介護スタッフも知っておきたい!育児・介護休業法とは?

介護スタッフも知っておきたい!育児・介護休業法とは?

持続的で質の高い介護を実現するためには、介護家族の突発的な介護離職を防ぐことが非常に大切です。悩みやとまどいを抱く介護家族に向けて、介護のプロとして「育児・介護休業法」について説明できるようにしておきましょう。

ここでは、介護家族の介護離職をふせぐ「育児・介護休業法」の情報を分かりやすく解説するとともに、介護スタッフが初めての介護にとまどう介護家族のためにできるアドバイスをまとめていきます。 

介護スタッフが、利用者の家族にできること

初めて家族の介護に直面することになった方にとって、介護スタッフは非常に頼りがいのある存在です。介護スタッフにとっても、利用者の介護だけでなくその家族をフォローも同時に行うことで、さまざまなメリットが得られます。

介護家族との信頼関係ができる

介護初心者の介護家族は、「何が分からないのかが分からない」という状態にあります。そんな家族に向けて「育児・介護休業法」の紹介をはじめとしたアドバイスやフォローをすることで、「頼りになる!」という安心感や信頼感をもってもらうことができます。

質の高い介護が実現する

質の高い介護は、多くの関係者の協力関係があって成り立つもの。介護家族が不安や悩みを一人で抱え込んでしまうと、介護の共倒れになってしまいかねません。

介護スタッフが気持ちよく介護をするためにも、介護家族のフォローは不可欠です。

介護離職問題に貢献できる

介護離職とは、家族の介護を理由に仕事を辞めてしまう問題です。介護離職をしてしまうと、精神的、身体的、経済的負担が一挙に押し寄せることになります。

もちろん、熟考した上での介護離職は悪いことではありません。しかしパニックのまま介護離職をしてしまうと、あとで後悔することになりかねないのです。

ゆとりある介護をするためには、介護離職をさせない工夫が非常に重要です。

介護休業とは

介護休業とは

介護休業とは、要介護状態になった家族の介護やその他の世話のために、一定期間以上の休業を取得できる制度です。

2週間以上にわたって介護が必要な要介護状態の家族を介護するために、通算93日間の休業期間を3回に分けて取得できます。

誰が取れる?

  • 1年以上、同じ会社で働いている人
  • 介護休業取得から半年後も同じ会社で働く予定のある人

※上記を満たしていれば、パート・アルバイトの方でも取得できます。

対象となる家族は?

父母(配偶者の父母もふくむ)、配偶者(事実婚もふくむ)、子、祖父母、兄弟姉妹、孫

POINTはここ!

介護スタッフとして、介護家族にアドバイスするPOINTは以下の3つです。

(1)3回にわけて取得できる

介護休業は、通算93日間まで取得できます。この93日間は、最大3回に分割することができます。例えば、介護の準備期間である退院後に1ヶ月(31日間)、特養への入所が必要になったときに1ヶ月(31日間)、看取りの時期に1ヶ月(31日間)、合計で93日間というように、段階に合わせて取得することができるのです。

(2)申し出は2週間前に

介護休業を取得するには、休業開始の2週間前に申し出る必要があります。申出には「介護休業申出書」を会社に提出します。会社によっては、家族が要介護状態にあることを証明する書類が必要な場合もあります。

(3)休業しても、賃金の67%が支給される

雇用保険の介護給付金制度を使えば、休業中でも賃金の67%が支給されます。支給されるのは、介護休業が終了してからとなります。休業することで経済的な不安を感じている介護家族にとっては、非常に心強い制度です。

介護休暇とは

介護休暇とは

要介護状態にある家族の介護やその他の世話を行うために1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)までの休暇の取得が可能です。

誰が取れる?

  • 6ヶ月以上、同じ会社で働いている人
  • 1週間の内、2日以上働いている人

※上記を満たしていれば、パート・アルバイトの方でも取得できます。

対象となる家族は?  

父母(配偶者の父母もふくむ)、配偶者(事実婚もふくむ)、子、祖父母、兄弟姉妹、孫

POINTはここ!

介護スタッフとして、介護家族にアドバイスするPOINTは以下の2つです。

(1)事前の申出は不要

介護休暇は、介護休業と違って事前の申出が必要ありません。「どうしても今すぐ休まなくてはいけなくなってしまった!」というときでも、その場で電話して休暇が取れます。ただし会社によっては、後日書類の提出を求める場合があります。

(2)取得単位は「半日」から

介護休暇は、半日からの取得が可能です。そのため、午前に介護関連の用事を済ませて午後から出社するという使い方もできます。よりフレキシブルな休み方、働き方ができるだけでなく、数少ない休暇を最大限有効活用することができます。

 介護家族にすべきアドバイスとは?

介護休業・介護休暇に共通して言えることは、取得する休暇は家族を介護するための休暇ではないという点です。ここは強調して説明する必要があります。

「育児・介護休業法」による休業・休暇は、あくまで「介護の環境を整備するための期間」です。そこの理解がないと、せっかく休暇をとったのに介護に忙殺され、結局休暇期間が終わるまでに利用サービスや入所先が決まらず、介護離職してしまうということになりかねません。

もっとも介護初心者の方にとっては、「休みをとったは良いけど、休みの間に一体何をすべきなの?」という疑問が依然として残るでしょう。

そうした悩みを抱えるご家族のために、介護のスタート段階にすべきことをまとめました。ぜひ、介護家族のフォローにお役立てください。

 “介護休業中にすること”リスト

「介護の環境を整備する」といっても、内容は多岐にわたります。

家族の要介護認定をとったり、ケアマネジャーと面談したり、入所する施設を探したり、介護サービスを受ける場所を見学したり…。もちろん、その間に要介護者を介護しなければいけないこともあります。

限られた休業期間で効率よく環境整備をするには、「何をすべきか」を明確にする必要があります。「何が分からないのか分からない」状態の介護家族に、最低限でも下記のようなアドバイスができると良いでしょう。

1.介護保険、介護サービスの概要を知る

これまでまったく介護に関わることがなかった人にとって、介護保険や介護サービスは未知の世界です。どのような仕組みなのか、どのような種類があるのかなどは、今後長く介護していくにあたって知っておいて損はありません。

懇切丁寧に教える必要はありませんが、介護保険や介護サービスについて分かりやすく解説されている冊子を渡したり、ウェブサイトを紹介したりすると、介護家族としてはとても助かります。

2.地域包括支援センターに行く

もし、介護家族がまだ地域包括支援センターに行っていなかったら、ぜひ行くように勧めましょう。ただし、その際は下記の点も一緒に伝えましょう。

  • サービス利用者(要介護者)の居住区の地域包括支援センターに行く必要がある。
  • ほとんどの地域包括支援センターは平日の17時まで。
  • 「介護保険証の番号」「かかりつけの主治医氏名、医療機関名、所在地、電話番号」「個人番号」を控えて持っていく。スムーズなやり取りのために、こうしたちょっとした一言を付け加えてあがると親切です。

3.介護関係者と、介護の役割分担を決めておく

介護は、一人でできるものではありません。主介護者がいたとしても、主介護者を支える多くの人が必要です。とくに在宅介護をする場合は、家族間での介護の役割分担をあらかじめ決めておくことが大切です。

4.介護機器を上手に取り入れる

ときには介護機器を上手く介護に取り入れることも大切です。最近では、ロボット技術を活用した在宅向け介護機器が販売されるようになり、見守りやコミュニケーションに役立てられています。

コミュニケーションロボットとしては「なでなでねこちゃん」「こんにちは赤ちゃん」

があり、要介護者にいやしや生きがいを提供するのに役立っています。

介護の環境整備にかかる期間は約3ヶ月

一般的に、介護に適した環境整備には約3ヶ月ほどかかると言われています。その3ヶ月の間に、介護家族はさまざまな準備をする必要があります。

ただでさえ大変な介護の第一歩の時期に、何度も会社を休んだり早退したりすることに遠慮や気兼ねを感じてしまうと、さらなるストレスを抱え込むことになります。そうしたストレスが介護離職につながれば、結果的に要介護者や介護スタッフにとってもマイナスの影響を与えかねません。

もっとも助けを必要としている時期に「育児・介護休業法」を始めとする的確な情報提供やアドバイスをすることで、介護家族の介護離職を防ぎ、要介護者・介護スタッフにとってもより良い介護を導くことができます。

<参考資料>
厚生労働省「育児・介護休業法について」(2017年11月20日,http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
厚生労働省「【平成29年10月1日施行対応】育児・介護休業法のあらまし」(2017年11月20日,http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/34.html
和氣美枝(2016)『介護離職しない、させない』毎日新聞出版

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