自立支援型ロボット

省エネで使いやすい!安心安全な電動アシスト機能付き歩行車「Flatia(フラティア)」|株式会社カワムラサイクル

省エネで使いやすい!安心安全な電動アシスト機能付き歩行車「Flatia(フラティア)」|株式会社カワムラサイクル

今、歩行支援ロボットがアツい!9月末に行われた国際福祉機器展(HCR)では数々の最先端介護福祉機器が展示されていましたが、中でも注目を集めていたのが「歩行支援機器」です。ロボット技術を搭載した新しい歩行車やリハビリ支援機器を展示する企業ブースが賑わいを見せていましたが、そのひとつに株式会社カワムラサイクルがあります。カワムラサイクルは、「Flatia(フラティア)」という電動アシスト機能付き歩行車を販売している会社です。「Flatia(フラティア)」とはいったいどのような機器なのか?CS・営業本部 取締役本部長の伊藤正明氏に話を伺いました。CS・営業本部 取締役 本部長 伊藤正明氏に話を伺った車いすの専門メーカー、カワムラサイクル神戸市に本社を置く株式会社カワムラサイクルは、車いすを中心とした医療・介護用品メーカーです。主力商品は車いすで、手動式の車いすはもちろん、電動車いすやフルオーダー車いす、リクライニング車いすなど、多種多様な車いすを扱っています。また、歩行車やストレッチャーなどの取り扱いもあります。カワムラサイクルの展示ブースの様子。車いすはもちろん、歩行車もずらりと並ぶ。国際福祉機器展では、さまざまな車いすに加えて、今回ご紹介する「Flatia(フラティア)」をはじめとした歩行車の展示も行っていました。 Flatia(フラティア)とは? ーーーFlatia(フラティア)とはどのような歩行車なのでしょうか? 「Flatia(フラティア)」 とは、ロボットセンサが歩道の傾斜や歩行状態を検知し、それに合わせて自動でアシスト・ブレーキを行う電動機能アシスト付き歩行車です。例えば、上り坂では楽に上れるように自動アシストがかかりますし、つまづきなどで歩行車と利用者の距離が開いた場合も自動でブレーキがかかります。状況に合わせて自分で操作せずとも、Flatiaが判断して適切な速度の歩行をサポートしてくれるのです。3つのセンサが搭載Flatiaには、3つのセンサが搭載されています。ひとつ目が「グリップ内圧力センサ」です。これは、利用者がグリップを握っているか、押しているか引いているかなどを検知するセンサです。グリップから手が離れたことを検知すると、自動でブレーキがかかります。 グリップを離すと自動でブレーキがかかる。二つ目は「測距センサ」です。利用者と本体との距離を測り、設定値以上離れた場合はブレーキがかかります。つまづきなどで突発的に身体が離れた場合に、このブレーキ機能によって転倒を防止することができます。三つ目は「傾斜センサ」です。これは、歩道の傾斜に合わせて自動でブレーキやアシスト機能を働かせるためのセンサです。上り坂か下り坂かだけではなく、どの程度の傾斜なのかも検知し、勾配の大きさによってアシスト(ブレーキ)の力を自動で調整します。そのため、アップダウンの激しい道でも一定の速度で歩行することができます。もちろん、自分で速度を調節することも可能です。また、ハンドルの高さも5段階で調節ができます。 スピードは左ハンドルについた速度調節機能で3段階の変更が可能。 Flatiaの2つの特徴ーーー自動アシスト機能付き歩行車が続々発売されていますが、「Flatia」ならではの特徴はありますか?主に2つあります。一つ目は、短時間の充電でも長く使用できるという点です。Flatiaは、80分充電で5時間の連続使用が可能です。さらに、運転中での充電ができることも大きな特徴です。後輪の回転で電力をバッテリーに戻す”自家発電”の仕組みを搭載しているので、省エネルギーでお使いいただけます。二つ目の特徴は、形状です。Flatiaは、スーパーやコンビニの買い物かごを座面の上に安定して置くことができるよう設計しました。買い物かごは、ストッパーで奥にずれないよう固定されます。座面の上に買い物をそのまま置くことができるので、カートいらず。休憩椅子としても使える。カートなしで安心して買い物を楽しんでいただけるのはもちろん、アシスト機能によって重い荷物も楽に運べるため、これまで一人での買い物や重い食材を買うことを諦めていた方も、気軽にできるようになります。反響、安全性へのこだわりーーー購入した人や、HCRで操作を試された方の反響はいかがですか?操作性やアシスト機能に対する評価はもちろんですが、省エネに対する驚きの声や好評もいただいています。また当社では、より安心安全にお使いいただくために、“フラティア・マイスター制度”をとっています。フラティアマイスターとは、Flatiaのメンテナンス・トラブルシューティングまでできる専門知識のある人間のことで、約3時間の講習を必須としています。おかげさまで展示会などで試運転された方から「購入したい」という声をいただくことが多くありますが、Flatiaはフラティアマイスターのいる認定店にしか商品を卸しておりませんので、ご購入いただくには認定店までお越しいただく必要があります。自立支援に貢献する歩行車ーーー最後にメッセージをお願いします。近年の介護の傾向に「自立支援」があります。要介護者の方の不自由さを補うだけでなく、要介護度の改善をより重視していこうという流れです。当社のFlatiaもそうした流れを受け止め、開発段階からリハビリセンターの協力をいただいています。そこでは、車いすをご利用の方が歩けるようになったり、目線や視線が高くなったことで気持ちが前向きになりQOLが向上したりといった成果もあがっています。今後は、より多くの方にFlatiaをご利用いただき、そうした成果を実感しながら元気に日常を過ごして頂きたいと思っています。編集部まとめ今もっとも注目を集めていると言っても過言ではない「歩行支援ロボット」。ロボット技術を搭載した歩行支援機が続々発売される中で、「省エネ」という特徴が光るFlatiaは、国際福祉機器展でも多くのギャラリーに囲まれていました。「売れれば良いと言う考えではなく、いかに安心・安全にご利用いただけるかを重視した」という “フラティア・マイスター制度”によって、介護ロボットにつきものの故障や不具合に対する不安も取り除いてくれます。

より文化的な排泄介助をめざして「ベッドサイド水洗トイレ」|TOTO株式会社

より文化的な排泄介助をめざして「ベッドサイド水洗トイレ」|TOTO株式会社

誰もが使える”ユニバーサルデザイン”を心がけるTOTO株式会社。しかし、高齢者や歩行が困難な人は、そもそもトイレまでたどりつけないことも…。同社はそんな人に向けて、室内に置けるポータブルトイレの開発・販売を行ってきました。今回紹介する「ベッドサイド水洗トイレ」もそのひとつです。2017年10月2日(月)、同商品の新モデルが新たに販売開始しました。これまでのポータブルトイレとどう違うのか?「ベッドサイド水洗トイレ」の開発者である吉冨利彦氏に、商品の特徴や開発秘話を聞きました。機器水栓事業部の吉冨氏に話を伺う ベッドサイド水洗トイレとは?ーーーベッドサイド水洗トイレとはどのような商品ですか?ベッドのすぐそばに設置できる。もちろん移動可能だ水洗トイレでありながら、従来のポータブルトイレと同様に、ベッドのそばに後付けで設置することができる、動かせる水洗トイレです。一人でトイレまで行くのが困難という方や、ポータブルトイレではにおいや後始末が気になるという方におすすめです。ーーー特徴を教えてください。一つ目の特徴は、簡単な工事で設置が可能である点です。一般的なトイレの場合、75mmという大きな配管と、水が流れるようにするための勾配が必要ですが、「ベッドサイド水洗トイレ」は20mmという細い配管で排泄物を圧送するので、大掛かりな工事や勾配の有無の心配なく、簡単に設置することができます。二つ目の特徴は、移動性です。2017年10月に販売開始する新モデルは、重量を軽くし、キャスターを付けることで、従来品より本体を動かしやすくしました。ご自宅ではお部屋の模様替えやお掃除時等に合わせてトイレの置き場所を変えられますし、施設でもご利用者の方の身体状況に合わせて最適な位置にレイアウトすることができます。後部にキャスターがついているため、一人で持ち上げて移動させることができる ーーー在宅と施設、どちらからのニーズが多いですか?また、どういったニーズを持った人が「ベッドサイド水洗トイレ」にたどり着くのでしょうか?現状では、施設よりも戸建てで当商品を導入いただく実績のほうがやや多いです。従来のポータブルトイレと比較し、とくに「排泄の処理が不要」という点に魅力を感じて導入いただくケースが目立ちます。ーーー「排泄の処理が不要」という点は、介護者にとっての利点ですね。介護者の方はもちろん、被介護者の方もその点を非常に評価してくださっているんです。私自身、開発当初は介護者の方の負担軽減を念頭に置いていたのですが、実際に導入された方にヒアリングしてみると、被介護者の方の「自分の排泄の処理で家族に迷惑をかけたくない」という精神的な負担が非常に大きかったことを知りました。なかには、家族に排泄物がたまったバケツを処理してもらうことに気兼ねして、食事や水分を摂るのを控えていたという方もいらっしゃるほどです。「ベッドサイド水洗トイレ」を導入するとき、「これで好きなだけ水が飲めるわ」とおっしゃる言葉を聞いて、「今までそんな遠慮をしていたのか」と驚くとともに涙ぐまれるご家族の姿を目の当たりにしたこともあります。そういった意味で、「ベッドサイド水洗トイレ」は介護する方はもちろん、介護を受ける方の精神的負担軽減につながる機器であると考えています。 お客様が”本当に望んでいるトイレ”のためにーーー水洗式のポータブルトイレを作ろうと考えたきっかけは?私はもともとバケツ式のポータブルトイレ開発を担当していました。開発当時は業界内でもトップレベルに使いやすいポータブルトイレができたという自負があったんです。しかし、実際のお客様にヒアリングを行ったところ、予想外にネガティブな意見を多く頂いてしまいました。意見の多くは、「これでは恥ずかしくて孫を部屋に呼べない」「においが広がるのであまり使いたくない」といったものでした。この経験から、「お客様が本当に望んでいるトイレとは何だろう?」と考えるようになったんです。最終的に、いただいた課題を解決できるような新しいポータブルトイレ、すなわち水洗式ポータブルトイレを作ろうという思いに至りました。ーーー開発にあたって特に苦労されたことは?実は、「水洗式のポータブルトイレ」というコンセプト自体は10年以上前からあったのです。しかし技術的な課題が大きく、なかなか商品化までたどり着けていませんでした。当時、海外ではカッターを用いてミキサーのように排泄物を粉砕するタイプの商品がありましたが、おむつやタオルなどを流してしまったとき、カッターの歯を避けながら処理しなくてはいけないという安全性の問題がありました。商品開発のためには、より安全性が高く、かつ確実に排泄物を粉砕し汚水マスまで流せる技術を開発する必要があったのです。そのために約一年半、毎日自分の排泄物を触って研究しました。さまざまな硬さの排泄物を研究するために、パン食にしたり肉中心の食事にしたり、食生活を限定して挑みましたね(笑)。その結果、排泄物には鋭いカッターの歯ではなく、洗濯機のように激しい水流で衝突を促して粉砕した方が効果的であることに気づき、現在の方式に至りました。在宅・施設利用|それぞれの反響ーーーすでに導入された方からの反響を教えてください。もっとも違いを実感していただくのが「におい」のようです。従来のポータブルトイレをお使いのある方は、においを気にして冬の寒い時期でも頻繁に窓をあけて換気されていたそうですが、当商品を導入してからはにおいを気にする必要がなくなり、いつでも快適に過ごせていると言っていただきました。また、「ベッドサイド水洗トイレ」を導入したことで、これまでおむつを使用していた人がおむつなしで過ごせるようになったというケースもあります。ご自分でトイレに行けるようになったことで生活のさまざまなシーンに影響が表れ、ネイルやおしゃれをはじめたり、美容院に行ったりなどの変化が見られるようになった方もいます。「ベッドサイド水洗トイレ」を使用しているご本人だけでなく、その旦那様も、そうした変化を見て非常に前向きになられました。ーーー介護する方からの反響はいかがですか?バケツ処理が不要になったことに対する喜びの声をよくいただきます。なかには、これまで誰がバケツ処理をするのかで家族間で揉めてしまうことがあったそうですが、そうした諍いがなくなったのが一番嬉しいとおっしゃる方もいました。また介護施設でご利用いただいているスタッフの方からは、「バケツ処理という重労働から解放された」「効率的かつ行き届いた排泄介助ができるようになった」「転倒事故の低減につながる」と高い評価をいただいています。課題は価格――それでも導入する施設の狙いーーー反響から見えてきた課題はありますか?価格ですね。2017年10月発売の新モデルは、前のモデルに比べて13万円お安くさせていただき、39万8千円でご提供しています。しかし、バケツ式のポータブルトイレと比較するとまだ価格が気になるという方はいらっしゃいます。ーーー高くても購入する介護施設は、それだけの費用対効果を感じているということでしょうか?そうですね。長い目で見て、介護者の負担軽減が労務時間や人件費の軽減につながるというコストパフォーマンスを期待して導入する施設もあります。また、より被介護者の方の尊厳に配慮した排泄介助できるという観点で「ベッドサイド水洗トイレ」を導入する施設も少なくありません。より文化的な排泄介助へーーー最後にメッセージをお願いいたします。現在の排泄介護は、まだ十分に文化的でない側面があるのではないかと考えています。排泄は人間の尊厳に関わる、非常にプライベートな活動です。誰もが最後まで、尊厳を保ちつつ快適な排泄ができるということを、特別なことではなく当たり前にしたい。そのために、今後もお客様の声と共に商品開発を進めていきます。編集部まとめトイレのスペシャリトであるTOTOが作る水洗ポータブルトイレは、開発者の”身体を張った”技術開発によって支えられていました。ポータブルトイレとしては高価に思える価格でも、価格以上の価値を見出す施設や家族、そして何より現在排泄介助を受けている当人を中心に導入が進んでいます。今年10月に新モデルが発売し、ますますの普及が予想されます。戸建住宅・高齢者施設(居室)向け『ベッドサイド水洗トイレ』 セット品番 EWRS320 希望小売価格 398,000円(税抜、設置・工事費別途) 寸法 幅698mm×奥行き871mm×高さ709mm

ロボットならではの的確な支援!歩行リハビリ支援ツール「Tree」|リーフ株式会社

ロボットならではの的確な支援!歩行リハビリ支援ツール「Tree」|リーフ株式会社

介護ロボットのなかでも最近とくに注目を集めているのが、歩行を支援するロボットです。HONDAやロボットスーツで有名なCYBERDINE社がこぞって開発をすすめるこの分野で、海外からも注目を集めている医療・介護ロボットがあります。それが、今回ご紹介する歩行リハビリ支援ツール「Tree」です。開発したのは、北九州に本社を構えるリーフ株式会社。北九州は、全国でもとくに高齢化が進む地域です。ロボット技術を使って課題解決に挑むリーフ株式会社に、歩行リハビリ支援ツール「Tree」の魅力を聞きました。代表取締役の森 政男氏に話を伺ったコンセプトを重視するメーカー当社は2008年に設立し、来年1月で10年になる会社です。もともとは産業系をメインとした制御ソフトウェアのエンジニアリング事業を展開していましたが、歩行リハビリ支援ツール「Tree」で医療介護分野に新規参入を果たしました。当社の強みは、社会の課題を見極め、その解決のために本当に必要なものを一から企画し開発していく、コンセプト構築力です。メーカーではありますが、ニーズ発掘、課題の本質を見据えた製品開発、そして社会実装までを一気通貫で行う点が他社との違いだと自負しています。 歩行リハビリ支援ツール「Tree」 とはーーー歩行リハビリ支援ツール「Tree」はどのような商品なのでしょうか?歩行リハビリ支援ツール「Tree」は、映像と音声機能によって歩行練習をサポートするリハビリロボットです。「Tree」でリハビリすることで、利用者は足の踏み込みや運び方を学習でき、歩幅の向上や歩行スピードの改善が期待できます。利用者は杖を持つように片手でハンドル部分を握り、「Tree」の案内に合わせて歩行練習するため、片麻痺などの症状によって両手が使えない方でもお使いいただけます。「Tree」は、本体と足に取り付ける足圧測定器の2つから成ります。足圧測定器が荷重の分布やバランスなどを測り、それを分析してリアルタイムで足の接地位置などを正確に指示します。利用者は、本体に搭載されているモニターを見ながら歩行練習を行います。足元を見ながらの練習と違って前を見ながら歩くことができるので、リハビリ中も自然で正しい姿勢を保つことが可能です。前かがみにならず、より通常の歩行に近い状態でのリハビリが可能ーーー他社の歩行アシストロボットには、利用者へ力を付加するタイプがありますが。「Tree」は、利用者に対して力を付加するタイプではありません。あくまで、その人自身が持っている能力を上手く引き出すことに重点を置いています。足の接地位置を指示したり、振り出し方を案内したりすることで正しい歩き方を思い出させ、自分の力で歩行できるよう促すのが「Tree」の役割です。ーーーロボットスーツ型のものとは役割が異なるのですね。そうですね。ロボットスーツのような装着型にしなかった理由としては、より広い対象の方に使っていただけるものにしたかったからでもあります。外骨格タイプは、利用者の体格や能力に合わせる必要があるため、その分コストがかかります。歩けない方のサポートとしては非常に有益ですが、「その人自身の能力を引き出す」という方向性とは異なります。「Tree」は、脳血管障害による片麻痺の方はもちろん、下肢の骨関節疾患の方や廃用症候群の回復リハビリなど、歩行練習・バランス練習が必要なあらゆる方にお使いいただけます。開発のきっかけーーー介護ロボットにはさまざまな種類があります。その中でも、「歩行リハビリ支援」に着目したのはなぜですか?ひとつは、北九州という全国的に見ても高齢化が進んでいる地域で、今後「歩行」が大きな課題になるだろうと考えたからです。歩行障害は、「歩けないから不便」というだけにとどまらず、健康全体にさまざまな影響を与えます。廃用症候群や寝たきりという状態を招く大きな原因なのです。そのため、歩行に困難さを感じている方が楽しくリハビリテーションできるロボットがますます求められていくだろうと考えました。ふたつめは、以前より「歩行」という生活基本動作を支援する機器の開発をしてきた経験があったためです。「Tree」開発を開始する前は、「Tree」にも用いている球体の制御技術を使って、歩行困難者や視覚障害者の方向けの”転ばない杖”が作れないかと試作を繰り返していました。その後、現場からのヒアリングや課題の分析を通して、現在の「Tree」の形に発展していったのです。開発中のこだわりーーー「Tree」は、厚生労働省の「福祉用具・介護ロボット実用化支援事業」やロボット産業振興会議の「生活支援ロボット実証実験促進事業」で効果検証・実証試験をしています。開発時に気をつけたことやこだわりはありますか?リハビリの有効性はもちろんですが、同時に療法士や介護士などの指導者から見た使い勝手にはこだわりました。介護ロボットは、使い勝手が悪いとどんなに良い商品でも結局使われなくなってしまいます。さらに指導者にとっては、これまで知識や経験に基づいて指導していたリハビリが、定量的なデータに基づいて行えるようになったことで、肉体的負担はもちろん、精神的な負担の軽減にもなります。ーーーシンガポールでも実証試験を行っていますね。日本貿易振興機構(ジェトロ)北九州の支援をうけて、現地の公立病院への導入を見据えた実証試験を行っています。そこでも同じく、利用する側、運用する側双方の使い勝手を重視しています。「ロボット技術でモチベーションを高く、楽しく歩行練習をしてもらう」「リハビリにかかる業務負担を減らす」「ロボットならではの正確さで的確な回復支援を導く」といった目的を忘れず、コンセプトからぶれない改良を続けていくつもりです。反響と課題ーーー反響はいかががですか?現在、臨床研究用モデルとして、複数の介護福祉施設や病院で導入いただいています。これまで定量的に判断することが難しかったリハビリ効果がデータとしてあらわれるので、「モチベーションアップにつながる」「効果的なリハビリにつながっている」という声が寄せられていますね。また効果や実用性に関しては、複数の学会で発表いただき、専門家からも高い評価をいただいています。ーーー逆に課題はありますか?一番の課題はコストです。本格的な普及のためには、介護施設用に特化したモデルとして今の3分の1まで価格を削減しなければならないだろうと考えています。そのためには、今後も国の支援を受けながら、同時にスピード感のある海外での展開も見据えつつ、特に高齢化が進むアジア諸国に向けた情報発信をしていきたいと思っています。介護ロボットだけでは変わらない――新しい介護のために必要なことーーーメッセージをお願いします。介護ロボットの導入で、今後ますます介護負担が軽減されることは間違いないでしょう。しかし私が介護現場でのヒアリングで感じたのは、「介護ロボットを導入するだけでは介護は変わらない」ということでした。リハビリはチームで連携して行われますが、介護はそれ以上に、施設経営者や介護士、家族などの関係者全員で連携して行われるものです。現場から課題を抽出するにしたがって、ロボット技術を活用した次世代の「新しい介護」を実現するためには、システムの全体的な見直しを含めた意識改革が不可欠だと痛感しました。それぞれの立場にある人がそれぞれの視点から意見を出し合うことで、より良い介護ロボット開発につながっていくのではないかと考えています。当社でも、そういった意見から本質的な課題を見極め、製品に反映していきます。編集部まとめ力を付け足すのではなく、「その人自身の能力を引き出す」ことを目的とした新しい 歩行リハビリ支援ツール「Tree」。ロボットならではの正確さで数値測定や分析ができるので、根拠に基づいた効果的なリハビリが可能となります。森氏が話すとおり、歩行は健康全体に大きな影響を与える動作です。超高齢社会への突入とともに大きな課題となった「歩行」への挑戦は、まだ始まったばかりです。

無動力で安心、快適。「歩き」を助ける「ACSIVE(アクシブ)」 |株式会社今仙技術研究所

無動力で安心、快適。「歩き」を助ける「ACSIVE(アクシブ)」 |株式会社今仙技術研究所

介護ロボットのなかでも最近とくに注目を集めているのが、歩行を支援するロボットです。その中でも、無動力で歩行を支援する機器があります。それが今回ご紹介する株式会社 今仙技術研究所の「ACSIVE(アクシブ) 」です。同社の親会社である株式会社今仙電機製作所からは今年の6月、新たに「aLQ(アルク)」という新商品も発売しました。開発背景や反響について、開発サイド・営業サイド双方に話を伺いました。 電動車いす46年、義足45年の今仙技術研究所株式会社今仙技術研究所は、電動車いすや義足などの研究開発を行う福祉機器メーカー。親会社の株式会社今仙電機製作所の医療器部として発足して以来、電動車いすは46年、義足は45年の歴史を誇る「歩行」のスペシャリストです。同時に、産官学連携で電気・機械応用製品の研究開発や製造も行う一面もあります。2005年からは、「ACSIVE(アクシブ) 」開発のきっかけとなった受動歩行ロボットの開発製造も請け負っていました。 無動力で「歩き」を助けるACSIVE(アクシブ)  まずは開発センターの鈴木氏に話を伺う「ACSIVE(アクシブ) 」は、歩行に障害がある方に向けた、「歩き」を助ける装着型の機器です。脳卒中などで体の片側が麻痺している、脚の振りだしが苦手な方などを対象としています。「ACSIVE(アクシブ) の特徴は、無動力であるという点です。現在商品化されているパワードスーツの多くは、電気やモーターを用いて力をアシストしていますが、ACSIVE(アクシブ)はバネと振り子の原理を応用して無動力での 動きの アシストを可能にしています。 ACSIVE(アクシブ)の装着イメージ無動力なので充電の必要がなく、装着しても軽くて静かですし、暴走する心配がなく安全性も、人との親和性も高いのがメリットです。受動歩行ロボットの研究が発端ーーー開発の背景を教えてください。ACSIVE(アクシブ)の基本原理は、名古屋工業大学・佐野明人教授の受動歩行ロボットの研究から来ています。私はもともと義足の開発を担当するグループに所属しており、義足での歩行やスポーツに関して20年以上研究開発してきました。初めて受動歩行ロボットを見たとき、義足の歩行を効率化したり、疲れない・歩きやすい義足を作るというところにきっと役に立つだろうなと感じました。そこでまずは、受動歩行ロボットの設計、制作を請け負うという形から始めました。それが2005年頃のことです。2011年からは企業対大学で正式に共同研究を開始しました。受動歩行ロボットは、モーターもセンサーも無いロボットです。受動歩行ロボットを傾斜のある道の上に出すと、位置エネルギーだけで下り坂を自然に歩きます。歩き方は、人間の自然な歩き方とそっくりです。 名古屋工業大学 佐野研究所より研究を続ける中で、受動歩行ロボットが自然に歩行するための技術を、義足ではなく歩行が苦手な方向けの機器として昇華できるのではないかと考え、ACSIVE(アクシブ)につながりました。開発のこだわりーーー平成23年度から介護ロボットの実用化支援事業に参画していますね。実用化支援事業では、3名の脳血管障害の片麻痺患者の方に試していただきました。実際の患者さんにて臨床評価いただいたのはこの時が初めてのことです。同程度のステージ、同程度の症状の方に試していただいたのですが、それでも一人ひとり異なる効果や課題があらわれました。体型はもちろん歩き方も多様なので、個々人に合わせる難しさを目の当たりにしましたね。「よりシンプルに」改良を繰り返したーーーそこから、どのように誰でも使えるよう汎用化させていったのですか?改良した点は二つあります。一つ目は、調節個所を増やすということです。脚の長さや太さ、歩き方は人それぞれなので、装着したときにフィットするよう改良しました。複雑な動きに添うように柔軟な構造にすることも含みます。二つ目は、機能を付け足すというよりはむしろ「引き算」していくイメージで、本当に必要な要素を絞り込み、できるだけシンプルな設計にしたことです。歩行に重要な部分だけを残すことで、逆に多様な歩き方に対応できる機器になりました。過剰すぎるアシストは、尊厳ある歩行の邪魔になってしまいます。必要充分なアシストで自力歩行と感じていただくことが重要です。それによって重量も軽くなり、コストも安く済ませることができます。また複雑でない分壊れにくくなるというメリットもあります。デザインにかける思いーーー見た目もシンプルでかっこいいですね。グッドデザイン賞も受賞したスタイリッシュさが魅力。我々としては、ACSIVE(アクシブ)を伊達メガネのような感覚で使っていただけるようになれば良いなと思っているんです。杖や歩行器などの一般的な福祉用具は、足が不自由、歩行が苦手ということに引け目を感じているような方にとって、少し使いづらい側面があると思います。そうではなくて、健康な方であっても、伊達メガネやサングラスのように「これならおしゃれだ、着けてみたい」と思っていただけるようなデザインを目指しました。「人生も支えてくれる」――利用者の声ーーーありがとうございます。次に、営業部の五島様にお話を伺います。ご利用者からの反響はいかがですか? 営業部の五島氏に話を伺う ACSIVE(アクシブ)は現在、全国で約1600台の販売実績があります。日々さまざまな反響が寄せられますが、その中でも代表的なお声をご紹介します。脊椎損傷にて歩行が困難になったある男性は、ACSIVE(アクシブ)について「歩行をアシストしてくれただけでなく、人生そのものをアシストしてくれた」と話してくださいました。またACSIVE(アクシブ)を利用するようになってから、「さらに一駅先まで歩いてみようという気持ちになった」という方や、「ACSIVE(アクシブ)のおかげで諦めていた海外旅行に行けるようになった」という方もいらっしゃいます。岡山市介護機器貸与モデル事業に採択ACSIVE(アクシブ)は、岡山市介護機器貸与モデル事業において、平成28年度よりレンタルを開始しています。すでに10名以上の方が、この制度でACSIVE(アクシブ)をお使いいただいています。私自身も利用者の方とお会いしましたが、「これがないと外に出ていくときに不自由で困る」と話してくださる方もおり、必要とされてお役に立てる事に非常に嬉しく思いました。かわさき基準にも認定現在、川崎市独自の福祉機器認証制度であるかわさき基準(KIS)に認定されています。川崎市内の介護施設やデイサービスでモニターしていただき、公的にACSIVE(アクシブ)の効果を認めていただき大変励みになりました。また、日本リハビリテーション医学会や日本義肢装具学会学術大会などの学会発表も15例以上あり、理学療法士や医学博士の方を中心に効果の実証もされています。課題とこれからーーー課題はありますか?鈴木様さらなる軽量化・小型化・装着感の向上が今後の課題です。その一環でACSIVEの発展系として、今年の6月に今仙技術研究所の親会社である今仙電機製作所から、新商品の無動力歩行アシスト「aLQ (アルク)」を発売しました。今仙電機製作所の自動車品質の設計と品質管理を盛り込んでいます。新発売のaLQ(アルク)はより軽く、手軽になったaLQ(アルク)はACSIVE(アクシブ)を軽量化し、一般の健康な方により手軽に使えるよう開発した商品です。歩行の効率が約20%向上した計測結果もあります。ACSIVE(アクシブ)は脳梗塞や脊椎間狭窄症の方からの引き合いが多いですが、aLQ(アルク)は友人やお孫さんとの旅行・レジャーなど長い距離を歩くと疲れてしまう、外出が億劫・躊躇している方など、「今より楽に歩いて生活の範囲を広げたい」と考えている人におすすめです。五島様ACSIVE(アクシブ)を必要とされている方が多くいらっしゃる反面、なかなかその方たちにACSIVE(アクシブ)の情報をお届けできていないところに課題を感じています。また、今までにない新しい種類の機器であるため、効果がイメージしづらい、実感しにくいとい課題もあります。そのため、ACSIVE(アクシブ)はご購入いただく前にはかならず弊社の講習を受けたコーディネーターによるフィッティングをしてもらい、効果に納得していただいた上でご購入いただいております。ACSIVE(アクシブ)はシンプルな機器ですが、どの様な機器かご説明をして正しく装着をしないと効果が発揮しにくいためです。効果をより発揮するには、より簡単に正しく装着できる製品改良を進めていかなくてはと考えています。歩行で前向きな日常をーーーありがとうございます。最後にメッセージをお願いします。鈴木様ロボットスーツが徐々に普及してきていますが、それらでリハビリの効果をあげてこられた方が、最後の仕上げとしてACSIVE(アクシブ)を日常生活で健康維持のサポートツールとして使っていただければ良いと思います。更に手軽なaLQ(アルク)は、健康づくりのウォーキングや旅行など更に幅広い場面で「歩きを楽しんで」ほしいと思います。日本全国の販売店で試していただけるので、興味を持たれた方はぜひ一度装着してみてください。五島様歩行に障害をお持ちの方や高齢者の方の中には、我慢をして頑張って自力で歩こうとされる方もいます。そうした気持ちはもちろん大切ですが、かばって歩かれる方などはバランスが悪い歩行が身についてしまうことがあります。本来使われるべき筋肉は使われないと衰え、違う筋肉が使われることで体のバランスが悪くなり正しい歩行を取り戻しにくくなることもあります。そうなる前に、ぜひ早めのご利用をおすすめしています。ACSIVE(アクシブ)のアシストで弱った歩行を補うことでバランスをとりやすくなると思います。正しい歩行は、前向きな気持ちにしてくれますACSIVE(アクシブ)をぜひ試してみてください。無動力の歩行支援機 「ACSIVE」 本体サイズ フリーサイズ 大きさ 幅225 × 高さ620 × 奥行65㎜( 最大) 重量 約550g(片脚用) ・約1,050g(両脚用)  可動範囲(腰ベルト) 胴囲110㎝まで 無動力歩行アシスト「aLQ by ACSIVE」 仕様 両脚用 サイズ フリーサイズ(長さ調整可能) 本体重量 760g 希望小売価格 49,680円(消費税込) 

介護報酬申請にも使える!介護予防サービス「モフトレ」|株式会社Moff

介護報酬申請にも使える!介護予防サービス「モフトレ」|株式会社Moff

センサー技術とIoT機器を活用し、今までにないヘルスケア・サービスを提供する株式会社Moff。スマートトイとして販売していた「Moffバンド」を使って、介護事業所向けに新しい介護予防プログラムサービス「モフトレ」の提供を開始しました。「モフトレ」の特徴と魅力について、代表の高萩昭範氏にお話を伺いました。株式会社Moff 代表取締役の高萩昭範氏に話を伺う 最先端テクノロジーで新しいヘルスケアをーーー株式会社Moffとはどのような会社でしょうか?当社は2013年に設立した会社です。子どもから高齢者まで、誰もが楽しく身体を動かすことで健康的な生活を送ってほしいという思いから、IoTやセンサー技術を使った新しいヘルスケア・サービスを提供しています。現在のウェブやアプリのサービスは、多くの場合画面のなかで提供されていますが、当社のサービスは画面のなかの体験ではなく現実空間を使った体験である点が特徴です。はじめは、子ども向けのスマートトイとして開発を行っていました。そこでの反響と経験から、介護分野でも楽しく役に立てるようなサービスが作れると感じ、この度「モフトレ」をリリースしました。ウェアラブルデバイスを使った介護予防プログラム「モフトレ」とはーーー「モフトレ」とはどのようなサービスですか?「モフトレ」は、IoTを使った介護事業所向けの自立支援サービスです。「モフトレ」を使えば、どんな人でも簡単に機能訓練を提供できます。また単に機能訓練が提供できるだけでなく、利用者にとって楽しく、かつデータが自動的に集まる形で提供することが可能なのが特徴です。「モフトレ」で使うのは、「Moffバンド」という腕時計型のモーションセンサーとタブレットです。タブレット上に、機能訓練のコンテンツが配信されます。コンテンツは、個別機能訓練加算の取得を想定したトレーニング内容となっています。コンテンツにしたがって機能訓練をすると、「Moffバンド」が動きを計測し、結果や分析内容がタブレット上に表示されます。それらのデータは自動的に記録され、個別機能訓練加算の申請に必要な書類の参考資料としてもお使いいただけます。実際に使っているところを見せてもらった「モフトレ」は、Moffバンド 5個とアプリがインストールされたタブレット端末(iPad)1台を1セットとして販売しています。最大で5人が同時に利用できます。 ロコモ予防トレーニング はじめにトレーニングメニューを選びます。今回はロコモ予防トレーニングを試してみましょう。ロコモ予防トレーニングは、ADL目標を達成するにあたって鍛えるべき部位の機能訓練メニューです。例えば「洗濯する」というADLは、腕を上下左右に動かしたり、膝を伸ばしたりする動きが必要になります。 それらの動きを分解して、ひとつひとつ鍛えましょうというメニューです。 項目を選ぶと、音楽と動画が流れます。利用者は、動画と同じ動きを行います。左上の数字は、利用者が正しく身体を動かせた回数をカウントしたものです。Moffバンドが動きを検知し、自動的に反映しています。 日常生活動作トレーニング もう一つ、日常生活動作トレーニングというものもあります。こちらは、日常生活動作自体を訓練するトレーニングです。今回は「お風呂で洗髪する」という日常生活動作をトレーニングしてみましょう。メニューを選択すると、今度はアニメーションが流れます。このアニメーションは、自分の動きをトレースして動く3Dアニメーションです。タブレットの前で腕を上げると、3Dアニメーションも同じように腕をあげます。 洗髪をイメージしながら動く。 すると、タブレット上のアニメーションも同じ動きをする。「洗髪」という動作にはさまざまな動きが組み合わさっていますが、ちゃんとひじが上がっているか、前かがみになりすぎていないかなどをMoffバンドが計測しているんです。動きを表現するだけじゃない。数値として計測する技術タブレット上ではアニメーションの動きで表現していますが、システム側では定量的に計測しています。こちらはシステム側で使用している技術デモ画面ですが、手首を右に回すと、その角度が数値で出ていますよね。このような細かい数値情報が計測できるため、さまざまな分析が可能なのです。 手首を回すと、何度回転したかが計測されるモフトレの2つの特徴とは認知症の人との親和性ーーーありがとうございます。自分の動きに合わせて動くアニメーションは、見ていても楽しいですね。この部分は、これまでやってきたスマートトイでの体験が活きているのかなと思っています。自分が動くと音や映像で何かしらの反応があるというとてもシンプルな体験は、言葉による説明の理解が難しい子どもでも楽しめます。その意味で、スマートトイは知的障害者の方からも多くの反響をいただきました。ーーー「モフトレ」は認知症の方々ととくに親和性が高いと伺いましたが。その通りです。そこが「モフトレ」の最大の特徴でもあります。「モフトレ」は、認知症が原因で要介護4と認定された方にもお使いいただいています。しかも、自ら進んで能動的に動いていただいているという声が寄せられています。さらに当社は、通所介護を利用している95人の要介護者を対象に、「モフトレ」の利用による可動域や認知機能の効果を検証しました(※)。その結果、認知機能の数値が116%、右肩の可動域が115%とと、それぞれ向上が見られました。 これまで機能訓練が難しいと思われてきた方でも、「モフトレ」だったら自分から運動してくれるというケースもあり、新しい介護予防としての可能性を感じています。 ※ IoTで認知症テストのスコアが向上〜ウェアラブルIoTによる自立支援サービス「モフトレ」により〜(株式会社Moffプレスリリース,2017年9月14日) 介護報酬加算の参考資料としてもーーーデータが介護報酬加算の際の参考資料になるという点も、非常に特徴的と感じました。より多くの方に「モフトレ」を楽しんでいただくには、まず多くの事業所に取り入れてもらわければならないと考えました。そのためには、コンテンツの内容や使いやすさはもちろん、経済的なメリットも提示できなければならないと思ったんです。介護ロボットではよくあることかもしれませんが、「商品やサービスは良いけど、導入する余裕がない」という事業所は非常に多いのが現状です。ですから、「モフトレ」の費用対効果を高めるためにも、コンテンツの内容は個別機能訓練加算の取得を想定し、取得に必要なデータが取れるようにしています。新たに機能訓練を取り入れたい事業所からも好評ーーー反響はいかがですか?先ほども申し上げましたが、やはり認知症の方も自分から楽しそうに参加してくれた、という反響が大きいですね。業務という観点で言えば、これまでなかなかちゃんとやってこれなかった機能訓練が簡単にできるようになったという声をいただきます。ノウハウや企画がなくても始められて、しかも自動的に記録されるのでとても楽だというスタッフの方が多いですね。また、「モフトレ」がトレーニングを進めてくれるあいだに、利用者の方へ適切な声がけをするなどの純粋なコミュニケーションに集中できるようになったという声もありました。医療との連携、そして在宅へーーー今後の展開を教えてください「モフトレ」でもデータをとっていますが、介護の世界だけではなく医療とも連携してデータを収集し、それを次のステージに活かせればと考えています。最終的には、在宅でも「モフトレ」をご利用いただければいいなと思っています。編集部まとめ2017年8月にリリースしてからまだ1ヶ月という現段階で、すでに大手グループのデイサービスや有料老人ホームでの利用実績がある「モフトレ」。導入前提でトライアルしている最中の事業所も多いとのことですが、「費用対効果を懸念されているところからも反応が良い」とか。 トレーニング内容は東京大学と早稲田大学の先生によって監修されています。単なるレクリエーション提供サービスとは違い、内容の質・使いやすさ・コストパフォーマンスの3点を満たす「モフトレ」は、今一番取り入れやすい介護ロボットの形と言えるでしょう。

詰まらない構造だから安心!水洗式ポータブルトイレ「流せるポータくん」|株式会社アム

詰まらない構造だから安心!水洗式ポータブルトイレ「流せるポータくん」|株式会社アム

水洗ポータブルトイレ「流せるポータくん」シリーズを開発・販売している株式会社アム。同シリーズは介護保険の対象となっており、リーズナブルな費用で導入・レンタルができます。「流せるポータくん」の魅力や開発秘話に加えて、レンタル費用や設置工事に関しても詳しく聞いてきました仮設トイレのレンタル事業から始まったお話を伺った専務取締役の新保氏(左)と福祉事業部の河口氏(右) ーーー御社の事業内容について教えてください。 弊社は、介護用品の製造販売と現場用仮設資材のレンタル事業を行っている会社です。もともとは工事現場などで使用する仮設トイレのレンタル事業から始まり、その後介護用の水洗ポータブルトイレの販売を開始しています。通常仮設トイレというと、汚い・臭いイメージのある汲み取り式トイレを想像すると思いますが、弊社の仮設トイレは水洗式であることが大きな特長です。水洗式の仮設トイレがあまり普及していないのは設置する場所が限られるからですが、弊社はどんな場所でも設置していただける仮設トイレ「どこでも水洗」のレンタルを行っています。仮設トイレとしては特殊な水洗式ですが、勾配がない場所でも使える、距離が離れていてもOKという便利さから、2002年にレンタル開始して以来、累計で54,000件のレンタル実績があります。「気兼ねせずに使えるポータブルトイレ」を目指してーーー仮設トイレのレンタルを行ってきた御社が、介護用ポータブルトイレに乗り出したきっかけを教えてください。ある日、工事現場で弊社の「どこでも水洗」ポータブルトイレを使っていた工務店の方から、「母親のベッドの横に置けないか」と相談を頂いたのがきっかけの一つです。家の中で水洗ポータブルトイレを使いたいというニーズがあるのだと確信したエピソードとなりました。それと同時に、私の祖母が長年バケツ式のポータブルトイレを使っていた経験から、「誰にも気兼ねせずに使えるポータブルトイレを作りたい」という思いも開発のきっかけとなっています。祖母は、後片付けをする私の母にいつも手を合わせ、「申し訳ない」という気持ちを抱えていました。「どこでも水洗」トイレを応用すれば、多くのご高齢者に役立つトイレになるのではないか、と考えたのです。バナナも丸ごと流せる!流せるポータくんとはーーー御社の技術力と、実体験からの思いが「流せるポータくん」誕生につながったのですね。「流せるポータくん」シリーズの特長について教えてください。「流せるポータくん」は木目調と樹脂製の2種類を展開「流せるポータくん」は、ポンとボタンを押すだけで排泄物を水が後片付けしてくれる水洗式ポータブルトイレです。ポータブルトイレでありながら排泄物を溜めずにすみ、バケツを持って捨てに行かなくても良いので、臭いや処理にかかる労力が大幅に軽減されます。現在のラインナップは、木目調の「流せるポータくん2号」と樹脂製の「流せるポータくん3号」を展開しています。ーーーバナナを皮ごと水洗している動画を拝見しました。なぜあんなことが可能なのでしょうか? 皮付きのバナナを1本流しても詰まらない構造 特殊構造のポンプを採用しているので、瞬時に吸い込んでばらばらにし、細いホースでも送り出せるのです。大量のトイレットペーパーもドロドロに粉砕するので、詰まる心配がありません。誤ってタオルなどを流して万が一詰まった場合も、水があふれでないタイマー機能を搭載しているので、お部屋でも安心してお使いいただけます。水があふれないという設計は、弊社独自のものです。環境に合わせて選べる3種類の施工法ーーー水洗式トイレとなると、給排水工事が大変なのではと心配ですが。施工工事はすべて弊社で行っていますが、できるだけ短期間に、小規模で完結するよう導入場所に合わせて3種類の配管方法をご用意しています。洗面所配管のケースこちらはある有料老人ホームですが、ご覧の通り洗面所を使った配管を行っています。パイプは30mまで伸ばすことができるので、お部屋やベッドの位置に合わせて置いていただくことが可能です。壁配管のケースこちらの施設では、施設を新築する際に「流せるポータくん」の導入を決定していただいていたので、各居室にトイレ用の給排水口を完備しています。「流せるポータくん」の導入台数は5台ですが、必要に応じて取り外し移動できるので、常に有効活用していただいています。窓配管のケースこちらは在宅でご利用いただいているケースです。ベッドのそばに「流せるポータくん」を設置し、緑のホースで窓ジョイントパネルにつないでいます。そこから屋外は塩ビパイプで配管し、汚水マスに流します。こうすることで、壁や床に穴を開ける工事なしで水洗ポータブルトイレをご利用いただくことができます。在宅でご利用いただく場合はレンタルが多いので、撤去したあとが残らない工事ができるという点でも喜んでいただいています。いずれのケースも、勾配がない場所や距離が離れている場所でも簡単に設置可能です。ーーーありがとうございます。在宅でのレンタルについて教えていだだけますか?「流せるポータくん」は、水洗ポータブルトイレとして介護保険の補助対象となっています。レンタルでのご注文の際「流せるポータくん」は便座部とポンプユニットに分けられますが、便座部「ポータブルポータくん」は特定福祉用具の購入品目に当てはまるので、介護保険の補助を最大限に受けた場合は1割負担で購入可能です。ポンプユニットは貸与品目外なので、自費になりますが、レンタルにてご利用いただけます。初期費用としては、便座部のご購入費用10,000円(※)、接続工事費用50,000円の計60,000円となります。レンタルが実際に動き始めたのは去年の12月くらいからですが、おかげさまで徐々に問い合わせが増えてきています。※ 利用者負担1割の場合使いやすさにこだわった開発秘話ーーー「流せるポータくん」開発でこだわった点やエピソードはありますか?「流せるポータくん」の圧送式電動ポンプの技術は、仮設トイレ「どこでも水洗」でブラッシュアップされたものなので、技術面での問題はほぼありませんでした。しかし、福祉・介護機器ならではの問題が3つありました。手すりの有無、高さ調整、そして保険適用となるかどうかです。介護用品ならではの3つの課題に取り組んだ現在販売している「流せるポータくん」シリーズは、この3つの問題をすべて解決した商品です。手すりは跳ね上げ式となっており、ベッドからの移乗も楽に行なえます。高さ調整に関しては、2号は3段階の調整が可能で、3号は下に台を挟んで底上げすることで46cmまで高くすることが可能です。両機種とも、介護保険の対象となっています。ニオイが気にならないから、心が軽くなるーーーレンタルを開始されてから在宅での利用が増えたとのことですが、反響はいかがですか?感謝のお手紙をよく頂くのですが、どの方も非常に喜んでいただいています。とくに独居老人の方や老老介護をされている方にとって、ポータブルトイレのバケツを片付けるのは切実な問題です。独居老人の方はご自分で捨てに行けないので、ヘルパーさんが来るまで溜めておくことになるのですが、そうすると臭いが部屋に充満するし、気兼ねもありますよね。ポータブルトイレを使うのが嫌で、水を飲むのを我慢するという方もおられるほどです。老老介護をされている方は、「自分もいつ後片付けができなくなるか分からない」という不安を抱えている方も少なくありません。そういった方々から、身体的、心理的負担がすごく軽くなったと言っていただいています。ーーー施設からの反響はいかがですか?ある施設ではお試しで1台購入された後、最終的に17台まで増設いただきました。実際に使った上で価値を認めていただけた証拠だと自負しています。その施設では、「流せるポータくん」に切り替えてから施設内の臭いが本当に気にならなくなったとのことです。臭いの問題が改善されたことで、職場環境向上にもつながったと言えます。配管接続工事が安価で工期が短い工事費が比較的安価である点も評価いただいています。新たにトイレを設置するよりも安く、しかも簡単に水洗式トイレがつけられるので、費用対効果の面でも弊社の商品を選んでいただけるのでしょう。使わなくなった後も!充実のアフターフォローーーー在宅でポータブルトイレを使われている方は、いずれオムツでの介護になり、ポータブルトイレを使わなくなりますよね。そうですね。ポータブルトイレの平均利用期間は、約2~3年と言われています。しかしこの数値の中には、買ったけど気兼ねして全く使っていないとか、もう使っていないけどまだ捨てていないだけといった方の数値も含まれますので、実際は約半年くらいと言われることもあります。弊社ではレンタル終了後は無料の撤去サービスを行っていますし、撤去したあとに穴や配管などが残らない施工工事をしているので、ご利用が終わった後も安心です。メッセージーーー最後にメッセージをお願いします。排泄は人間の尊厳に関わる問題です。私の祖母も8年間ポータブルトイレを使っていましたが、いつも後片付けをする母に気兼ねしていました。中には、気兼ねからできるだけポータブルトイレを使わないようにと、食事も水も我慢する方もいます。そんな方が安心して使えるトイレがあれば、食事やふだんの生活も楽しんでいただけるので、生活の質そのものが向上します。排泄にはそれだけの影響力があります。片付けがいらない、臭いが解決、気兼ねがないという「流せるポータくん」をもっと多くの方に知っていただき、利用者の方、ご家族、介護スタッフの方みんなに喜んでいただきたいと考えています。編集部まとめポータブルトイレを使う祖母への熱い想いと、特殊な水洗式仮設トイレの技術が一つになってできた「流せるポータくん」。工事もすべて自社で請けおい、ポータブルトイレが必要なくなった後のアフターケアまで行ってくれます。自動排泄処理装置が介護保険の対象となって以来、徐々に在宅での利用が増えてきているという水洗ポータブルトイレで、介護者・要介護双方のQOL向上が期待できそうです。流せるポータくん2号 商品名 流せるポータくん2号 寸法 幅505×奥行き920×高さ790~850mm 重量 26.5kg 希望小売価格(税抜) 標準便座タイプ298,000円やわらか便座タイプ304,000円暖房便座タイプ316,000円 流せるポータくん3号 商品名 流せるポータくん3号 寸法 幅570×奥行き710×高さ600mm 重量 24.0kg 希望小売価格(税抜) 標準便座タイプ298,000円洗浄便座付きタイプ348,000円 レンタル価格表初回負担額 品名 通常価格 介護保険の補助を最大限に受けた場合の負担額 ポータブルトイレ 100,000円 10,000円(1割) 接続工事費 50,000円 50,000円 合計 150,000円 60,000円 月々のレンタル料 品名 通常価格 介護保険の補助を最大限に受けた場合の負担額 ポンプユニット 4,000円/月 4,000円/月

世界が注目!排泄予知ロボット「DFree」|トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社

世界が注目!排泄予知ロボット「DFree」|トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社

「現在、●%溜まっています。そろそろトイレの時間がきます」ーーこんな風に、あなたの排泄を予知してくれるユニークな介護ロボット「DFree」をご存知ですか?「目指すはおむつゼロの社会」と話すCEOの中西氏は、自身の体験から「DFree」のアイディアをひらめいたと言います。「DFree」の開発秘話や利用者の反響、今後の展開について話を聞きました。排泄予知ロボット「DFree」とはーーー「DFree」とはどのような製品ですか?「DFree」本体。超音波センサ(右)を下腹部に装着し、膀胱の状態を取得、分析する「DFree」は、下腹部に装着することで体内の動きを検知・分析し、排尿のタイミングを予知・通知してくれるウェアラブルデバイスです。「DFree」本体に超音波センサが内蔵されており、膀胱の大きさの変化を捉えることで「そろそろ出そうだ」もしくは「出ました」というお知らせをしてくれます。本体はBluetooth接続でスマホアプリと連携しており、通知はもちろんログも蓄積します。よって、使えば使うほど「DFree」が利用者の排泄傾向を学習し、予知の精度が増していきます。排泄を予知することで予期しない失禁などを防ぐことができ、安心して生活できるだけでなく、場合によってはおむつの装着が不要になるなど、自立支援にも役立ちます。また介護従事者にとっては、適切なトイレ誘導が行えることで排泄介助の負担が軽減するなどのメリットがあります。「DFree」開発のきっかけとは?ーーー排泄を予知する、という発想は非常にユニークです。ご自身の体験が開発のきっかけだと拝見しました。自身の衝撃的な体験から「DFree」を思いついたという中西氏はい。アメリカ留学中に、漏らしてしまったことがあるんです。しかも尿ではなく、大便の方を。非常にショックを受けると同時に、こう思いました。「事前に排便の時間が分かっていれば、こんなことにはならなかったのではないか?」と。それが、「排便の時間を事前にお知らせしてくれるデバイスを作ろう」と思った直接的なきっかけです。このアイディアを発表したところ、予想以上に多くの方から反響をいただきました。ーーー予知の対象を排便から排尿に変更したのはなぜでしょうか?開発当初は自身の体験から排便の予知を目標にしていましたが、開発していく段階で多くの介護従事者の方からお話を伺ううちに、現場では排便はもちろん排尿に対する介助の労力が非常に大きいことが分かってきました。排尿は、排便に比べて回数も多く、その分おむつ交換などの排泄介助の労力も大きくなります。よって、まずは排尿に関する介助負担を減らすことが、排泄介助全体の負担を減らすことにつながると考えました。開発時のこだわりとは?ーーー開発時のこだわりや開発秘話を教えてください。誰も思いつかなかったがゆえにどこにもデータがなかったため、まずはデータ集めから始めました。排便の予知に向けて開発を進めていた当初は、開発メンバー自らが実験台となってデータをそろえました。実験の結果、便意を数値化できることが裏付けられ、「排泄までの時間を予測する」第一歩を踏み出すことができました。尿の排泄予測に軸足をうつしてからは、いくつかの介護施設で実証実験を行いました。メンバーが介護施設に通い、介護現場での課題や排泄介助の現実を踏まえ、商品に反映させていきました。「DFree」の想定対象者と費用対効果ーーー施設ではどのように活用されていますか?「DFree」は、データを集めて個人の傾向を把握する必要があるので、一人につき一台使用します。一台導入すると、約3万円以上おむつ代の削減につながるという報告があります。また排泄介助にかかる労働時間に関しても、3割程度削減されたという結果が出ています。ーーー「DFree」はどのような方を想定して開発されているのでしょうか?基本的に、排泄をする全ての方に対して、「DFree」はお使いいただけます。失禁の恐れがある方はもちろん、認知症状が進みご自身で排泄の意思表示が困難な方でも、「DFree」をお使いいただくことで事前にスタッフのかたがトイレに誘導したり、排泄したらすぐおむつを交換するなどの対応をサポートすることができます。「DFree」利用者からの反響ーーー「DFree」に対する反響を教えてください。「DFree」開発にあたり、資金調達方法のひとつにクラウドファンディングを加えました。多くの支援を頂いたのですが、「脊椎損傷のため毎日失便の不安を抱えている」という方や「介護に使いたい」という方から切実なコメントが多く寄せられ、「DFree」に対する期待が大きいことを実感しました。実際に商品を発売してからは、失禁の不安でなかなか外出できなかった方から「これで安心して外出できる」「外出先でも水が飲める」といった声をいただき、外出への心理的な障壁がかなり下げられたと自負しています。ーーー施設の職員からの反響はいかがですか?適切な排泄介助ができるようになったという反響をいただきます。「DFree」の通知を確認することで不要なトイレ誘導が減り、よりタイムリーな排泄介助が可能になり、要介護者、介護者双方の負担が少なくなります。また、認知症の方や病気で尿意を感じにくくなっている方に対しても、デバイスを見ることでトイレ誘導すべきか否かを判断できるので、言葉や表情だけでは分からない部分を補ってくれるという声もあります。ーーー日本にかぎらず、フランスやドイツからも問い合わせがきているそうですね。そうですね。とくにヨーロッパは日本と同様高齢化が進んでおり、人件費も高騰しています。いわば日本と同じ課題を抱えているので、高齢者の排泄に対する関心は非常に高い印象です。すでに世界で最も大きな介護施設への有料サービスの提供がはじまっており、日本以上にニーズが高いと感じます。課題や今後の展開ーーー反響を得て見えてきた課題や今後の展開があれば教えてください。介護施設でお使いいただく場合、課題となるのがネットワーク環境です。ネットワーク環境が完備されている介護施設はまだまだ少なく、導入を阻んでいるという現状があります。また、ナースコールなどの既存システムとの連携がまだできないため、今後はそのあたりの改善を考えています。さらに、施設だけでなく在宅や病院でのリハビリなどにもお使いいただければと考えています。ただし、老々介護をされている方や、独居老人の方など、スマートフォンを持たない方に対してどのように通知するかという問題は、今後取り組んでいくべき課題だと感じています。メッセージ|おむつゼロ社会をめざして「DFree」を利用することで、今までおむつを使っていた人が、おむつなしでも生活できる、そんな未来を目指しています。介護施設では「DFree」でおむつゼロを目指している利用者の方もいらっしゃいます。当社は排泄の自立支援をサポートすることで、利用者のQOLを向上させたいと考えています。そのためにも、排尿だけでなく排便も予知できるデバイスを来年商品化する予定です。新しい機器やシステムを取り入れるのに難色を示す施設も少なくありませんが、介護は介護を受ける方のためのものだと思っています。介護を受ける方が少しでも快適に、尊厳ある生活が送れるよう、ぜひ「DFree」の導入を検討してみてほしいです。編集部まとめ排泄を事前に予知するというこれまでになかった発想から、自立支援を促すユニークな介護ロボット「DFree」。世界中から毎日のように問い合わせが届くという中西氏の言葉からも、排泄は人類共通の課題であることが分かります。排尿だけでなく排便の予知に向けてすでに動き出しているトリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社。「おむつゼロ社会」実現への第一歩は、すでに踏み出されています。

世界初の”実用的な”介護ロボット!食事支援ロボ「マイスプーン」|セコム株式会社

世界初の”実用的な”介護ロボット!食事支援ロボ「マイスプーン」|セコム株式会社

今から15年前、日本で初めての食事支援ロボット「マイスプーン」が発売されました。「マイスプーン」を開発・販売しているのが、セキュリティで有名なセコム株式会社です。なぜ、警備会社が日本初の食事支援ロボットを作るに至ったのか?その背景と、「マイスプーン」の魅力に迫ります。 初めてでもできた!マイスプーンでお菓子を食べてみたーーーよろしくお願いします! お願いします。実際に医療機関などでの患者さま向け初回練習と同じ食事を盛り付けておきましたので、さっそくデモをやってみましょう。 食事の内容は、絹ごし豆腐、キャンディ、ひと口サイズのお菓子、ポテトサラダだ 左手の「マイスプーン」本体と食事が盛ってある専用食事トレイ、飲み物のコップスタンドがセットになっています。 「マイスプーン」は、症状に合わせて3つのモードからお選びいただけます。手動モード、半自動モード、自動モードです。実際は9割以上の方が手動モードでお使いいただいています。手動モードの場合、初回時にマニュアルに沿って操作方法を覚えていただきます。30分程度あれば覚えられます。お試し期間として2週間無料でお貸し出ししているので、ご購入前に使用感を確認していただくことが可能です。 まずは利用者の口元に食物を差し出すスプーンの位置高さを調整します。その後、その位置を「マイスプーン」に覚えさせます。次回からは調整不要で自動的にその位置から始められます。もちろん微調整や再調整も簡単にできます。 操作は顎の位置に合わせたジョイスティックで行います。 ーーージョイスティック1本のみですべての操作を行うんですか? そうです。症状によっては、顎ではなく足や指先で操作することもできます。側頭部にボタンを持ってくることも可能です。標準ジョイスティックは顎で操作する足での操作には強化ジョイスティックとボタンを使用 口元のスプーンの位置を決めたら、あとは食べたいものに自分でピンポイントで狙いを定めます。 ーーーけっこう細かい動きができるんですね。クレーンゲームみたいでコツがいりそうです。 一見難しそうに見えますが、やっていただくと実は非常に簡単なことがお分かりいただけると思いますよ。一度試しにやっていただきましょう。実際に体験させてもらう ジョイスティックは、前後左右の動きにプラスして、上から押し込むという動きがあります。この5つの動きで操作を行います。 まずは、4つに仕切られているエリアのどこにスプーンを持っていくかを決めましょう。前後左右の操作がそれぞれのエリアに対応しています。1回目の操作で、どのエリアへ向かうか指示します。 ーーー右奥のエリアを狙います。 その場合は、ジョイスティックを右に倒します。最初の操作でエリアを選択する 2回目からのトレイの中での操作は、クレーンゲームをイメージしてください。いま狙っていらっしゃるキャンディは細長くて、そのままではつまみにくいですよね。狙いを定めたら、ジョイスティックを顎で真下に押し込んでみてください。 ーーースプーンが横を向きましたね。 食べ物をつかみやすいように、必要に応じてスプーンの向きを変えられるんです。では次につかむところをやってみましょう。つかむ動作は、スプーンの丸みを帯びた方向(この場合は前方向)にジョイスティックを倒すことで指示できます。初めての操作でも棒状のキャンディをつかむことができた ーーーつかめました!すごく簡単ですね。 そうなんです。これで操作は完了です。あとは自動的にさっき記憶させた口元位置まで運ばれます。では、実際にスプーンをくわえてみてください。 ーーー口にくわえた瞬間、お菓子をつかんでいたフォークが引っ込みました。 スプーンにセンサ機能があり、スプーンに口が触れたことをを検知しているんです。検知した瞬間にフォークが引っ込むため、歯が当たったり怪我をすることがありません。スプーンに口をつけている間アームはその場で停止し続け、口を離すと食材を取り込み終わったと判断して、基準の位置(折り畳まれた状態)に戻ります。 ーーーやってみて分かりましたが、細かい動きをすべて指示してるわけではないんですね。 全部自分でコントロールするとなると、操作負担が大きくなってしまいます。マイスプーンでは部分的に動きを自動化し、ピンポイントで操作することで誰でも簡単に扱えるようになっています。 ご年配の方も、はじめは「機械モノは苦手で、私には無理かも」と言われますが、実際にやるとすぐできるようになります。30分の研修を終える頃には、絹ごし豆腐の形を崩さずに食べることや、粘り気のあるもの、ご飯粒の一粒も残さず食べることができます。柔らかい絹ごし豆腐でも形を崩さないご飯粒のような小さなものでもとらえることができる世界初の介護ロボット「マイスプーン」開発背景とは? ーーーありがとうございました。では次に、「マイスプーン」の詳細や開発背景について教えてください。 マイスプーンは、2002年に販売を開始した食事支援ロボットです。専門家からは実用レベルの介護ロボットとしては世界初との高い評価をいただいています。手の不自由な方が身体の一部を動かすだけでご自分で食事ができるようになる、いわゆる自立支援型の介護ロボットです。 ーーーどのような方が利用されていますか? 主に頸髄損傷の方や、ALS、脳性麻痺、筋ジストロフィー、慢性関節リウマチなどの疾患の方にご利用いただいています。 ※頸髄損傷:事故などで首の頸髄を損傷して手足が麻痺する疾患 ※ALS:筋肉を動かす運動神経が次第に衰えていく疾患 ※脳性麻痺:妊娠中から出生直後に脳に損傷を受けたため手足などが麻痺する疾患 ※筋ジストロフィー:筋肉の細胞が次第に衰えていく遺伝性の疾患 ※慢性関節リウマチ:関節が炎症を起こし次第に変形していく疾患 セコムといえば警備という印象がありますが、なぜ介護ロボットの開発をされたのでしょうか? 実はセコムには、セキュリティだけでなくロボティクスとメディカルのノウハウが蓄積されているんです。 1986年、セコムはIS研究所という基礎研究機関を創設し、本格的な警備ロボットの研究をはじめました。ロボティクスの技術や知見が蓄えられていく一方で、医療福祉分野にも乗り出していきます。91年には民間としては日本で初めてとなる本格的な在宅医療サービスを開始するなど、先進的な事業を展開してきました。その過程で、メディカル分野の知識や技術も蓄積されてきたのです。 ロボティクスの技術とメディカル分野のノウハウが結実し、「マイスプーン」という介護ロボットにつながったのです。「自分で意思決定しながら食べたい」に応えて ーーー介護ロボットにはさまざまな種類がありますが、なぜあえて食事支援を選んだのでしょうか?お話を伺った小林茂久氏。マイスプーン発売当初から営業を担当して15年。福祉分野のスペシャリストだ ある障害者の方の、「自分で食事ができたら良いな」という言葉がきっかけです。開発にあたって調査やヒアリングを行ったのですが、食事介助が必要な方の多くは、食事中に遠慮して自分の好きなように食べられずにいる場合があることが分かりました。自分が食べたいものをそのつど頼むのは、要介助者にとって心の負担になってしまうことがあるんですね。そんなとき、自分の手の代わりになるロボットがあれば、気遣いなく食事が楽しめるのではと考えたんです。 先ほど、「マイスプーンは自立支援型の介護ロボットだ」とお伝えしましたが、自立と介助の違いは「自分で意思決定できる」割合の差だと私は考えています。「マイスプーン」の場合、汁物などを食べるのに一部介助が残るものの、基本的には自分で食べたいものや食べるペースを誰の気兼ねなく選ぶことができます。つまり、マイスプーンは多くの方に「自立」を実感していただける用具だと自負しています。 ーーー開発中に気をつけたことやこだわりはありますか? 安全性と操作性ですね。「マイスプーン」には、異常監視機能が備わっています。本来の停止位置ではないところで停止した、つまり顔がぶつかってしまった場合、その場で緊急停止する機能です。操作性に関しても、前述のようにシンプルな操作体系を実現しています。 実は「マイスプーン」は、研究開発に11年かかっているんです。現在の姿になるまでに7回ほど試作を重ねています。その結果、日本人の食生活にもっとも適した動作に特化し、電動車いすなどでも馴染み深いジョイスティックを採用するなど、機能的・操作装置的に最適化されていきました。 「介助者の代わり」ではなく「自分の腕の代わり」ーーー実際に利用されている方の反響はいかがですか? 頸髄損傷の方のケースをご紹介します。「マイスプーン」を使うまでは奥様から食事介助をされていた方ですが、初めて「マイスプーン」を使っていただいたとき、「これなんだよ」と涙を流し始めたんです。お話を聞くと、「自分で食べる」という感覚を長いこと忘れていたけれど、「マイスプーン」を使うことでそれを思い出したんだとおっしゃっていました。一方、ご主人が「これで横にウルサイのがいなくても晩酌できる」と笑顔で話すと、間髪入れずに奥様が「アナタ断酒中でしょ」と合いの手を入れる息の合ったご夫婦もいらっしゃいましたが(笑)。 ーーー実際に体験してみると、「自分で食べている」という感覚が確かにあることを実感できました。 展示会でも同じような反応を頂いています。ご体験のビフォー・アフターでは、「介助者の代わり」から「自分の腕の代わり」へと、正しいご理解をお持ち帰りいただくことができます。発売開始当初は、「機械に食べさせるなんて」というネガティブなご意見があったりもしましたが、最近ではほとんどありません。介護ロボットにたいする意識が急速に変わってきたのを感じています。助成金のアドバイスやプランニングも ーーー利用者の抵抗感はかなり減っているのですね。 そうですね。むしろ今は、より普及しやすい環境づくりこそが急務になってきていると感じます。「マイスプーン」は、日常生活用具給付制度の「自立生活支援用具」の要件を満たしているという位置づけですが、自治体によっては助成を受けられたり受けられなかったりします。助成を受けられる場合は、定価の1/10の4万円弱で購入することが可能です。私どもはマイスプーンを希望される方に、利用者様のかかりつけ医療機関と連携して、自治体ごとの助成に関するアドバイスやプランニングを行っています。 先ほども申し上げたように、介護現場での意識は確実に変わってきており、開発や実証の支援も国の予算で行われていますが、実際にご購入いただく段階での制度面の土台がまだ十分には整っていないのが現状です。「マイスプーン」に限らず、より多くの方に必要な器具をお使いいただくためにも、業界全体で取り組んでいくべき課題だと実感しています。 ちょっとしたことで介助をお願いするのは少し気が引けるけれど、用具を使って「自立」できるようになれたらまったく気を遣わなくて済みます。そんなふうに自分でできることが増えれば、日常生活は今よりもっと楽しくなるかもしれません。「自立支援型」の介護ロボットが色々な生活場面に広がれば、足りなくなっていく介護労働力を「自立」で補えるようになるかもしれません。編集部まとめ 一見するとミシンのような形の「マイスプーン」。実際使ってみると本当に操作がやさしく、思いのままに動くように感じます。 「マイスプーンは介助者の代わりではなく、自分の腕の代わりなんです」という言葉からは、食事から遠慮を取り除きたいという開発者の思いが伝わってきました。「もっとたくさんの食事動作に対応し、外食時に携帯できるようになれば、きっともっと楽しくなりますよね」と語る小林氏。そんな夢のようなロボットができたら、介護の未来も変わるかもしれません。 マイスプーン 本体 名称 マイスプーン 寸法 幅28cm×奥行き37cm×高さ25cm(本体のみ、収納時) 質量 6kg(本体のみ、付属品を除く)  付属品 専用食事トレイ、コップスタンド、専用スプーン・フォーク Aセット 対象 顎や手先などを使って操作棒の軽微な操作が出来る方 料金(税別) お買い上げ:380,000円5年レンタル:6,100円/月 Bセット 対象 体が震えるなどにより、手や足で操作棒をしっかり握って操作したい方 料金(税別) お買い上げ:408,100円5年レンタル:6,600円/月 Cセット 対象 操作棒の操作ではなく、押しボタンで操作したい方 料金(税別) お買い上げ:380,000円5年レンタル:6,100円/月 ※自治体によって、日常生活用具として助成を受けることができます。申請者(一般課税世帯の方の場合)の自己負担額は商品価格の1割(9割助成で自己負担上限額37,200円)となることが多いようですが、給付上限価格が設定(30万円までが助成で超過分は自己負担など)されることもあり、特別区含む市町村(以下、市町村)ごとに助成内容が異なりますので、ご注意ください。

坂道も楽々、だから安心。オートサポート歩行車「リトルキーパス」|株式会社幸和製作所

坂道も楽々、だから安心。オートサポート歩行車「リトルキーパス」|株式会社幸和製作所

TacaoF(テイコブ)というブランドでさまざまな福祉用具を開発、販売している幸和製作所。とくにシルバーカーの分野では、国内でトップシェアを誇っている老舗企業です。そんな老舗の福祉用具メーカーが、ロボット技術をかけ合わせた全く新しい歩行車を開発したとのこと。関東ショールームにお邪魔し、自動アシスト歩行車「リトルキーパス」を体験してみました。事業内容とブランドコンセプトーーー御社の事業内容について教えてください。お話を伺った営業本部 営業2部の今村氏(左)と和多氏(右)当社は、昭和40年創業の総合福祉用具メーカーです。もともとは乳母車ベビーカーの製造販売からスタートしたのですが、石などを積んで前輪が浮かないように乳母車を使用されている高齢者が少なからずいることに気づきました。そこで、はじめから前輪が浮かないように設計し直し、高齢者の方向けに商品化しました。それがシルバーカーの第一号です。昭和45年には国内初のシルバーカーの製造販売を開始し、徐々に乳母車から高齢者向けの歩行補助車に商材をシフトしていきました。現在は、シルバーカー以外にもさまざまな福祉用具や介護関連商品を開発・製造しています。2007年10月には、TacaoF(テイコブ)という新たなブランドを発表しました。TacaoF(テイコブ)というブランド名には、「take care of…のお世話をする」という思いがこめられています。リトルキーパスの開発背景ーーー御社はさまざまな歩行車を製造されていますが、リトルキーパス開発のきっかけはあるのでしょうか?「リトルキーパス」は、従来の歩行車に自動アシスト機能を追加した新しい歩行車です。弊社はこれまで、さまざまなニーズに合わせた歩行車を開発、製造してきました。日本の住環境に合わせ、自動改札も通れるコンパクトな歩行車を始めとして、軽さを追求したもの、突進現象に適したもの、屋内利用に特化したものなど、豊富なラインナップを取り揃えています。幸和製作所 歩行車ラインナップ一例しかし、それでもまだ解決できない課題がありました。それが、上り坂、転倒、横流れという3つの問題です。従来の歩行車では解決できない3つの課題機体を極限まで軽くしても、上り坂になると自身の体重や歩行車の重さがどうしても負担となり、上れないという方は多くいらっしゃいます。また、歩行中に機器が身体から離れてしまうことによる転倒をゼロにするのは、従来の歩行車では非常に困難です。横流れとは、歩行車が傾斜の付いている方向に勝手に流れていってしまう現象です。通常、道路は車道にむかって2°の傾斜がついているので、気をつけていないと車道に寄ってしまうこともあります。また坂道で旋回するときも一苦労です。弊社では、これら3つの課題を、従来の歩行車にロボット技術を加えることで一気に解決しました。それが「リトルキーパス」なのです。リトルキーパスとはーーーリトルキーパスについて詳しく教えてください。リトルキーパスの軽量化モデル「リトルキーパスS」リトルキーパスは、ロボット技術が上り坂・下り坂や転倒につながる急加速、横傾斜を検知し、状況に合わせて全自動でアシストをしてくれるオートサポート歩行車です。ロボット技術の3大要素である、「センサー」「制御」「駆動系」をすべて備えています。3つのセンサーリトルキーパスには、3つのセンサーが搭載されています。静電センサー、ジャイロセンサー、加速度センサーの3つです。静電センサーでハンドルに触れているかを検知し、ジャイロセンサー、加速度センサーで傾斜や急加速を検知します。3モードから選べる制御3つのセンサーで検知した情報にしたがって、危険回避機能や速度制限機能が働きます。速度制限の強さなどは、3モードからお選びいただけます。サポートモード、パワーモード、標準モードです。上り坂の場合、標準モードを基準として、パワーモードはより強めのアシストが、サポートモードは弱めのアシストが働きます。下り坂の場合、パワーモードではやや弱めのブレーキが、サポートモードでは強めのブレーキが働きます。実際に体験してみたリトルキーパスの使い心地を感じていただくために、まずは自動アシスト機能がついていない一般的な歩行車をお試しいただきます。こちらの歩行車は約8kgです。傾斜を上ったあと旋回して、坂を下りてみてください。ーーー上りは8kg程度の重さを感じますね。下りは、けっこうスルスルと進んでいくのでついていくのが少し大変です。ご高齢者の方になると、この8kgの重さが非常な負担になる場合があります。また、下りのスピードについていけず、転倒してしまう恐れがあるんです。次に、リトルキーパスで同様に傾斜を上り降りしてみてください。リトルキーパスの操作性を体験してみる。ハンドルはしっかり身体を支えてくれる馬蹄形だーーー上りなのに、全然重さを感じません。リトルキーパスは14kgありますが、利用者にかかる重力をセンサーとモーターがアシストしてくれるので、重みを全く感じずに歩くことができます。では、上り坂のうえで旋回してみてください。ーーー先ほどは旋回のために横向きになったとき、ずるずると下に落ちていってしまう感じがしたのですが、それを全く感じません。むしろ、私が旋回しようとしているのを読み取ったように、動きをサポートしてくれているかのような感覚があります。傾斜の上にくるタイヤが逆回転することでブレーキがかかる横流れ防止機能のお陰で、非常に安定して旋回できることがお分かりいただけたと思います。旋回時だけでなく、傾斜のある道を歩くときも楽にまっすぐ進むことができます。現在「パワーモード」を体験していただいていますが、「サポートモード」に変更してもう一度お試しください。サポートモードで再挑戦。モード切り替えは設定ボタンを押すだけでオーケーーーー上り坂ではさっきよりも重さを感じます。下り坂のほうがより違いを感じますね。しっかりと身体を支えながら進む、という感じがあります。「サポートモード」は、パーキンソン病やリハビリテーション時など、車体に体重を預けるように使う方向けのモードとしてお使いいただけます。上り坂では弱めのアシストであまり引っ張る力を加えず、下り坂では強く押しても転倒しないよう強めのブレーキがかかります。平坦な道でも常にブレーキをかけて抑速してくれるので、速度が出すぎず転倒を予防します。ーーー同じ機器なのに、モードが変わるだけで別の機器のような使用感ですね。モードを切り替えることによって、1機種でも使い勝手の幅が広がりますよね。ご利用者は要介護度で言うと1~2の軽度者を想定しておりますが、モードを切り替えることで、今まで電動車いすを使っていた重度の方もリトルキーパスをお使いいただけるケースがあります。逆に、抵抗器付きの歩行車を使い始める前の段階にある軽度の方にもリトルキーパスをおすすめしています。軽量の歩行車を使っている方の中には、上り坂に困っているという方が少なくありません。我々は、そういった方には軽量モデルの「リトルキーパスS」を特におすすめしています。ーーーその他の機能を教えてください。異常な加速を検知すると、転倒防止のために自動ブレーキ機能が作動します。また、坂道途中でポストに手紙を投函するなどして歩行車から手を離した場合も、自動でブレーキがかかります。ハンドル部の静電センサーで手を触れているかいないかを検知し、自動ブレーキをかけるあとは、一般的な歩行車についている機能はすべて備えています。例えば休憩椅子やコンパクトな収納、ワンタッチでのハンドル高さの切り替えなどです。折りたたんだところ。形状や折りたたみなどは、既存の歩行車とほぼ同じだ開発のこだわりーーーリトルキーパスのこだわりはどこですか?開発段階では、万が一誤作動や誤使用しても事故につなげさせないために、実際にリハビリセンターや高齢者施設にご協力いただき意見を伺いました。例えば、途中で電源が切れてしまった場合、一番危ないシーンは下り坂なのですが、下り坂でモーターが作動しなくても転げ落ちないよう、後輪に負荷がかかるようにしています。また、電源の切り忘れ対策として、手を離してから約5分接触がなかったら、自動的に電源がオフになるようになっています。もっとも難しかったのは、モードを3つに凝縮した点です。いろいろな組み合わせができるなか、あえてモードを3つに絞ったのは、設定の簡単さ、使いやすさを目指したからです。操作性と汎用性を両立するために、モニタリングでアシストやブレーキの強さを割り出し、それぞれのモードで最適化させました。反響と課題ーーー利用者からの反響を教えてください。一番好評をいただいているのは、やはり坂道での歩行ができるようになったという点です。なかには、車いすからリトルキーパスに乗り換えたという方や、歩行練習のためにリトルキーパスを使用しているという方もいらっしゃいます。手引歩行のような形でリトルキーパスのアシスト機能をお使いいただくことで、歩行の勘を取り戻したり、足の運動を行ったりしているとのことです。そういった意味では、自立支援にもつながる機器だと言えるでしょう。ーーー逆に、反響から見えてきた課題はありますか?人によっては、音声案内が聞こえない、または不要といったご意見をいただくことがあります。「リトルキーパス」では異常事態時などの音声案内が、「リトルキーパスS」では追加で電源OFF時に歩行距離をお知らせしてくれる音声案内機能がついています。あとは、まだまだロボット技術を搭載した歩行車の知名度が低く、なかなか受け入れられないという点が課題です。研修会を随時開始しているので、使い心地や操作の簡単さをアピールしていきたいと考えています。メッセージーーー最後にメッセージをお願いします。テイコブのブランドコンセプトとかぶりますが、使われる方はもちろん、介助する方や介護職員の方含めて、介護に前向きになれる社会を作っていきたいと考えています。そのために、皆さまが楽しみや喜びを感じることができる商品を、これからも開発していきたいと思っています。「介護保険で借りられるなんて知らなかった」「初めて触った」等とおっしゃる方もまだまだ多く、一般の歩行車に比べたらなかなか知っていただく機会が少ないのは事実ですが、弊社の関東ショールームは一般の方に向けても随時公開していますので、興味のある方はぜひ一度体験しに来ていただければと思います。編集部まとめ「リトルキーパス」を体験して、「自動アシストがあるとこんなに歩行が楽になるのか!」と驚きを覚えました。上り坂ではまったく重さを感じず上ることができ、下り坂では「リトルキーパス」に身体を預けるようにして自分のペースで下れるので、従来の歩行車とは安心感が別次元です。坂道の歩行に不安を覚えている方には、ぜひ一度試してみてほしいと感じました。 品名 リトルキーパス 品番 WAW10 組み立て寸法 幅545×奥行670×高さ900~1080mm 折りたたみ寸法 幅545×奥行505×高さ930mm 重量 約14kg(標準バッテリーパック装着時) 最大使用者体重 75kg 連続動作時間 約4時間(標準モード・通常歩行・標準バッテリーパック使用時) 充電時間 約2時間 サイクル寿命 500回 価格 185,000円(税抜) 品名 リトルキーパスS 品番 WAW14 組み立て寸法 幅475×奥行580×高さ640~910mm 折りたたみ寸法 幅475×奥行445×高さ730mm 重量 約9kg(標準バッテリーパック装着時) 最大使用者体重 75kg 連続動作時間 約4時間(標準モード・通常歩行・標準バッテリーパック使用時) 充電時間 約3時間 価格 148,000円(税抜)

自立支援につながる移乗ロボット「愛移乗くん」|株式会社アートプラン

自立支援につながる移乗ロボット「愛移乗くん」|株式会社アートプラン

移乗支援ロボットというと、介護者が装着するタイプを思い浮かべがちです。しかし、要介護者の自立支援につながる移乗ロボットもあるんです。それが、株式会社アートプランが開発した「愛移乗くん」。下半身が動かない方でも、おんぶの姿勢ができれば自分で移乗ができる自立支援型移乗補助装置開発のきっかけや、新商品「愛移乗くんⅡ」や「愛移乗くんN」 についても聞いてきました。株式会社アートプラン代表取締役 渡辺氏に話を伺った全くの異業種から始めた 「愛移乗くん」開発当社は、産業用の自動化・省力化機械装置をオーダーメイドで設計・製作している会社です。クライアントのニーズに合わせてさまざまな製品を開発しています。したがって、これまでの当社の売り物はいわば「技術力」でした。しかし次第に、当社の経営理念でもある「地域社会の発展」に貢献するために、自社製品を持ちたいと考えるようになりました。そこで、あるきっかけから全くの異業種である福祉分野に参入し、今回ご紹介する自立支援型移乗補助装置「愛移乗くん」の開発をはじめました。「愛移乗くん」は平成24年に販売開始して以来多くの方からお問い合わせをいただいています。また、今年の8月には、新機種「愛移乗くんⅡ」ならびに、「愛移乗くん」の改良バージョン「愛移乗くんN」の販売を予定しています。 自立支援型移乗補助装置 「愛移乗くん」とは?ーーー「愛移乗くん」について教えてください。「愛移乗くん(あいじょうくん)」本体。ヘッド部やヒザ当て部は淡いグリーンで安心感を演出「愛移乗くん」とは、下半身に障害がある方が、ベッドから車いす、またはトイレなどに移乗するときに使う、移乗補助装置です。ご利用者は、「愛移乗くん」におんぶされるイメージで寄りかかり、リモコン操作で90°回転し、ベッドから車椅子やトイレに移乗することができます。 愛移乗くんの2つの特徴「愛移乗くん」の主な特徴は2つです。1つ目は、下半身に不具合がある方でもご利用いただけるという点です。装着型の移乗支援機器などは、ある程度下半身に力を入れられる方でないと使用できないものがありますが、「愛移乗くん」の場合は、下半身が全く動かない方でも、おんぶの姿勢(腰を30~40度まで曲げる姿勢)ができればご利用いただくことが可能です。2つ目の特徴は、介助者の手を借りずに要介護者が自身で操作し移乗ができるという点です。ベッドから車いすに移動したいという場合は、「愛移乗くん」を利用することで自分の好きなタイミングで移動できます。また、通常トイレ介助は移乗介助する人(要介護者の身体を支える)とズボンを下ろしたり清浄したりする人の2名で行われますが、「愛移乗くん」があれば1名の介助で事足ります。開発のきっかけは「地域貢献」への思いーーー「愛移乗くん」開発のきっかけを教えてください。先ほど申し上げたとおり、当社はクライアントのニーズに応え、オーダーメイドで産業用の自動化機械装置を開発してきました。しかし、もっとダイレクトに地域社会の発展に貢献するため、消費者の方に直接役立つ機器を自社開発したいと考え続けてきました。より具体的に言うと、社会のなかでもとりわけ支援を必要としている方々に向けて、福祉機器が作れないかと日々思案していました。そんなとき、滋賀県立大学工学部 安田寿彦准教授より、「自立支援型移乗補助装置」のシーズ発表がありました。施設等で介助をしている方は時間に追われ、介助者が使用する移乗補助器具は使用されない傾向にあり、要介護者の自立を支援する移乗補助装置が必要とのことでした。その発表を聞いたとき、「これなら当社の技術力で商品化が可能だ」と感じたんです。そこで、平成21年からさっそく開発をスタートしました。しかし、折しもそのときリーマンショックが起こり、このままでは開発が続けられないという事態に陥りました。そこで自治体の補助金に申請を出したのですが、「ニーズが不明確」という理由で不採択となっていまいます。我々はニーズの検証として、彦根市を中心に近郊の施設等へアンケート調査を約半年間行い、施設全体でも約50%の方が「自立支援型移乗補助装置」を必要としていることを突き止めました。その後、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「福祉用具実用化開発推進事業」に採択され、ようやく開発が軌道に乗ったのです。 愛移乗くんの3つのこだわり  ーーー施設の約半数でニーズがあることが分かったのですね。開発ではどのようなことにこだわりましたか?開発でこだわったのは、使い心地、量産化に向けたコストダウン、耐久性です。使い心地に関しては、開発段階で近辺の施設に応援を要請し、乗りやすさや降りやすさについて意見をもらいました。量産化に向けたコストダウンでは、これまでのオーダーメイド機器とまったく開発方法が異なるため、試練の連続でした。通常オーダーメイド機器を開発する場合は、コストをかけてでも安全性の高いものを作り上げます。しかし量産機では、安全性とコストのバランスを取る必要があります。どんなに安全性が高くても、価格が高すぎると普及しないからです。ですので、安全性を担保しつつコストをできる限り抑えるため、幾度も改良を繰り返しました。耐久性に関しては、介助者が1日に行う移乗動作回数は5回~15回であることから、20回/日×365日×5年=約4万回の計算で耐久試験を実施しました。利用者からの反響は?ーーーすでに多くの家庭や施設で「愛移乗くん」が導入されていますが、反響はいかがですか?施設からは、移乗にともなう身体的負担はもちろん、腰痛の防止につながるという声をいただいています。在宅介護をされている方からも、身体的負担が軽減されたという喜びの声をいただきます。奥様の介護を旦那様がされているあるご家族では、一人で移乗介助、とくにトイレでの介助が非常に大変だったとのことです。しかし「愛移乗くん」をご利用いただいてからは、身体を支える必要がなくなるので、とてもスムーズに介助できるようになったとおっしゃっていただけました。ーーー一人で介助にあたる必要が多い在宅介護では、とくにニーズがありそうです。そうですね。「愛移乗くん」は施設でご利用いただいている割合のほうが多いですが、実は在宅介護をされている方からのニーズのほうが多いと感じています。在宅介護でも必要に応じてデイサービスなどを利用することはできますが、それ以外は基本的にご家族が介護にあたらなければならないですよね。しかし在宅介護をされている方は自分の仕事があったりして、必ずしも常に要介護者をケアできるとはかぎりません。そうなると、トイレ介助に限界があるからということで、おむつでの対応に切り替えるケースがあります。しかし「愛移乗くん」があれば要介護者自身の操作で移動ができるため、トイレもしくはポータブルトイレの使用期間を長引かせることができます。「自分でできることを、できる限り自分でする」という自立支援の側面からも、「愛移乗くん」は評価していただいています。「愛移乗くんⅡ」は、これまでの安全性や耐久性はそのままに、より利便性を高めた新商品「愛移乗くんⅡ」とは?ーーー要介護者の方も、気兼ねせず移乗できれば精神的な負担の軽減につながりそうです。8月に販売開始予定の「愛移乗くんⅡ」は、これまでの「愛移乗くん」とどう違うのでしょうか?もっとも大きな違いは、おんぶの姿勢がとれない、腰が曲がらない方でもご利用いただけるようになったことです。「愛移乗くん」を商品かしてから、デモに来てほしいという問い合わせを施設からいただくことがありますが、そのなかの一つに、腰が曲がらない方が多く入居されている施設がありました。その職員の方から、そのような方々の移乗ができればとご意見をいただいたことが、「愛移乗くんⅡ」の開発につながっています。施設での使い心地を考えた5つの改良ーーーそれ以外にはどのような違いがありますか?「愛移乗くんⅡ」では、施設での使い勝手を良くする5つの改良が施された「愛移乗くんⅡ」ではこれまで以上に施設での利用を考慮し、利便性を高めるための改良をおこなっています。例えば、リモコンのコードレス化、バッテリーを搭載したことによる本体のコードレス化、本体移動がワンタッチでできるキャスターの改良、防滴仕様などです。これらの改良点は今ある「愛移乗くん」にもフィードバックし、「愛移乗くんN」として販売を開始する予定です。今後の展開や課題ーーー課題や今後の展開はありますか?重度の方やさまざまな症状の方向けに改良し、より多くの方がご利用いただけるよう「愛移乗くん」をシリーズ化していきたいです。例えば、「愛移乗くんⅡ」では腰が曲がらない方でもご利用いただけるようになりましたが、片麻痺の方にはまだ対応できていません。「愛移乗くんⅢ」では、そういった方々でもご利用いただけるよう、バージョンアップを図っていくつもりです。ーーー最後にメッセージをお願いします。介護の人材不足が問題になっているなか、介護施設では今後ますます省人化が進んでいくはずです。しかし、既存のオペレーションでは省人化にも限界があるのではと思います。介護ロボットの導入と同時に、抜本的なオペレーションの見直しが不可欠になっていくのではないでしょうか。例えば現在の介護施設では、1日の約30%~50%の時間を要介護者の付き添いに割いていると言われています。これは、要所要所での移乗介助が必要だからです。移乗介助が必要な場所に「愛移乗くん」を固定的に設置することでその手間を減らし、一人で動ける人は一人で動くというローテーションに変更すれば、かなりの省人化につながるはずです。「愛移乗くん」にかぎらず、介護ロボットをより有効活用するためにも、介護施設、介護業界全体で仕組みづくりの見直しをすべきだと考えています。編集部まとめ介護者ではなく、要介護者が利用する移乗介護ロボット「愛移乗くん」。装着型の移乗介護ロボットが介護者の腰痛防止や負担軽減を目的としているのに対して、「愛移乗くん」は要介護者の自立支援にも配慮しているのが大きな特徴です。在宅介護にも使えるのはもちろん、「愛移乗くんⅡ」では施設での使い勝手をさらに高め、より多くの人が使えるように改良されています。「地域社会の発展のためにも、今後はバリエーションを増やしていきたい」という言葉に頼もしさを感じます。愛移乗くん 商品名 愛移乗くん 寸法 770(全長)× 350(幅)× 970(高さ)mm 重量 30kg 耐荷重 80kg レンタル 介護保険対象商品 販売開始 2012年11月 販売価格 39万8千円(非課税) ※テクノエイド協会資料より抜粋http://www.techno-aids.or.jp/robocare/pdf/jirei_02.pdf愛移乗くんⅡ 商品名 愛移乗くんⅡ 販売開始 2017年8月予定 愛移乗くんN 商品名 愛移乗くんN 販売開始 2017年8月予定

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