「介護ロボットが介護職員人材不足を解決?」それって本当か考えてみた!

「介護ロボットが介護職員人材不足を解決?」それって本当か考えてみた!

年々注目度が高まる介護ロボット。しかし、実際に介護の現場で働く人や介護に携わっている人からは、懐疑的な声も上がっています。

 

 

こうした声が上がっている一方で、政府は介護ロボットの開発や普及に多額の予算を充てています。

厚生労働省は、介護ロボットの導入費用を補助する「介護ロボット等導入支援特別事業」に、約52億円の予算を投入しました。

経済産業省は、介護ロボットの開発費用を最大1億円まで補助する「ロボット介護機器開発・導入促進事業」を5年間実施しています。

介護の人材不足問題

介護ロボット開発・普及の背景には、2025年にピークを迎える介護の人材不足問題があります。介護の人材不足は問題とは、2025年に約37.7万人もの介護職員が不足すると推測されている問題です。
グラフ:これだけの介護職が不足するのには、さまざま要因があります。大きな要因のひとつは、要介護者が増加していくにも関わらず、介護職を担う現役世代が減少してしまうことです。

そのため、介護の現場では今後ますます効率的な介護が求められていくと考えられます。

求められるのは“効率的な介護”?

政府は、自立支援と介護負担軽減が“効率的な介護”につながると考えているようです。

経済産業省の「ロボット介護機器開発・導入促進事業」では、開発の対象となる介護ロボットの説明として、以下の2点を挙げています。

  1. 要介護者の自立促進
  2. 介護従事者の負担軽減

両者を実現する介護ロボットを導入することで、結果的に効率的な介護が可能となると考えているといえます。

介護ロボット開発の実態

実際には、主に(2)介護従事者の負担軽減を目的とした介護ロボットが優先的に開発されています。「ロボット介護機器開発・導入促進事業」によって、これまでに多くの介護ロボットが開発されてきました。中にはすでに市販されているものもあります。

ロボット介護機器開発・導入促進事業 製品化一覧をみると、開発済のロボットの多くが「介護従事者の負担軽減」を目的としたものであることに気づきます。例えば、装着型の移乗支援ロボスーツや介護施設の見守り支援ロボットなどがそれに当たります。

介護ロボットは誰のため?

開発事業の成果を見ても、介護ロボットは介護従事者の負担を軽減するためのものという考え方が読み取れます。しかし、2017年9月末に行われた「ロボット介護機器開発・導入促進事業 成果報告会」にて、そうした考え方に一石が投じられました。

介護ロボット=介護従事者の負担軽減のため、という定義に疑問を呈し、「介護ロボットはあくまで介護者のためにある」と主張されたのです。

さらに、介護ロボットの位置づけや活用目的についても説明されました。

介護ロボットの定義 介護に用いるロボットの総称
介護における位置づけ  活用目的
活用目的  被介護者への影響を重視(介護従事者の作業の代行ではない)

介護ロボットは効率化のための単なる「介護従事者の代わり」ではなく、よりよい介護のために使われるべき物的介護手段であると強調されています。

つづけて、よりよい介護のためには、介護ロボットが業務負担軽減につながらないばかりか、従来以上の負担を強いる場合もあるという指摘がされました。

介護ロボットは人材不足を本当に解決できるのか?

もう一度、「介護ロボットは人材不足の役に立つのか」という問いについて考えてみましょう。

人材不足の解決には、人手を補充すると同時に、介護業務を効率化する必要があります。

介護ロボットは当初、介護負担を軽減することで効率化に役立つと考えられていました。しかし現場へのヒアリングや実証試験を通して、介護ロボットは介護負担軽減だけでなく、よりよい介護にも役立つ可能性があると分かってきたのです。

それと同時に、介護ロボットが必ずしも負担軽減につながるわけではなく、今まで以上の負担を強いる場合もあると分かってきました。

つまり、介護ロボットによっては、人材不足解決に貢献することもあれば、そうでないこともある、というのがとりあえずの回答となりそうです。