実はメリットがいっぱい!神奈川県の「さがみロボット産業特区」とは?

実はメリットがいっぱい!神奈川県の「さがみロボット産業特区」とは?

全国でも1・2を争うスピードで高齢化が進んでいる神奈川県。そんな神奈川県では、深刻化する超高齢社会にむけて、3つの「特区」を設けて独自の取り組みを行っています。

「特区」とは、規制緩和などの特例措置が適用される特別なエリアのこと。今回は、そのうちのひとつである「さがみロボット産業特区」をご紹介します。

さがみロボット産業特区とは?

さがみロボット産業特区地図

画像提供:さがみロボット産業特区特設HP

さがみロボット産業特区は、生活支援ロボットの研究開発や、実用化・普及を推進しているエリアです。生活支援ロボットとは、介護・医療、高齢者等への生活支援、災害対応など、人々の生活を支えるロボットをさします。一般的に想像するような二足歩行ロボットだけでなく、ロボット関連技術を使った製品や機器、たとえば、高齢者の見守りセンサーやドローンのようなものも含まれます。

そうした生活支援ロボットの実用化を通じて、地域の安全・安心を実現することが目標として掲げられています。そのために、特区ではおもに4つの支援を行っています。

1.規制緩和

ロボットの実用化に向けて必要となる規制緩和について国との協議を行い、実証実験や実用化を支援しています。たとえば、通常であれば市町村等からしか受け付けていない介護保険適用の提案も、この特区から行うことが可能です。

2.開発支援

企業や大学等の各機関がもつ技術・資源を最適に組み合わせる「神奈川版オープンイノベーション」によって、共同研究開発を促進します。

その他、「重点プロジェクト」の実用化に向けて、アドバイザー支援や広報支援、国の補助金等の獲得に向けた支援等も行っています。

3.実証実験

生活支援ロボットの実証場所やモニターのコーディネートを行っており「重点プロジェクト」や「公募型ロボット実証実験支援事業」では、実証実施にかかる一部経費を補助しています。

「公募型ロボット実証実験支援事業」では、毎年度全国から公募を行っています(※ 平成29年度の募集は終了)。

また、本格的な実証実験の前に、あらかじめ動作確認等を行うことができる「プレ実証フィールド」を用意しています。

4.立地支援

特区制度を活用して新たに事業展開をはかる企業にたいして設備費など投資額の一部を補助したり、低い利率で融資を受けられる制度があります。

具体的には、「企業誘致促進補助金」では、県外からの立地の場合、投資額の10%・上限額10億円が、「企業誘致促進賃料補助金」では賃料月額の2分の1・上限900万円が補助されます。

さがみロボット産業特区で商品化した介護ロボット

さがみロボット産業特区の支援によって、これまでに数々のロボットが商品化されてきました。その中でも、今回は介護ロボットに絞って紹介していきます。

パワーアシストハンド|株式会社エルエーピー

パワーアシストハンド

画像提供:さがみロボット産業特区特設HP 

「パワーアシストハンド」は、脳血管疾患などにより麻痺した手指や固まりかけている関節の曲げ伸ばしをサポートするロボットです。専用グローブのなかに手を入れることで、空気圧を利用したシステムで手指の曲げ伸ばしをサポートしてくれます。

特区では、実証実験や発売に当たっての検査や手続きに関するアドバイス等の支援を行いました。

ReWalk(リウォーク)|株式会社安川電機

ReWalk(リウォーク)

画像提供:さがみロボット産業特区特設HP 

ReWalk(リウォーク)は、脊髄損傷により起立できなくなってしまった方向けの歩行アシスト装置です。腕時計型のコミュニケータと補助杖と一緒に使用します。センサーが身体の傾きなどを検知し、それに合わせて歩行をアシストしてくれます。

特区では、神奈川リハビリテーション病院における実証実験を支援しました。

OWLSIGHT(アウルサイト)|株式会社イデアクエスト

OWLSIGHT(アウルサイト)

画像提供:さがみロボット産業特区特設HP 

OWLSIGHT(アウルサイト)は、非接触・無拘束の見守りシステムです。ベッドのそばに取りつけることで、ベッドの上にいる人の立ちあがりやもたれかかりなどを検知するほか、もだえやふるえのような小さな動きも検知してくれます。

特区では、2ヶ所の介護施設で一定期間使用してもらい、そこで出た意見を改良に反映させ、商品化を実現しました。

ベッドサイド水洗トイレ|TOTO株式会社

ベッドサイド水洗トイレ

画像提供:さがみロボット産業特区特設HP 

ベッドサイド水洗トイレは、ベッドのそばに設置できるポータブル水洗トイレです。水洗機能により従来のポータブルトイレのメリットをそのままに、ポータブルトイレでは気になりがちなニオイや処理の負担が軽減されています。

特区では、介護施設において排泄に関する実態調査を実施するとともに、高齢者宅においても実際に一定期間使ってもらう実証実験を支援しました。

さがみロボット産業特区だからできること

さがみロボット産業特区の取り組みは、ロボットメーカーの開発支援だけではありません。ロボットの実用化・普及によって、県民や介護施設の課題解決をめざしたさまざまな取り組みも行っています。ここでは、県民や介護施設が利用できる取り組みをまとめました。

1.ロボット体験施設で、介護ロボット等が体験できる

ロボット体験施設とは、住宅展示場内のモデルハウスで、実際の暮らしに近い環境でロボットを体験できるロボットのショールームのことです。現在は、厚木会場・茅ヶ崎会場にてロボットが展示されています。展示されているロボットは以下のとおりです。

  • うなずきかぼちゃん
  • いまイルモ
  • パルロ 
  • ハロー!ズーマー
  • パワーアシストハンド

など

ロボット体験施設のほかに、ロボット体験認定ルームもあります。こちらは、企業のショールームやすでにロボットを活用している福祉施設で、もっているロボットを一般公開している施設をさします。施設によって公開しているロボットが異なるので、事前に確認するとよいでしょう。 

→参考:ロボット体験認定ルーム 一覧

2.ロボット体験キャラバンで、介護ロボットの説明が聞ける

ロボット体験キャラバンとは、 介護施設等の実際の現場まで生活支援ロボットを持ってきてもらい、説明を聞いたり体験できたりする出張型の説明会および体験会のことです。

今年度からは、介護施設や医療機関に加え、地域のコミュニティなども訪問先に加わりました。 ロボット一覧 の中から事前に6種類から8種類のロボットを選び、当日に持ってきてもらいます。 

訪問先対象

■県内の介護・障がい者(児)施設、医療機関、地域のコミュニティ、福祉イベント、学校など
※応募者多数の場合は先着順

訪問先での流れ

■訪問時間…2~3時間程度

■内容…ロボットの機能・使い方などの説明、ロボットの体験(適宜、質疑応答)、アンケートの記入

3.生活支援ロボットのモニター制度で、一定期間ロボットが試せる

生活支援ロボットのモニター制度とは、購入やリースをする前に一定期間ロボットを試せる制度です。神奈川県内の介護施設や医療機関等が対象ですが、ロボットによっては、県内在住の個人の方も申し込み可能です。

モニター期間は1ヶ月で、試用後は簡単なアンケートに回答する必要があります。 現在は12のロボットから選ぶことができます(※1)。

※1 ロボット一覧にて「モニター対象」と記載のあるもの

募集期間

■平成29年4月14日(金曜日)から平成30年1月19日(金曜日)まで

モニター募集対象

■神奈川県内の介護・障がい者(児)施設・医療機関・学校など
※ロボットによっては、県内在住の個人の方も申し込み可能

4.ロボット導入支援補助金で、最大200万円の補助が受けられる

さがみロボット産業特区で商品化したロボットを導入する施設等向けに、最大で200万円の「ロボット導入支援補助」制度があります。こちらはロボットが社会の中で活用されていることを多くの方に知ってもらうため、 原則として神奈川県内の法人による購入が補助対象となりますが、一部のロボットは個人も対象になります。

募集期間

■平成29年4月14日(金曜日)から平成30年1月31日(水曜日)まで
※予算の上限に達した場合には、期限前でも受付終了

補助金額

■ロボット1台ごとに、購入価格(本体価格+対象付属品等の価格)に3分の1を乗じた額か、200万円のいずれか低い方の額を補助

まとめ

介護ロボットをはじめとする生活支援ロボットの実用化・普及を全国に先駆けて行う「さがみロボット産業地区」。実は開発メーカーだけでなく、介護施設や介護ロボットの購入(レンタル)を考えている施設等にとってもたくさんのメリットがある取り組みなのです。

介護ロボットの導入で介護報酬が加算される可能性が高まってきた今、こうした支援制度を活用することで介護ロボットの活用がより身近なものに感じられるでしょう

介護ロボットONLINEでは、独自の取り組みを行う自治体を今後も特集していきます。

<参考資料>
さがみロボット産業特区特設HP