見守りロボットとは?

見守りロボットとは?

見守りロボットとは?

見守りロボットとは、高齢者の見守りを支援する介護ロボットのことです。

経済産業省と厚生労働省による定義

経済産業省と厚生労働省によれば、見守り機器とは、介護施設において使用する、センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォームとされています。

また、見守り支援機器は「在宅型」と「介護施設型」の2つに分類され、それぞれ下記のように定義されています。

在宅型

在宅介護において使用する、転倒検知センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム。

  • 複数の部屋を同時に見守ることが可能。
  • 浴室での見守りが可能。
  • 暗所でも使用できる。
  • 要介護者が自発的に助けを求める行動(ボタンを押す、声を出す等)から得る情報だけに依存しない。
  • 要介護者が端末を持ち歩く又は身に付けることを必須としない。
  • 要介護者が転倒したことを検知し、介護従事者へ通報できる。
  • 要介護者の生活や体調の変化に関する指標を、開発者が少なくとも1つ設定・検知し、介護従事者へ情報共有できる。
  • 認知症の方の見守りプラットフォームとして、機能の拡張又は他の機器・ソフトウェアと接続ができる。

介護施設型

介護施設において使用する、センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた以下の様な特徴を持つ機器およびプラットフォーム。

  • 複数の要介護者を同時に見守ることが可能。
  • 施設内各所にいる複数の介護従事者へ同時に情報共有することが可能。
  • 昼夜問わず使用できる。
  • 要介護者が自発的に助けを求める行動(ボタンを押す、声を出す等)から得る情報だけに依存しない。
  • 要介護者がベッドから離れようとしている状態又は離れたことを検知し、介護従事者へ通報できる。
  • 認知症の方の見守りプラットフォームとして、機能の拡張又は他の機器・ソフトウェアと接続ができる。

これまでの見守り機器との違い

これまでにも、見守り機器は介護現場で一般的に使用されており、下記のような機器が主流でした。

利用者の荷重がかかると(またはなくなると)働くタイプ

  • マットセンサー
  • シートセンサー
  • ベッド柵センサー

利用者がある一定範囲動くと働く

  • クリップセンサー

利用者につけたタグの信号(ID)を受信すると働く

  • タグ(ID)センサー

こうした従来の見守り機器は、見守りロボットと比較して安価で手軽に導入できる反面、以下のような課題がありました。

  • 機器のアラームが鳴ったあとに訪室するため、間に合わない
  • 機器のスイッチを入れ忘れてしまう
  • 同時に複数の通知がきても、緊急度や優先順位の判断ができない
  • 頻繁な訪室が、利用者・介護者ともにストレスになってしまう
  • 事故が起きても、その時の様子が分からないため、実際に何があったのかが分からない

こうした課題を解決すべく、見守りロボットでは、以下のような特徴を持った機器が開発されています。

  • 利用者の動きから離床等を予知し、離床する前に通知する
  • 利用者と介護者を認識して利用者のみに反応する機能、または自動で電源がオンになる機能を持つ
  • 通知の前後の画像や動画を確認できる
  • 訪室する必要がないように、スタッフルームから居室内の様子を確認できる
  • 事故前後の映像履歴を確認できる

一番の違いは、従来の見守り機器が単に利用者の状態を検知・通知するものだったのに対し、見守りロボットは単にアラートの発報で終わらず、利用者の状態を予知したり、アラームの発生時の状況を分析したりできるようになったという点です。

また、見守りと同時に利用者の行動や生活データを蓄積し、そのデータを活用することで、ケアプランの改善や介護の質の向上につなげることもできるようになってきました。

そのため、見守りロボットを利用することは、単に安全を図るだけでなく、

  • 介護者の負担軽減
  • 高齢者の自立支援

等が期待できるのです。

見守りロボットの種類

見守りロボットと一口にいっても、さまざまな種類が開発・販売されており、それぞれにメリット・デメリットがあります。

タイプ別に見ていきましょう。

人感センサー バイタルセンサー シルエットセンサー 荷重センサー
特徴 熱や温度に反応し、離れたところから、利用者の特定の範囲の動き(起き上がり、ベッドからのはみ出し、立ち上がり、離床等)を検知して通知する。 ベッドマット下にセンサーを設置し、ベッド上の利用者の体動・心拍・呼吸を検知。バイタルサインに異常があった場合、通知する。 ベッド上の利用者の動きをセンサで検知し、離床や離床前の危険行動(起き上がり、はみ出し、端座位など)を判断して通知する。離れた場所から、シルエット化された画像や映像が確認できる。 ベッドの脚にセンサーを取付け、それぞれの荷重を検知することで、ベッド上の利用者の位置や状態を判断し、状態によって介護者に通知する。蔵型と外付型がある。
長所 ・利用者の視野に入りにくい
・使用用途が広い
・故障リスクが少ない
・非接触で違和感がない
・バイタルがリアルタイムで見られる
・シルエット画像によりプライバシーが配慮されている
・検知時のシルエット画像を録画しており、振り返りができる
・無線LAN対応簡単に設置、移設できる
・非接触で違和感がない
・体重も分かる
・検知スピードが早い
短所 ・利用者の状態を画像で確認することができない ・利用者の状態を画像で確認することができない
・使用する人を選ぶ
・太陽光が差し込むとうまく動作しないことも
・LAN環境が必要
・介護者が介助しているときもその動きを検知してしまう(スイッチをきって、自動見守り再開機能をつけることができるところもある)
離床
バイタル
看取り
映像
体重
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ネット接続は必須?

多くの見守りロボットは、ネット環境を必要とします。

ネット接続することによって、スマートフォンやPCなどにアラートを通知することが可能になるのはもちろん、カメラやマイクと接続することで、通知される情報量が格段にアップするというメリットもあります。

その他にも、

  • サーバー接続で情報を保存・蓄積できる
  • 端末に情報を集約し、介護記録やスタッフ間の連絡なども一つの端末でできるようになる

などのメリットがあります。

一方で、ネット接続することによるデメリットも知っておく必要があるでしょう。

ネット接続のデメリットとしては、

  • 環境整備コストがかかる
  • ネットに不慣れなスタッフへの教育・研修コストがかかる
  • 情報漏えいの危険性がある
  • ネットワーク障害による通知の遅延等がある

などが考えられます。

とはいえ、ネットワーク環境は、見守りロボット導入のためだけでなく、介護業務のICT化、IoT化による生産性向上にも欠かせず、遅かれ早かれ、設備投資が必要になってくるでしょう。費用対効果を考える際は、長い目で考えることをおすすめします。

どんな効果があるの?

見守りロボットの導入で気になるのは、本当に期待されている効果が得られるのかという点でしょう。

この疑問に応えるべく、厚生労働省は平成29年5月~8月にかけて見守りロボットの効果検証を実施しました。この検証により、見守りロボットには介護職員の負担軽減効果や業務改善効果があることが分かりました。

ナースコールによる訪室回数が6分の1に減少

実証研究では、 非接触の見守りシステム OWLSIGHT(アウルサイト)福祉用やマット式見守りシステム眠りSCANを含む7機種が採用されました。その結果、導入後の訪室回数が減少したという結果がでたのです。

とくにナースコールによる訪室は導入前の6分の1まで減っていることから、介護職員の負担を減らしつつ、必要なときに訪室できていることがわかります。

ヒヤリハット、介護事故が0件に!

ふたつめの効果として、ヒヤリハットや介護事故の減少があげられます。見守りロボット導入から3回調査が行われましたが、回数を重ねる毎にヒヤリハットや介護事故の件数がすくなくなっていき、最終的には0件になっています。

半数以上の介護職員が高評価

介護職員への聞き取り調査では「夜間も安心して見守ることができる」と回答したのが50%、「介護者の心理的負担が軽くなる」と回答したのが42.8%と、過半数が好意的な評価をくだしています(複数回答)。

ただし、「必要以上に見に行くこととなってしまう」と18.8%が回答しており、状況や使い方によっては、導入前よりも訪室を増やしてしまう可能性も示唆されています。

見守りロボットの相場はいくら?

見守りロボットの価格は、センサーの種類や機能によって異なります。また、ネットワーク環境が必要かどうか等でも、初期導入コストは大きく変わります。

一般的には、施設全体にセンサーを設置し、スタッフルームで全居室を一括管理するタイプの見守りロボットが最もコストが高く、入居者に合わせて個別にセンサーを設置するタイプの見守りロボットは比較的低いコストで導入できます。

従来の離床検知マットの相場は3万~10万円程度ですが、見守りロボットはそれよりも機能が充実している分、価格も高く設定されていることがほとんどです。

加算は付くの?

現状では、見守りロボットを導入することで何らかの加算が算定できるということはありません。しかし、平成30年度の介護報酬改定にて、見守りロボットを導入することで、「夜勤職員配置加算」の取得条件が緩和されることが決まりました。

夜勤職員配置加算とは?

夜勤が発生する特別養護老人ホーム(以下、特養)では、介護の質を保証するためおよび介護職員の過負担を防ぐために、夜間に配置する最低人員数が決められています。

介護報酬制度では、この最低基準よりも多く夜間に人員を配置した場合、報酬加算するシステムがあります。これを夜勤職員配置加算と呼びます。

これまでのルールでは、夜間に最低基準よりも1人以上多く職員を置いた場合に報酬が加算されていました。

加算要件に「見守りロボット」が追加

平成30年度の改定にて、加算要件に以下の2つの要件を追加されました。

  1. ベッド上の入所者の動向を検知できる見守りロボットを、入所者数の15%以上に設置している場合
  2. 見守りロボットを安全かつ有効に活かすための委員会を設置し、必要な検討を行っている場合

この両方を満たしている場合に、夜勤職員の数が最低基準を0.9人上回っていれば取得できるようにするとしています。

つまり、見守りロボットが夜勤職員の0.1人分に相当するということです。

これによって夜勤職員の数を減らすことはできなくとも、職員の勤務時間を減らすことはできるので、休憩時間が多くとれるなどのメリットがあると考えられます。

まとめ

見守りロボットは、これまでの見守り機器と異なり、単に離床を通知するだけでなく、センサーから取得した情報を自動で処理・分析することで、これまでにはできなかったさまざまなことができるようになってきています。

例えば、転倒につながる動作や予兆動作を検知することで転倒の予防ができたり、手元の端末で離れた位置でもリアルタイムで状況把握・安全確認ができることで、緊急度・優先順位の判断や複数人での見守りができたりします。

また、蓄積したデータを確認することで、事故の原因を突き止めたり、対応策を立てるのに役立てたりすることもできるのです。

見守りロボットは従来の離床通知マット等の代用品ではなく、高齢者の自立支援、業務効率化、ケアの質の向上にもつながる新しい介護ロボットであることを知っておきましょう。