介護ロボット、約7割が「導入していない」――導入阻む原因1位は「価格」|ウェルクスが「介護ロボット」に関する調査を実施

介護ロボット、約7割が「導入していない」――導入阻む原因1位は「価格」|ウェルクスが「介護ロボット」に関する調査を実施

株式会社ウェルクス(本社:東京都台東区上野)は、介護ロボットに関する実態の把握を目的に全国の介護福祉施設経営者35人を対象としたアンケート調査を2017年6月に実施しました。

2025年問題を控え、介護の人手不足や超高齢社会に対するひとつの解決策として注目を集める「介護ロボット」。2016年には介護ロボット購入の助成金に予算52億円が充てられただけでなく、来たる平成30年度の介護報酬改定では、介護ロボットの導入に対する報酬加算話題になっています。

鉄腕アトムのような二足歩行のロボットだけでなく、ロボットスーツのような装着型の介護ロボットやぬいぐるみを模したコミュニケーション型ロボットなど、より実用的な介護ロボットが次々発売されていますが、介護現場での実態はあまり知られていません。

介護ロボットONLINE編集部では、介護福祉施設経営者向けに、介護ロボットの利用状況と意向についてアンケートを行いました。

7割の施設が「介護ロボットを導入していない」

(1)現在、介護ロボットを導入していますか?

介護の現場でロボットを導入しているか聞いたところ、「導入している」と答えた人が28.6%(10名)、「導入していない」が71.4%(25名)となりました。

現在、介護ロボットを導入していますか?
導入済みと答えた施設は特別養護老人ホームや介護老人保健施設が多く、ショートステイなどではあまり使われていないことがうかがえます。

「介護ロボットを導入している」と回答した人

まずは、「介護ロボットを導入している」と回答した人の詳細をチェックしていきます。

半数が「見守り支援型」を利用

(2)どのようなタイプの介護ロボットですか?
導入している介護ロボットの種類
導入している介護ロボットの種類を聞いたところ、見守り支援ロボットが50%(5カウント)ともっとも多く、次いで装着型の移乗支援ロボットが30%(3カウント)となりました(複数回答)。

<見守りロボットを見る>

<移乗介助ロボットを見る>

6割が「毎日」介護ロボットを利用

(3)どのくらいの頻度で使っていますか?

利用頻度は、「毎日使っている」と答えた人が60%(6名)ともっとも多く、次いで「現在は使っていない」が20%(2名)となりました。
介護ロボットの利用頻度
「毎日」と回答した人が使っている介護ロボットは「見守り支援型」が多く、「現在は使っていない」と回答した人は「装着型移乗支援型」ロボットを導入していたことが分かっています。

二極化した理由として、センサーなどで必然的に常時稼働しておく見守り支援型ロボットは利用頻度が高く、逆に必要に応じて自ら装着する移乗支援型ロボットは、導入したものの利用されなくなっていくというケースがあることが考えられます。

8割が介護ロボットに肯定的

(4)使ってみてもっとも良かった点を教えてください。

介護ロボットを導入したメリットとして、「介護職員の心的、身体的負担が軽減した」を挙げた人が62.5%(6名)、「施設利用者の心的、身体的負担が軽減した」と「業務効率化につながった」を挙げた人がそれぞれ12.5%となりました。全体の約8割が、介護ロボットによる負担軽減、業務効率化を実感し、肯定的に受け入れていることが分かります。
介護ロボット導入後のメリット
一方、「装着に時間がかかり、かえって負担が増えた」と答えた人が12.5%(1名)となり、装着型の介護ロボットに対する不満がうかがえます。

利用経験者の継続利用意向は高い

(5)今後も介護ロボットを使いたいと思いますか?

今後も介護ロボットを使いたいと思いますか?

介護ロボットの継続利用意向を聞いたところ、「今後も使いたい」と答えた人が80%(8名)、「もう利用したくない」が20%(2名)となりました。

「今後も使いたい」と答えた人は、その理由として「介護人材の人手不足対応及び身体的負担軽減の促進」や「人手不足で見守りがあると助かる」などを挙げています。

また、「看護・介護職員の慢性的な不足に対応でき、利用者の変化にスムーズに動ける」「職員の安心感つながれば、それは利用者の安心感にもつながっていきます」という回答からもうかがえる通り、業務の効率化がひいては要介護者の負担軽減、安心感につながるという観点から、介護ロボットに期待を寄せていることも分かります。

コメントの一部を紹介いたします。

  • モノに変えられるものは変えて、人でしか出来ない事を人がやっていくようにしたい。(介護老人保健施設/30代・男性)
  • 業務効率と職員の心身負担の軽減何よりケアの統一に必要なためです。(特別養護老人ホーム/40代・男性)
  • 看護・介護職員の慢性的な不足に対応でき、利用者の変化にスムーズに動ける。(介護老人保健施設/50代・男性)
  • 作業の効率化や省力化につながるのであれば、今後も使っていきたい。(特別養護老人ホーム/40代・男性)
  • 職員の安心感つながれば、それは利用者の安心感にもつながっていきます。(ショートステイ/40代・男性)
  • 使用する側も開発側も試行錯誤を繰り返しながら実効的な物ができてくると思う。(特別養護老人ホーム/40代・男性)

一方、「もう利用したくない」と回答した理由としては、「不必要な労力を必要とする時がある」「装着に時間がかかる。使いづらい」などが挙がりました。ここでも、装着型ロボットへの不満が見られます。

(6)その他、介護ロボットを使用した感想を自由に記述してください。

コメントの一部を紹介いたします。

  • ターミナルとして活用していて巡回しなく済むのが業務改善に繋がっている。(特別養護老人ホーム/40代・男性)
  • 補助金の無駄使い。もっと別なことにお金を使うべき。(特別養護老人ホーム/50代・男性)
  • 使用の定着までに職員理解に時間がかかる点が難点でした。(特別養護老人ホーム/40代・男性)
  • 業務の効率化及び利用者の安全確保に効果的。(介護老人保健施設/50代・男性)
  • 介護ロボットの特性を掴みながら、実際の介護をするのは難しかった(30時間以上装着したが慣れない)。縦の動き(中腰での体位交換、おむつ交換)には有効だと思うが、横(水平)の動き(旋回、移乗介助)には効果がうすいように思う。(特別養護老人ホーム/40代・男性)

「介護ロボットを導入していない」と回答した人

ここからは、「介護ロボットを導入していない」と答えた人の回答をチェックしていきます。

「介護ロボット導入していない」、最大の理由は「価格」

(7)介護ロボットを導入していない理由を教えてください。

介護ロボットを導入しない理由
介護ロボットを導入していない理由として、54%(14名)の人が「価格が高いから」と回答しています。次いで多かったのが「機器の扱いが難しそうであるから」「人で十分対応できると思うから」「補助制度などが煩雑だから」で、それぞれ8%(2名)という結果になりました。

また、「費用対効果が明確でないため」「使える機器がないから」「現状の機器では顕著な有用性・効率性は認められないから」と答えた人もおり、介護ロボットが現場のニーズに合っていないという考えがうかがえます。

「今後も導入予定なし」6割超え|介護ロボットの評価が二極化する理由

(8)今後、介護ロボットを導入する予定はありますか
介護ロボットを導入する予定はありますか?
今後の利用意向を聞いたところ、63%(17名)が「今後も導入する予定はない」と回答しています。その理由として、「価格が高いから」「予算、メンテコスト、導入教育費、時間の全てが不足している」「人的労力が相当必要なため」等を挙げており、ここでも導入コストや運用コストが問題視されていることが分かります。

「今後導入する予定がある」と答えた37%(10名)の人は、その理由として「利用者処遇と介護職員の専門性の向上に資すると思われるため」「介護職員負担軽減のため」「介護従事者の健康維持の一助となる」等を挙げており、介護従事者・要介護者双方のメリットとなる介護ロボットに期待を寄せていることがうかがえます。

コメントの一部を紹介いたします。

「今後も導入する予定はない」と回答した人の理由

  • 価格が高いから。(デイサービス/40代・男性)
  • 費用対効果が明確ではない。(介護老人保健施設/50代・男性)
  • 装着型のロボットを検討したことがあるが、着用感等の疑問があるから。(特別養護老人ホーム/40代・男性)
  • 導入は試みたいが、その過程における必要人員を割けられない。(特別養護老人ホーム/40代・男性)
  • 予算、メンテコスト、導入教育費、時間の全てが不足している。(グループホーム/50代・男性)
  • 人的労力が相当必要なため。(介護老人保健施設/60代・男性)
  • 養護老人ホームで、入所者は比較的元気な高齢者なので。(養護老人ホーム/60代・男性)

「今後導入する予定がある」と回答した人の理由

  • 利用者処遇と介護職員の専門性の向上に資すると思われるため。(特別養護老人ホーム/40代・男性)
  • 人材活用のため。(介護老人保健施設/30代・男性)
  • 介護職員負担軽減のため。(特別養護老人ホーム/40代・男性)
  • 介護職の人材不足の中で、腰痛対策などが必要であり、その一環として導入を考えている。(特別養護老人ホーム/50代・男性)
  • 補助金制度を利用できた場合のみ導入する。(介護老人保健施設/40代・男性)
  • 介護従事者の健康維持の一助となる。(サービス付き高齢者向け住宅/60代・男性)
  • 職員定着の一助にはなる。ただし十分な実用性の検証が必要である。(特別養護老人ホーム/60代・男性)

注目を集めるのは「見守り支援型」

導入したい介護ロボットまた、「今後導入する予定がある」と答えた人に導入したい介護ロボットの種類を聞いたところ、「見守り支援型」と答えた人が61.5%(8名)ともっとも多く、ついで「非装着型の移乗支援」が46.2%(6名)、「入浴支援型」が30.8%(4名)という結果になりました。

<見守りロボットを見る>



(9)介護ロボットにたいする意見を自由に記述してください。

コメントの一部を紹介いたします。

  • 介護職員の慢性的な不足に対し、「労働力の補てん」という観点から非常に興味を持っている。(介護老人保健施設/40代・男性)
  • 介護ロボットの種類や機能がもっと知れるような機会があればいいかなと思います。(小規模多機能居宅介護/50代・男性)
  • 大変便利なものもあれば、全く役立ちそうもないものがひとくくりにされており、その費用対効果が全く考えられていない。イメージ先行であるため、いったんブームは下火になると思われる。費用対効果が明確で、革新的なものが生まれるにはあと5・6年はかかるのではないか。(介護老人保健施設/50代・男性)
  • ロボットに無駄なお金を使うなら、介護にコルセット買ってあげた方が実用的。(特別養護老人ホーム/50代・男性)
  • まだ価格が高く、使い勝手についてももう少し簡単に扱えるようにしてほしい。(特別養護老人ホーム/50代・男性)
  • 導入に必要なコストや手間がかかりすぎている。(グループホーム/50代・男性)
  • 介護ロボットは開発途上で実用化には今一歩と思う。(特別養護老人ホーム/60代・男性)

まとめ

今回の調査では、導入済み施設は全体の約3割にとどまっており、介護ロボットが介護の現場に根付ききっていない現状が明らかになりました。

普及を阻むもっとも大きな要因は、介護ロボット自体の価格、そして導入・定着までの物的、人的コストが挙げられます。運用後の費用対効果や実用性を疑問視する声も多く、とくに装着型の介護ロボットは、導入後に使われなくなっている現実も浮かび上がってきました。

とはいえ、導入済み施設の継続利用意向が高いことから分かる通り、実際に介護従事者や要介護者の負担軽減に貢献している介護ロボットは確かに存在し、現在導入していない施設の4割弱がそのような介護ロボットに期待を寄せていることがうかがえます。

価格や実用性、費用対効果など、さまざまな課題をはらんでいる「介護ロボット」。普及は今後進むのか、介護ロボットONLINE編集部では引き続きその動きに注目していきます。

「介護ロボット」について、また、このアンケートの結果や内容についてのご意見やご感想は、公式Twitter(@kaigo_robot)またはFacebookまでお寄せください。

なお、本コンテンツの文章およびグラフの引用・転載を希望される方は、介護ロボットONLINE問い合わせフォームよりご連絡ください。

<<アンケート調査概要>>

  • 調査期間:2017年6月15日(木)~7月20日(木)
  • 調査対象:介護職の人材紹介サービス【介護のお仕事】 に登録している介護福祉事業所関係者20代~60代の男女35名
  • 男女割合:男性/91.4%・女性/8.6%

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