介護ロボットの導入支援~補助金・税制優遇・金融支援~

介護ロボットはその特性上、開発や導入に高いコストがかかるため、なかなか普及が進んでいないのが現状です。そのため、国や自治体によってさまざまな補助金制度や税制措置が実施されています。導入の際に活用できるお役立ち情報をまとめました。
介護ロボットの補助金・助成金情報
まずは、導入を支援する事業や補助金制度を見ていきましょう。
介護ロボット導入支援事業(地域医療介護総合確保基金)
各自治体が、介護事業所に対して、介護ロボットの導入費用を補助する事業です。 介護の推進、医療・介護従事者の確保・勤務環境の改善等を目的として設置された「地域医療介護総合確保基金」によって実施されます。
補助内容は自治体によって異なりますが、1機器につき導入経費の2分の1(上限10~30万円)程度が補助されることが多いです。
詳しくは、自治体別補助金をご覧ください。
人材確保等支援助成金 介護福祉機器助成コース(厚生労働省職業安定局)
介護事業主が、介護福祉機器の導入や賃金制度の整備をすることで、介護労働者の離職率の低下に取り組んだ場合、その費用等を助成する助成金です。人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)では、介護福祉機器の導入にあたり、最大150万円が助成されます。
介護福祉機器助成コースには、
①機器導入助成
②目標達成助成
の2つがあります。
機器導入助成

介護労働者の労働環境向上のための介護福祉機器の導入した場合、その費用が助成されます。
詳細は以下のとおりです。
- 移動・昇降用リフト(立位補助機、非装着型移乗介助機器を含む。)
- 装着型移乗介助機器
- 自動車用車いすリフト
- エアーマット
- 特殊浴槽
- ストレッチャー
助成対象となる介護福祉機器
対象費用 | ・介護福祉機器の導入費用(利子を含む) ・保守契約費 ・機器の使用を徹底させるための研修 |
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支給額 | 合計額の25%(上限150万円) |
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申請窓口 | 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧 ※ハローワークに提出できる場合もあり |
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目標達成助成

「機器導入助成」の2つのステップを実施した結果、導入・運用計画期間の終了から1年経過するまでの期間に、目標値以上に低下させた場合、導入した費用が助成されます。助成を受けるためには、下記をクリアする必要があります。
①「機器導入助成」に記載する措置を実施すること。
②離職率を目標値以上に低下させること。
③離職率が30%以下となること。
低下させる離職率の目標値は、事業所における雇用保険一般被保険者数に応じて変わります。
対象事業所における雇用保険一般被保険者の人数区分 | 低下させる離職率(目標値) |
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1~9人 | 15% |
10~29人 | 10% |
30~99人 | 7% |
100~299人 | 5% |
300人以上 | 3% |
対象費用 |
・介護福祉機器の導入費用(利子を含む) ・保守契約費 ・機器の使用を徹底させるための研修 |
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支給額 |
合計額の20% 生産性要件を満たした場合は35% (上限150万円) |
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申請窓口 | 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧 ※ハローワークに提出できる場合もあり |
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業務改善助成金
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業所で最も低い賃金を引き上げるための制度です。具体的には、生産性向上のための設備投資などを行い、最低賃金を一定額以上引き上げた場合、設備投資などの費用の一部を助成します。
詳細は以下のとおりです。
支給対象者 | 事業場内最低賃金が 1,000 円未満の中小企業・小規模事業者。 |
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助成対象機器・サービス |
設備・機器の導入に加え、教育訓練や経営コンサルティングなどのサービスの利用。 (例) ・ POSレジシステム導入による在庫管理の短縮 ・ リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮 ・ 顧客・在庫・帳票管理システムの導入による業務の効率化 ・ 専門家による業務フロー見直しによる顧客回転率の向上 ・ 人材育成・教育訓練による業務の効率化 |
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申請窓口 | 各都道府県の労働局 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧 |
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IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)
中小企業・小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する経費の一部を補助するための補助金です。これにより、業務効率化をサポートします。
介護事業所であれば、介護記録ソフトを導入し、介護記録や請求業務書類の作成を効率化したいという場合、介護記録ソフトの導入経費が最大50万円まで補助されます。
詳細は以下のとおりです。
補助対象となる事業者 |
・資本金3億円以下、従業員数が常勤300人以下の、中小企業・小規模事業者等。 ・従業員数が常勤100人以下の医療法人、社会福祉法人。 |
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補助対象経費区分 | ソフトウェア、クラウド利用費、導入関連経費等 |
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補助率 | 1/2 以内 |
補助上限額・下限額 |
上限額:50万円 下限額:15万円 |
補助対象導入するITツールの要件 |
ITツールを(1つまたは複数)導入することで、フロント業務、ミドル業務 およびバックオフィス業務のうちから、2つ以上の機能を持つこと。 |
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補助対象経費 | ソフトウェア製品/クラウドサービス | ソフトウェア、クラウドサービス |
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オプション |
機能拡張/データ連携ソフト HP利用料 アカウントID追加/クラウド年間利用料追加 |
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役務 |
保守・サポート費(最大1年分) 導入設定、業務コンサル、マニュアル作成、導入研修 セキュリティ対策 |
介護ロボットの税制措置
次に、「介護ロボットの導入による業務負担の軽減」に取り組むことを含む経営力向上計画を策定し、厚生労働大臣の認定を受けた事業所に対する税制措置を見ていきましょう。
中小企業の生産性向上のための固定資産税の特例
中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得や製作等した場合に、固定資産税が3年間にわたって2分の1に軽減されます。
中小企業経営強化税制
中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得や製作等した場合に、即時償却又は取得価格の10%の税制控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)が選択できます。
商業・サービス業・農林水産業活性化税制
一定の設備を取得や製作等した場合に、取得価格の30%の特別償却又は7%の税制控除が選択適用(税制控除は資本金3,000万円 以下の法人、個人事業主のみ)できます。
介護ロボットの金融支援
最後に、介護ロボットの導入に関連した低融資や無担保貸付制度などの金融支援を見ていきましょう。
独立行政法人福祉医療機構による無担保貸付
介護施設等における介護ロボット・ICTの導入等に伴う無担保貸付制度 (無担保融資上限額3,000万円)があります。
日本政策金融公庫による低利融資
経営力向上計画の認定を受けた事業者が行う設備投資に必要な資金について、低利融資を受けることができます。
商工中金による低利融資
経営力向上計画を策定している事業者に対し、商工中金の独自の融資制度により、低利融資を受けることができます。
中小企業信用保険法の特例
中小企業者は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠での追加保証や保証枠の拡大が受けられます。
中小企業投資育成株式会社法の特例
経営力向上計画の認定を受けた場合、通常の投資対象(資本金3億円以下の株式会社)に加えて、資本金額が3億円を超える株式会社(中小企業者)も中小企業投資育成株式会社からの投資を受けることができます。
独立行政法人中小企業基盤整備機構による債務保証
資本金10億円以下または従業員数2千人以下の中堅企業等が、経営力向上計画を実施するために必要な資金について、保証額最大25億円(保証割合50%、最大50億円の借入に対応)の債務の保証を受けられます。
まとめ
介護ロボットの導入を後押しするために、さまざまな支援や制度が存在しています。導入を検討している事業者の方は、ぜひ参考にしてみてください。