する実態調査を実施するとともに、高齢者宅においても実際に一定期間使ってもらう実証実験を支援しました。さがみロボット産業特区だからできることさがみロボット産業特区の取り組みは、ロボットメーカーの開発支援だけではありません。ロボットの実用化・普及によって、県民や介護施設の課題解決をめざしたさまざまな取り組みも行っています。ここでは、県民や介護施設が利用できる取り組みをまとめました。1.ロボット体験施設で、介護ロボット等が体験できるロボット体験施設とは、住宅展示場内のモデルハウスで、実際の暮らしに近い環境でロボットを体験できるロボットのショールームのことです。現在は、厚木会場・茅ヶ崎会場にてロボットが展示されています。展示されているロボットは以下のとおりです。 うなずきかぼちゃん いまイルモ  パルロ  ハロー!ズーマー パワーアシストハンド    など ロボット体験施設のほかに、ロボット体験認定ルームもあります。こちらは、企業のショールームやすでにロボットを活用している福祉施設で、もっているロボットを一般公開している施設をさします。施設によって公開しているロボットが異なるので、事前に確認するとよいでしょう。 →参考: ロボット体験認定ルーム 一覧 2.ロボット体験キャラバンで、介護ロボットの説明が聞けるロボット体験キャラバンとは、 介護施設等の実際の現場まで生活支援ロボットを持ってきてもらい、説明を聞いたり体験できたりする出張型の説明会および体験会のことです。 今年度からは、介護施設や医療機関に加え、地域のコミュニティなども訪問先に加わりました。  ロボット一覧 の中から事前に6種類から8種類のロボットを選び、当日に持ってきてもらいます。  現在、第3期募集が行われている最中です。第3期募集期間■平成29年11月1日(水曜日)から平成30年1月31日(水曜日)まで※具体的な訪問日は別途調整訪問先対象■県内の介護・障がい者(児)施設、医療機関、地域のコミュニティ、福祉イベント、学校など※応募者多数の場合は先着順 訪問先での流れ■訪問時間…2~3時間程度■内容…ロボットの機能・使い方などの説明、ロボットの体験(適宜、質疑応答)、アンケートの記入 3.生活支援ロボットのモニター制度で、一定期間ロボットが試せる 生活支援ロボットのモニター制度とは、購入やリースをする前に一定期間ロボットを試せる制度です。神奈川県内の介護施設や医療機関等が対象ですが、ロボットによっては、県内在住の個人の方も申し込み可能です。モニター期間は1ヶ月で、試用後は簡単なアンケートに回答する必要があります。 現在は12のロボットから選ぶことができます(※1)。※1  ロボット一覧 にて「モニター対象」と記載のあるもの募集期間■平成29年4月14日(金曜日)から平成30年1月19日(金曜日)までモニター募集対象■神奈川県内の介護・障がい者(児)施設・医療機関・学校など※ロボットによっては、県内在住の個人の方も申し込み可能4.ロボット導入支援補助金で、最大200万円の補助が受けられる さがみロボット産業特区で商品化したロボットを導入する施設等向けに、最大で200万円の「ロボット導入支援補助」制度があります。こちらはロボットが社会の中で活用されていることを多くの方に知ってもらうため、 原則として神奈川県内の法人による購入が補助対象となりますが、一部のロボットは個人も対象になります。募集期間■平成29年4月14日(金曜日)から平成30年1月31日(水曜日)まで※ 予算の上限に達した場合には、期限前でも受付終了 補助金額 ■ロボット1台ごとに、購入価格(本体価格+対象付属品等の価格)に3分の1を乗じた額か、200万円のいずれか低い方の額を補助 まとめ 介護ロボットをはじめとする生活支援ロボットの実用化・普及を全国に先駆けて行う「さがみロボット産業地区」。実は開発メーカーだけでなく、介護施設や介護ロボットの購入(レンタル)を考えている施設等にとってもたくさんのメリットがある取り組みなのです。介護ロボットの導入で介護報酬が加算される可能性が高まってきた今、こうした支援制度を活用することで介護ロボットの活用がより身近なものに感じられるでしょう。 介護ロボットONLINEでは、独自の取り組みを行う自治体を今後も特集していきます。 <参考資料>さがみロボット産業特区特設HP

介護ロボが夜勤職員の代わりに!見守りロボット導入で報酬加算、厚生労働省が発表

介護ロボが夜勤職員の代わりに!見守りロボット導入で報酬加算、厚生労働省が発表

2018年4月に行われる介護報酬改定。すでに改定に向けてさまざまな議論が行われています。そんななか、厚生労働省は見守りロボットを導入することで加算対象となる夜勤職員の数を減らしてもよいとする方針を固めました。一言で言えば、見守りロボットが夜勤職員の代わりになるということです。見守りロボットとは?どのくらい導入したら加算が取得できるの?など、詳しく解説していきます。※2017/12/13更新しました。 見守りロボが夜勤職員の代わりに!?夜間職員配置加算が緩和話題になっているのは、「夜勤職員配置加算」の緩和です。見守りロボットの導入で、「夜勤職員配置加算」を取得しやすくしようとしているのです。夜勤職員配置加算とは?夜勤が発生する特別養護老人ホーム(以下、特養)では、介護の質を保証するためおよび介護職員の過負担を防ぐために、夜間に配置する最低人員数が決められています。介護報酬制度では、この最低基準よりも多く夜間に人員を配置した場合、報酬加算するシステムがあります。これを夜勤職員配置加算と呼びます。現行のルールでは、夜間に最低基準よりも1人以上多く職員を置いた場合に報酬が加算されます。加算要件に「見守りロボット」が追加される?今回の改定では、「最低基準よりも1人以上多く置いた場合」という加算要件に以下の2つの要件を追加しようとしています。1.ベッド上の入所者の動向を検知できる見守りロボットを、入所者数の15%以上に設置している場合 2.見守りロボットを安全かつ有効に活かすための委員会を設置し、必要な検討を行っている場合この両方を満たしている場合に、夜勤職員の数が最低基準を0.9人上回っていれば取得できるようにするとしています。つまり、見守りロボットが夜勤職員の0.1人分に相当するということです。これによって夜勤職員の数を減らすことはできなくとも、職員の勤務時間を減らすことはできるので、休憩時間が多くとれるなどのメリットがあると考えられます。見守りロボットの効果は?気になるのは、見守りロボットが本当に夜勤職員0.1人分の働きができるのか?という点です。この疑問に応えるべく、厚生労働省は平成29年5月~8月にかけて見守りロボットの効果検証を実施しました。この検証により、見守りロボットには介護職員の負担軽減効果や業務改善効果があると判明したのです。ナースコールによる訪室回数が6分の1に減少実証研究では、 非接触の見守りシステム  OWLSIGHT (アウルサイト)福祉用 や マット式見守りシステム 眠りSCAN を含む7機種が採用されました。その結果、導入後の訪室回数が減少したという結果がでたのです。とくにナースコールによる訪室は導入前の6分の1まで減っていることから、介護職員の負担を減らしつつ、必要なときに訪室できていることがわかります。ヒヤリハット、介護事故が0件に!ふたつめの効果として、ヒヤリハットや介護事故の減少があげられます。見守りロボット導入から3回調査が行われましたが、回数を重ねる毎にヒヤリハットや介護事故の件数がすくなくなっていき、最終的には0件になっています。半数以上の介護職員が高評価介護職員への聞き取り調査では「夜間も安心して見守ることができる」と回答したのが50%、「介護者の心理的負担が軽くなる」と回答したのが42.8%と、過半数が好意的な評価をくだしています(複数回答)。ただし、「必要以上に見に行くこととなってしまう」と18.8%が回答しており、状況や使い方によっては、導入前よりも訪室を増やしてしまう可能性も示唆されています。対象となる見守りロボットとは?今回の基準緩和の対象となる見守りロボットについては、現在のところ「 高齢者がベッドから落ちそうになったり、はいかいしたりした場合、センサーが感知して知らせる機器 」とのみ報道されています( NHKニュース より引用)。ここでは、経済産業省の「ロボット介護機器開発・導入促進事業」において開発された介護ロボットを中心に、対象となると考えられる見守り機器をご紹介します。Neos+Care(ネオスケア)Neos+Care(ネオスケア)は、3Dセンサを用いて人の動きを検知し、それをシルエット画像で表示することで、早く正確に、しかもプライバシーに配慮しながら見守りができる予測型見守りシステムです。2017年春には「生体モニターオプション」も追加され、対象者の3種の生体状態(体動:身体を動かす動作、静止:椅子やベッドで安静にしている動作、停止:生体反応がない状態)をリアルタイムに把握することができるようになりました。開発メーカーによれば、 Neos+Care(ネオスケア) を導入した現場からは「転倒の回数が減った、転倒者の数が減った」という反響や、駆けつけの前に状況が確認できるので、実際にケア時間の削減につながったというデータもあるとのことです。 取材記事はこちらから 業界初!予測型見守りシステム「Neos+Care(ネオスケア)」|ノーリツプレシジョン シルエット見守りセンサシルエット見守りセンサは、ベッド上の空間を検知する赤外線センサを使った見守りシステムです。センサによって起床やはみ出し、離床を検知して通報するだけでなく、端末を使って離れた場所からも様子が確認できるのが特徴です。開発メーカーによれば、シルエット画像を確認することで本当に今すぐ駆けつけが必要かどうか判断できるため、不要な駆けつけを減らすことが期待できるとのことです。取材記事はこちらから離床はもちろんはみ出しも!人の動きを検知する「シルエット見守りセンサ」|キング通信工業株式会社 OWLSIGHT (アウルサイト)福祉用OWLSIGHT (アウルサイト)福祉用は、非接触・無拘束のベッド見守りシステムです。ベッドの上に取りつけることで、ベッドの上での立ち上がりや離床などの動きの変化はもちろん、悶えや震え、呼吸などの非常に小さな動きも検出できます。開発メーカーによれば、のどや胸の小さな動きも捉えることができるため、見守りだけでなく、無呼吸症候群の方が寝ている間にちゃんと呼吸できているか、脳梗塞で胸の筋肉が麻痺してしまった方がリハビリでどれくらい改善されたか、などさまざまな活用シーンが考えられるとのことです。取材記事はこちらから 慶応大学発ベンチャーが開発!非接触の見守りシステム 「OWLSIGHT (アウルサイト)福祉用」|株式会社イデアクエスト 眠りSCAN<眠りSCANは、マットレスの下に敷くだけでベッド上に居る人の状態をリアルタイムでモニタリングできる、非接触型の見守りシステムです。センサーは体動や呼吸・心拍などを検知します。それらの情報から睡眠・覚醒・起き上がり・離床などの状態を判断し、リアルタイムでモニター表示します。開発メーカーによれば、状況を見える化することはスタッフの精神的負担の軽減につながるだけでなく、状況に合わせて介護の優先順位をつけることで、目が覚めているときに介護するなどして入居者の睡眠を確保しつつ、巡視業務にもメリハリをつけることができるとのことです。実際に眠りSCANを全床に設置している施設からは、「夜間の見守りが楽になった」という声があがっていると言います。取材記事はこちらから ケアプラン改善にも!次世代マット式見守りシステム「眠りSCAN」|パラマウントベッド株式会社 見守りロボットのこれまでとこれから上で紹介した以外にも、さまざまな見守りロボットがこれまでに開発されてきました。経済産業省の事業である「ロボット介護機器開発・導入促進事業」では、他分野と比較してもっとも多い35社が見守りロボットの開発に乗り出しています。 介護ロボットONLINEが独自に行った調査 では、半数を超える61.5%の人が 「今後導入する予定のある介護ロボット」に「見守り支援型」をあげており、介護施設も高い関心を寄せていることが分かりました。<さらに 介護ロボットONLINE独自の取材 では、すでに「シルエット見守りセンサ」を導入している施設の声として「駆けつけの回数が減っていると思う」という聞き取りも行っています。見守りロボットの有用性は、すこしずつ証明されてきていると言えるでしょう。今後の社会保障審議会に注目!ロボットスーツや大型の移乗支援ロボットに比べて安価な商品も多く、安全面でも不安が少ない見守りロボットは、介護ロボットとしては導入へのハードルも低いといえます。厚生労働省の実証研究では、見守りロボットによって介護職員の負担や介護事故が減少するという結果もでています。見守りロボット導入に加算がつけば、費用対効果の面でも期待が高まるでしょう。介護ロボットONLINEでは、今後も見守りロボットの取材を積極的に行っていきます。 <参考資料> 厚生労働省(2017年)第153回社会保障審議会介護給付費分科会資料 厚生労働省「介護ロボットの導入支援及び導入効果実証研究事業」公募開始 (2017/12/13)

2018年の介護報酬改定を解説!介護ロボット導入で加算も

2018年の介護報酬改定を解説!介護ロボット導入で加算も

2018年度、3年ぶりに介護報酬が改定されます。これまで介護ロボットONLINEでは、「つぎの改定では介護報酬が引き下げられるのではないか?」と予想してきました。(参考: どうなる?2018年の介護報酬改定を大予想! )しかし11月に入ってから、引き下げ論から一転、引き上げ論へと軌道修正がはかられています。介護報酬が引き上げられれば、事業所の経営にも余裕ができ、そこで働く介護職員の給与もあがる可能性があります。一方で、介護報酬の出どころである我々の税金や、サービス利用者の自己負担額があがることにもつながります。今回は、どのサービスの報酬が引き上げられるのか、はたまた引き下げられるのかについて、現時点での方針をまとめていきます。さらに、そうした改定によって介護業界はどのように変わるのか、再度予想してみました。引き下げ論から一転、介護報酬引き上げへ!しかし…2017年12月11日時点で、政府は次回の改定で介護報酬を引き上げる方向で調整を続けています。2017年10月、11月の2度に渡り財務省が介護報酬のマイナス改定を要求したことをうけ、前回同様2018年度の改定でも介護報酬は引き下げられるのではないかというのがこれまでの大方の見方でしたが、そうした風潮をくつがえす結論といえます。この引き上げ論の背景には、 前回のマイナス改定による事業所の経営悪化 慢性的な人手不足 引き下げに強く反対する関係団体による署名活動などがあると考えられます。ただし、引き上げ幅は微増となる見通しで、サービスによっては引き下げになることも検討されています。引き下げ or 減算されるサービスは?まず、どのサービスがどれくらい引き下げられるのか、あるいは減算されるのかを見ていきましょう。通所介護の基本報酬が引き下げへ!基本報酬の引き下げを検討されているのが、大規模型の通所介護です。現在、通所介護の基本報酬は、事業所規模ごとに設定されています。現行の介護報酬制度でも、大規模型の通所介護は報酬単価は低く設定されていますが、それでも他の規模とくらべて高い利益率を記録しています。ここに目をつけ、大規模型の通所介護の基本報酬をさらに引き下げようというのが、今回の提案です。訪問介護が議論の的に!集合住宅減算の拡充、生活支援の報酬引き下げも?引き下げおよび減算が検討されているのは、訪問介護です。「集合住宅減算」の拡充を検討!まずは、減算項目から解説していきます。現行の介護報酬では、事業所と同じ敷地内、または隣接する敷地内にある建物で暮らす利用者に対してサービス提供する場合、10%減算するとされています。これを「集合住宅減算」とよびます。今回の改定では、「集合住宅減算」に該当する範囲を広げようという議論がなされています。具体的には、以下の3つの観点から見直しが進められています。 現行、 10%減算の対象となっているのは有料老人ホーム等に限られているが、有料老人ホーム等以外の建物、たとえば一般の集合住宅も、10%減算の対象にする 事業所と同一の敷地内、または隣接する敷地内にある集合住宅でなくても、そこで暮らす利用者の人数が月20人以上いる場合も、10%減算の対象にする 同じ敷地内、または隣接する敷地内にある建物で暮らす利用者が月に50人以上の場合、減算幅を広げる これが決定されれば、集合住宅を中心に訪問介護を行っている事業所の報酬が大幅に減ることもありえます。ヘルパーの資格取得が簡単に!生活援助は報酬引き下げも?引き下げが検討されているのは、訪問介護の「生活援助」の基本報酬です。介護給付費分科会にて提出された資料には、 訪問介護の中でも、身体介護に重点を置くこと それをふまえて、身体介護と生活援助の報酬にメリハリをつけること が提案されています。つまり、身体介護の報酬を手厚くする一方で、生活援助の報酬を引き下げる方針ということです。そのために、ホームヘルパーの資格がなくても生活援助ができるように新たな研修制度を創設することも検討されています。ヘルパーへのハードルを下げることで人材確保しつつ、生活援助の報酬引き下げに対して妥当な理由づけをしていると言えるでしょう。引き上げ or 加算されるサービスは?ここからは、介護報酬が引き上げ、あるいは加算されるサービスをまとめていきます。今回の改定のキーワードとなるのは、「地域包括ケア」「自立支援」そして「人材確保」です。この3つを推進すると思われるサービスや取り組みに対しては、介護報酬が新たに創設されたり、加算されたりしています。ここでは、とくに「自立支援」と「人材確保」にむけた改定について解説します。リハ専門職との連携で特養・ショートステイの報酬アップ!ひとつめは「自立支援」にむけた改定です。理学療法士や言語聴覚士など、外部のリハビリ専門職と連携した機能訓練を実施する事業所に対して、報酬を手厚くする改定が議論されています。具体的には、「個別機能訓練加算」の要件緩和と、「生活機能向上連携加算」を新たに創設することが検討されています。 「個別機能訓練加算」の要件緩和現行の介護報酬では、特養と介護付きホームにおいて機能訓練指導員を務めるリハビリテーション専門職を常勤・専従で1人以上配置することが求められているが、施設内ではなく外部のリハ職と連携して行う形も認める 「生活機能向上連携加算」を新たに創設ショートステイにおいても同様の加算を取得できるように、「生活機能向上連携加算」を創設 これにより、これまで機能訓練指導員を雇うことができなかった事業所でも、積極的に機能訓練が行えるようになると考えられます。介護ロボ15%=夜勤職員0.1人分!特養で見守りロボット導入加算2つめは「人材確保」にむけた改定です。人材の確保が難しい夜勤職員にかわって、見守りロボットを導入することを認める改定が議論されています。特養における夜勤職員は、入居者の数によって最低人員数が決められています。現行の介護報酬では、最低基準より1人以上多く夜勤職員を配置した場合、報酬が加算されます。これを、「夜勤職員配置加算」とよびます。今回の改定では、「1人以上多く夜勤職員を配置する場合」という要件に、下記の2つを追加する案が出ています。 ベッド上の入所者の動向を検知できる見守りロボットを、入所者数の15%以上に設置している場合 見守りロボットを安全かつ有効に活かすための委員会を設置し、必要な検討を行っている場合 具体的には、この両方を満たしている場合に、夜勤職員の数が最低基準を0.9人上回っていれば取得できるようにするとしています。つまり、見守りロボットが夜勤職員の0.1人分に相当するということです。これによって夜勤職員の数を減らすことはできなくとも、職員の勤務時間を減らすことはできるので、休憩時間が多く取れるなどのメリットがあると考えられます。処遇改善加算で、介護士の給与が8万円アップ!「人材確保」にむけた2つめの施策として、「介護職員の処遇改善加算」があります。これまでにも、「処遇改善加算」として介護士の給与を実質1~2万円アップする改定が行われてきました。今回の改定では、なんと8万円相当の賃上げを行う方針で調整が進んでいるのです。具体的には、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について、月額平均8万円相当の処遇改善を行うとされています。この処遇改善のために公費1000億円程度が投じられると言われており、財源には消費税率の10%への引き上げによって生じる増収分が使われるとされています。どうなる?改定後の介護業界を大予想!1.介護報酬は微増。しかし基本報酬部分は引き下げもあり、厳しい状態は続く?引き下げ論から一転して、微増に着地しそうな介護報酬。しかし、基本報酬の部分で引き下げが検討されているサービスもあり、事業者にとっては苦しい状況がつづくと考えられます。前回のマイナス改定後は、過去最高水準の倒産件数をマークしてしまいました。倒産をまぬがれた事業所も、厳しい経営状態であることは想像に難しくありません。そんななか、わずかながらの報酬引き上げが介護業界に好影響を与えるのかは疑問です。2.処遇改善では一定の効果が。でも本当に必要なのは「イメージアップ」?一方で、介護職員の処遇改善加算はこれまでに一定の効果をあげてきたといえるでしょう。実際に、12年と16年の介護職員の給与(月額)を比較してみると、約2万円上昇していることがわかります。今回の改定では、これまでとくらべても大幅な加算となる8万円の処遇改善が見込まれています。これにより、今まで以上に介護士の給与アップがすすむと考えられます。しかし、「人材確保」には、賃金アップだけではじゅうぶんでないという意見も散見されます。介護ロボットONLINEが独自に行ったアンケートでは、人材不足解消のために必要なこととして、「介護職の社会的地位の向上」が「給与の引き上げ」に次いで多くあげられていました。政府は、賃金アップと同時進行的に、介護職のイメージアップをはかる施策をうつべきではないでしょうか。3.今回は見守りロボット限定も、今後はその他のロボットも活用されていく?2018年の改定では、はじめて介護ロボットが介護報酬加算の要件として採用されそうです。今回は見守りロボットのみが取り上げられましたが、この改定で介護ロボットが身近になれば、今後さまざまなロボットが介護の現場に参入していくと考えれます。経済産業省は、すでに来年度より「ロボット介護機器開発・標準化事業」として11億円の予算確保にむけて動き始めています。介護ロボットは、介護の人材不足や職員の負担軽減のためだけでなく、介護を受ける側の自立支援を促すものとして注目を浴びています。次世代介護の鍵をにぎる「介護ロボット」と共生する、新しい介護の形を考えていく必要がありそうです。まとめ2018年4月に大詰めをむかえる「介護報酬改定」。「地域包括ケア」「自立支援」「人材確保」など、今後の介護の方向性を決定づける議論が今、白熱しています。介護ロボットONLINEでは、今後も介護報酬改定に向けた動きを追っていきます。<参考資料>厚生労働省(2017年)「第155回社会保障審議会介護給付費分科会資料」 厚生労働省(2017年)「平成 30 年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」 経済産業省(2017年)「ロボット介護機器開発・標準化事業」 JOINT 介護(2017年11月16日)「介護報酬の引き上げを」 関係団体、182万筆の署名を政府へ提出

現役介護職員160名にアンケート調査を実施!97%が「人材不足を感じる」一方で対策は「特にしていない」が4割

現役介護職員160名にアンケート調査を実施!97%が「人材不足を感じる」一方で対策は「特にしていない」が4割

厚生労働省によると、2025年には介護職員が約253万人必要になるのに対し、供給の見込みは約215万人で、およそ37.7万人もの人材が不足すると報告されています。介護職員は毎年増えているものの、実際に必要とされる人数には追いついていないという現状があるのです。これをうけ、政府は人材確保のためにさまざまな施策を打ち出しました。具体的には、処遇改善として介護報酬を加算したり、労働環境改善として介護ロボットの開発・導入を支援したりしています。一方で、実際に介護の現場で働く介護職員は、こうした現状をどう受け止めているのでしょうか。スタッフはふだんから人材不足を感じているのか、感じている場合は、解決には何が必要だと感じているのでしょうか?介護ロボットONLINE編集部では、全国の介護従事者向けに、働く職場での人材不足の実態についてアンケートを行いました。97.5%が「人材不足を感じる」(1)あなたの職場では、人材不足を感じますか?現在働いている職場で人材不足を感じているかどうか聞いたところ、「人材不足を感じている」と答えた人が97.5%(156名)、「感じていない」と答えた人が2.5%(4名)となりました。圧倒的多数の人が自らの職場で人材不足を感じており、人材不足問題が介護業界で常態化していることがうかがえます。 「人材不足を感じている」と回答した人まずは、「人材不足を感じている」と回答した人の詳細をチェックしていきます。 6割以上が「一人当たりの業務量が多い」(2)どんなときに人材不足を感じますか?人材不足を感じる場面を聞いたところ、「一人当たりの業務量が多い」が63.2%(96カウント)ともっとも多く、次いで「休みがとりにくい」が61.8%(94カウント)となりました(複数回答)。 それ以降は「予定外の残業が多い」(28.3%/43カウント)、「希望する勤務時間・日数より多く働いている」(25%/38カウント)、「残業時間が長い」(16.4%/25カウント)と続きました。 仕事の負担が多いときや、望んだ働き方ができないときに人材不足を感じてることが分かります。半数以上が「給与の低さ」について言及(3)人材不足の原因は何だと思いますか?自由回答にて人材不足の原因について聞いた項目では、120件の回答中64件が「給与の低さ」について言及されています。その他には、「介護業界全体のマイナスイメージ」「人間関係」「雇用する財源がない」「介護保険制度の限界」「配置基準がおかしい」などの回答が寄せられました。 コメントの一部を紹介いたします。コメント(自由回答)● ハードな仕事な割に待遇が良くない。(男性/40代)● 国の人員配置基準が少ない。(男性/50代)● 介護従事者たちが疲れ切ってしまっている。介護業界で働く中の人たちを大切にする必要があると思う。(女性/20代)● 上司のサービス残業の多さを見て、この業界での希望が持てない。(女性/50代)● 介護業界全体のマイナスイメージ。(女性/50代)● 同世代より給与が低い!結婚したら、共働きしないと子育てできない!(男性/40代)● 好景気で他業種に人が流れた。(女性/40代)人材不足解消にむけた取り組みについてここからは、すべての回答者に向けた質問に戻ります。人材不足解消のために「給与の引き上げ」が行われたのは約1割(4)あなたの職場では、人材不足解消のためにどのような取り組みをしていますか?人材不足を解消するために実施された取り組みを聞いたところ、「特にしていない」が40.9%(65カウント)ともっとも多く、次いで「職場でのコミュニケーションの円滑化」が28.3%(45カウント)という結果になりました。それ以降には「スキルアップ・資格取得のサポート」(25.2%/40カウント)、「社内・社外研修の実施」(23.9%/38カウント)、「メンタルヘルス対策の実施」(20.8%/33カウント)と続きます。「給与の引き上げ」は13.8%(22カウント)となっており、「人材不足の原因」と感じている給与に関して直接的な措置をとっている事業所は少数派であることが分かります。「介護ロボット導入による業務効率化」は5%(8カウント)となっており、 前回の調査 と同様、介護ロボットの普及があまり進んでいない現状が明らかになりました。 77%が「解決には“介護職の社会的地位の向上”が必要」(5)どうすれば介護職の人材不足が解決すると思いますか?介護職の人材不足を解決するために何が必要か質問したところ、「給与の引き上げ」と回答した割合が84.4%(135カウント)ともっとも高く、次いで「介護職の社会的地位の向上」が76.9%(123カウント)、「休暇がとりやすい環境づくり」64.4%(103カウント)となり、それぞれが半数を上回りました。実際に実施された取り組みとして挙げられていた「職場でのコミュニケーションの円滑化」と回答したのは36.9%(59カウント)で、過半数にはとどかないものの比較的高いニーズがあることがうかがえます。逆に、「実際に実施されている取り組み」(問4)と「介護職員が有効だと感じている解決法」(問5)のあいだに25ポイント以上の差があるのは、上位の「給与の引き上げ」と「休暇がとりやすい環境づくり」に加え、「労働時間の調整」(問4:16.4%/問5:43.1%)「福利厚生の充実」(問4:9.4/問5:35%)となりました。ここから、介護職員の求める改善と実際に行われている改善に大きな乖離があることが分かります。ちなみに、「介護ロボット導入による業務効率化」での差は10.6ポイント(問4:5%/問5:15.6%)となりました。(6)その他、介護の人材不足問題にたいする意見を自由に記述してください。コメントの一部を紹介いたします。コメント(自由回答)● 処遇改善だと思う!きつい仕事の割には給料安くて手当ても少ない。だからやめる人も増える。(女性/30代)● 加算ではなく、基本報酬を公務員並みにしてほしいです。(女性/60代以上)● この業界は誰でも入りやすいが、誰でも続けられる職業ではない。心理的にストレスの多く、さまざまな面で配慮が求められる仕事であるにも関わらず、社会的地位、給与、福利厚生すべてにおいて、他業種より悪い。それでも高い意識を持って仕事をしている人が、安心して続けられる環境を整えないと、悪循環は解消されないと思う。(女性/40代)● 賃金の引き上げを行い、労働者の流入を促進しつつ人員配置基準を見直し、労働者一人当たりの業務量を減らしてゆとりのあるケアを提供できるようにすることが必要。(男性/50代)● 介護は人材不足だと前から騒がれているのに、国は改善をしてくれるどころか介護報酬を厳しくしていくばかりで、介護職員の首を絞めている。介護の仕事は好きだしこれからも続けていきたいと思っていても、給料への不満は常にある。さらに社会的地位が低く胸を張って自分の仕事を周りのみんなに言えない自分がどこかにいるのがとても悲しい。(女性/30代)● 人材不足は少子高齢化が進む流れで、全国のあらゆる業界が直面する問題。介護業界は人材獲得競争を他業種も含むあらゆる企業と競争する羽目になるが、正直勝ち目がないと感じている。(男性/30代)● とにかくお給料が安いので男性職員は結婚して子どもができると辞めてしまう人が多い。もったいないです。(女性/50代)● テクノロジー導入に関する情報や助成。人とロボットの共存という概念が当たり前になること。(女性/50代)● もっと書類業務をへらす。もしくは、AIの導入で記録を効率化する。(男性/40代)まとめ今回の調査では、全体の97%以上が実際に自らの職場で人材不足を感じているという結果となり、介護現場での人手不足が常態化している実態が明らかになりました。 人材不足の原因として「給与の低さ」をあげる人が半数以上いる反面、実際に「給与の引き上げ」が実施されたと回答した人は13.8%にとどまっています。 その他、労働時間や休暇のとりやすさなどが改善すべき点として挙げられている一方で、そうした改善策があまり取られていない現状から、現場からの要望と実際の対応にずれがあることが浮かび上がってきました。 コメントでは、「給与の引き上げ」には基本報酬のあり方から問いなおす必要があるという意見が散見され、事業所単位での対応には限界があるという考えがうかがえます。 介護職員が考える人材不足問題の有効な解決法として、2番目に多く挙げられている「介護職の社会的地位の向上」。その実現には、「給与の引き上げ」はもちろん、それを可能にする介護保険制度の見直しを含む、国単位での対応が求められていると言えそうです。 「介護の人材不足」について、また、このアンケートの結果や内容についてのご意見やご感想は、公式Twitter( @kaigo_robot )または Facebook までお寄せください。なお、本コンテンツの文章およびグラフの引用・転載を希望される方は、 介護ロボットONLINE問い合わせフォーム よりご連絡ください。< アンケート調査概要 > ・調査期間:2017年11月11日(土)~11月22日(水)・調査対象:介護従事者10代~60代以上の男女160名・男女割合:男性/30.6%・女性/68.1% 

どうなる?2018年の介護報酬改定を大予想!

どうなる?2018年の介護報酬改定を大予想!

※2017年10月24日更新 2018年度、3年ぶりに介護報酬が改定されます。介護報酬は、事業所の経営や職員の給料に直接影響する重要な要素。前回の改定では大幅な引き下げが行われた結果多くの事業所が倒産に追い込まれるなど、介護の現場に深刻なダメージを与えました。残念ながら、今回の改定も介護現場にとって「非常に厳しいものになる」というのが大方の見通しです。その根拠は?どのように改定されるの?改定されたら、介護現場はどうなるの?気になる2018年度の介護報酬を予測してみました。▼最新の予想はこちらから▼ 2018年の介護報酬改定を解説!介護ロボット導入で加算も を読む2018年度も介護報酬の引き下げが濃厚記録的なマイナス改定が行われた前回の介護報酬改定。その結果、介護事業所の倒産件数は過去最多を記録しました。今回の改定でも、同じくマイナス改定が行われるのではないかと予測されています。なぜでしょうか? 介護報酬が引き下げられる背景介護報酬が引き下げられる理由は、増え続ける社会保障費を少しでも抑制するためです。高齢化にともない要介護者が増加する一方、制度を支える現役世代は減少していきます。そうなると当然、いつか制度自体が成り立たなくなります。政府は、そうなる前になんとか社会保障費の自然増を抑え、医療・介護の提供体制の見直しを図りたいと考えているのです。具体的には、約6300億円の社会保障費の自然増を、5000億円にまで圧縮することを目指しています。引き下げの根拠は“利益率”とは言っても、何の根拠もなく介護報酬を引き下げると、介護事業者や従事者、被保険者である高齢者から反発を招きかねません。そこで政府はこれまで、「介護事業所が平均以上に儲かっている」というデータを根拠に、報酬引き下げを実行してきました。今回の改定でも、同じく利益率の高いサービスにメスが入ると考えられます。サービスごとの利益率は、通常9月頃に公表される「介護事業経営実態調査結果」にもとづいて計算されていますが、現時点でまだ公表されていません(2017/10/20時点)。ここでは、今年の4月に公表された「2016年度経営概況調査」と、4月から9月までに開催された「社会保障審議会 介護給付費分科会」から今後の改定の流れを読み取っていきます。 引き下げ対象は「通所介護」と「訪問介護」今回マイナス改定の槍玉に上がるのは、「通所介護」と「訪問介護」だと予想されます。介護サービス全体の利益率が3.8%だったのに対し、「通所介護」は6.3%、「訪問介護」は5.5%と、高い水準を示しているからです。財務省はこの2サービスについて「適正化すべき」と述べています。通所介護(デイサービス)の争点通所介護で争点となるのは、機能訓練に力を入れていない預かり主体のデイサービスです。「自立支援型サービス」が強化されている今、機能訓練やリハビリテーションなどの質の高い介護を行わない施設に対して、介護報酬を引き下げようという提案がされています。標的となる小規模デイサービスとくに標的とされるのは、小規模デイサービスだと考えられます。実は、施設の規模が小さいほど個別機能訓練加算の取得率が低くなる(=機能訓練がなされていない)一方で、1回あたりのサービスの単位数は高くなる傾向にあります。言いかえれば、利用者は小規模施設で質の高いサービスが受けづらいにもかかわらず、高い費用を支払っているということです。そのため、とくに小規模施設に対してマイナス査定のメスが入っていくと予想されます。訪問介護(ホームヘルパー)の争点訪問介護の争点は、ホームヘルパーの人員基準緩和です。具体的には、ホームヘルパーでない人も生活援助サービスを提供できるようにすることで、ホームヘルパーの敷居を下げつつ、生活援助サービスの基本報酬を引き下げてはどうか、という提案がされています。有資格者であるヘルパー職員ではなく、地域の専業主婦や学生などをアルバイトスタッフとして雇う場合、時給が大きく異なるため、その分基本報酬を引き下げてもいいだろうという論法です。引き下げに対する反発もこの提案に対して、日本ホームヘルパー協会は、「ヘルパーの社会的評価の低下を招きかねない」と異論を唱えました。生活援助は誰にでもできる仕事というわけではなく、重度化を防ぐ役割も担っていると主張し、基本報酬の引き下げに反対しています。介護報酬アップは「処遇改善」と「介護ロボ」?通所介護と訪問介護を中心に、全体的にマイナス改定が予想される2018年の介護報酬。しかし、中には介護報酬が加算される項目も存在すると考えられます。それが、「処遇改善」と「介護ロボット」、そして「通所リハビリテーション」です。処遇改善加算が増額or区分新設?処遇改善加算とは、主に賃金アップを想定した介護職員の待遇向上策です。これまでに、月額1万円~1万3千円程度の賃金アップ(平成27年度の改定)や、月額平均1万円程度の賃金アップ(平成29年度の臨時改定)を見込んだ報酬加算が行われました。2018年度の改定でも、これまでと同様またはそれ以上の処遇改善加算が行われるのではないか、と予想されています。発端は安倍首相の発言この予想は、9月末になされた安倍首相の発言が根拠となっています。安倍首相は衆議院解散に際して、介護職員の賃金をさらに引き上げる方針を打ち出したのです。自民党の勝利に終わった衆院選の結果を受けて、今後介護職員の処遇改善にむけた動きが進められると考えられます。介護ロボット加算が新たに創設か介護ロボット加算とは、介護ロボット等を活用している事業所に対して、介護報酬や人員・設備基準の見直しを図る動きを指します。介護ロボットやICT機器によって介護の業務を効率化するとともに、介護負担を軽減して介護職員の定着率を向上させる狙いがあります。これまでの流れ  介護ロボットに対しては、経済産業省や厚生労働省がすでにさまざまな支援事業を行ってきました。経産省は、開発企業に最大1億円の助成金を出す「ロボット介護機器開発・導入促進事業」において、平成25年度から通算133件の開発支援を行っています。厚生省は、52億円という予算を投入した「介護ロボット等導入支援特別事業」において、昨年度に約5,000の介護施設等に対して導入支援を行ってきました。審議会では慎重論も多額の予算が費やされている介護ロボット。しかし、介護給付費分科会では慎重論も目立ちます。例えば、介護ロボット自体がまだ検証段階であることを指摘し、報酬加算や人員配置基準の緩和は時期尚早であるとする意見や、業務負担軽減という視点だけではなく、介護サービスを利用する高齢者の立場から評価すべきという意見が出ています。医療と介護の一本化に向けた改定近年、「自立支援」や「地域包括ケア」とならんで、「医療と介護の一本化」が強調されています。今回の改定が診療報酬改定と重なるW改定であることを考慮すると、医療と介護の一本化に向けた介護報酬改定が行われることは当然だといえます。通所リハビリテーションへの加算考えられるのは、通所リハビリテーションへの加算です。平成30年度以降は、医療保険の回復期リハビリテーションが介護保険に移行される予定です。そのために、リハビリ専門職の手厚い配置体制や、効率化を目的とした短時間のサービス提供に対して、報酬加算されていくと予想されます。どう変わる?改定後の介護業界を予測ここまで、2018年の介護報酬改定を予測してきました。仮にこうした改定が行われたとすると、介護の現場はどのような影響を受けるのでしょうか?事業所は行き詰まり?大幅な報酬引き下げが行われた前回の介護報酬改定。その結果、介護事業所の倒産件数は過去最多を記録しました。2018年度にて同規模のマイナス改定が行われた場合、前回と同様、もしくはそれ以上の倒産件数をマークすることになるでしょう。介護報酬引き下げ論が濃厚になりつつある昨今の流れを受けて、12の介護関係団体が引き上げを求める署名活動を行いましたが、そこでは「良質なサービスの提供に困難を強いられている」「介護人材の不足は危機的な状況」などと主張されており、前回の引き下げで深刻なダメージを受けたことが強調されています。すでに“ギリギリ”の経営を強いられている上に、さらなる報酬引き下げが実行されれば、立ち行かなくなる事業所は当然増えるでしょう。処遇改善しても人材確保は進まない?大幅なマイナス改定が実行されれば、処遇改善加算が行われたとしても、人材確保は進まないでしょう。事業所の経営が介護報酬で成り立っている以上、結局はどこかで帳尻を合わせなくてはいけないということで、人件費を削らざるを得ない事業所が増えるからです。 実際に、前回の処遇改善加算がボーナスなどで相殺され、恩恵にあずかれなかったという声は少なくありません。医療との連携に遅れ?今回の改定は、診療報酬改定と時期がかぶる、いわゆるW改定となります。以前より進められている医療と介護の連携は、このW改定でますます強化されていくと考えられます。しかし、介護報酬の引き下げで医療の受け皿となるべき介護の整備が整わなければ、連携にも遅れが出るでしょう。その結果、早期退院や在宅復帰といった取り組みが上手く機能せず、「自立支援」「地域包括ケア」も名ばかりのものとなってしまう恐れがあります。介護ロボットの浸透?介護ロボットやICT・IoT機器の活用によって報酬が加算されれば、そうした機器が少しずつ介護の現場に浸透していくと考えられます。しかし、とくに介護ロボットは価格の高さが問題視されており、経営に余裕のない施設では導入が困難な現状があります。よって、一般的な普及にはまだまだ時間がかかるでしょう。注目が集まる2018年度の介護報酬改定4月から議論が重ねられている2018年度の介護報酬改定。具体的な議論は12月頃まで行われ、12月中旬に介護報酬に関する基本的な考え方が取りまとめられる予定です。最終的な改定が行われるのは、2018年4月です。前回の大幅なマイナス改定で、すでに大きな痛手を追っている介護業界。今回の改定で生き残れるか否かが決まるという厳しい状態に立たされている施設も少なくないはずです。 介護報酬の引き上げを求める署名活動 は、介護業界全体に漂う危機感の表れでしょう。介護ロボットONLINEでは、今後も介護報酬改定に向けた動きを追っていきます。<参考資料>厚生労働省「社会保障審議会 (介護給付費分科会)」(2017年10月23日 , http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698 )厚生労働省「平成28年度介護事業経営概況調査」(2017年10月23日 ,http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/153-3a.html ) 「次もマイナスはありえない」 介護関係団体、次期改定へ署名の協力を要請 (2017年10月16日) 安倍首相、介護職員のさらなる賃上げを言明 年末に具体策 財源は消費増税 (2017年9月26日) 「生活援助は誰にでもできる仕事じゃない」 ヘルパー協会、報酬引き下げに反発 (2017年9月16日)

どっちを優先すべき?介護職員の処遇改善 VS 介護ロボット導入加算

どっちを優先すべき?介護職員の処遇改善 VS 介護ロボット導入加算

あなたは、介護職員の処遇改善と介護ロボット導入加算、どちらがより大事だと思いますか?   平成30年度、3年ぶりとなる介護報酬の改定が行われます。改定に向けて、すでにさまざまな議論が繰り広げられています。そのなかでもとくに議論の中心となっているのが、介護の人材不足問題です。人材不足解決のために今、2つの対策案が検討されています。「人材確保」と「業務効率化」です。現在、前者に対しては職員の処遇改善加算が、後者に対しては介護ロボット含むICT導入加算が検討されています。しかしネット上では、「介護ロボットに加算するくらいなら、職員の給料を上げたほうが良い」という声も少なくありません。ここでは、「介護職員の処遇改善 VS 介護ロボット導入加算、どちらを優先すべきなのか?」について考えてみます!処遇改善加算について 数字で見る介護職の“悪待遇”介護の人材不足の大きな原因として、「介護職の待遇の悪さ」があります。介護の仕事は、昼も夜も関係ない重労働で、かつ人の命を預かる重い責任をともないます。それにもかかわらず、介護職の給料は安いと言われています。介護職員の平均年齢は40歳前後、平均年収は約300万円です。 平均年齢・勤続年数に違いがあり単純な比較はできないものの、介護職の平均年収は他産業の平均年収を100万円以上も下回っているとも言われています(※1)。 このような状態では、介護職につきたい、介護職を続けたいと希望している人々まで辞めていってしまいます。実際に、介護職の平均勤続年数は平均5.5年で、他の産業と比較しても短い傾向にあります(※2)。また都内の特別養護老人ホームでは、独自の基準を定めている施設の半数以上が職員の定員割れをおこしているという調査結果も出ています(※3)。 つまり介護人材の確保には、給与面での待遇改善が不可欠なのです。 ※1 NHK「週刊ニュース 深読み 介護報酬削減 誰が担う?どう担う??」(2015年1月17日放送)※2 第1回社会保障審議会福祉部会 福祉人材確保専門委員会「 介護人材の確保について 」(2014年10月27日)※3 東京都社会福祉協議会「特養における利用率及び介護職員充足状況に関する実態調査(概要) 」(2017年3月15日) 処遇改善加算の実態と問題点 一般の民間企業であれば、会社の利益を出せば社員の給料を上げることができます。しかし、介護福祉施設ではそう簡単には行きません。なぜなら、介護施設の運営は介護報酬によって成り立っているからです。介護報酬の重要性介護報酬とは、介護サービス事業者に対して支払われるサービス費用のことです。介護施設の経営者は、介護報酬を上手くやりくりして運営しているのです。介護職員の給料も介護報酬から支払われています。人件費に充てられる介護報酬は全体の約6割と言われています。よって介護報酬が減らされれば、介護施設の経営が立ち行かなくなったり介護職員の給料が減らされてしまったりする恐れがあるのです。これまでの処遇改善への取り組みこれまで、介護職員の処遇改善に向けてさまざまな対応が取られてきました。例えば、介護職員処遇改善交付金という国の制度や介護報酬の介護職員処遇改善加算というしくみがあります。平成27年度の改定では月額1万円から1万3千円程度の賃金アップを、平成29年度の臨時改定では月額平均1万円程度の賃金アップを見込んだ報酬加算が行われました。処遇改善で、本当に給料は上がったのか?そうなると気になるのが、「実際に給料はあがったのか?」という点ですよね。平成29年度の調査結果はまだ公表されていないので、平成28年度の介護従事者処遇状況等調査結果を見てみましょう。調査結果(※4)によれば、介護職員 の平均給与額は約1万弱上昇しています。その内訳は、基本給が2,790円増、手当が2560円増、賞与などの一時金が4,190円増となっています。処遇改善加算の問題点とは?実際に介護職員の月給を1万円アップさせた処遇改善加算。ただしこれには問題点もあります。ひとつ目は、介護現場で働くすべての人が対象というわけではないという点です。介護施設には常勤の介護職員の他に、看護師や調理師、生活相談員なども働いていますが、そうした人々は処遇改善の対象外となります。対象なのは実際に介護現場で働く介護職員(常勤・パート含め)だけなのです。 処遇改善の対象外リスト ・ケアマネージャー ・生活相談員 ・看護師 ・調理師 ・介護事務職員 など ある調査によれば、生活相談員・支援相談員や介護支援専門員の給与は一年前より 下がっていることが明らかになっています(※4 平成28年9月時点)。 2つ目は、処遇改善加算を取得していない施設も存在するという点です。平成28年度の調査では、1割の介護施設が加算を取得していないと回答しています。その理由として、「事務作業が煩雑」が一番多く挙げられています。さらに平成29年度の処遇改善加算拡充(1万円相当アップ)を受ける為には、【キャリアパスⅢ】の加算要件を満たしていなければいけません。加算取得のためにはある程度の企業努力が必要ですが、それすらできない介護施設もあるということです。3つ目は、処遇改善加算によって月給が上がっても、これまで出されていた賞与などのボーナスがカットされる可能性があるという点です。実は、処遇改善加算の分配方法は施設や事業所の管理者に委ねられています。全体の介護報酬が下がっている今、 処遇改善加算がされても、結局はどこかで帳尻を合わせなくてはいけないということで、そうした処置をする施設も出てくる可能性は否定できないのです。 ※4 平成28年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要 ネットの声は? ネットの声を見てみると、処遇改善加算で月給や手当が増えて喜んでいる声よりも、「1~2万円上がったところで変わらない」「給料を上げるよりも残業や休日出勤の削減を」という声が目立ちました。また懸念されていたとおり、「ボーナスと相殺されて恩恵を受けられていない!」という声も少なくありません。平均としては、賃金アップにつながっている「処遇改善加算」。しかし実情は、さまざまな問題が隠されているようです。 介護人材確保って。処遇改善ってどんな改善?1万、2万給料上がっても変わらんのよね。— まいかママ (@QhmgI2DkZY3FFPb) 2017年9月25日 介護業界は、薄給過ぎだ…処遇改善手当て出ても、結局は毎月の給料殆ど変わらない!ま、好きでやっているから良いんだけど。— 小山安吾は引き下がり方知らない男 (@utsukushiikoi01) 2017年8月15日 介護職は人が居付かない(v_v)給料安いボーナスなんて、処遇改善手当が支給されたら、なおの事ボーナスじたい減額(T^T)処遇改善の意味が無い!!!— クロミツ (@aas0923) 2017年8月13日 介護人材増やすための対策は処遇改善手当ではダメ。一万二万給料上がった所で、他の職種と変わらない又は低賃金なら他の職種選ぶよ?それに施設が満額職員に渡してると限らないし。もっと職場近くの公的住宅への特別料金での入居や介護職特別控除で税金戻るとか思いきった事すれば増えると思う。— 若菜 (@wakanaan2tensyu) 2017年8月10日 処遇改善=給料をUPすればいいという考えがすでに現場で働く人達の気持ちをわかっていない。給料を上げるのは当たり前。日常化した残業、休日出勤、遅出からの早出etc…介護士には擦り減らした精神と体力を回復する時間を与えて欲しい。— まりえ@介護職 (@shachikubba) 2017年7月10日 処遇改善加算まとめ (1)介護職の悪待遇を是正しなければ人手不足は解決しない。 (2)これまでにあった2度の改定では、それぞれ1万円程度賃金アップした。 (3)しかし、処遇改善加算の恩恵にあずかれない人々も存在する。 (4)ネットでは、処遇改善加算の問題点を指摘する声も見られた。 介護ロボット導入加算について 「介護ロボットを導入した施設には、介護報酬を加算する」――こう聞いて、あなたはどう思いますか?ここからは介護ロボット導入加算についてまとめます。なぜ介護ロボット? 介護ロボット導入加算は、政府の方針を決める「未来投資会議」という会議で安倍首相が言明したのをきっかけに本格的に議論されるようになりました。 年々膨張する社会保障費を抑えたい政府は、介護ロボットやICT機器によって介護の業務を効率化するとともに、介護負担を軽減して介護職員の定着率を上げたい考えです。それに加えて、実は経済産業の側面からも介護ロボットは期待されています。経済産業省は、介護ロボットを世界で勝てる“日本の新しい産業”として育てていきたいと考えているのです。そのため経済産業省は企業に対して、介護ロボットの開発費用を最大1億円補助する事業を5年ほど行っています。介護ロボットのメリットと問題点 介護ロボットを導入することでさまざまなメリットがあると考えられています。 しかし、本当にそうしたメリットが受けられるのかどうかに関して、あまり検証されていない現状があります。介護ロボットのメリット介護ロボット導入のもっとも大きなメリットと考えられているのは、「介護業務の効率化」と「介護者の負担軽減」です。具体的には、ロボット技術を活用した見守りシステムが職員による巡回を減らしたり、ロボットスーツが移乗介助の負担を軽減したりすると言われています。コミュニケーションロボ、3割に効果あり介護ロボットが利用者にどれほど効果があるのかについては、実証試験によって証明されつつあります。2016年に行われた コミュニケーションロボットの大規模な実証試験 では、利用者全体の約3割に改善効果が見られたと報告されています。今後、コミュニケーションロボット以外の介護ロボットも、効果検証が行われていく予定です。介護ロボットの問題点新しい福祉機器として期待が集まる介護ロボット。しかし問題点もあります。1つ目の問題点は、介護ロボットの価格の高さです。 介護ロボットONLINEが独自に行ったアンケート では、介護ロボットを「導入していない」と答えた施設の半数以上が、導入していない理由として「価格が高いから」を選択しました。とくに小規模な事業所にとっては、高価な介護ロボットの導入はハードルが高いと言えるでしょう。さらに言えば、高価な介護ロボットを導入しても、それに見合うコストパフォーマンスが得られるかどうか分かっていないという問題もあります。「介護ロボットを導入したから人件費が削減できた」「スタッフの負担が減り、離職率が下がった」といった費用対効果がはっきりしていないので、導入しづらいのです。2つ目の問題点は、すべての介護ロボットが必ずしも職員の負担軽減につながるとは限らないという点です。経産省は当初、介護ロボットを「介護業務の負担軽減に資する」ものと定義していましたが、現場ヒアリングや効果検証を行っていくうちに、むしろ業務負担を増やす介護ロボットもあるということが分かってきました。だからといって、「業務負担を増やすロボット=悪いロボット」というわけではありません。業務負担は増えるけれど、要介護者の自立支援を促したり、これまで以上に「よくする介護」に貢献したりする介護ロボットの存在が明らかになってきたのです。しかし事業所としては、そうした介護ロボットを導入するにはある程度の覚悟が必要になってくるでしょう。どのくらい加算されるかは未定現時点(2017年10月)では、介護ロボットやICT機器の導入によってどれぐらい加算されるのかはまだ決まっていません。しかし、報酬加算の妥当性を測るために介護ロボットの効果検証が政府主導で行われるなど、すでに加算にむけて動き出しています。ネットの声は? ネットでは、「自分が働く施設にも、介護ロボットを導入してほしい!」というポジティブな意見と、「実用化には程遠いのでは?」「ロボット会社のための加算になりそう」といったネガティブな意見の両方が見られました。また、「導入自体は悪くないが、加算をつけることに関しては賛成できない」という声もありました。「介護ロボット」という言葉は少しずつ現場に浸透していっているものの、“ 介護報酬加算”という制度で普及を進めることに対する戸惑いが感じられます。 介護ロボットを活用してる事業所に厚労省が加算するって?高価なロボットの導入にかかる費用をカバーできるくらい加算してくれるのかい?それって要介護者のためでも介護スタッフのためでもなく、ロボットを作ってる企業のためなんじゃないの?— むーむー (@ezokko_moo) 2017年7月16日 うちの施設にもロボット来ないかな~介護ロボット導入施設に報酬加算 政府、平成30年度改定で https://t.co/J1wR9zxyyL @Sankei_newsから#介護 #介護ロボ— 中嶋彩乃(現役介護職) (@ayanaka1119) 2016年6月11日 介護ロボット導入費用の高さがネックだよな。月額支払形式で初期費用を抑える工夫もしているが。 / ロボ導入施設の介護報酬加算へ 政府、市場拡大へ18年度改定から (SankeiBiz(サンケイビズ))https://t.co/tTdLEwn7R8 #NewsPicks— sinup@人生楽しみたいマン (@sinup1990) 2016年6月12日 介護ロボットは導入してほしいけども、このやり方で良いのかはちょっとわからない。 / ロボ導入施設の介護報酬加算へ 政府、市場拡大へ18年度改定から (SankeiBiz(サンケイビズ))https://t.co/c7xdfukdjz #NewsPicks— カウ・オブ・ジョイトイ (@cows_botan) 2016年6月11日 福祉機器展に行くと分かる。介護ロボットは実用にはまだちょっと遠い / ロボ導入施設の介護報酬加算へ 政府、市場拡大へ18年度改定から (SankeiBiz(サンケイビズ))https://t.co/IWJJAmm2so #NewsPicks— katsuya furuike (@furuikekatsuya) 2016年6月11日 介護ロボット導入施設に報酬加算 政府、平成30年度改定で - 産経ニュース https://t.co/oOks9qOhHZ 義手や義足にロボット技術の応用はすでに始まってるから、さらにどう介護に関わってくるのかな。— sizuku@カーチャン (@sizuku0322) 2016年6月11日 どんな介護ロボットがあるか分からないけど、全職員が望むようなロボットは無いんじゃないかな。介護 ロボ導入で報酬加算へ | 2016年6月11日(土) - Yahoo!ニュース https://t.co/Hq3bvIz8cJ #Yahooニュース— 海苔 (@Norimaki_kome) 2016年6月11日介護ロボット加算まとめ (1)介護ロボットは、業務効率化、負担軽減、そして新産業育成という面から期待されている。 (2)コミュニケーションロボットの実証試験では、利用者の約3割に効果が見られたという結果が出ている。 (3)しかし、価格の高さやコストパフォーマンスの不透明さなどの問題がある。また、必ずしも業務効率化につながるとは限らない。 (4)ネットでは、介護ロボット導入を求める声もあるが、介護ロボットそのものへの不安や加算制度への戸惑いの声も少なくない。処遇改善と介護ロボット、どちらが大事だと思う?介護施設の経営が介護報酬で成り立っている以上、「どの分野にどれだけの加算をつけるか」は非常に大きな問題です。処遇改善加算と介護ロボット加算の他にも、介護報酬を加算すべきと考えられている項目はたくさんあります。ただでさえ削減傾向にある介護報酬を上手く分配するには、慎重な議論が必要とされるでしょう。しかし、議論に必要とされる資料である「介護事業経営実態調査」結果公表が、衆院選後に先送りされると判明しました。関係者によれば、「資料に含まれる介護報酬引き下げを後押しするデータが、介護事業者の反発を招き、選挙に影響を与えかねないから」とのことです。介護報酬引き下げムードが漂うなか、 ある介護関係団体は、介護報酬を引き上げるよう求める署名運動を展開しています。 「前回(の介護報酬引き下げ)は非常に厳しかった。次もマイナス改定はありえない」と強く主張する当団体の訴えは、果たして届くのでしょうか。介護ロボットONLINEでは、今後も平成30年度の介護報酬改定の流れを追っていきます。 <参考資料> NHK「週刊ニュース 深読み 介護報酬削減 誰が担う?どう担う??」(2015年1月17日放送) 第1回社会保障審議会福祉部会 福祉人材確保専門委員会「介護人材の確保について 」(2014年10月27日) 東京都社会福祉協議会「特養における利用率及び介護職員充足状況に関する実態調査(概要) 」(2017年3月15日) 厚生労働省「平成28年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要 」(2017年10月16日 ,http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/17/dl/28gaiyou.pdf )<介護経営調査>公表先送り、厚労省「選挙に配慮」(2017年10月16日) 「次もマイナスはありえない」 介護関係団体、次期改定へ署名の協力を要請(2017年10月16日)

なぜ「活動」に着目?意外な結果から分かったコミュニケーションロボットの可能性【第2回】

なぜ「活動」に着目?意外な結果から分かったコミュニケーションロボットの可能性【第2回】

本邦初の画期的な実証試験により、対象者の約3分の1に改善が認められたコミュニケーションロボット。今回の実証試験で改善の指標となったのは、「活動」です。ここで言う「活動」とは、「内容豊かな生きがいある生活を送るために必要なさまざまな生活行為」を指します。 「介護分野におけるコミュニケーションロボットの活用に関する大規模実証試験」を担当した産業技術総合研究所招聘研究員の大川弥生氏は、「介護ロボットを通じて、”介護はどうあるべきか”という問題まで論じることができる」と話します。いったいどういうことなのでしょうか?シリーズ第2弾では、大川氏に疑問をぶつけるとともに、実証試験の結果をさらに掘り下げます。 報告書を読み解くシリーズ~実証試験から分かるコミュニケーションロボットの可能性と問題点~ シリーズ1 介護コミュニケーションロボット「34%が改善」|実証試験総まとめ シリーズ2なぜ「活動」に着目?意外な結果から分かったコミュニケーションロボットの可能性シリーズ3レクリエーションを代替するロボットの問題点――改めて「レクリエーション」とはなぜ「活動」に着目したのか?そもそも、コミュニケーションロボットなのに、なぜ「活動」に着目したのでしょうか?大川氏は、「介護とは不自由な生活行為があるから行われる。介護ロボットの介入によって、その不自由な生活行為がどのように変わるかを見るべきだ」と説明します。介護に対する考え方は、ICIDH(国際障害分類)からICF(国際生活機能分類)への改訂で大きく変化しました。ICF(国際生活機能分類)における「介護」は、従来の「障害の補完」という考えではなく、「生きることをよくするために行われるもの」という考えによっています。「生きることをよくするため」には、「生きること」を俯瞰的にとらえる必要があります。その全体像をとらえるために、ICFの「生活機能モデル」が使われます。そのモデルの生活機能という概念は、「心身機能・構造」「活動」「参加」の3つのレベルに区分されます。今回実証試験で評価した「活動」は、3つのレベルのうちのひとつです。「活動」には、全ての生活行為を含みます。介護は、不自由な生活行為、すなわち「活動」を手伝うだけでなく、それをよくすることもできると考えられます。そのため、介護ロボットの介入によって、「活動」がどれだけ良くなったか(不自由な生活行為がどのように変わったか)を評価することが、真に介護ロボットの効果を検証することにつながるのです。「セルフケア」と「運動・移動」の改善が意味することセルフケアの改善は「予想外」”コミュニケーションロボット”という名称で、メーカー側もコミュニケーションやレクリエーションを目的として開発していることを考えれば、当然「コミュニケーション」が改善されると予想します。しかし実際には、「コミュニケーション」よりも「セルフケア」という活動項目がもっとも高い改善率を示しました。この結果は、大川氏にとっても「予想外なことだった」と話します。実証試験結果の詳細今回の実証試験では、(1)活動の質(=自立度)と(2)量(=活発さ)の両面でコミュニケーションロボットの効果測定が行われました。(1)活動の質を評価するうえでは、ICFの活動項目が用いられました。今回評価対象となった活動項目(大項目)は表のとおりです(※1)。 第3章 コミュニケーション communication 第4章 運動・移動 mobility 第5章 セルフケア self-care 第6章 家庭生活 domestic life 第7章 対人関係 interpersonal interactions and relationships 第8章 主要な生活領域 major life areas 第9章 コミュニティライフ・社会生活・市民生活 community, social and civic life ※1 WHO(2001年)「国際生活機能分類 大項目:3-9章」よりコミュニケーションロボットは、(1)状態検知対応型、(2)環境・操作反応型、(3)介護者代替プログラム実施型の3つに分けられ、それぞれで効果測定がなされました。 状態検知対応型 ・被介護者の状態を検知して、それに応じた反応を返すコミュニケーションロボット。・被介護者が30分以上座った状態であることを検知すると、「部屋の外に行きませんか」などと声がけをするものがこのタイプに該当。 環境・操作反応型 ・ロボットへの操作や周囲の環境に応じて反応を返すコミュニケーションロボット。・被介護者がロボットに触ると、触った場所や強さに応じて声がけをするものなどがこのタイプに該当。 介護者代替プログラム実施型 ・通常、介護者が行う被介護者への働きかけを代わりに行うコミュニケーションロボット。・プログラムに沿って体操指導やクイズなどのレクリエーションを進行するものがこのタイプに該当。 それぞれの結果は以下のとおりです。状態検知対応型状態検知対応型では、コミュニケーションを抑えて「セルフケア」がもっとも高い改善率を示しました。次いで「運動・移動」「社会生活等」が続きます。環境・操作反応型環境・操作反応型でも、セルフケアがもっとも高い改善率をマークしました。次いで「対人関係」「運動・移動」が続き、4番目に「コミュニケーション」が来ています。介護者代替プログラム実施型介護者代替プログラム実施型は、「社会生活等」にて高い改善率が見られました。ちなみに「社会生活等」の中には、「レクリエーションとレジャー」「地域生活」などが含まれます。そのあとに「セルフケア」「運動・移動」が続きます。「セルフケア」「運動・移動」の改善が与えるインパクト本来想定されていた「コミュニケーション」よりも高い改善率を示した「セルフケア」や「運動・移動」の活動項目。大川氏は、「活動項目のなかでも「セルフケア」や「運動・移動」に効果が見られたことは、非常に大きな意義がある」と述べています。なぜでしょうか?大川氏はその理由として、「「セルフケア」や「運動・移動」は、介護のなかでも頻回な活動であり、ここが改善されると、介護全体にかなりのインパクトがある」と説明します。「セルフケア」には、食べることや飲むこと、排泄などの基本的な行為に加え、入浴、歯磨きや洗顔などの身支度、自ら健康に注意することまで含まれます。大川氏が「「セルフケア」項目にある「排泄・入浴・食事」は三大介助と呼ばれており、人間として生きるためにもっとも重要な活動」と述べるとおり、「セルフケア」は基本的な生活を送るために不可欠な活動項目なのです。「運動・移動」は、歩行や車いすなどの手段を利用した移動はもちろん、姿勢の保持や物の移動まで含まれます。とくに移動のための移乗介助は、介護業務の中でもかなり頻回に発生する業務です。これらが改善されることで、自立度が上がるだけでなく、介護従事者の負担も大幅に軽減されることが予測されるのです。セルフケアの改善は介護報酬にも直結「セルフケア」の改善は、介護報酬にも直結すると大川氏は説明します。「セルフケア」などの活動項目改善により自分でできる活動が増えれば、介護報酬の加算を減らせる可能性があるからです。2025年問題を前に社会保障費のの急増が懸念されている今、コミュニケーションロボットによる介護報酬への影響はより重要視されていくでしょう。また、今後の介護報酬改定では、自立度の向上(要介護度の低下)によって介護報酬を加算する案も出ており、改善に向けた介護がますます盛んになっていくと予想されるなかで、介護ロボットの介護予防効果にも期待が高まります。コミュニケーションロボットの可能性今後もさらなる改善が見込める予想外の結果となった今回の実証試験。大川氏は、「当初に意図していなかったと考えられる「セルフケア」などの改善を生む可能性をもつことが判明したことの意義は大きい」と述べます。今回の実証試験では、当初から「セルフケア」「運動・移動」の向上を目的としていたロボットは1種類のみでした。それらのの向上を想定した活用方法をしていなかったにもかかわらず全体の30%以上に効果が見られたということは、今後それらを意識した開発や活用法の模索を勧めることで、さらに大きな改善効果が見込める可能性があるということです。コミュニケーションロボットの多くは、本来の目的や効果(=コミュニケーションの向上)以上に、広い範囲で効果をあげることができるものだということが分かっただけでも、大きな成果だと言えるでしょう。重要なのは介護プログラムへの落とし込みもっとも、コミュニケーションロボット単体では、このような結果は出ません。大川氏は報告書の中で、「最大限の効果をあげるためにはロボットの直接的な使い方だけでなく、介護プログラムの中に位置づけて、具体的活用法を明確にすることが重要である」と指摘します。例えば、実証試験に参加したある施設では、ロボットの「促し」によって居室外に出た利用者が実施できる「活動項目」や「生活の活発化」を増やすために、デイルームに本・雑誌を設置したり、ビデオやお茶道具をを自由に利用できるようにしています。こうした介護プログラムの見直しを行った施設(代表機関A)と行っていない施設(代表機関F)では、改善率に大きな差が出ました。これにより、コミュニケーションロボットの効果を引き出すには、介護プログラムのなかへの落とし込みが重要であることが明白となりました。まとめ「活動」に焦点をあてて行われた今回の実証試験。結果として、本来想定されていた「コミュニケーション」の改善以上に、「セルフケア」「運動・移動」などの活動項目に改善が見られました。要介護者の自立や介護業務、さらに介護報酬にまで影響を与えるこれらの改善効果は、今後の開発や活用法の模索によってさらに高めることができそうです。もっとも、介護ロボットがそれらの活動項目に特化していればいい、性能が高ければ良いというわけではありません。そうしたコミュニケーションロボットをいかに介護プログラムに落とし込むかが、効果を引き出す鍵と言えます。<参考資料>国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)・国立研究開発法人 産業技術総合研究所 「 介護分野における コミュニケーションロボットの活用に関する 大規模実証試験報告書 」(2017年5月31日)

介護コミュニケーションロボット「34%が改善」|実証試験総まとめ【第1回】

介護コミュニケーションロボット「34%が改善」|実証試験総まとめ【第1回】

介護者のかわりにレクリエーションをしたり、触ることで反応を返したりする「コミュニケーションロボット」。人手不足が深刻化する介護の現場で、これらコミュニケーションロボットの活躍が期待されています。しかし、本当にコミュニケーションロボットは効果があるのでしょうか? そんな疑問に応える実証試験が、2016年(平成28年)に行われました。1000台規模のロボットを投入して行われた実証試験の結果、対象者の約3分の1に活動の「質」と生活の活発さ(※1)において改善効果が認められたのです。 今回は、日本医療研究開発機構(以下、AMED)にて「 介護分野におけるコミュニケーションロボットの活用に関する大規模実証試験 」を担当した産業技術総合研究所招聘研究員の大川弥生氏に話を伺いながら、コミュニケーションロボットの問題点と可能性を探ります。その第一弾として、実証試験の概要と結果をまとめました。産業技術総合研究所招聘研究員の大川弥生氏に話を伺う(撮影場所:AMED) ※1  生活の活発さは、「日頃どのくらい動いていますか」「外出の回数(施設・自宅敷地の外)」「1日何時間位(1週間で平均)建物の外に出ていますか(庭や畑等に出ることも含む)」の3つで採点。 報告書を読み解くシリーズ~実証試験から分かるコミュニケーションロボットの可能性と問題点~ シリーズ1 介護コミュニケーションロボット「34%が改善」|実証試験総まとめ シリーズ2 なぜ「活動」に着目?意外な結果から分かったコミュニケーションロボットの可能性 シリーズ3 レクリエーションを代替する介護ロボットの問題点――改めて「レクリエーション」とは コミュニケーションロボットとは?今回の実証試験では、コミュニケーションロボットを下記のように定義しています。 コミュニケーションロボットの定義 介護との関係で「コミュニケーションを目的もしくは手段とする」ために用いるロボットの総称 ここでの「コミュニケーション」には、言語的なもののみでなく、非言語的なものも含まれます。例えば、鳴き声や仕草(動き)などもコミュニケーションとしてカウントされます。 コミュニケーションロボットの実証試験の概要「 介護分野におけるコミュニケーションロボットの活用に関する大規模実証試験 」は、経済産業省のロボット介護機器開発・導入促進事業(基準策定・評価事業)による「ロボット介護機器開発に関する調査」 として実施されたものです。大規模で客観的な実証試験は本邦初今回行われた実証試験は、3つの点で画期的な試験となりました。3つとは、(1)大規模で、(2)同一のプロトコルで、(3)「活動」に着目して実施された点です。これまでのコミュニケーションロボットの実証試験は、小規模、もしくは施設毎に異なるプロトコルを採用しているため検証に適していないものが多く、客観的・定量的な効果検証がなされてきませんでした。 しかし今回の実証試験では、計866名の被介護者を対象に、公募によって採択された19種類のコミュニケーションロボットと同一プロトコルを用いて行われたのです。コミュニケーションロボットの効果の有無を有資格者が評価した、初めての大規模で客観的な実証試験といえます。被介護者の「活動」に着目して評価評価の基準には、活動(ICF:生活行為)の「質」(自立度)と「量」が採用されました。大川氏は、「効果を見るなら、不自由な生活行為(=活動)がどのように変化したかという観点で見るべきだ」と説明し、活動の「質」を「活動項目」で、「量」を「生活の活発さ」でそれぞれ評価しました。また「活動」の変化に加えて介護内容も記録することで、ロボットそのものの評価だけでなく、どのように活用されるべきかということまで考察できるようにしています。実証試験の結果 全体の3分の1に効果あり 実証試験の結果、866 名中296 名(34.2%)について、活動の「質」もしくは「生活の活発さ」において改善効果が認められました。実証試験では、事前に1ヶ月観察期間を設け、その間に変化のなかった(改善しなかった)者のみが対象となっています。コミュニケーションロボットの介入がなければ改善する見込みのなかった人の3割が改善したというこの結果は、「介護予防という観点から見ても非常に画期的」だと大川氏は説明します。 「コミュニケーション」よりも「セルフケア」改善に効果あり 報告書によれば、改善者のうち、94.6%が活動の「質」に改善の変化が見られました。とくに大きな改善が認められた活動項目は「セルフケア」で、全改善者の4割弱が改善しています。大川氏は、”コミュニケーション”ロボットにもかかわらず、「コミュニケーション」ではなく「セルフケア」という項目においてより高い改善率を示したことは、注目に値すると指摘します。インタビューでは、「目的としていたコミュニケーションの改善以上に『セルフケア』や『運動・移動』の改善が上回ったという結果は、コミュニケーションロボットの可能性拡大につながる」と説明したうえで、他でもない『セルフケア』や『運動・移動』が改善したという点に関して、「これらの活動は生活のなかでも不可欠かつ頻繁に発生するものであり、介護の対象としても主たるもの。ここが改善されれば、要介護者の自立支援や介護者の負担軽減につながるのはもちろん、介護報酬にも直結する」と話しました。「セルフケア」のどのような項目が改善したかという質問に対しては、「介護プログラムの立て方によって効果は異なる」とし、あくまでロボットそれ自体に効果があるわけではなく、介護プログラムのなかでどのように使われるかが重要であると強調しました。 施設によって改善率に大きな差|鍵は”介護プログラム”報告書によれば、改善率は施設によって大きな差が出たと報告されています。ある施設では80%以上の改善率を示している一方、別の施設では4.5%しか改善されていないというケースが発生しているのです。 この理由として、報告書は介護プログラムの差を挙げています。改善率の高い施設では、介護プログラムにおけるロボットの位置づけがなされており、改善率の低い施設ではそれがなされていなかったことが分かったのです。ここでいう介護プログラムとは、ロボットに合わせた人による促しの追加や、居室等に新聞や雑誌を設置するなどの介護内容全体の変化を含みます。大川氏は、「ロボットをあくまで物的介護手段として認識し、どのような目標に向かってどのように使用するのか、介護プログラムに落とし込んで考えることが大事。それは、介護とは何かということにもつながる」と話します。 浮き彫りになった問題点|レクリエーションを代替するロボット 実証試験では、音楽に合わせて手を動かしたり声を出したりしながら、レクリエーションを代わりに行ってくれるコミュニケーションロボットを「介護者代替プログラム実施型」と分類しました。 大川氏は実証試験を受け、「単に”レクリエーションの時間”を穴埋めするだけのロボットが多い」と指摘します。「介護者代替プログラム実施型」ロボットに対して、「レクリエーションを通して身体を動かすことも大事だが、それを通じて「参加」をより良い状態にすることがより重要視されるべき。その目標設定がされないまま、ただ体操やクイズをすればいいという考え方が見受けられる」と話します。まとめ1000台規模のロボットを投入して行われた今回の実証試験。全体の3分の1に改善効果が認められたという結果は、今後コミュニケーションロボットの普及を後押しすると考えられます。コミュニケーションの向上を目的として開発されたにもかかわらず、実際に改善が認められたのは「コミュニケーション」よりむしろ、より日常生活において頻繁に行われる活動においてでした。「セルフケア」や「運動・移動」という活動の質の改善は、要介護者はもちろん、介護者の負担軽減にもつながります。 さらに、そういった効果を引き出すには、コミュニケーションロボットをいかに活用するかにかかっている。より具体的には、介護プログラムへの落とし込み、施設環境の整備などが求められるのです。 シリーズの第2弾 では、さらに詳しく実証試験の結果に迫ります!また、コミュニケーションロボットの効果検証基準として「活動」に着目した理由を、大川氏に詳しく伺いました。そこには、「介護とは何か」を考えるための深い示唆が含まれていたのです。シリーズ2を読む▶▶ なぜ「活動」に着目?意外な結果から分かったコミュニケーションロボットの可能性 <参考資料>国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)・国立研究開発法人 産業技術総合研究所 「 介護分野における コミュニケーションロボットの活用に関する 大規模実証試験報告書 」(2017年5月31日)

介護ロボットの普及率はどのくらい?普及を阻む3つの要因

介護ロボットの普及率はどのくらい?普及を阻む3つの要因

介護施設での介護ロボットの活用がしばしばニュースになっていますが、実際の普及率はどれくらいなのでしょうか? 介護ロボットONLINEが介護福祉施設に向けて行った独自のアンケート では、約3割が介護ロボットを導入していることが分かりました。介護ロボットの普及のために、今何が行われているのでしょうか?また、普及を阻む要因もまとめました。介護ロボットの普及率介護ロボットは、現状どのくらい普及しているのでしょうか?介護ロボットの普及率を表す正式なデータは、残念ながらまだありません。しかし、 介護ロボットONLINE独自で行ったアンケート によれば、現在介護ロボットを導入している施設は、全体の約3割程度となりました。全体の3割を「多い」と見るか「少ない」と見るかは人それぞれですが、数年前には「介護ロボット」という言葉すら知られていなかったことを考えると、着実に導入が進んでいるといえるでしょう。介護ロボットが普及しない3つの理由少しずつ導入されてきているとはいえ、大半の施設では介護ロボットが使われていないのが現状です。なぜ、普及は進まないのでしょうか? 普及を阻む要因は、大きく3つあると考えられます。1.コストが増えるひとつ目はコストです。政府は安価な介護ロボットの開発を支援してますが、市販されている介護ロボットの多くは高額で、なかなか購入できないという施設がほとんどです。介護ロボットONLINEが行ったアンケート でも、導入しない理由として「介護ロボットの価格が高いから」を挙げている施設が半数を超えています。ただしここで述べるコストは、介護ロボット本体のコストだけではありません。介護ロボットの導入には、ロボットの価格以外にも、さまざまなコストがかかるのです。コストには、介護ロボットを扱う介護従事者に対する研修費用や、保守・運用のための費用などがあります。また、介護ロボットを使うことで介護従事者の肉体的負担が軽減されサービスの質もあがるものの、時間が余計にかかるという場合は、人件費の面でむしろコストが増えているといえるでしょう。つまり、単に「介護ロボット本体の価格が安くなればいい」という単純な問題ではないのです。同様の問題は、介護リフトの普及率にもいえます。介護リフトは、介護従事者の腰痛対策として導入が勧められていますが、実際の国内の普及率は10%にも達していません(※1)。その要因として、リフト自体の価格や収納場所等の問題の他に、「人力のほうが速くできるので、無理をしてでも人的介護で終わらせてしまう」ことが挙げられています(※2)。介護リフトに関しては「ノーリフトポリシー」がありますが、介護ロボットには法規制がないため、介護施設としては、使わなければいけない理由が特にありません。介護ロボットの本格的な普及には、何らかの規則が必要になってくるのかもしれません。 ※1 独立行政法人産業技術総合研究所(2013)「  ロボット介護機器開発・導入促進事業 全体概要 」※2  公益財団法人テクノエイド協会(2014)『介護福祉経営士 実行力テキストシリーズ9 新しい福祉機器と介護サービス革命 導入の視点と活用のポイント』日本医療企画 2.実用的でない・役に立たない二つ目は、介護ロボットが実用的でない、つまり「役に立たない」という問題です。これは、介護ロボットの供給側である開発メーカーと、使う側である介護福祉施設のミスマッチが原因で起こります。どれほど高性能なロボットでも、実際の介護業務に適していないと無用の長物となってしまいます。これまで開発されてきた介護ロボットの中には、高スペックでも使い勝手の悪いものが少なくなかったため、なかなか普及に至らなかったといえます。また、現在市販されている介護ロボットのほとんどは、介護の中でも単一の動作しかできません。たとえば、食事を支援するロボットなら食事のみを、移乗を支援するロボットなら移乗のみを支援します。しかし実際の介護は、食事や移乗だけでなく、排泄、着替え、入浴など、ありとあらゆる生活項目に対して行われます。そのため、介護業務は多岐にわたり、しかも人によって異なったアプローチが求められます。そんななか、単一の作業を繰り返すだけの介護ロボットが、介護業務全体の手助けをすることは不可能といえます。現状、さまざまな業務を支援するには、異なる複数の介護ロボットが一度に必要となります。コストや収納場所を考えると、それは現実的に困難です。それ故に、現在の介護ロボットは「役に立たない」ということになってしまうのです。3.安全性三つ目安全性の問題です。「万が一ロボットが暴走したら?」「突然故障してしまったら?」というロボットならではの不安が、介護ロボットの導入に二の足を踏ませています。ただしこちらに関しては、生活支援ロボットの国際安全規格「ISO13482」が発行されるなど、安全性の確保に向けて世界的な取り組みが進められています。普及のためにしていること政府は、普及のためにさまざまな施策を行っています。例えば 介護ロボット導入支援事業 福祉用具・介護ロボット実用化支援事業 などです。 介護ロボット導入支援事業 効率化や負担軽減などの効果がある介護ロボットに対し、1機器につき10万円を補助する。 →各自治体の介護ロボット導入支援事業について知りたい方は 【平成29年度】介護ロボット導入支援事業における補助金【都道府県別一覧】 から 福祉用具・介護ロボット実用化支援事業 相談窓口の設置、実証の場の整備 、モニター調査の実施、普及・啓発を行う事業。普及のために、介護ロボットに関するパンフレットの作成 や、介護ロボットの展示・体験 、介護ロボットの活用に関する研修などを行う。 こうした導入促進事業によって、より実用的な介護ロボットの開発が進められるようになってきました。また、パンフレットなどによる一般への周知が、介護ロボットに対する誤解(ロボットは危険、冷たい等)を解く手立てとなっていくことが期待されています。介護保険制度と介護ロボット平成30年度に予定されている介護保険制度の改訂では、介護ロボットの導入に対する介護報酬加算が検討されています。現状の介護保険制度は、入居者や利用者の数に対して、有資格者や介護従事者の数が定められています。定められた数の人員を配置していないと、介護報酬を受けることができません。そのため、仮に介護ロボットによって業務が軽減できたとしても、介護報酬を受け取るためには、人材削減するわけにいかないのが現状です。つまり、現状の介護報酬システムは、そもそも介護ロボットの導入が想定されていないのです。施設経営者にとって、介護ロボット導入には何のメリットも無いということです。こうした現状を受け、政府は、介護ロボットの導入に対して介護報酬を加算する方針を打ち出しました。安倍総理大臣は、「介護者の負担を軽減するロボットやセンサーの導入を、介護報酬や人員配置基準などの制度で後押しする」と述べています(※3)。しかし、2017年8月23日に行われた介護給付分科会では、介護ロボットの導入は時期尚早なのではないかという意見も出ています(※4)。介護ロボットで負担が軽減できる業務もあるけれど、同時に安全管理など新たに発生する業務もあると考えられるため、すべての介護ロボットが人員削減につながるとは思えない、というのが主な理由です。今後、介護ロボット導入による介護報酬加算がどう動くか、ますます注目が集まります。 ※3 首相官邸ホームページ「第7回未来投資会議」より引用(2017/09/19, http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai7/gijiyousi.pdf)※4 厚生労働省(2017年8月)「 第145回社会保障審議会介護給付費分科会資料 」まとめ介護ロボットONLINE独自調査では、約3割が「導入している」と答えた介護ロボット。普及を阻む一番の壁は「コスト」ですが、介護ロボットが安くなれば良いという単純な問題ではなく、介護スタッフの教育や運用、その他の費用対効果などが問題として挙げられます。政府は、介護ロボットの普及のためにさまざまな支援を行っていますが、施設運営に影響力のある介護報酬加算に関しては賛否両論が出ています。介護ロボットの本格的な普及にはまだまだ問題が山積みな印象をうけますが、少しでも介護の人材不足や自立支援につながるような介護ロボットが引き続き求められるのは間違いないでしょう。

介護報酬申請にも使える!介護予防サービス「モフトレ」|株式会社Moff

介護報酬申請にも使える!介護予防サービス「モフトレ」|株式会社Moff

センサー技術とIoT機器を活用し、今までにないヘルスケア・サービスを提供する株式会社Moff。スマートトイとして販売していた「Moffバンド」を使って、介護事業所向けに新しい介護予防プログラムサービス「モフトレ」の提供を開始しました。「モフトレ」の特徴と魅力について、代表の高萩昭範氏にお話を伺いました。株式会社Moff 代表取締役の高萩昭範氏に話を伺う 最先端テクノロジーで新しいヘルスケアをーーー株式会社Moffとはどのような会社でしょうか?当社は2013年に設立した会社です。子どもから高齢者まで、誰もが楽しく身体を動かすことで健康的な生活を送ってほしいという思いから、IoTやセンサー技術を使った新しいヘルスケア・サービスを提供しています。現在のウェブやアプリのサービスは、多くの場合画面のなかで提供されていますが、当社のサービスは画面のなかの体験ではなく現実空間を使った体験である点が特徴です。はじめは、子ども向けのスマートトイとして開発を行っていました。そこでの反響と経験から、介護分野でも楽しく役に立てるようなサービスが作れると感じ、この度「モフトレ」をリリースしました。ウェアラブルデバイスを使った介護予防プログラム「モフトレ」とはーーー「モフトレ」とはどのようなサービスですか?「モフトレ」は、IoTを使った介護事業所向けの自立支援サービスです。「モフトレ」を使えば、どんな人でも簡単に機能訓練を提供できます。また単に機能訓練が提供できるだけでなく、利用者にとって楽しく、かつデータが自動的に集まる形で提供することが可能なのが特徴です。「モフトレ」で使うのは、「Moffバンド」という腕時計型のモーションセンサーとタブレットです。タブレット上に、機能訓練のコンテンツが配信されます。コンテンツは、個別機能訓練加算の取得を想定したトレーニング内容となっています。コンテンツにしたがって機能訓練をすると、「Moffバンド」が動きを計測し、結果や分析内容がタブレット上に表示されます。それらのデータは自動的に記録され、個別機能訓練加算の申請に必要な書類の参考資料としてもお使いいただけます。実際に使っているところを見せてもらった「モフトレ」は、Moffバンド 5個とアプリがインストールされたタブレット端末(iPad)1台を1セットとして販売しています。最大で5人が同時に利用できます。 ロコモ予防トレーニング はじめにトレーニングメニューを選びます。今回はロコモ予防トレーニングを試してみましょう。ロコモ予防トレーニングは、ADL目標を達成するにあたって鍛えるべき部位の機能訓練メニューです。例えば「洗濯する」というADLは、腕を上下左右に動かしたり、膝を伸ばしたりする動きが必要になります。 それらの動きを分解して、ひとつひとつ鍛えましょうというメニューです。 項目を選ぶと、音楽と動画が流れます。利用者は、動画と同じ動きを行います。左上の数字は、利用者が正しく身体を動かせた回数をカウントしたものです。Moffバンドが動きを検知し、自動的に反映しています。 日常生活動作トレーニング もう一つ、日常生活動作トレーニングというものもあります。こちらは、日常生活動作自体を訓練するトレーニングです。今回は「お風呂で洗髪する」という日常生活動作をトレーニングしてみましょう。メニューを選択すると、今度はアニメーションが流れます。このアニメーションは、自分の動きをトレースして動く3Dアニメーションです。タブレットの前で腕を上げると、3Dアニメーションも同じように腕をあげます。 洗髪をイメージしながら動く。 すると、タブレット上のアニメーションも同じ動きをする。「洗髪」という動作にはさまざまな動きが組み合わさっていますが、ちゃんとひじが上がっているか、前かがみになりすぎていないかなどをMoffバンドが計測しているんです。動きを表現するだけじゃない。数値として計測する技術タブレット上ではアニメーションの動きで表現していますが、システム側では定量的に計測しています。こちらはシステム側で使用している技術デモ画面ですが、手首を右に回すと、その角度が数値で出ていますよね。このような細かい数値情報が計測できるため、さまざまな分析が可能なのです。 手首を回すと、何度回転したかが計測されるモフトレの2つの特徴とは認知症の人との親和性ーーーありがとうございます。自分の動きに合わせて動くアニメーションは、見ていても楽しいですね。この部分は、これまでやってきたスマートトイでの体験が活きているのかなと思っています。自分が動くと音や映像で何かしらの反応があるというとてもシンプルな体験は、言葉による説明の理解が難しい子どもでも楽しめます。その意味で、スマートトイは知的障害者の方からも多くの反響をいただきました。ーーー「モフトレ」は認知症の方々ととくに親和性が高いと伺いましたが。その通りです。そこが「モフトレ」の最大の特徴でもあります。「モフトレ」は、認知症が原因で要介護4と認定された方にもお使いいただいています。しかも、自ら進んで能動的に動いていただいているという声が寄せられています。さらに当社は、通所介護を利用している95人の要介護者を対象に、「モフトレ」の利用による可動域や認知機能の効果を検証しました(※)。その結果、認知機能の数値が116%、右肩の可動域が115%とと、それぞれ向上が見られました。 これまで機能訓練が難しいと思われてきた方でも、「モフトレ」だったら自分から運動してくれるというケースもあり、新しい介護予防としての可能性を感じています。 ※ IoTで認知症テストのスコアが向上〜ウェアラブルIoTによる自立支援サービス「モフトレ」により〜(株式会社Moffプレスリリース,2017年9月14日) 介護報酬加算の参考資料としてもーーーデータが介護報酬加算の際の参考資料になるという点も、非常に特徴的と感じました。より多くの方に「モフトレ」を楽しんでいただくには、まず多くの事業所に取り入れてもらわければならないと考えました。そのためには、コンテンツの内容や使いやすさはもちろん、経済的なメリットも提示できなければならないと思ったんです。介護ロボットではよくあることかもしれませんが、「商品やサービスは良いけど、導入する余裕がない」という事業所は非常に多いのが現状です。ですから、「モフトレ」の費用対効果を高めるためにも、コンテンツの内容は個別機能訓練加算の取得を想定し、取得に必要なデータが取れるようにしています。新たに機能訓練を取り入れたい事業所からも好評ーーー反響はいかがですか?先ほども申し上げましたが、やはり認知症の方も自分から楽しそうに参加してくれた、という反響が大きいですね。業務という観点で言えば、これまでなかなかちゃんとやってこれなかった機能訓練が簡単にできるようになったという声をいただきます。ノウハウや企画がなくても始められて、しかも自動的に記録されるのでとても楽だというスタッフの方が多いですね。また、「モフトレ」がトレーニングを進めてくれるあいだに、利用者の方へ適切な声がけをするなどの純粋なコミュニケーションに集中できるようになったという声もありました。医療との連携、そして在宅へーーー今後の展開を教えてください「モフトレ」でもデータをとっていますが、介護の世界だけではなく医療とも連携してデータを収集し、それを次のステージに活かせればと考えています。最終的には、在宅でも「モフトレ」をご利用いただければいいなと思っています。編集部まとめ2017年8月にリリースしてからまだ1ヶ月という現段階で、すでに大手グループのデイサービスや有料老人ホームでの利用実績がある「モフトレ」。導入前提でトライアルしている最中の事業所も多いとのことですが、「費用対効果を懸念されているところからも反応が良い」とか。 トレーニング内容は東京大学と早稲田大学の先生によって監修されています。単なるレクリエーション提供サービスとは違い、内容の質・使いやすさ・コストパフォーマンスの3点を満たす「モフトレ」は、今一番取り入れやすい介護ロボットの形と言えるでしょう。

「看取り介護」とは?看取りまでの流れ、施設やロボットを紹介

「看取り介護」とは?看取りまでの流れ、施設やロボットを紹介

「病院で死にたくない」――もしあなたの親がそう言ったら、どうしますか?平成18年に看取り介護加算が実施されてから、「病院以外での看取り」が注目され始めました。看取りが注目を集める背景には、2040年に40万人にも達する「看取り難民」の存在があります。しかし介護施設や在宅での看取りをすすめるには、まだまだ課題が山積み状態です。ここでは、看取り介護の背景や問題点をまとめていきます。また、介護施設や在宅での看取り介護の流れや、看取り介護に使える介護ロボットを紹介します。看取りとは?平成18年度の介護報酬改定にて、看取り介護を実施する施設に対して報酬を加算する「看取り介護加算」が新たに追加されました。平成23年頃からは、看取りにかんするさまざまな調査研究事業が行われています。そもそも、「看取り」とはいったいどのような内容を指すのでしょうか?看取りの定義や看取り介護が注目を集めている背景に迫ります。看取りの定義全国老人福祉施設協議会の「看取り介護実践フォーラム」(平成25年度)では、看取りを下記のように定義しています。 看取りとは 近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、 人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること 看取り期(終末期)において、本人及び家族の意向に基づくその人らしさを尊重したケアを実施することが、看取り介護の考え方だと言えるでしょう。看取り介護の背景約8割が「病院で死亡」 2010年に行われた厚生労働省の調査によると、高齢者の約8割が病院や診療所で死亡していることが報告されています。一方で自宅で最期を迎える高齢者は、全体の約1割程度だということが分かっています。1951年では、自宅での死亡率が83%、病院や診療所での死亡率が12%だったことを考慮すると、60年あまりで死に場所のスタンダードが逆転してきたことがはっきりと分かります。多くの人が病院で最期を迎えている現状があるなか、なぜあえて介護施設や在宅での看取りが取り沙汰されているのでしょうか?その背景には、「多死社会」と「死に場所の希望と現実の乖離」があると考えられます。41万人が”看取り難民”化する「多死社会」 多死社会とは、高齢者の増加により死亡者数が非常に多くなり、人口が少なくなっていく社会形態のことです。具体的には、団塊の世代が平均寿命に到達する2040年、年間死亡数が現在の1.5倍である167万人にのぼると推計されています。 多死社会が到来すると、医療保険の財源の膨張するなどさまざまな問題が発生すると予測されています。なかでも深刻な問題として、病院の入院ベッドが不足することによる死亡場所の不足があげられます。厚生労働省によると、2040年には、約41万人の看取り場所が足りなくなると推計されています。約5割が「自宅で死にたい」 看取り介護の背景にある問題点の2つ目として、「死を迎えたい場所」と「実際の死に場所」の乖離が挙げられます。2014年の厚生労働省の調査によれば、「死を迎えたい場所」として「自宅」と回答した人は49.5%であると報告されています。つまり約半数が「住み慣れた自分の家」を死に場所として希望しているのです。 先述したとおり、実際の死に場所として大半を占めるのが病院や診療所であることを考慮すると、少なくない人が、最期を迎えるにあたって希望と現実がかけ離れてしまっているという現実があることが分かります。「死ぬ場所がない」という”看取り難民”をなくすために、そして本人の希望に沿った場所で終末期ケアを行うために、今「看取りの場」の選択肢を増やすことが課題となっているのです。看取り難民をなくすために「死に場所」が足りなくなり、約41万人の”看取り難民”が出現すると言われる多死社会の日本。年間死亡数がピークを迎える2040年にむけて、政府はさまざまな対策を打ち始めています。看取り介護加算その一つが「看取り介護加算」です。病院以外の「看取りの場」を増やすために、厚生労働省は2006年、平成18年度の介護報酬改定にて「看取り介護加算」を追加しました。看取り介護加算とは、看取り介護を実施する施設に対して報酬を支払う介護報酬です。平成27年度の介護報酬改定では、死亡日以前4日以上30日以下の報酬単位を80単位/日から144単位/日に引き上げるなど、施設での看取り介護を強化しています。これを受けて、看取り介護に実施していない介護施設も対応に乗り出していくことが考えられます。在宅療養支援診療の創設看取り介護加算が実施されたのと時を同じくして、「在宅療養支援診療所」が創設されました。在宅療養支援診療所とは、24時間連絡を受ける医師又は看護職員を配置しており、24時間訪問看護の提供が可能な診療所です。在宅で看取り介護をする場合は、かかりつけ医や在宅療養支援診療所等と連携して対応する必要があります。 在宅療養支援診療の要件 ・当該診療所において、24時間連絡を受ける医師又は看護職員を配置していること・当該診療所において、又は他の保険医療機関の保険医との連携により、当該診療所を中心として、患家の求めに応じて、24時間往診が可能な体制を確保していること・当該診療所において、又は他の保険医療機関、訪問看護ステーション等の看護職員との連携により、患家の求めに応じて、当該診療所の医師の指示に基づき、24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保していること・当該診療所において、又は他の保険医療機関との連携により他の保険医療機関内において、在宅療養患者の緊急入院を受け入れる体制を確保していること・医療サービスと介護サービスとの連携を担当する介護支援専門員(ケアマネジャー)等と連携していること看取りに応用できる介護ロボット在宅での介護負担を軽減するために、さまざまな介護ロボットが開発・販売されています。その中でも、看取り介護に応用できる機能を備えた介護ロボットが続々登場しています。看取り介護に応用できる介護ロボットは見守り支援機器に多く、バイタルセンサー(生体センサー)を有したものが注目を集めています。マットレスに下に敷くだけで、PCなどのデジタルデバイスで心拍や呼吸数などが分かるもの、ベッドの近くに設置したセンサーで生体信号を検知するものなどさまざまあり、症状や居住環境などによって最適なものを選択することができます。見守り支援機器の介護ロボット例 ネオスケア(Neos+Care)|ノーリツプレシジョン株式会社眠りSCAN|パラマウントベッド株式会社EVER Relief|株式会社構造計画研究所シルエット見守りセンサ|キング通信工業株式会社まもる~の|ASD株式会社在宅看取りを始めるまでの流れ「自宅で最期を迎えたい」――そう言われたら、まず何から準備すればよいのでしょうか?ここでは、在宅で看取り介護をするための手続きや流れを見ていきます。終末期であることを医師が診断在宅で看取り介護を始めるにあたり、医師の診断が不可欠となります。終末期とは、「心身機能の障害や衰弱が著明で明らかに回復不能な状態であり、かつ近い将来確実に死に至ることが差し迫っている状態」です。終末期であるという診断がされてはじめて、在宅での看取り介護が可能となります。本人や家族の希望を確認在宅での看取り介護をする前に、本人の意思と家族の希望を再確認しましょう。本人の意思を共有する手段としては、「生前の意思表示(リビング・ウィル)」を記載するハンドブックなどが有効です。本人がどんなに自宅で最期を迎えたいと思っていても、家族が対応するのが現実的に難しいというケースもあります。どこまで対応できるのか等を全員で話し合い共有する必要があります。要介護認定の再審査を受ける要介護認定の度合いによって、毎月支給される限度額が変わります。在宅での看取り介護は、病院に入院するより安く済むケースが多いですが、経済的負担をできるだけ軽減するためにも、要介護認定を改めて申請し直すと良いでしょう。在宅でのかかりつけ医を紹介してもらう在宅での看取り介護は、かかりつけ医が不可欠です。かかりつけ医とは、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、 専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」のことです。在宅での看取り介護には、24時間、365日体制での訪問診療・訪問看護が欠かせないため、必ずかかりつけ医と連携をとれる体制を確保しましょう。看取り介護をしてくれる施設は?看取り介護に対応している介護施設は、特別養護老人ホームや介護付有料老人ホーム等です。ある調査によれば、特別養護老人ホーム(以下、特養)の約7割が看取り介護を実施しており、そのうちの約8割が看取り介護の対象者全員にたいして最期まで施設で介護していることが明らかになっています。また、財団法人 高齢者住宅財団の「サービス付き高齢者向け住宅等の実態に関する調査研究」によれば、サービス付き高齢者向け住宅でも4分の1の施設が看取り介護を「実施している(実績あり)」と回答、3割が「実績はないが 対応可能」と回答していることが分かっています。先述したとおり、看取り介護における介護報酬加算をはじめとして、介護施設における看取り介護を推進していく動きが確かにあると言えます。まとめ「看取り介護」問題の背景には、超高齢化社会、地域包括ケアという大きな流れに加えて、多死社会による”看取り難民”の出現、終末期ケアの考え方を汲んだ「看取りの場」の選択肢の多様化などがあります。在宅療養支援診療所はまだまだ不足しており、介護施設での看取り介護も100%ではないという現実はありますが、少しずつ「看取り」にたいする考え方や対応が変化してきているといえるでしょう。

介護ロボット、約7割が「導入していない」――導入阻む原因1位は「価格」|ウェルクスが「介護ロボット」に関する調査を実施

介護ロボット、約7割が「導入していない」――導入阻む原因1位は「価格」|ウェルクスが「介護ロボット」に関する調査を実施

株式会社ウェルクス(本社:東京都墨田区両国)は、介護ロボットに関する実態の把握を目的に全国の介護福祉施設経営者35人を対象としたアンケート調査を2017年6月に実施しました。2025年問題を控え、介護の人手不足や超高齢社会に対するひとつの解決策として注目を集める「介護ロボット」。2016年には介護ロボット購入の助成金に予算52億円が充てられただけでなく、来たる平成30年度の介護報酬改定では、介護ロボットの導入に対する報酬加算が話題になっています。鉄腕アトムのような二足歩行のロボットだけでなく、ロボットスーツのような装着型の介護ロボットやぬいぐるみを模したコミュニケーション型ロボットなど、より実用的な介護ロボットが次々発売されていますが、介護現場での実態はあまり知られていません。介護ロボットONLINE編集部では、介護福祉施設経営者向けに、介護ロボットの利用状況と意向についてアンケートを行いました。7割の施設が「介護ロボットを導入していない」(1)現在、介護ロボットを導入していますか?介護の現場でロボットを導入しているか聞いたところ、「導入している」と答えた人が28.6%(10名)、「導入していない」が71.4%(25名)となりました。 導入済みと答えた施設は特別養護老人ホームや介護老人保健施設が多く、ショートステイなどではあまり使われていないことがうかがえます。「介護ロボットを導入している」と回答した人まずは、「介護ロボットを導入している」と回答した人の詳細をチェックしていきます。 半数が「見守り支援型」を利用(2)どのようなタイプの介護ロボットですか?導入している介護ロボットの種類を聞いたところ、見守り支援ロボットが50%(5カウント)ともっとも多く、次いで装着型の移乗支援ロボットが30%(3カウント)となりました(複数回答)。6割が「毎日」介護ロボットを利用(3)どのくらいの頻度で使っていますか?利用頻度は、「毎日使っている」と答えた人が60%(6名)ともっとも多く、次いで「現在は使っていない」が20%(2名)となりました。「毎日」と回答した人が使っている介護ロボットは「見守り支援型」が多く、「現在は使っていない」と回答した人は「装着型移乗支援型」ロボットを導入していたことが分かっています。二極化した理由として、センサーなどで必然的に常時稼働しておく見守り支援型ロボットは利用頻度が高く、逆に必要に応じて自ら装着する移乗支援型ロボットは、導入したものの利用されなくなっていくというケースがあることが考えられます。8割が介護ロボットに肯定的(4)使ってみてもっとも良かった点を教えてください。介護ロボットを導入したメリットとして、「介護職員の心的、身体的負担が軽減した」を挙げた人が62.5%(6名)、「施設利用者の心的、身体的負担が軽減した」と「業務効率化につながった」を挙げた人がそれぞれ12.5%となりました。全体の約8割が、介護ロボットによる負担軽減、業務効率化を実感し、肯定的に受け入れていることが分かります。一方、「装着に時間がかかり、かえって負担が増えた」と答えた人が12.5%(1名)となり、装着型の介護ロボットに対する不満がうかがえます。利用経験者の継続利用意向は高い(5)今後も介護ロボットを使いたいと思いますか?介護ロボットの継続利用意向を聞いたところ、「今後も使いたい」と答えた人が80%(8名)、「もう利用したくない」が20%(2名)となりました。「今後も使いたい」と答えた人は、その理由として「介護人材の人手不足対応及び身体的負担軽減の促進」や「人手不足で見守りがあると助かる」などを挙げています。 また、「看護・介護職員の慢性的な不足に対応でき、利用者の変化にスムーズに動ける」「職員の安心感つながれば、それは利用者の安心感にもつながっていきます」という回答からもうかがえる通り、業務の効率化がひいては要介護者の負担軽減、安心感につながるという観点から、介護ロボットに期待を寄せていることも分かります。 コメントの一部を紹介いたします。コメント(自由回答) ・モノに変えられるものは変えて、人でしか出来ない事を人がやっていくようにしたい。 (介護老人保健施設/30代・男性) ・業務効率と職員の心身負担の軽減何よりケアの統一に必要なためです。(特別養護老人ホーム/40代・男性)・看護・介護職員の慢性的な不足に対応でき、利用者の変化にスムーズに動ける。(介護老人保健施設/50代・男性)・作業の効率化や省力化につながるのであれば、今後も使っていきたい。(特別養護老人ホーム/40代・男性)・職員の安心感つながれば、それは利用者の安心感にもつながっていきます。(ショートステイ/40代・男性)・使用する側も開発側も試行錯誤を繰り返しながら実効的な物ができてくると思う。(特別養護老人ホーム/ 40代・男性 )一方、「もう利用したくない」と回答した理由としては、「不必要な労力を必要とする時がある」「装着に時間がかかる。使いづらい」などが挙がりました。ここでも、装着型ロボットへの不満が見られます。 (6)その他、介護ロボットを使用した感想を自由に記述してください。コメントの一部を紹介いたします。コメント(自由回答)・ターミナルとして活用していて巡回しなく済むのが業務改善に繋がっている。(特別養護老人ホーム/40代・男性)・補助金の無駄使い。もっと別なことにお金を使うべき。(特別養護老人ホーム/50代・男性)・使用の定着までに職員理解に時間がかかる点が難点でした。(特別養護老人ホーム/40代・男性)・業務の効率化及び利用者の安全確保に効果的。(介護老人保健施設/50代・男性)・介護ロボットの特性を掴みながら、実際の介護をするのは難しかった(30時間以上装着したが慣れない)。縦の動き(中腰での体位交換、おむつ交換)には有効だと思うが、横(水平)の動き(旋回、移乗介助)には効果がうすいように思う。(特別養護老人ホーム/40代・男性)「介護ロボットを導入していない」と回答した人 ここからは、「介護ロボットを導入していない」と答えた人の回答をチェックしていきます。 「介護ロボット導入していない」、最大の理由は「価格」(7)介護ロボットを導入していない理由を教えてください。 介護ロボットを導入していない理由として、54%(14名)の人が「価格が高いから」と回答しています。次いで多かったのが「機器の扱いが難しそうであるから」「人で十分対応できると思うから」「補助制度などが煩雑だから」で、それぞれ8%(2名)という結果になりました。 また、「費用対効果が明確でないため」「使える機器がないから」「現状の機器では顕著な有用性・効率性は認められないから」と答えた人もおり、介護ロボットが現場のニーズに合っていないという考えがうかがえます。 「今後も導入予定なし」6割超え|介護ロボットの評価が二極化する理由 (8)今後、介護ロボットを導入する予定はありますか今後の利用意向を聞いたところ、63%(17名)が「今後も導入する予定はない」と回答しています。その理由として、「価格が高いから」「予算、メンテコスト、導入教育費、時間の全てが不足している」「人的労力が相当必要なため」等を挙げており、ここでも導入コストや運用コストが問題視されていることが分かります。 「今後導入する予定がある」と答えた37%(10名)の人は、その理由として「利用者処遇と介護職員の専門性の向上に資すると思われるため」「介護職員負担軽減のため」「介護従事者の健康維持の一助となる」等を挙げており、介護従事者・要介護者双方のメリットとなる介護ロボットに期待を寄せていることがうかがえます。 コメントの一部を紹介いたします。 「今後も導入する予定はない」と回答した人の理由 ・価格が高いから。 (デイサービス/40代・男性) ・費用対効果が明確ではない。 (介護老人保健施設/50代・男性) ・装着型のロボットを検討したことがあるが、着用感等の疑問があるから。 (特別養護老人ホーム/40代・男性) ・導入は試みたいが、その過程における必要人員を割けられない。 (特別養護老人ホーム/40代・男性) ・予算、メンテコスト、導入教育費、時間の全てが不足している。 (グループホーム/50代・男性)・人的労力が相当必要なため。 (介護老人保健施設/60代・男性) ・養護老人ホームで、入所者は比較的元気な高齢者なので。(養護老人ホーム/ 60代・男性 )「今後導入する予定がある」と回答した人の理由・利用者処遇と介護職員の専門性の向上に資すると思われるため。(特別養護老人ホーム/40代・男性)・人材活用のため。(介護老人保健施設/30代・男性)・介護職員負担軽減のため。(特別養護老人ホーム/40代・男性)・介護職の人材不足の中で、腰痛対策などが必要であり、その一環として導入を考えている。(特別養護老人ホーム/50代・男性)・補助金制度を利用できた場合のみ導入する。(介護老人保健施設/40代・男性)・介護従事者の健康維持の一助となる。(サービス付き高齢者向け住宅/60代・男性)・職員定着の一助にはなる。ただし十分な実用性の検証が必要である。(特別養護老人ホーム/60代・男性)注目を集めるのは「見守り支援型」また、「今後導入する予定がある」と答えた人に導入したい介護ロボットの種類を聞いたところ、「見守り支援型」と答えた人が61.5%(8名)ともっとも多く、ついで「非装着型の移乗支援」が46.2%(6名)、「入浴支援型」が30.8%(4名)という結果になりました。(9)介護ロボットにたいする意見を自由に記述してください。 コメントの一部を紹介いたします。コメント(自由回答)・介護職員の慢性的な不足に対し、「労働力の補てん」という観点から非常に興味を持っている。(介護老人保健施設/40代・男性)・介護ロボットの種類や機能がもっと知れるような機会があればいいかなと思います。(小規模多機能居宅介護/50代・男性)・大変便利なものもあれば、全く役立ちそうもないものがひとくくりにされており、その費用対効果が全く考えられていない。イメージ先行であるため、いったんブームは下火になると思われる。費用対効果が明確で、革新的なものが生まれるにはあと5・6年はかかるのではないか。(介護老人保健施設/50代・男性)・ロボットに無駄なお金を使うなら、介護にコルセット買ってあげた方が実用的。(特別養護老人ホーム/50代・男性)・まだ価格が高く、使い勝手についてももう少し簡単に扱えるようにしてほしい。(特別養護老人ホーム/50代・男性)・導入に必要なコストや手間がかかりすぎている。(グループホーム/50代・男性)・介護ロボットは開発途上で実用化には今一歩と思う。(特別養護老人ホーム/60代・男性) まとめ 今回の調査では、導入済み施設は全体の約3割にとどまっており、介護ロボットが介護の現場に根付ききっていない現状が明らかになりました。普及を阻むもっとも大きな要因は、介護ロボット自体の価格、そして導入・定着までの物的、人的コストが挙げられます。運用後の費用対効果や実用性を疑問視する声も多く、とくに装着型の介護ロボットは、導入後に使われなくなっている現実も浮かび上がってきました。 とはいえ、導入済み施設の継続利用意向が高いことから分かる通り、実際に介護従事者や要介護者の負担軽減に貢献している介護ロボットは確かに存在し、現在導入していない施設の4割弱がそのような介護ロボットに期待を寄せていることがうかがえます。 価格や実用性、費用対効果など、さまざまな課題をはらんでいる「介護ロボット」。普及は今後進むのか、介護ロボットONLINE編集部では引き続きその動きに注目していきます。 「介護ロボット」について、また、このアンケートの結果や内容についてのご意見やご感想は、公式Twitter( @kaigo_robot )または Facebook までお寄せください。なお、本コンテンツの文章およびグラフの引用・転載を希望される方は、 介護ロボットONLINE問い合わせフォーム よりご連絡ください。 <<アンケート調査概要>>・調査期間:2017年6月15日(木)~7月20日(木)・調査対象:介護職の人材紹介サービス 【介護のお仕事】 に登録している介護福祉事業所関係者20代~60代の男女35名・男女割合:男性/91.4%・女性/8.6%

2016年は30億円超え!介護ロボット市場の現状と将来予測

2016年は30億円超え!介護ロボット市場の現状と将来予測

介護ロボット市場が盛り上がりを見せています。2016年、介護ロボットの市場規模は30億円を越え、ますます注目を集めました。平成27年度の 「介護ロボット等導入支援特別事業」では52億円もの予算を充てられ、全国の施設から申請が殺到しました。そのような取り組みのおかげか、介護ロボットという言葉を耳にする機会が着実に増えてきています。しかし普及はまだまだ完全とは言えず、介護ロボット自体はあまり一般的に見られないのが現状です。 今回は、そんな介護ロボット市場規模や現状、そして将来予測をまとめました。 2016年は30億円越え!成長しつづける介護ロボット市場介護ロボット市場は、ずばり成長傾向にあると言えます。ミック経済研究所によると、2015年は18億円だった市場規模は、2016年に30億円強になっていることと報告されています。一年で約1.7倍の成長を見せていることからも、介護ロボット市場が順調に成長していることが伺えます。なぜ成長傾向?介護ロボットの背景にあるもの こうした成長の背景には何があるのでしょうか?一言で言えば、介護ロボットニーズの高まりです。介護ロボットは、2つの観点から需要が高まっています。 2025年問題の解決策として ひとつ目は、2025年問題に対するソリューションという観点です。 2025年問題とは、いわゆる団塊の世代が75歳を迎え、およそ37.7万人もの介護人材が不足するとされる問題です。人手不足を補うために、今後ますます介護ロボットの存在感が増していくと考えられます。また、増え続ける社会保障費に対して地域包括ケアが推進されるなか、在宅や小規模施設での介護負担を軽減する介護ロボットも期待されています。 2025年問題とは 2025年以降に高齢者人口の増加によりもたらされる、医療福祉の問題の総称。2025年は「ベビーブーム世代」が後期高齢者となり、高齢者人口が約3,500万人に達すると推計される。高齢化の進展により、2025年には保険料が現在の5000円程度から8200円程度に上昇することが見込まれているだけでなく、およそ37.7万人もの介護人材が不足するとされている。日本の新産業として 2つめは、新産業の振興という観点です。 政府には、ロボット産業を日本の新産業として盛り上げたい考えがあります。日本におけるロボット産業についてまとめた資料「ロボット新戦略」からは、先進国や新興国におけるロボット開発・普及が急速に進む中、日本が取り残されてしまうかもしれないという危機感が読み取れます。 世界的に見ても高齢化が進んでいる課題先進国として、介護ロボット業界で先駆的な立場をとるために、日本は国をあげてさまざまな支援を行っています。 とくに「介護ロボット等導入支援特別事業」では、20万円以上の製品を対象に導入費用の全額を補助し、1施設・事業所につき上限を300万円(後に92.7万円に減額)とする大々的な助成支援を行いました。これらの支援事業が、介護ロボット市場の拡大を後押ししていることは間違いありません。 介護ロボットの開発・導入支援の例 介護ロボット等導入支援特別事業(厚生労働省) 介護ロボット開発等加速化事業(厚生労働省) ロボット介護機器開発・導入促進事業(経済産業省) ロボット介護機器導入実証事業(経済産業省) 移乗ロボットが市場牽引|特に成長している分野とは 介護ロボットと一口に言っても、さまざまな分野、種類があります。その中でもとくに成長している分野や種類に関してまとめました。 ミック経済研究所によれば、2016年の種類別売上高の内訳は、移乗ロボット(装着型)は8億円、コミュニケーションロボットは5億8千500万円、見守りロボットが3億7千万円と報告されています。 ※画像引用:株式会社ミック経済研究所 「介護・福祉施設向けのロボットテクノロジー市場 の中期予測を発表 」(プレスリリース:2017年5月10日) 全体から見ても、移乗型ロボットと見守り・コミュニケーション型ロボットが市場を牽引していると言えそうです。 商品化されている介護ロボット例  移乗支援ロボット(装着型)…マッスルスーツ/株式会社イノフィス  移動支援ロボット(屋外)…ロボットアシストウォーカーRT.1 RT.2/RT.ワークス株式会社 見守りロボット(施設)…EVER Relief/株式会社構造計画研究所 、 アースアイズ/アースアイズ株式会社、シルエット見守りセンサ/キング通信工業株式会社など政府は、特に重視されるべき分野として5分野8項目を定めていますが、途中で追加された新しい分野である移動支援ロボット(屋内用)や入浴支援ロボットに関しても、今後市場が形成されていくと予測されます。今後の動向|将来の市場規模は? 平成27年には、介護ロボットの導入支援に52億円の予算が充てられましたが、同等の支援事業は今のところ発表されていません。特別支援事業なき今、そして今後、介護ロボット市場はどうなっていくのでしょうか? ミック経済研究所によれば、介護ロボット市場規模は2017年には51億となる見込みで、2020年には144億円になると予測されています。つまり、今後も成長を続けるということです。 さらに政府は2020年までに500億円規模にすることを目標に掲げており、経産省は2035年には4000億円市場になるとも予測しています。 それぞれに数値の違いはありますが、いずれにしても成長市場であることは間違いなさそうです。 今後は介護報酬加算も?国をあげて盛り上げようとしている介護ロボット市場。特別支援事業は終了しましたが、介護報酬の加算に介護ロボット導入を組み込む方針が立てられるなど、本格的な普及に向けた動きは今後も続きそうです。 《この記事の参考にさせてもらった資料》 ミック経済研究所「介護・福祉施設向けのロボットテクノロジー市場 の中期予測を発表 」(プレスリリース:2017年5月10日) ロボット革命実現会議(2015)「ロボット新戦略」 経済産業省(平成2013年7月)「2012年 ロボット産業の市場動向」

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