【介護×ICT】未来をつくるkaigoカフェと介護ロボットONLINE共催イベントレポート!

2018年5月30日、未来をつくるkaigoカフェと介護ロボットONLINE共催のイベントを開催しました。
イベントでは、下記の3社をお呼びし、それぞれ自社商品の紹介や活用事例などについて講演してもらいました。
- 株式会社オトングラス:OTON GLASS(オトングラス)
- トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社:D Free(ディーフリー)
- ケアコラボ株式会社:carecollabo(ケアコラボ)
当日は、「これからのケアの現場に役立つ最新テクノロジーを体験できる!」と銘打って、計7社による展示ブースも用意。
今回は、当日の様子や講演内容について、介護ロボットONLINEがレポートします!
テーマは「介護×ICT」
今回のイベントテーマは、「介護×ICT」。
「介護ロボットに興味があるけど、本当に使えるの?」「触る機会がない介護ロボットを見てみたい!そんな思いを持つ人の、新しい機器や考え方の出会いの場になってほしいという思いから開催が決定しました。
当日は、今話題の介護ロボットを開発・販売する注目企業3社を招き、「介護×ICT」の可能性について語ってもらいました。
株式会社オトングラス|OTON GLASS(オトングラス)
株式会社オトングラス 高橋昌希氏
OTON GLASS(オトングラス)は、文字を読むことが困難な人のために開発された、スマートグラスです。OTON GLASSをかけて、読みたい文字のほうを向き、めがねについているボタンを押すだけで、書かれた文字が音声として読み上げられます。
開発のきっかけは、開発者の父親が、脳梗塞による失読症になったこと。しゃべることは問題なくできますが、文字を読むことができなくなったのだといいます。
そのような人々に、文字を音声に変換して、内容を理解してもらうのが、オトングラスの役割です。実際に高橋氏がオトングラスをかけて資料を目の前に掲げると、資料に書かれている文章がめがねから流れてきました。
読みあげる音声は、iPhoneのSiriやスマートスピーカーのアシスタントのよう
オトングラスは現在、一般販売用のモデルを開発中。2018年中の販売を目指しているとのことです。
トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社|DFree(ディーフリー)
トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 中西敦士氏
DFreeは、世界初の排泄予測デバイスです。幅6cm程度のセンサーを使って膀胱の膨らみを検知し、排尿のタイミングを予測することで、適切な時間にトイレ誘導が行えたり、排泄に不安がある人も安心して外出できたりします。
中西氏によれば、DFreeを導入することで適切なタイミングでのトイレ誘導が可能となり、結果的に高齢者の不安をやわらげ、おむつやパッドの消費量を減らすことも可能なのだとか。独自の調査では、約50%の削減に成功したところもあるそうです。
さらに、自立排泄サポートや空振り回数の減少により、排泄介助にかかる時間が約30%削減したという事例も報告されました。
平成30年度の介護報酬改定でも、新たに「排せつ支援加算」が創設されるなど、排泄支援が注目を集めています。
同社では、2018年6月1日、一般向け排尿予測センサー「DFree Personal」の販売を開始しました。「DFree Personal」は日常生活での個人利用を想定したサービスで、DFree本体とスマホなどの端末をBluetooth通信にて連携するため、外出先でも利用が可能となっています。
ケアコラボ株式会社:carecollabo(ケアコラボ)
ケアコラボ株式会社 上田幸哉氏
carecollabo(ケアコラボ)は、さまざまなサービスの記録を、タイムラインで統合して表示する新しい介護記録システムです。
紙での記録に比べ、情報の分析や活用がしやすいというメリットと、既存のシステムに比べ、「利用者を軸とした記録になっているため、一括して管理できる」というメリットをあわせもつのが大きな特徴です。
ケアコラボを使えば、スマホで撮った写真や動画をタイムラインにそのまま投稿できたり、それを家族とも共有したりできます。
講演では、ケアコラボを使いながら看取りまで行ったある家族の事例を紹介しつつ、「看取りまでの期間だけでなく、看取ったあとも家族を支えるのに役立っている」とアピールしていました。
ケアコラボは、職員1名につき、月額使用料が800円という価格帯も、大きな魅力のひとつです。
これまでの介護記録システムとはちがった視点で開発されたケアコラボに、会場にいる多くの人が興味を惹かれている様子が伺えます。
休憩時間には展示ブースで体験も
盛況を博した展示ブースでの介護ロボット・ICT体験
講演が終わったあとは、休憩時間を利用した展示ブースでの体験がはじまりました。
今回展示されたのは、講演の3社の商品を加えた計7商品。どれも最先端技術を応用した、新しい介護機器です。
<展示商品>
- カイテク株式会社:ウェアラブルIoTを活用した高齢者の自立支援サービス「モフトレ(株式会社Moff
- PLIMES株式会社:人工知能が嚥下を測る嚥下計「GOKURI」
- 株式会社ロジック:訪問介護事業支援クラウドサービス 「Care-wing 介護の翼」
- 株式会社ライブリッジ:介護求人メディア「pitaru」
「Care-wing 介護の翼」は、ICタグを使用して開始時刻と終了時刻を記録し、自動的に情報がシステムに送信される訪問介護事業支援クラウドサービスだ
PLIMES株式会社の「GOKURI」は、首に装着するだけで嚥下を測ってくれる嚥下計。人工知能が正しい嚥下の検出を手助けする
カイテク株式会社が展示するのは、ウェアラブルIoTを活用した高齢者の自立支援サービス「モフトレ(株式会社Moff)。デイサービス関係者などが話を聞き入っていた
株式会社ライブリッジが紹介するのは、介護求人メディア「pitaru」。テキスト・写真・動画など様々な素材を組み合わせて記事化していくことで、想いの詰まった専用ページを簡単につくることができる
ディスカッションではさまざまな意見が
休憩時間をおえ、最後に少人数に分かれたディスカッションが行われました。
今回のイベントに参加していたのは、介護の現場で働く人、介護事業所を経営する人、介護ロボットやICTに興味のある一般の人など、さまざまな職種の人々です。
それぞれの立場から、「介護×ICT」の今とこれからについて話し合います。
発表された意見はその場でまとめて共有された(協力:ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社)
その後の発表では、「上司が積極的な施設もあるけど、部下との認識を合わせることが大切」という現場目線の意見や、「いろんなディバイスが出てきて記録ができるようになってきたが、分散してしまっているのでそれぞれの管理が必要」という現状の課題などがあがりました。
無事終了!
ご参加くださった皆様、ありがとうございました!
大盛況に終わった「介護×ICT」イベント。介護ロボットONLINEが行ったアンケートでは、「介護ロボットを導入したい」という声が多数寄せられました。
ここでは、寄せられた声を抜粋して紹介します。
<コメント抜粋>
- 農業の進化を見れば、医療・介護もテクノロジーの活用が必須だと思います。
- 介護ロボットを導入すれば、人が本来やるべきことに専念できる。
- 「人」でなくてもいい仕事は、いっぱいあります。
未来をつくるkaigoカフェ代表の高瀬氏は、最後の挨拶でこう話していました。
「けっきょく、介護ロボットも使う人次第。自分がじっさいに活用して、どういう未来を描きたいのかを明確にした上で、うまく付き合っていけたらいと思います」。
介護ロボットONLINEでは、これからも介護ロボットに関する新しい情報を発信し、みなさんとよりよい介護の未来を模索していきます!
<会場提供> ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社 (https://www.ctp.co.jp/) |
<講演協力> ケアコラボ株式会社 上田幸哉氏(http://page.carecollabo.jp/) |
■未来をつくるkaigoカフェURL:http://www.kaigocafe.com NPO法人未来をつくるkaigoカフェ(代表:高瀬 比左子)は、介護に関する身近なテーマをもとに肩書や役職を気にせず自由に思いを語ることで、自分自身の見落としていた可能性や自分自身の中に眠るものを呼び覚まし、一歩踏み出すきっかけを作れる場を提供する活動をおこなっています。 |