「看取り介護」とは?具体的な内容や看取り介護の問題点

「看取り介護」とは?具体的な内容や看取り介護の問題点

平成18年に看取り介護加算が実施されてから、「病院以外での看取り」が注目され始めました。

ある調査では、7割の特養がすでに看取り介護を実施していることがわかっています。介護をする人にとって、「看取り介護」は避けては通れない業務になってきているのです。

  • 看取りとは?看取り介護とは?
  • ターミナルケアとは何が違うの?
  • 具体的にどんなことをするの?
  • 看取り介護加算について知りたい!
  • 看取り介護の問題点は?

ここでは、看取り介護をする人に向けて「看取り介護」の基礎知識をまとめます。

看取りとは?

近年、「どんな状態であっても長く生きる」という考え方から、「残された時間を有意義なものにする」「自分らしい最期を過ごす」という考え方にシフトしつつあります。

そこで注目をあびたのが「看取り」および「看取り介護」です。そもそも「看取り」とは何を指しているのでしょうか?

看取りの定義

全国老人福祉施設協議会の「看取り介護実践フォーラム」(平成25年度)では、看取りを下記のように定義しています。

看取り

近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、 人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること

つまり看取り介護とは、要介護状態を改善したり維持したりするための介護ではなく、本人ができるだけストレスなく、自分らしい最期を迎えるための介護だといえるでしょう。

ターミナルケアとは何がちがうの?

看取り介護とならんで使われる言葉に、ターミナルケアがあります。

ターミナルケアは「終末医療」と訳されることからもわかる通り、主に終末期の医療および看護のことを指します。対して看取り介護は、医療行為ではなくおもに終末期における介護・介助のことを指します。

つまり大きな違いは、医療行為なのか否かにあるといえるでしょう。

具体的な看取り介護の内容は?

では、実際の看取り介護はいったいどのようなことをするのでしょうか?介護報酬の「看取り介護加算」は、以下の5つの条件を満たした場合に算定できるとされています。

1

当該施設の看護職員、病院または診療所、指定訪問看護ステーションのいずれかの看護職員との連携で24時間連絡できる体制をとること

2

看取りに関する指針を定め、施設入所の際に、入所者とご家族に看取りに関する定めた指針について内容の説明を行い、同意を得ること

3

医師、看護職員、ケアマネージャー、介護職員などが当該施設においての看取りについての協議を行い、指針について適宜見直すこと

4

看取りに関しての職員研修を行うこと

5

看取りケアは個室または静養室などを利用し、本人、ご家族、周囲の入所者に配慮すること

ここでは、看取り介護加算の算定基準を参考に、看取り介護の内容についてまとめます。

24時間体制での介護、連携

看取り介護は、24時間体制で行われます。夜中であっても医療機関に連絡できるように、あらかじめ体制を整えておく必要があります。

本人・家族への説明と同意

看取り介護は、本人や家族の同意がなければ行なえません。施設での看取り介護はどのようなものかをじゅうぶんに説明し、納得してもらう必要があります。

たとえば、病院との違いや施設において対応可能な医療行為の選択肢、意思確認の方法等についての話し合いを行います。

多職種協働のケアカンファレンス、看取り介護計画見直し

看取りに向けたケアカンファレンスは、医師、看護職員、ケアマネジャー、介護職員などの多職種が協働して開催し、本人が最期をより豊かに過ごせるよう、各職種でできること・すべきことを話し合います。

また看取り介護計画は、週に1回程度の見直しが求められます。

看取りに関する研修を行うこと

看取り介護を行うには、事前に研修をする必要があります。研修は、下記のような内容が想定されます。

  • 生きることの意味
  • 死に逝くことについて
  • 施設における看取り介護の考え方
  • 本人、家族とのコミュニケーション
  • 身体機能低下プロセスと変化への対応
  • 夜間、緊急時の対応 など

引用元: 特別養護老人ホームにおける看取り介護ガイドライン

個室または静養室を利用すること

看取り介護を行うときは、家族が気兼ねなく付き添いできるよう、個室または静養室を利用します。またその際、できるだけストレスなく過ごせるよう、室温や採光、換気などの環境整備にも気を配る必要があります。

看取り介護加算の単位数や対象事業者

看取り介護加算は、特別養護老人ホーム、グループホーム、特定施設入居者生活介護の3つの事業者が算定できます。

対象事業者

特別養護老人ホーム、グループホーム、特定施設入居者生活介護

単位数は3段階に分かれており、実際に看取りまで行うと、1580単位を取得することができます。平成30年度の介護報酬改定では、取得できる単位数が一部増加しました。

死亡日以前4日以上30日以下

1日につき144単位

死亡の前日および前々日

1日につき780単位

死亡日

1日につき1580単位

看取り介護の背景と問題点

「看取り介護加算」の創設や強化によって、看取り介護を実施する介護施設が増えてきています。平成30年度の介護報酬改定でも、看取りやターミナルケアに関係する加算が強化されることになりました。その背景には、「多死社会」と「看取り難民」問題があります。

41万人が”看取り難民”化する「多死社会」

多死社会とは、高齢者の増加により死亡者数が非常に多くなり、人口が少なくなっていく社会形態のこと。具体的には、団塊の世代が平均寿命に到達する2040年、年間死亡数が現在の1.5倍である167万人にのぼると推計されています。

多死社会が到来すると、医療保険の財源の膨張するなどさまざまな問題が発生すると予測されています。

なかでも深刻な問題として、病院の入院ベッドが不足することによる死亡場所の不足があげられます。厚生労働省によると、2040年には約41万人の看取り場所が足りなくなると推計されています。

つまり、このままでは「最期の時を迎えても死ぬ場所がない」”看取り難民”が発生してしまうのです。そうならないためにも、今「看取りの場」の選択肢として、介護事業所による看取り介護が強化されているのです。

8割の介護職員が精神的負担「大きい」

看取り介護を実施する介護施設が増えてきた一方で、看取り介護の問題点も明らかになってきました。

問題点のひとつに、介護職員の負担増があげられます。ある調査では、精神的負担が「大きい」と回答した介護職員が全体の83%にのぼったと報告されており(※)、看取りに不慣れな介護職員や、夜間に不安を感じる介護職員への対応が求められています。

具体的には、夜間帯における看護・介護職員の配置を増強させたり、看取り研修を充実させたりすることが考えられます。

※出典:平成21年度老人保健健康増進等事業「特別養護老人ホームにおける看取り対応に関する調査研究事業報告書」(三菱総合研究所)

看取り介護をサポートするロボット

看取り介護を実施する介護職員のサポートとして、介護ロボットがあります。とくに要介護者の見守りを支援する「見守り支援ロボット」は、夜間帯の介護職員の負担を軽減すると期待されています。

ここでは、介護ロボットONLINE編集部が選んだ、看取り介護にも活躍しそうな介護ロボットを紹介します。

ネオスケア(Neos+Care)|ノーリツプレシジョン株式会社

ネオスケアは、3Dセンサを用いて人の動きを検知し、それをシルエット画像で表示することで、早く正確に、しかもプライバシーに配慮しながら見守りができる予測型見守りシステムです。オプションの生体モニターでは人体のわずかな動きや生体反応がない状態も測定・検知できるため、看取り時の容体の急変にも速やかに対応することができます。

Neos+Care(ネオスケア)

リコーみまもりベッドセンサーシステム|株式会社リコー

利用者様の24時間の生活リズムを把握することで、安心・快適・効率的な介護サービスに貢献します。ベッド上の利用者様の動きを検知・解析し、8種類に分けて状態表示。利用者様毎に通知設定が可能。荷重センサーなので、参考体重も把握できます。センサーの精度が非常に高く、離床や参考体重という粒度から、内臓、体動全体を含めた高い粒度での活動状況も検知するので、看取りの参考としても使いたいという施設にもおすすめです。

リコーみまもりベッドセンサーシステム

まとめ

看取り介護とは、要介護者のストレスや苦痛を緩和することを目的とし、最期までその人らしくいられるための介護のこと。それを実現するためには、本人や家族の同意はもちろん、介護施設として24時間体制の介護・看護や、介護職員の知識・経験が求められます。

そのために介護職員の負担が大きくなっているという問題はあるものの、”看取り難民”をなくすためには今後も介護施設での看取りが推進されていくでしょう。

看取りを実施する介護事業所は、「看取り介護加算」等をうまく取り入れつつ、介護職員の負担や不安を軽減するための対策をたてていく必要があります。

介護職員は、看取り介護はすでに避けては通れない業務であると考え、研修に参加するなどのステップアップが必要だといえるでしょう。

<<参考資料>>

株式会社三菱総合研究所(2007年3月) 平成21年度老人保健健康増進等事業 「特別養護老人ホームにおける看取り介護ガイドライン」および 「特別養護老人ホームにおける看取り対応に関する調査研究事業報告書」

 

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