巡視・記録時間118分短縮も実現|みまもり安心サービス

巡視・記録時間118分短縮も実現|みまもり安心サービス

パナソニックが展開する「みまもり安心サービス」。オプションでエアコンの遠隔操作もできる見守りサービスです。

グループでサービス付き高齢者向け住宅などの介護施設も運営する同社が、現場に寄り添って開発を進めたこのサービスについて、担当の石川様に詳しく話を伺いました。

パナソニック株式会社ビジネスイノベーション本部事業開発センターの石川様

パナソニック株式会社 ビジネスイノベーション本部 事業開発センター 石川様に話を伺った

みまもり安心サービスとは

ーーーみまもり安心サービスとはどのようなサービスですか?

パナソニックのみまもり安心サービス

「みまもり安心サービス」とは、非接触の高精度ルームセンサーと高精度のAI技術を使った、高齢者施設向けの見守りサービスです。

ルームセンサーが入居者様の体動などを検知し、それらのデータをクラウド上でAIが解析することで、入居者様の活動状況や睡眠状態をモニターに表示したり、設定に応じてナースコールに通知したりします。

さらにオプションで、居室内の温湿度を確認したり、必要に応じて遠隔で温湿度調整をしたりすることも可能です。

安否確認

みまもり安心サービスを使った安否確認のメリットは、センサーによって24時間365日切れ目なく情報が取得でき、訪室しなくてもスタッフルームから居室や入居者様の状態がわかることです。

PC画面で全室の状況を一目で把握できるので、スタッフの方にとっても負担軽減になりますし、入居者様にとっても、寝ている間の訪室で起こされてしまうということが防げます。

ーーーAIがデータを解析するとのことですが、どのようなデータを解析しているのでしょうか?

ルームセンサーは、主に3つのデータを取得しています。

1つめは体動(体の動き)、2つめは心拍に相当する皮膚表面の「ドクドク」という動き、3つめは呼吸に相当する横隔膜の動きです。

みまもり安心サービスの管理画面

センサーが検知しているデータ。実際のモニター画面に表示されるのは、これらを解析して判断した活動状況や睡眠状態だ

これらのデータをAIが解析して、居室内にいるかどうかはもちろん、覚醒、入眠、睡眠中、起床などを判断し、モニター上にアイコンでわかりやすく表示します。

こうしたデータに異常があれば、アラームを鳴らして通知します。

ーーー離床もわかるのでしょうか?

ベッド上の細かい動きを検知するタイプのセンサーではないので、離床や離床前行動などは検出できません。ただし、センサーの検知エリア(通常環境で半径約3m)から外れ、一定時間たっても検知されないまま、という場合にアラートを鳴らすといった設定は可能です。

具体的には、本来ベッドで就寝しているはずの夜間帯に室外に出られたり、センサー検知外にあるトイレに入られてから一定時間以上戻ってこなかったりした場合に、異変発生のアラートを鳴らすことができます。

全介助の方に対しては、バイタルサインの異常で安否確認ができますし、歩行自立の方に対しては、バイタルサインの異常はもちろん、センサー検知エリア内にいるかどうかという点でも安否確認ができるのです。

睡眠リズムの把握

ーーー睡眠レポート機能について教えてください。

AIが睡眠や覚醒などの睡眠状態を判定し、それを一週間分のレポートにまとめて表示することができる機能です。

みまもり安心サービスの睡眠レポート

これによって、目で見ただけではわからない情報、例えば入居者様が何時に寝て何時に起きたか、夜中に何回目を覚ましたか、といったことを客観的なデータで把握することができます。

みまもり安心サービスの睡眠レポート

レポートは印刷可能なので、それをもって担当医とやりとりを行ったり、ケアマネジャーのケア記録に活用したり、ご家族に夜間の状況を説明して安心に繋げていたただいたりすることも可能です。

空調管理

みまもり安心サービスの管理画面

こちらが実際の表示画面です。オプションの空調管理機能をつける場合は、こちらに各部屋の温湿度が表示されます。

対応が必要な場合は赤、通常の状態はグリーン、入居者様が室内にいらっしゃらない場合はグレーで表示されており、一目でどの居室に対して対応すれば良いかがわかります。

設定温度を超えている(あるいは下回っている)と赤で表示され、そのままPC上で居室内のエアコンを操作し、温湿度を制御することができます。

みまもり安心サービスの特徴は?

部屋ごとに細かく設定をカスタマイズ

ーーーどんな特徴がありますか?

細かい個別設定ができるのが特徴の1つです。

みまもり安心サービスの管理画面で個別のみまもり設定ができる

今ご覧いただているのが設定画面ですが、ご覧のとおり、各部屋ごとに細かくカスタマイズできるようになっています。

例えば、前の日の夜にあまり眠れていない場合にアラートを出すとか、日中や夜間、「体の動きなし」の状態が何分以上続いたらアラートを出すなどの設定が可能です。

必要に応じて1部屋1台からの導入

ーーー導入は何台からできるのでしょうか?

1台から導入可能です。月額料金は、導入したセンサーすべてにかかるのではなく、実際に稼働しているセンサーに対してのみにかかるので、入居者様が退去されたなどの理由でサービス利用を停止している場合は、不要なコストがかからず経済的です。

もちろん、入居・経営状況に応じて増設が可能ですし、不要になった場合は、取り外して他の居室へ移設することもできます。

充実のサポート体制

管理画面には、弊社の技術部隊やオペレーションを管理する部署に直接連絡できる機能もあります。センサーにトラブルがあったり、非稼働になっていたセンサーの使用を再開したりするときは、ここから個別にご連絡いただければすばやく対応できるような体制を整えています。

みまもり安心サービスの管理画面

反響、事例

ーーー実際に導入している施設からの反響はいかがですか?

みまもり安心サービスの管理画面

睡眠の「見える化」ができるようになった、というお声をいただいています。

これまでの巡視だけでは分からなかった睡眠状態が客観的に分かるようになり、「実はこの方は夜間あまり眠れていなかったのか」などの気付きがあったそうです。

夜間の睡眠時間を約7時間増加

ある施設では、睡眠レポートから昼夜逆転が起きていることに気づき、日中の生活リズムを整えるなどの対応をした結果、1週間あたりの夜間の睡眠時間を約7時間増やすことができたといいます。

睡眠レポートを活用することで、日中のケアと夜間の睡眠をインプットとアウトプットとして関連づけ、全体のケアの改善につなげることができた事例といえるでしょう。

巡視・記録時間を一日あたり118分短縮

別の施設では、施設全室の睡眠リズムを見える化し、ご利用者様ごとの適切な巡視回数を検討した結果、全室2時間毎の定期的な巡視から、必要な部屋のみへの巡視に変更し、業務負担の軽減を実現されました。その施設では、巡視・記録時間を一日あたり118分も短縮させることに成功しています。

このように、全体像を見える化することで、優先的に見回り・見守りを行うべき方、異常があったときに見守りを行ったほうが良い方など、状態に合わせてケアにアクセントをつけることで、全体の見守りを効率化することもできます。

ご家族への安心感を提供、施設のアピールポイントにも

さらに別の施設では、管理画面を施設の目立つ場所に設置することで、スタッフに対する見守りの意識づけを行うと同時に、施設を訪れるご家族様に対して「ちゃんと見守りしてくれているんだな」という安心感を抱いていただく工夫をしていました。

みまもり安心サービスが施設の目玉となり、スタッフのモチベーションアップや人材確保にもつながっているといいます。

対象となる施設は?

ーーーすでに1500室以上約2000室に導入されていると伺いました。どのような施設に多く導入されていますか?

現状では、サービス付き高齢者向け住宅に導入いただいている例が多いですね。理由の1つとして、基本は「住宅」なので、入居者様が出来るだけ自由に生活される環境を整えつつ、緊急時は把握可能といった「さりげない見守り」コンセプトが受け容れ易いという背景があるようです。

それ以外にも、特別養護老人ホームや有料老人ホームにも導入いただいている実績がございます。中には、「パナソニックならではの最先端の見守り」に期待を寄せていただいている施設様もいらっしゃいますね。

パナソニックならではの強み

みまもり安心サービスの管理画面から問い合わせできる

ーーー「パナソニックならではの最先端の見守り」とは?

総合エレクトロニクスメーカーとしての高い要素技術を活かしたセンサーと、最先端を走っているAI技術が当社の強みの1つです。現在展開している「みまもり安心サービス」にもそれは活かされていますが、今後はさらにそこを伸ばしていこうと考えています。

AIが起床時間や身体活動レベルを予測

例えば、センサーによって集めたデータを蓄積して機械学習させることで、AIがセンサーデータから身体活動レベルを見分けられるようになる研究を進めています。実際に、データから高い精度で入眠時間を予測することができるようになってきており、AIができることは今後もどんどん増えていくと確信しています。

自立支援に向けたプラットフォーム化

さらにもう1つ、我々が進めているのが、介護記録やセンサーデータを一気通貫で管理・分析することで、利用者様の自立支援を後押しするシステムの構築です。

日中のケアや、体調・排泄・食事などの記録を介護記録ソフトで記録し、センサーが取得したバイタル等のデータと一緒に分析することで、自立を支援するためのケアの提案や、医療の観点からの注意喚起などを実現できるのではないかと考え、現在実証事業を行っています。

ーーーそこまでくると、単なる見守り以上の価値がうまれそうです。

おっしゃるとおりです。当社は、見守りへの参入は後発ではありますが、当社が持つハード・ソフト両面の強みを活かし、自立支援に向けたプラットフォーム化まで視野に入れた価値提供を行っていければと考えています。

介護のICT化に向けて

ーーーありがとうございます。見守りはもちろん、ICT化、IoT化へも積極的な姿勢がうかがえますね。

そうですね。現在、国をあげて介護現場のICT化を推進していますが、実際の現場へ行くと、まだまだ普及が進んでいないのが現状です。こうした現状に対して、当社を含めた業界全体が努力すべきだと感じています。

具体的には、コストを安価にする、操作・メンテナスを簡易にするとか、使いこなしに向けたサポートを行っていく必要があると思います。

今後、世界的に高齢化が進んでいく中で、日本が最先端の介護サービスを牽引するべく、ICTに任せるべきところは任せて、人がすべきところは人でしかできないサービスを充実させる、といった住み分けを進めていくための一助を担えればと考えています。