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介護ロボット関連ニュース

市場規模500億円にむけて本格始動!平成30年度の介護ロボット関連事業まとめ

市場規模500億円にむけて本格始動!平成30年度の介護ロボット関連事業まとめ

2017年12月22日、2018年度予算案が閣議決定されました。平成30年度も、介護ロボット関連事業に予算がついています。これにより、介護ロボットの開発や導入への補助金がでるケースもあります。ここでは、主に経済産業省と厚生労働省の介護ロボット関連事業についてまとめます。ロボット介護機器開発・標準化事業(経済産業省)経済産業省は、「 ロボット介護機器開発・標準化事業 」に11億円の予算をあてました。 ロボット介護機器開発・標準化事業 平成30年度から平成32年度までの3年間の事業。最終的には、ロボット介護機器の国内市場規模を約500億円へ拡⼤することを目標としています。 おもな事業内容は、「開発補助」と「海外展開のための環境整備」の2つです。自立支援型ロボットの開発補助厚⽣労働省と連携して策定した「ロボット技術の介護利用における重点分野」に該当する介護ロボットの開発を補助します。具体的には、開発にかかる費用を最大1億円まで国が補助します。海外展開にむけた環境整備安全性に関する国際規格 (ISO13482)とEUの基準適合マーク(CEマーク)との連携を進めることで、介護ロボットの海外展開を推進します。介護ロボット開発等加速化事業(厚生労働省)厚生労働省は、昨年度に引き続き「介護ロボット開発等加速化事業」を実施する予定です。平成30年度は、昨年度の倍にあたる6億円を予算にあてています。 介護ロボット開発等加速化事業 介護ロボットの提案から開発までを牽引するプロジェクトコーディネーターを配置し、着想段階から介護現場のニーズを開発内容に反映させるほか、試作機へのアドバイス、開発された機器を用いた効果的な介護技術の構築など、介護ロボット等の開発・普及の加速化を図ります。昨年度の「介護ロボット開発等加速化事業」では、おもに3つの事業が展開されました。ニーズ・シーズ連携協調のための協議会の設置開発前の着想段階から介護ロボットの開発の方向性について開発企業と介護現場が協議し、介護現場のニーズを反映した開発の提案内容を取りまとめる協議会を設置します。報告書によれば、平成28年度は排泄支援、入浴支援、移乗支援、見守り支援などの分野で意見交換がなされています。 福祉用具・介護ロボット実用化支援事業介護現場のニーズに適した実用性の高い介護ロボットの開発が促進されるよう、開発中の試作機器について介護現場での実証、 成果の普及啓発等を行い、介護ロボットの実用化を促す環境を整備します。1月23日には 介護ロボットフォーラム2017の開催も予定しています。 介護ロボットを活用した介護技術開発支援モデル事業介護ロボットの導入を推進するために、使用方法の熟知や、 施設全体の介護業務の中で効果的な活用方法を構築します。具体的には、介護ロボットを活用した介護技術の開発までを支援するモデル事業を実施します。厚生労働省による成果概要によれば、平成28年度は2つの見守り支援ロボットが事業に採択され、効果的な活用方法などを模索したとのことです。平成30年度、これまでと何が違う?介護ロボット関連事業を主導してきた経済産業省と厚生労働省。介護ロボットの開発や普及に力をいれはじめたのは、2013年(平成25年)に閣議決定された「日本再興戦略」がきっかけです。日本の成長戦略を示したこの戦略には「ロボット介護機器開発5か年計画」 が盛り込まれており、これまで原則的にはこの計画にしたがって事業が展開されてきました。 「ロボット介護機器開発5か年計画」 の開始から5年目にあたる平成30年の介護ロボット関連事業は、これまでと何が違うのでしょうか?経済産業省は「自立支援型」ロボットを強調経済産業省による「ロボット介護機器開発・標準化事業」では、これまで以上に「自立支援型」のロボットが強調されています。「ロボット介護機器開発・標準化事業 」の前事業にあたる「ロボット介護機器開発・導入促進事業 」では、どちらかというと介護従事者の負担軽減が強調されてきたのに比較すると、これは大きな変化といえるでしょう。厚生労働省は大型の補助金制度はないものの、倍の予算で普及に注力厚生労働省は今回、「介護ロボット開発等加速化事業」にて昨年の倍にあたる6億円の予算をあてました。 52億円の予算をあてた 2015年(平成27年)の「介護ロボット等導入支援特別事業」ほど目立つものではありませんが、それでも「介護ロボットの普及や活用法の確立に力を入れていこう」という思いが読みとれます。同時に、ICT化による介護事業所の生産性向上にも注力してく方針もうちだしています。「介護事業所における生産性向上」事業には9億円の予算があてられており、少ない人材で最大限のパフォーマンスがだせるシステムづくりを構築したい考えです。目標「市場規模500億円」は実現するか?経済産業省は、介護ロボットの国内市場規模を約500億円へ拡⼤することを目標にかかげ、開発や海外展開にむけた準備をはじめています。平成30年度の介護報酬改定でも、見守りロボットに報酬加算が適用されるなど、介護ロボット業界はにわかに盛り上がりをみせています。しかし、価格の高さなどの理由から介護ロボットの普及率はまだまだ高いとはいえず、開発にも課題が残ります。果たして、「市場規模500億円」は実現するのでしょうか?今後も介護ロボット関連事業の動きに注目です。<参考資料>経済産業省「 平成30年度経済産業省関連予算案等の概要 」(2018/01/10取得)経済産業省「 ロボット介護機器開発・標準化事業 」(2018/01/10取得)厚生労働省「 平成30年度厚生労働省予算概算要求の概要 」(2018/01/10取得)厚生労働省 老健局「 老健局PR版本文(30概算要求) 」(2018/01/10取得)

「介護は誰にでもできる仕事」!?ロボットに沸く今、改めて考えたい介護職の将来性

「介護は誰にでもできる仕事」!?ロボットに沸く今、改めて考えたい介護職の将来性

介護福祉士は、数ある介護系資格のなかでも唯一の国家資格として知られており、合格のためには幅広い知識を学ぶ必要があります。介護福祉士はいわば介護の専門家ですが、介護職の専門性についてはたびたび議論されてきました。昨今では、ホリエモンこと堀江貴文氏が自身のTwitterにて「 介護は誰にでもできる仕事 」と発言し議論を巻き起こす一方で、政府は「経験・技能のある職員」を中心に8万円相当の処遇改善を図ると発表し、専門性のある介護人材を高く評価しようという動きもあります。介護の仕事は、果たして本当に「誰にでもできる」のでしょうか?また介護の専門性は、いったいどこにあるのでしょうか?介護の専門性に関する調査をひもときつつ、今後の介護職に求められる専門性について考えてみました。介護の専門性にたいするさまざまな声自身も服役中に介護を経験したことのある堀江氏による「 介護は誰にでもできる仕事 」という発言は、多くの人にさまざまな反応を呼び起こしました。 介護を「専門的な仕事ではない」と考える人も少なくない一方で、「専門知識や技術が求められる専門職である」と考える人も多くいます。 介護福祉士という資格の専門性はもはや無いと言って過言でない— なごや (@SMOKING_nago121) 2017年11月22日 いやでも保育士と介護士は専門性は比較的低い方なのでは— 安西先生、楽して痩せたいです (@handgasitaidesu) 2017年10月13日 保育士も介護士も専門性高いよ。— gadrinium@インフル警戒モード (@gadrinium) 2017年10月17日 介護は本当大変な仕事。体力、精神力ももちろんだけど、疾患理解や医療知識だって必要なのに、現状は人手不足によって無資格で出来てしまう所もある。うちの病院も然り。でもものすごく専門性の高い仕事だから、もっと評価されてもいいと思うんだよな。— か し (@ryu52sora41) 2017年11月14日 こうした議論が生じる原因のひとつに、専門性がオープンでないことがあげられるでしょう。そこで厚生労働省は、介護施設や事業所が「専門性が必要」と認識している業務を明らかにする調査を行いました。次章では、その内容をまとめていきます。報告書からわかる、施設が求める介護の専門性厚生労働省は、「 介護人材の類型化・機能分化に関する調査研究事業 」にて、介護施設がどのような業務を「専門性が高い」と認識しているのかを調査しました。調査にあたって、介護人材は専門知識の度合いによって下記の5段階に分類されます。介護業務は、下記の7つに分類されます。各業務の専門性に対する施設の認識は、「各業務をするのに最適な人材は、5段階のうちどの人材か」を答えるというかたちで調査されました。たとえば、「a.身体介護の実施」に最適な人材として「4.より専門性の高い知識、技術を有する介護福祉士等」を選んだ場合、「a.身体介護の実施」には高い専門性が必要だと認識しているといえます。生活援助は専門性が低い?1~3の業務を比較した場合、施設・事業所は「生活援助」<「身体介護」<「特定ケア」の順に専門性が高くなると認識していることが分かりました。とくに老健では、約半数の施設が「知識、技術をそれほど有しない者」が「生活援助」に適任であると認識していることから、「生活援助には高い専門性は必要ない」という考えが読みとれます。生活援助ヘルパーを新設する動きもこうした調査に合わせて、生活援助を行うヘルパーの基準を緩めようという動きが出はじめています。厚生労働省は、短期間の研修で生活援助をできるようにするヘルパーの基準緩和を提案しました。間口を広げて人材を確保する一方で、生活援助の基本報酬を下げる狙いがあると考えられます。この提案に対して、日本ホームヘルパー協会は強い反発を示しました。「生活援助は誰にでもできる仕事ではない」と主張したうえで、生活援助は「単なる家事代行サービスではなく、重度化を防いでいる」と訴えています。生活援助のなかで利用者の状況を把握し、コミュニケーションを通して「日々の暮らしを支えている」という主張は、「生活援助には専門性が必要なく、誰にでもできる仕事だ」という見解だけでなく、「生活援助」をその他の業務と切り離して考えること自体の是非を問うことにもつながるといえるでしょう。専門性が高いと考えられている業務は?逆に、専門性が高いと認識されている業務はどれなのでしょうか?介護人材の類型化・機能分化に関する調査研究事業報告書によれば、「アセスメントの実施」や「介護計画の作成」は、「介護福祉士」および「より専門性の高い知識、技術を有する介護福祉士等」が適任だと認識している施設の割合が高いことがわかりました。また「情報収集」はもちろん、それをふまえた「ケアの提案」も「介護福祉士」および「より専門性の高い知識、技術を有する介護福祉士等」が適任だと認識しています。つまり「介護計画」や「情報連携」などの業務には、高度な専門性が必要だと考えているということです。地域包括ケアで、医療従事者とのやりとりが増える「情報連携」のなかでも、今後とくに増えていくと考えられるのが「外部の機関や事業所からの情報収集」「外部の機関等に対するより良いケアの方法の提案」です。その背景に、地域包括ケアシステムの推進があります。地域包括ケアシステムの構築には、医療と介護の連携が不可欠です。高齢者が住みなれた地域で生活をしていくために、医療スタッフと介護スタッフはともに意見を出し合ってケアの方針を決めていく必要があるからです。つまり、介護福祉士は医療スタッフと対等に議論できる高度な知識と、外部機関とやりとりする高いコミュニケーション能力が求められることになるのです。「生活援助」のような専門性が低いと思われている業務を介護福祉士以外に任せようという動きがある一方で、介護福祉士にはより専門性の高い業務を求められていくといえるでしょう。「介護ロボットが人の代わりに介護する」にひそむ誤解専門性の低い業務を介護士以外に任せようとする動きの極点に、介護ロボットがあります。「人間の代わりにロボットが介護してくれる」という介護ロボットの一般的なイメージがそれを表しているといえるでしょう。しかし現在の介護ロボットは、「人間の代わりに介護する」というレベルには達していません。実際には補助的な役割を担っているだけです。すでにロボット掃除機が一般家庭にも普及しつつありますが、あくまで「掃除」という作業の一部分をカバーするにとどまります。ホームヘルパーが利用者の暮らしやすさを考えながら生活の基盤をととのえ、部屋の乱雑さから心身状態を把握し、それに合った対応をするのと比較すると、「介護」というには程遠いことがわかります。こうした介護の奥深さに、介護ロボットがこれからどれほど対応できるようになるかは疑問ですが、一見「作業」のように見える掃除も、利用者の状態や症状を把握するために不可欠な「専門業務」となりうることを忘れてはなりません。介護福祉士の将来性は暗くないたびたび議論される「介護の専門性」。政府は、超高齢社会の到来にともなう介護の人手不足や財源不足から、介護人材を機能分化してより効率よく介護できるようにしようと模索しています。しかし介護における各業務を切り離して、それぞれの専門性をはかることがはたして正しいといえるのかという疑問は残ります。「生活援助」と「情報収集」が地続きにあるとすれば、「生活援助」をロボットや介護関係者以外が行うことでよりよい介護が妨げられる危険性もでてくるからです。いずれにせよ、介護福祉士が今後ますます高い専門性を求められるのは間違いありません。専門性には、医療従事者と対等に話せる介護知識や、介護ロボットを使いこなす技術力などが含まれるでしょう。同時に、高い専門性に見合った待遇が整備されていく必要もあります。実際、政府は「経験・技能のある職員」を中心に8万円相当の処遇改善を図ると発表しました。介護福祉士の将来性は、必ずしも暗いわけではありません。少しずつではありますが、その専門性が認められてきているといえます。介護業界に対する誤解を解いてイメージアップを図るためには、介護職からの情報発信がますます重要になってくるでしょう。 <参考資料> 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(2016年3月)「 介護人材の類型化・機能分化に関する調査研究事業報告書 」 厚生労働省(2017年9月13日)「 第147回社会保障審議会介護給付費分科会資料 」 

【第1回】教えて、大川先生! ~介護ロボットって、そもそもなんですか?~

【第1回】教えて、大川先生! ~介護ロボットって、そもそもなんですか?~

最近よく耳にする“介護ロボット”。見守りロボットが夜勤職員の代わりとして認められるなど、その存在感は日に日に高まっています。近い将来、多くの介護職員が介護ロボットといっしょに働くことになるのは間違いないでしょう。一方で、「介護ロボットについて興味があるけど、どこで勉強すればいいかわからない…」「いざ介護ロボットを使わなければいけなくなったときが不安…」そんな思いを抱えている人も多いはず。だから介護ロボットONLINEは、「よくする介護」や介護ロボットにくわしい大川弥生先生に、 介護ロボットにまつわるアレコレを対話形式でじっくり教えてもらうことにしました! 第一回目は、「介護ロボットって、そもそもなんですか?」という素朴な疑問を大川先生に聞いてみます! インタビュー風景(場所:国立研究開発法人 産業技術総合研究所 ロボットイノベーション研究センター) 「教えて!大川先生」とは?ICFの権威でありながら、介護ロボットにも精通している大川弥生先生に、介護ロボットにまつわるアレコレを対話形式でじっくり教えてもらうコーナー。介護ロボットについて勉強しながら、「介護って何?」「ICFについて知りたい」「よくする介護のためには、どうすればいいの?」など、介護そのものについても勉強できます。登場人物 大川弥生先生。国立長寿医療センター研究所生活機能賦活研究部部長。「よくする介護」やICFにおいて国内の権威でありながら、介護ロボットについても詳しい。2015年には、コミュニケーションロボットの実証試験も担当する。著書に「『よくする介護』を実践するためのICFの理解と活用ー目標思考的介護にたって」(中央法規出版、2009)「新しいリハビリテーションー人間『復権』への挑戦ー」(講談社現代新書、2004)などがある。 かい ごろうくん。大学卒業後、介護職員として働き始めて2年目。ようやく仕事に慣れてきて、自分なりに「要介護者にとってよりよい介護とは何か」を考えるようになってきた。大川先生の著書は何度も読んでいる勉強熱心な24歳。 介護ロボットのイメージ 大川先生、はじめまして!ぼくは介護職員として働き始めて2年目になるのですが、最近よく「介護ロボット」について耳にします。将来的にはぼく自身も介護ロボットをつかって仕事をすることになると思っているんですが、じつは介護ロボットについて詳しく知らないんです。大川先生のことはICFの勉強をしているときに知ったのですが、先生が介護ロボットにも詳しいということを最近知ったので、ぜひ教えてほしいと思って伺いました。よろしくお願いします! ごろうくんには、「今後自分も介護ロボットを使うことになるかもしれない」という危機感があるんですね。たしかに、介護ロボットの研究開発は活発になってきました。いずれは多くの介護職員の方が介護ロボットとともに介護をすることになるでしょう。さっそくですが、介護ロボットと聞いてどういうものをイメージしますか? 介護ロボットのイメージ?うーん、ドラえもんとかガンダムみたいな感じかなあ…。あとは、力を増強してくれるパワードスーツみたいなものも最近よくききますね。 現在活躍している産業用ロボットとは? たしかに「ロボット」と聞くと、人間の形に近いロボットを思い浮かべがちですね。またあなたがおっしゃるとおり、力をアシストするようなものもあります。ところで、実際に現在活躍しているロボットがどんなものかは知っていますか? そういえば、友達が勤めている自動車工場では、ロボットがボディの塗装をしているって言っていたなあ。 そうしたロボットは、産業用ロボットと呼ばれます。現在活躍しているロボットのほとんどは、この産業用ロボットと呼ばれるものです。産業用ロボットとは、労働者の作業を代わりにやってくれるロボットのこと。これが、今のロボットの現状なんです。 介護ロボットの目的とは? 人型の介護ロボットやパワードスーツにも、「介護者の代わりに介護してくれる」というイメージがあります。実際、「介護ロボットは介護者の負担を軽減する」っていう話もよく聞きますし…。 なるほど。でも実は、「介護者の作業を代行する」ことが、介護ロボットの第一の目的ではないんです。 え!そうなんですか?じゃあ、介護ロボットの目的って、いったいなんなんですか? そこをいっしょに考えていきましょう。 ここがポイント! ・現在活躍している“産業用ロボット”。おもに工場などでつかわれ、組立や搬送、塗装、溶接など「労働者の作業を代行する」ことを目的に開発されている。・一方“介護ロボット”は、「介護者の作業を代行する」ことが目的ではない。「介護者の負担を軽減する」ことだけが介護ロボットの役割という考え方は誤り。介護ロボットは介護を受ける人のためにある 介護ロボットは、介護者の作業を代行するわけではないということを理解いただけたと思います。実際、産業用ロボットと介護ロボットは、本質的にまったく違うものなんです。どこが違うかわかりますか? 本質的な違い…?産業用ロボットは労働者の作業を代行するけど、介護ロボットは介護者の作業を代行するわけじゃない…つまり…うーん。 ちょっと難しいですね。大事なのは、「介護とは何か?」をもう一度考えてみることです。ヒントは、私の著書にも書いてありますよ。 じつは今日、先生の著書「『よくする介護』を実践するためのICFの理解と活用」を持ってきました!大川弥生(2009)『「よくする介護」を実践するためのICFの理解と活用ー目標指向的介護に立って』中央法規出版 「介護」とは何か…この部分かな? 介護の対象は「活動」の不自由をもっている一人の「人」です。(中略)そして、その「人」の「活動」への働きかけが、現在および将来の生活機能にどのような意義をもつかを見ます。 出典:「よくする介護」を実践するためのICFの理解と活用 思い出してきたぞ。介護の主役は「人」で、その人の「活動」を「よくする介護」が“最良の介護”なのだったな。ということは介護ロボットも、介護者だけでなく介護を受ける人のためにあるものということか!そこが、産業用ロボットとの大きな違いなんじゃないかな? そのとおり!介護ロボットは、じつは介護を受ける人を「よりよくする」ためにあるんです。 だからこそ介護ロボットでまず考えていただきたいのは、「介護ロボットとはなにか」ではなく、「よくする介護のために、介護ロボットをどう使えばいいか」あるいは「どのような介護ロボットが必要なのか」という点なんです。 ここがポイント!・介護ロボットは介護者のためではなく、「よくする介護」の実現のためにある。・介護ロボットそのものではなく、「介護ロボットを介護の中でどう使うか?」が大事。 次回は「よくする介護」にフォーカス! 介護ロボットって、介護者の負担軽減のためにあるわけじゃないということがわかって、安心しました。正直にいって、負担を軽減するためだけだったら、介護ロボットなんて必要ないんじゃないかと思っていたんです。ぼくはまだ若いからたくさん動けるし、今後のことを考えて腰を傷めないような移乗を心がけているし…。でも、「よくする介護」のためにあると考えると、ぜひ使ってみたくなりました!次回は、「よくする介護」についてくわしく教えてほしいです! では次回は、「よくする介護とは?」という問題に踏み込んでいきましょう。その流れで、ICFについてもおさらいしていきます。ごろうくん、ぜひ予習しておいてくださいね!<参考資料>大川弥生(2009)『「よくする介護」を実践するためのICFの理解と活用ー目標指向的介護に立って』中央法規出版 ※本コンテンツの文章および図表の引用・転載を希望される方は、 介護ロボットONLINE問い合わせフォーム よりご連絡ください。

在宅介護経験者の僕がBOCCOを選んだ5つの理由【介護×IoT】

在宅介護経験者の僕がBOCCOを選んだ5つの理由【介護×IoT】

介護エンジニアが考える在宅介護みなさん、初めまして。介護システムのエンジニアをしている福村浩治です。私には身内に障害者がいたため、長らく在宅介護をしていた経験があります。介護エンジニアという職業柄、なんとかITの力を使って介護を便利にできないかと、これまでさまざまな方法を模索してきました。そんな試行錯誤の様子を「 介護×IoT 」というブログで発信しています。ここでは、介護エンジニアとして、また在宅介護経験者として、在宅介護をより良くする方法をみなさんに発信していければと考えています。BOCCOを活用した在宅介護今や一般的になってきたネットワークカメラによる見守り。カメラ映像を確認するだけでなく、必要に応じて遠隔から声をかけることもできます。私も使ってみましたが、会社にいるときや外出中でも自宅を確認することができて、非常に便利でした。しかし、電車の移動時など周りに人がいるときに話しかけるのは、少々抵抗を感じます。そこで、スマホから送ったテキストメッセージを音声で再生してくれる製品を探していました。「できれば月額料金は無く、手の届きそうなものを…」と探したときに見つけたのが、ユカイ工学のBOCCOです。今回は、私がBOCCOを選んだ理由についてお話していきます。BOCCOとは?画像: シンプルなのに使い方無限大!家族をつなぐロボットBOCCO|ユカイ工学株式会社 よりBOCCOとは、在宅介護の見守りにも使えるコミュニケーションロボットです。BOCCOを使うことで、声が出せない状況での声がけ、一緒に介護している家族との情報共有、家の中の状況把握などが可能になります。また、他のサービスと連携することで機能の拡張が可能になり、工夫次第で生活が便利になります。BOCCOを選んだ5つの理由BOCCOにはさまざまな可能性がありますが、現在私が感じているメリットとしては、次の5つが挙げられます。 スマホで文字を打つことで声掛けができる シンプルなデザインが高齢者に優しい 振動センサが付いている(玄関の開閉などが把握できる) Yahoo myThingsとの連動で、機能の拡張が可能 月額料金は無く、経済的にもやさしいスマホで文字を打ち、声がけができる最近のネットワークカメラにはマイクやスピーカーが内蔵されており、双方向での会話が可能です。しかし前述したように、移動時の電車やちょっとした休憩時など、声がけしたくてもそれができない状況があります。そんなときBOCCOなら、スマホで文字を打てば合成音声でその内容をしゃべってくれるのです。つまり、人の目を気にすることなく、いつでもどこでも声をかけられるということです。メッセージを読み上げてくれるこの機能は、IT業界では「Text to Speech」といわれています。高齢者に優しいシンプルなデザインと操作BOCCOは高さ約20㎝程度の小型のロボットです。BOCCOの本体についているのは、胴体部分の2つのボタンと音量調整ができる鼻のつまみだけです。目はライトになっており、メッセージを受信したら点滅します。とてもシンプルなデザインですよね。操作も、デザインと同じくらいシンプルです。胴体部分のボタンでは、それぞれ「再生」と「録音」ができます。「再生」ボタンを押すことで、受信した内容を聞くことができます。「録音」ボタンを押してBOCCOに向かってしゃべることで、話した内容が録音され、録音データがスマホに送られます。スマホ上では、音声はもちろんそれを文字化した文章が表示されるので、音が流せない環境でも内容を把握することができます。再生と録音というシンプルなデザインなら、高齢者でも無理なく使えるのではないでしょうか。振動センサで玄関の開閉を把握するBOCCOには現在(2017/12時点)3種類のセンサがあります。その中のひとつが、本体と同梱されている振動センサです。振動センサはその名のとおり振動を検知し、それをスマホに知らせてくれます(BOCCO自体も首をかしげるような仕草をします)。私はこれを玄関の扉に取り付け、誰かが家に入った、もしくは出て行ったことを把握しています。これにより、ふだん散歩のために外出する時間なのに玄関の開閉がないと、どうしたのか声かけするなど、いつもの行動パターンから外れたケースがあった場合に、「なにかあったのではないか」と察知できます。Yahoo myThingsで他WEBサービスと連携が可能myThingsというYahooのWEBサービスをご存知でしょうか。これは「~したら(トリガー)、~する(アクション)」ということを実現するサービスです。BOCCOは、このmyThingsとの連携が可能です。私の活用方法をご紹介します。BOCCOとGmailを連携させた場合BOCCOで音声が録音されたら(トリガー)、Gmailで会社のメールアドレスに内容を送信する(アクション)ことで、勤務中などスマホを触れない環境でも状況を把握することが可能です。BOCCOとGoogle Calendarを連携させた場合Google Calendarに登録していた予定が近づいたら(トリガー)、BOCCOがしゃべって予定を知らせてくれる(アクション)も可能なので、約束を忘れる心配が減ります。月額料金は不要さまざまなコミュニケーションロボットが販売されていますが、私が調べた限り、価格が10万~20万円程度+月5,000円程度の月額料金が相場のようです。価格が高い分、遠隔でエアコンを操作できたりモニターが付属したりとハイスペックな機能が使えますが、初期費用はともかく、月額料金のようなランニングコストかかるのは抵抗を感じる方も多いのではないでしょうか。BOCCOにはそのような月額料金がかかりません。これも私がBOCCOを選んだ大きな理由のひとつです。ただし、デメリットも…安価で、使い方次第で多機能に使える「BOCCO」。一方で、実際に使ってみたからこそ分かるデメリットもあります。先ほどお伝えしたとおり、BOCCOがメッセージを受信すると、目が点滅してそれを知らせてくれます。そのため、「目が点滅していたらメッセージを再生する」という使い方ができます。しかし、myThingsでカレンダーや天気予報と連携してみると、連携先からのお知らせに対しても目が点滅すると判明しました。毎朝8時に天気予報を知らせるよう連携していた場合、時間になれば再生ボタンを押さなくてもBOCCOは天気予報をしゃべってくれますが、再生ボタンを押すまで目は点滅したままになります。この状態がつづくと、家族からのメッセージを受信しているのか、それとも連携先からのお知らせがたまっているだけなのか、すぐ判断できないのです。再生ボタンをおせばいいだけの話ではあるのですが、天気予報などは毎日のことなので、ついつい忘れてしまいます。私としては、メッセージの種類によって目の点滅を制御できるようになればいいのになと思っています。まとめ月額料金もなく、合計3万円程度で購入できる「BOCCO」。myThingsと連携すれば、今回紹介したもの以外にもさまざまな活用方法が考えられるでしょう。BOCCOはAmazonやDMM.makeROBOTS、ヨドバシ.comなどのWEBサイトからすぐに購入可能です。ぜひ、在宅介護への活用方法を考えてみましょう。取材記事はこちらから取材記事「 シンプルなのに使い方無限大!家族をつなぐロボットBOCCO|ユカイ工学株式会社 」を読む

実はメリットがいっぱい!神奈川県の「さがみロボット産業特区」とは?

実はメリットがいっぱい!神奈川県の「さがみロボット産業特区」とは?

全国でも1・2を争うスピードで高齢化が進んでいる神奈川県。そんな神奈川県では、深刻化する超高齢社会にむけて、3つの「特区」を設けて独自の取り組みを行っています。「特区」とは、規制緩和などの特例措置が適用される特別なエリアのこと。今回は、そのうちのひとつである「さがみロボット産業特区」をご紹介します。さがみロボット産業特区とは?画像提供: さがみロボット産業特区特設HP さがみロボット産業特区は、生活支援ロボットの研究開発や、実用化・普及を推進しているエリアです。生活支援ロボットとは、介護・医療、高齢者等への生活支援、災害対応など、人々の生活を支えるロボットをさします。一般的に想像するような二足歩行ロボットだけでなく、ロボット関連技術を使った製品や機器、たとえば、高齢者の見守りセンサーやドローンのようなものも含まれます。そうした生活支援ロボットの実用化を通じて、地域の安全・安心を実現することが目標として掲げられています。そのために、特区ではおもに4つの支援を行っています。1.規制緩和ロボットの実用化に向けて必要となる規制緩和について国との協議を行い、実証実験や実用化を支援しています。たとえば、通常であれば市町村等からしか受け付けていない介護保険適用の提案も、この特区から行うことが可能です。2.開発支援企業や大学等の各機関がもつ技術・資源を最適に組み合わせる「神奈川版オープンイノベーション」によって、共同研究開発を促進します。その他、「重点プロジェクト」の実用化に向けて、アドバイザー支援や広報支援、国の補助金等の獲得に向けた支援等も行っています。3.実証実験生活支援ロボットの実証場所やモニターのコーディネートを行っており、 「重点プロジェクト」や「公募型ロボット実証実験支援事業」では、実証実施にかかる一部経費を補助しています。 「公募型ロボット実証実験支援事業」では、毎年度全国から公募を行っています(※  平成29年度の募集は終了)。 また、本格的な実証実験の前に、あらかじめ動作確認等を行うことができる「プレ実証フィールド」を用意しています。4.立地支援特区制度を活用して新たに事業展開をはかる企業にたいして設備費など投資額の一部を補助したり、低い利率で融資を受けられる制度があります。具体的には、「企業誘致促進補助金」では、県外からの立地の場合、投資額の10%・上限額10億円が、「企業誘致促進賃料補助金」では賃料月額の2分の1・上限900万円が補助されます。さがみロボット産業特区で商品化した介護ロボットさがみロボット産業特区の支援によって、これまでに数々のロボットが商品化されてきました。その中でも、今回は介護ロボットに絞って紹介していきます。パワーアシストハンド|株式会社エルエーピー画像提供: さがみロボット産業特区特設HP 「パワーアシストハンド」は、脳血管疾患などにより麻痺した手指や固まりかけている関節の曲げ伸ばしをサポートするロボットです。専用グローブのなかに手を入れることで、空気圧を利用したシステムで手指の曲げ伸ばしをサポートしてくれます。特区では、実証実験や発売に当たっての検査や手続きに関するアドバイス等の支援を行いました。ReWalk(リウォーク)|株式会社安川電機 画像提供: さがみロボット産業特区特設HP ReWalk(リウォーク)は、脊髄損傷により起立できなくなってしまった方向けの歩行アシスト装置です。腕時計型のコミュニケータと補助杖と一緒に使用します。センサーが身体の傾きなどを検知し、それに合わせて歩行をアシストしてくれます。特区では、神奈川リハビリテーション病院における実証実験を支援しました。 OWLSIGHT(アウルサイト)|株式会社イデアクエスト 画像提供: さがみロボット産業特区特設HP  OWLSIGHT(アウルサイト)は、非接触・無拘束の見守りシステムです。ベッドのそばに取りつけることで、ベッドの上にいる人の立ちあがりやもたれかかりなどを検知するほか、もだえやふるえのような小さな動きも検知してくれます。特区では、2ヶ所の介護施設で一定期間使用してもらい、そこで出た意見を改良に反映させ、商品化を実現しました。ベッドサイド水洗トイレ|TOTO株式会社画像提供: さがみロボット産業特区特設HP ベッドサイド水洗トイレは、ベッドのそばに設置できるポータブル水洗トイレです。 水洗機能により、 従来のポータブルトイレのメリットをそのままに、ポータブルトイレでは気になりがちなニオイや処理の負担が軽減されています。特区では、介護施設において排泄に関する実態調査を実施するとともに、高齢者宅においても実際に一定期間使ってもらう実証実験を支援しました。さがみロボット産業特区だからできることさがみロボット産業特区の取り組みは、ロボットメーカーの開発支援だけではありません。ロボットの実用化・普及によって、県民や介護施設の課題解決をめざしたさまざまな取り組みも行っています。ここでは、県民や介護施設が利用できる取り組みをまとめました。1.ロボット体験施設で、介護ロボット等が体験できるロボット体験施設とは、住宅展示場内のモデルハウスで、実際の暮らしに近い環境でロボットを体験できるロボットのショールームのことです。現在は、厚木会場・茅ヶ崎会場にてロボットが展示されています。展示されているロボットは以下のとおりです。 うなずきかぼちゃん いまイルモ  パルロ  ハロー!ズーマー パワーアシストハンド    など ロボット体験施設のほかに、ロボット体験認定ルームもあります。こちらは、企業のショールームやすでにロボットを活用している福祉施設で、もっているロボットを一般公開している施設をさします。施設によって公開しているロボットが異なるので、事前に確認するとよいでしょう。 →参考: ロボット体験認定ルーム 一覧 2.ロボット体験キャラバンで、介護ロボットの説明が聞けるロボット体験キャラバンとは、 介護施設等の実際の現場まで生活支援ロボットを持ってきてもらい、説明を聞いたり体験できたりする出張型の説明会および体験会のことです。 今年度からは、介護施設や医療機関に加え、地域のコミュニティなども訪問先に加わりました。  ロボット一覧 の中から事前に6種類から8種類のロボットを選び、当日に持ってきてもらいます。 第3期募集期間 *受付終了■平成29年11月1日(水曜日)から平成30年1月31日(水曜日)まで※具体的な訪問日は別途調整訪問先対象■県内の介護・障がい者(児)施設、医療機関、地域のコミュニティ、福祉イベント、学校など※応募者多数の場合は先着順 訪問先での流れ■訪問時間…2~3時間程度■内容…ロボットの機能・使い方などの説明、ロボットの体験(適宜、質疑応答)、アンケートの記入 3.生活支援ロボットのモニター制度で、一定期間ロボットが試せる 生活支援ロボットのモニター制度とは、購入やリースをする前に一定期間ロボットを試せる制度です。神奈川県内の介護施設や医療機関等が対象ですが、ロボットによっては、県内在住の個人の方も申し込み可能です。モニター期間は1ヶ月で、試用後は簡単なアンケートに回答する必要があります。 現在は12のロボットから選ぶことができます(※1)。※1  ロボット一覧 にて「モニター対象」と記載のあるもの募集期間■平成29年4月14日(金曜日)から平成30年1月19日(金曜日)までモニター募集対象■神奈川県内の介護・障がい者(児)施設・医療機関・学校など※ロボットによっては、県内在住の個人の方も申し込み可能4.ロボット導入支援補助金で、最大200万円の補助が受けられる さがみロボット産業特区で商品化したロボットを導入する施設等向けに、最大で200万円の「ロボット導入支援補助」制度があります。こちらはロボットが社会の中で活用されていることを多くの方に知ってもらうため、 原則として神奈川県内の法人による購入が補助対象となりますが、一部のロボットは個人も対象になります。募集期間■平成29年4月14日(金曜日)から平成30年1月31日(水曜日)まで※ 予算の上限に達した場合には、期限前でも受付終了 補助金額 ■ロボット1台ごとに、購入価格(本体価格+対象付属品等の価格)に3分の1を乗じた額か、200万円のいずれか低い方の額を補助 まとめ 介護ロボットをはじめとする生活支援ロボットの実用化・普及を全国に先駆けて行う「さがみロボット産業地区」。実は開発メーカーだけでなく、介護施設や介護ロボットの購入(レンタル)を考えている施設等にとってもたくさんのメリットがある取り組みなのです。介護ロボットの導入で介護報酬が加算される可能性が高まってきた今、こうした支援制度を活用することで介護ロボットの活用がより身近なものに感じられるでしょう。 介護ロボットONLINEでは、独自の取り組みを行う自治体を今後も特集していきます。 <参考資料>さがみロボット産業特区特設HP

2018年の介護報酬改定を解説!介護ロボット導入で加算も

2018年の介護報酬改定を解説!介護ロボット導入で加算も

▼2018年度介護報酬改定 最新記事はこちら▼ 【徹底解説!】平成30年度介護報酬改定 総まとめを読む 2018年度、3年ぶりに介護報酬が改定されます。これまで介護ロボットONLINEでは、「つぎの改定では介護報酬が引き下げられるのではないか?」と予想してきました。しかし11月に入ってから、引き下げ論から一転、引き上げ論へと軌道修正がはかられています。介護報酬が引き上げられれば、事業所の経営にも余裕ができ、そこで働く介護職員の給与もあがる可能性があります。一方で、介護報酬の出どころである我々の税金や、サービス利用者の自己負担額があがることにもつながります。今回は、どのサービスの報酬が引き上げられるのか、はたまた引き下げられるのかについて、現時点での方針をまとめていきます。さらに、そうした改定によって介護業界はどのように変わるのか、再度予想してみました。引き下げ論から一転、介護報酬引き上げへ!しかし…2017年12月11日時点で、政府は次回の改定で介護報酬を引き上げる方向で調整を続けています。2017年10月、11月の2度に渡り財務省が介護報酬のマイナス改定を要求したことをうけ、前回同様2018年度の改定でも介護報酬は引き下げられるのではないかというのがこれまでの大方の見方でしたが、そうした風潮をくつがえす結論といえます。この引き上げ論の背景には、 前回のマイナス改定による事業所の経営悪化 慢性的な人手不足 引き下げに強く反対する関係団体による署名活動などがあると考えられます。ただし、引き上げ幅は微増となる見通しで、サービスによっては引き下げになることも検討されています。引き下げ or 減算されるサービスは?まず、どのサービスがどれくらい引き下げられるのか、あるいは減算されるのかを見ていきましょう。通所介護の基本報酬が引き下げへ!基本報酬の引き下げを検討されているのが、大規模型の通所介護です。現在、通所介護の基本報酬は、事業所規模ごとに設定されています。現行の介護報酬制度でも、大規模型の通所介護は報酬単価は低く設定されていますが、それでも他の規模とくらべて高い利益率を記録しています。ここに目をつけ、大規模型の通所介護の基本報酬をさらに引き下げようというのが、今回の提案です。訪問介護が議論の的に!集合住宅減算の拡充、生活支援の報酬引き下げも?引き下げおよび減算が検討されているのは、訪問介護です。「集合住宅減算」の拡充を検討!まずは、減算項目から解説していきます。現行の介護報酬では、事業所と同じ敷地内、または隣接する敷地内にある建物で暮らす利用者に対してサービス提供する場合、10%減算するとされています。これを「集合住宅減算」とよびます。今回の改定では、「集合住宅減算」に該当する範囲を広げようという議論がなされています。具体的には、以下の3つの観点から見直しが進められています。 現行、 10%減算の対象となっているのは有料老人ホーム等に限られているが、有料老人ホーム等以外の建物、たとえば一般の集合住宅も、10%減算の対象にする 事業所と同一の敷地内、または隣接する敷地内にある集合住宅でなくても、そこで暮らす利用者の人数が月20人以上いる場合も、10%減算の対象にする 同じ敷地内、または隣接する敷地内にある建物で暮らす利用者が月に50人以上の場合、減算幅を広げる これが決定されれば、集合住宅を中心に訪問介護を行っている事業所の報酬が大幅に減ることもありえます。ヘルパーの資格取得が簡単に!生活援助は報酬引き下げも?引き下げが検討されているのは、訪問介護の「生活援助」の基本報酬です。介護給付費分科会にて提出された資料には、 訪問介護の中でも、身体介護に重点を置くこと それをふまえて、身体介護と生活援助の報酬にメリハリをつけること が提案されています。つまり、身体介護の報酬を手厚くする一方で、生活援助の報酬を引き下げる方針ということです。そのために、ホームヘルパーの資格がなくても生活援助ができるように新たな研修制度を創設することも検討されています。ヘルパーへのハードルを下げることで人材確保しつつ、生活援助の報酬引き下げに対して妥当な理由づけをしていると言えるでしょう。引き上げ or 加算されるサービスは?ここからは、介護報酬が引き上げ、あるいは加算されるサービスをまとめていきます。今回の改定のキーワードとなるのは、「地域包括ケア」「自立支援」そして「人材確保」です。この3つを推進すると思われるサービスや取り組みに対しては、介護報酬が新たに創設されたり、加算されたりしています。ここでは、とくに「自立支援」と「人材確保」にむけた改定について解説します。リハ専門職との連携で特養・ショートステイの報酬アップ!ひとつめは「自立支援」にむけた改定です。理学療法士や言語聴覚士など、外部のリハビリ専門職と連携した機能訓練を実施する事業所に対して、報酬を手厚くする改定が議論されています。具体的には、「個別機能訓練加算」の要件緩和と、「生活機能向上連携加算」を新たに創設することが検討されています。 「個別機能訓練加算」の要件緩和現行の介護報酬では、特養と介護付きホームにおいて機能訓練指導員を務めるリハビリテーション専門職を常勤・専従で1人以上配置することが求められているが、施設内ではなく外部のリハ職と連携して行う形も認める 「生活機能向上連携加算」を新たに創設ショートステイにおいても同様の加算を取得できるように、「生活機能向上連携加算」を創設 これにより、これまで機能訓練指導員を雇うことができなかった事業所でも、積極的に機能訓練が行えるようになると考えられます。介護ロボ15%=夜勤職員0.1人分!特養で見守りロボット導入加算2つめは「人材確保」にむけた改定です。人材の確保が難しい夜勤職員にかわって、見守りロボットを導入することを認める改定が議論されています。特養における夜勤職員は、入居者の数によって最低人員数が決められています。現行の介護報酬では、最低基準より1人以上多く夜勤職員を配置した場合、報酬が加算されます。これを、「夜勤職員配置加算」とよびます。今回の改定では、「1人以上多く夜勤職員を配置する場合」という要件に、下記の2つを追加する案が出ています。 ベッド上の入所者の動向を検知できる見守りロボットを、入所者数の15%以上に設置している場合 見守りロボットを安全かつ有効に活かすための委員会を設置し、必要な検討を行っている場合 具体的には、この両方を満たしている場合に、夜勤職員の数が最低基準を0.9人上回っていれば取得できるようにするとしています。つまり、見守りロボットが夜勤職員の0.1人分に相当するということです。これによって夜勤職員の数を減らすことはできなくとも、職員の勤務時間を減らすことはできるので、休憩時間が多く取れるなどのメリットがあると考えられます。処遇改善加算で、介護士の給与が8万円アップ!「人材確保」にむけた2つめの施策として、「介護職員の処遇改善加算」があります。これまでにも、「処遇改善加算」として介護士の給与を実質1~2万円アップする改定が行われてきました。今回の改定では、なんと8万円相当の賃上げを行う方針で調整が進んでいるのです。具体的には、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について、月額平均8万円相当の処遇改善を行うとされています。この処遇改善のために公費1000億円程度が投じられると言われており、財源には消費税率の10%への引き上げによって生じる増収分が使われるとされています。どうなる?改定後の介護業界を大予想!1.介護報酬は微増。しかし基本報酬部分は引き下げもあり、厳しい状態は続く?引き下げ論から一転して、微増に着地しそうな介護報酬。しかし、基本報酬の部分で引き下げが検討されているサービスもあり、事業者にとっては苦しい状況がつづくと考えられます。前回のマイナス改定後は、過去最高水準の倒産件数をマークしてしまいました。倒産をまぬがれた事業所も、厳しい経営状態であることは想像に難しくありません。そんななか、わずかながらの報酬引き上げが介護業界に好影響を与えるのかは疑問です。2.処遇改善では一定の効果が。でも本当に必要なのは「イメージアップ」?一方で、介護職員の処遇改善加算はこれまでに一定の効果をあげてきたといえるでしょう。実際に、12年と16年の介護職員の給与(月額)を比較してみると、約2万円上昇していることがわかります。今回の改定では、これまでとくらべても大幅な加算となる8万円の処遇改善が見込まれています。これにより、今まで以上に介護士の給与アップがすすむと考えられます。しかし、「人材確保」には、賃金アップだけではじゅうぶんでないという意見も散見されます。介護ロボットONLINEが独自に行ったアンケートでは、人材不足解消のために必要なこととして、「介護職の社会的地位の向上」が「給与の引き上げ」に次いで多くあげられていました。政府は、賃金アップと同時進行的に、介護職のイメージアップをはかる施策をうつべきではないでしょうか。3.今回は見守りロボット限定も、今後はその他のロボットも活用されていく?2018年の改定では、はじめて介護ロボットが介護報酬加算の要件として採用されそうです。今回は見守りロボットのみが取り上げられましたが、この改定で介護ロボットが身近になれば、今後さまざまなロボットが介護の現場に参入していくと考えれます。経済産業省は、すでに来年度より「ロボット介護機器開発・標準化事業」として11億円の予算確保にむけて動き始めています。介護ロボットは、介護の人材不足や職員の負担軽減のためだけでなく、介護を受ける側の自立支援を促すものとして注目を浴びています。次世代介護の鍵をにぎる「介護ロボット」と共生する、新しい介護の形を考えていく必要がありそうです。まとめ2018年4月に大詰めをむかえる「介護報酬改定」。「地域包括ケア」「自立支援」「人材確保」など、今後の介護の方向性を決定づける議論が今、白熱しています。介護ロボットONLINEでは、今後も介護報酬改定に向けた動きを追っていきます。 関連記事:介護ロボが夜勤職員の代わりに!見守りロボット導入で報酬加算、厚生労働省が発表 ▼2018年度介護報酬改定 最新記事はこちら▼ 【徹底解説!】平成30年度介護報酬改定 総まとめを読む <参考資料>厚生労働省(2017年)「第155回社会保障審議会介護給付費分科会資料」 厚生労働省(2017年)「平成 30 年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」 経済産業省(2017年)「ロボット介護機器開発・標準化事業」 JOINT 介護(2017年11月16日)「介護報酬の引き上げを」 関係団体、182万筆の署名を政府へ提出

現役介護職員160名にアンケート調査を実施!97%が「人材不足を感じる」一方で対策は「特にしていない」が4割

現役介護職員160名にアンケート調査を実施!97%が「人材不足を感じる」一方で対策は「特にしていない」が4割

厚生労働省によると、2025年には介護職員が約253万人必要になるのに対し、供給の見込みは約215万人で、およそ37.7万人もの人材が不足すると報告されています。介護職員は毎年増えているものの、実際に必要とされる人数には追いついていないという現状があるのです。これをうけ、政府は人材確保のためにさまざまな施策を打ち出しました。具体的には、処遇改善として介護報酬を加算したり、労働環境改善として介護ロボットの開発・導入を支援したりしています。一方で、実際に介護の現場で働く介護職員は、こうした現状をどう受け止めているのでしょうか。スタッフはふだんから人材不足を感じているのか、感じている場合は、解決には何が必要だと感じているのでしょうか?介護ロボットONLINE編集部では、全国の介護従事者向けに、働く職場での人材不足の実態についてアンケートを行いました。97.5%が「人材不足を感じる」(1)あなたの職場では、人材不足を感じますか?現在働いている職場で人材不足を感じているかどうか聞いたところ、「人材不足を感じている」と答えた人が97.5%(156名)、「感じていない」と答えた人が2.5%(4名)となりました。圧倒的多数の人が自らの職場で人材不足を感じており、人材不足問題が介護業界で常態化していることがうかがえます。 「人材不足を感じている」と回答した人まずは、「人材不足を感じている」と回答した人の詳細をチェックしていきます。 6割以上が「一人当たりの業務量が多い」(2)どんなときに人材不足を感じますか?人材不足を感じる場面を聞いたところ、「一人当たりの業務量が多い」が63.2%(96カウント)ともっとも多く、次いで「休みがとりにくい」が61.8%(94カウント)となりました(複数回答)。 それ以降は「予定外の残業が多い」(28.3%/43カウント)、「希望する勤務時間・日数より多く働いている」(25%/38カウント)、「残業時間が長い」(16.4%/25カウント)と続きました。 仕事の負担が多いときや、望んだ働き方ができないときに人材不足を感じてることが分かります。半数以上が「給与の低さ」について言及(3)人材不足の原因は何だと思いますか?自由回答にて人材不足の原因について聞いた項目では、120件の回答中64件が「給与の低さ」について言及されています。その他には、「介護業界全体のマイナスイメージ」「人間関係」「雇用する財源がない」「介護保険制度の限界」「配置基準がおかしい」などの回答が寄せられました。 コメントの一部を紹介いたします。コメント(自由回答)● ハードな仕事な割に待遇が良くない。(男性/40代)● 国の人員配置基準が少ない。(男性/50代)● 介護従事者たちが疲れ切ってしまっている。介護業界で働く中の人たちを大切にする必要があると思う。(女性/20代)● 上司のサービス残業の多さを見て、この業界での希望が持てない。(女性/50代)● 介護業界全体のマイナスイメージ。(女性/50代)● 同世代より給与が低い!結婚したら、共働きしないと子育てできない!(男性/40代)● 好景気で他業種に人が流れた。(女性/40代)人材不足解消にむけた取り組みについてここからは、すべての回答者に向けた質問に戻ります。人材不足解消のために「給与の引き上げ」が行われたのは約1割(4)あなたの職場では、人材不足解消のためにどのような取り組みをしていますか?人材不足を解消するために実施された取り組みを聞いたところ、「特にしていない」が40.9%(65カウント)ともっとも多く、次いで「職場でのコミュニケーションの円滑化」が28.3%(45カウント)という結果になりました。それ以降には「スキルアップ・資格取得のサポート」(25.2%/40カウント)、「社内・社外研修の実施」(23.9%/38カウント)、「メンタルヘルス対策の実施」(20.8%/33カウント)と続きます。「給与の引き上げ」は13.8%(22カウント)となっており、「人材不足の原因」と感じている給与に関して直接的な措置をとっている事業所は少数派であることが分かります。「介護ロボット導入による業務効率化」は5%(8カウント)となっており、 前回の調査 と同様、介護ロボットの普及があまり進んでいない現状が明らかになりました。 77%が「解決には“介護職の社会的地位の向上”が必要」(5)どうすれば介護職の人材不足が解決すると思いますか?介護職の人材不足を解決するために何が必要か質問したところ、「給与の引き上げ」と回答した割合が84.4%(135カウント)ともっとも高く、次いで「介護職の社会的地位の向上」が76.9%(123カウント)、「休暇がとりやすい環境づくり」64.4%(103カウント)となり、それぞれが半数を上回りました。実際に実施された取り組みとして挙げられていた「職場でのコミュニケーションの円滑化」と回答したのは36.9%(59カウント)で、過半数にはとどかないものの比較的高いニーズがあることがうかがえます。逆に、「実際に実施されている取り組み」(問4)と「介護職員が有効だと感じている解決法」(問5)のあいだに25ポイント以上の差があるのは、上位の「給与の引き上げ」と「休暇がとりやすい環境づくり」に加え、「労働時間の調整」(問4:16.4%/問5:43.1%)「福利厚生の充実」(問4:9.4/問5:35%)となりました。ここから、介護職員の求める改善と実際に行われている改善に大きな乖離があることが分かります。ちなみに、「介護ロボット導入による業務効率化」での差は10.6ポイント(問4:5%/問5:15.6%)となりました。(6)その他、介護の人材不足問題にたいする意見を自由に記述してください。コメントの一部を紹介いたします。コメント(自由回答)● 処遇改善だと思う!きつい仕事の割には給料安くて手当ても少ない。だからやめる人も増える。(女性/30代)● 加算ではなく、基本報酬を公務員並みにしてほしいです。(女性/60代以上)● この業界は誰でも入りやすいが、誰でも続けられる職業ではない。心理的にストレスの多く、さまざまな面で配慮が求められる仕事であるにも関わらず、社会的地位、給与、福利厚生すべてにおいて、他業種より悪い。それでも高い意識を持って仕事をしている人が、安心して続けられる環境を整えないと、悪循環は解消されないと思う。(女性/40代)● 賃金の引き上げを行い、労働者の流入を促進しつつ人員配置基準を見直し、労働者一人当たりの業務量を減らしてゆとりのあるケアを提供できるようにすることが必要。(男性/50代)● 介護は人材不足だと前から騒がれているのに、国は改善をしてくれるどころか介護報酬を厳しくしていくばかりで、介護職員の首を絞めている。介護の仕事は好きだしこれからも続けていきたいと思っていても、給料への不満は常にある。さらに社会的地位が低く胸を張って自分の仕事を周りのみんなに言えない自分がどこかにいるのがとても悲しい。(女性/30代)● 人材不足は少子高齢化が進む流れで、全国のあらゆる業界が直面する問題。介護業界は人材獲得競争を他業種も含むあらゆる企業と競争する羽目になるが、正直勝ち目がないと感じている。(男性/30代)● とにかくお給料が安いので男性職員は結婚して子どもができると辞めてしまう人が多い。もったいないです。(女性/50代)● テクノロジー導入に関する情報や助成。人とロボットの共存という概念が当たり前になること。(女性/50代)● もっと書類業務をへらす。もしくは、AIの導入で記録を効率化する。(男性/40代)まとめ今回の調査では、全体の97%以上が実際に自らの職場で人材不足を感じているという結果となり、介護現場での人手不足が常態化している実態が明らかになりました。 人材不足の原因として「給与の低さ」をあげる人が半数以上いる反面、実際に「給与の引き上げ」が実施されたと回答した人は13.8%にとどまっています。 その他、労働時間や休暇のとりやすさなどが改善すべき点として挙げられている一方で、そうした改善策があまり取られていない現状から、現場からの要望と実際の対応にずれがあることが浮かび上がってきました。 コメントでは、「給与の引き上げ」には基本報酬のあり方から問いなおす必要があるという意見が散見され、事業所単位での対応には限界があるという考えがうかがえます。 介護職員が考える人材不足問題の有効な解決法として、2番目に多く挙げられている「介護職の社会的地位の向上」。その実現には、「給与の引き上げ」はもちろん、それを可能にする介護保険制度の見直しを含む、国単位での対応が求められていると言えそうです。 「介護の人材不足」について、また、このアンケートの結果や内容についてのご意見やご感想は、公式Twitter( @kaigo_robot )または Facebook までお寄せください。なお、本コンテンツの文章およびグラフの引用・転載を希望される方は、 介護ロボットONLINE問い合わせフォーム よりご連絡ください。< アンケート調査概要 > ・調査期間:2017年11月11日(土)~11月22日(水)・調査対象:介護従事者10代~60代以上の男女160名・男女割合:男性/30.6%・女性/68.1% 

介護スタッフも知っておきたい!育児・介護休業法とは?

介護スタッフも知っておきたい!育児・介護休業法とは?

持続的で質の高い介護を実現するためには、介護家族の突発的な介護離職を防ぐことが非常に大切です。悩みやとまどいを抱く介護家族に向けて、介護のプロとして「育児・介護休業法」について説明できるようにしておきましょう。ここでは、介護家族の介護離職をふせぐ「育児・介護休業法」の情報を分かりやすく解説するとともに、介護スタッフが初めての介護にとまどう介護家族のためにできるアドバイスをまとめていきます。 介護スタッフが、利用者の家族にできること初めて家族の介護に直面することになった方にとって、介護スタッフは非常に頼りがいのある存在です。介護スタッフにとっても、利用者の介護だけでなくその家族をフォローも同時に行うことで、さまざまなメリットが得られます。介護家族との信頼関係ができる介護初心者の介護家族は、「何が分からないのかが分からない」という状態にあります。そんな家族に向けて「育児・介護休業法」の紹介をはじめとしたアドバイスやフォローをすることで、「頼りになる!」という安心感や信頼感をもってもらうことができます。質の高い介護が実現する質の高い介護は、多くの関係者の協力関係があって成り立つもの。介護家族が不安や悩みを一人で抱え込んでしまうと、介護の共倒れになってしまいかねません。介護スタッフが気持ちよく介護をするためにも、介護家族のフォローは不可欠です。介護離職問題に貢献できる介護離職とは、家族の介護を理由に仕事を辞めてしまう問題です。介護離職をしてしまうと、精神的、身体的、経済的負担が一挙に押し寄せることになります。 もちろん、熟考した上での介護離職は悪いことではありません。しかしパニックのまま介護離職をしてしまうと、あとで後悔することになりかねないのです。 ゆとりある介護をするためには、介護離職をさせない工夫が非常に重要です。 介護休業とは介護休業とは、要介護状態になった家族の介護やその他の世話のために、一定期間以上の休業を取得できる制度です。 介護休業とは 2週間以上にわたって介護が必要な要介護状態の家族を介護するために、通算93日間の休業期間を3回に分けて取得できます。 誰が取れる? ・1年以上、同じ会社で働いている人・介護休業取得から半年後も同じ会社で働く予定のある人※上記を満たしていれば、パート・アルバイトの方でも取得できます。 対象となる家族は? 父母(配偶者の父母もふくむ)、配偶者(事実婚もふくむ)、子、祖父母、兄弟姉妹、孫POINTはここ! 介護スタッフとして、介護家族にアドバイスするPOINTは以下の3つです。 (1)3回にわけて取得できる 介護休業は、通算93日間まで取得できます。この93日間は、最大3回に分割することができます。例えば、介護の準備期間である退院後に1ヶ月(31日間)、特養への入所が必要になったときに1ヶ月(31日間)、看取りの時期に1ヶ月(31日間)、合計で93日間というように、段階に合わせて取得することができるのです。 (2)申し出は2週間前に介護休業を取得するには、休業開始の2週間前に申し出る必要があります。申出には「介護休業申出書」を会社に提出します。会社によっては、家族が要介護状態にあることを証明する書類が必要な場合もあります。 (3)休業しても、賃金の67%が支給される 雇用保険の介護給付金制度を使えば、休業中でも賃金の67%が支給されます。支給されるのは、介護休業が終了してからとなります。休業することで経済的な不安を感じている介護家族にとっては、非常に心強い制度です。介護休暇とは 介護休暇 とは? 要介護状態にある家族の介護やその他の世話を行うために、1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)までの休暇の取得が可能です。 誰が取れる? ・6ヶ月以上、同じ会社で働いている人・1週間の内、2日以上働いている人 ※上記を満たしていれば、パート・アルバイトの方でも取得できます。 対象となる家族は?   父母(配偶者の父母もふくむ)、配偶者(事実婚もふくむ)、子、祖父母、兄弟姉妹、孫POINTはここ! 介護スタッフとして、介護家族にアドバイスするPOINTは以下の2つです。 (1)事前の申出は不要介護休暇は、介護休業と違って事前の申出が必要ありません。「どうしても今すぐ休まなくてはいけなくなってしまった!」というときでも、その場で電話して休暇が取れます。ただし会社によっては、後日書類の提出を求める場合があります。(2)取得単位は「半日」から介護休暇は、半日からの取得が可能です。そのため、午前に介護関連の用事を済ませて午後から出社するという使い方もできます。よりフレキシブルな休み方、働き方ができるだけでなく、数少ない休暇を最大限有効活用することができます。  介護家族にすべきアドバイスとは?介護休業・介護休暇に共通して言えることは、取得する休暇は家族を介護するための休暇ではないという点です。ここは強調して説明する必要があります。「育児・介護休業法」による休業・休暇は、あくまで「介護の環境を整備するための期間」です。そこの理解がないと、せっかく休暇をとったのに介護に忙殺され、結局休暇期間が終わるまでに利用サービスや入所先が決まらず、介護離職してしまうということになりかねません。もっとも介護初心者の方にとっては、「休みをとったは良いけど、休みの間に一体何をすべきなの?」という疑問が依然として残るでしょう。そうした悩みを抱えるご家族のために、介護のスタート段階にすべきことをまとめました。ぜひ、介護家族のフォローにお役立てください。  “介護休業中にすること”リスト 「介護の環境を整備する」といっても、内容は多岐にわたります。家族の要介護認定をとったり、ケアマネジャーと面談したり、入所する施設を探したり、介護サービスを受ける場所を見学したり…。もちろん、その間に要介護者を介護しなければいけないこともあります。限られた休業期間で効率よく環境整備をするには、「何をすべきか」を明確にする必要があります。「何が分からないのか分からない」状態の介護家族に、最低限でも下記のようなアドバイスができると良いでしょう。 1.介護保険、介護サービスの概要を知るこれまでまったく介護に関わることがなかった人にとって、介護保険や介護サービスは未知の世界です。どのような仕組みなのか、どのような種類があるのかなどは、今後長く介護していくにあたって知っておいて損はありません。懇切丁寧に教える必要はありませんが、介護保険や介護サービスについて分かりやすく解説されている冊子を渡したり、ウェブサイトを紹介したりすると、介護家族としてはとても助かります。2.地域包括支援センターに行くもし、介護家族がまだ地域包括支援センターに行っていなかったら、ぜひ行くように勧めましょう。ただし、その際は下記の点も一緒に伝えましょう。 サービス利用者(要介護者)の居住区の地域包括支援センターに行く必要がある。 ほとんどの地域包括支援センターは平日の17時まで。 「介護保険証の番号」「かかりつけの主治医氏名、医療機関名、所在地、電話番号」「個人番号」を控えて持っていく。スムーズなやり取りのために、こうしたちょっとした一言を付け加えてあがると親切です。3.介護関係者と、介護の役割分担を決めておく介護は、一人でできるものではありません。主介護者がいたとしても、主介護者を支える多くの人が必要です。とくに在宅介護をする場合は、家族間での介護の役割分担をあらかじめ決めておくことが大切です。4.介護機器を上手に取り入れるときには介護機器を上手く介護に取り入れることも大切です。最近では、ロボット技術を活用した在宅向け介護機器が販売されるようになり、見守りやコミュニケーションに役立てられています。見守りロボットとしては、 認知症外出通報システム「おでかけキャッチ」 や 室内環境見守りサービス「「おへやプラス」 があり、状況やニーズによって使い分けることもできます。コミュニケーションロボットとしては 「なでなでねこちゃん」 や 「泣き笑い たあたん」 があり、要介護者にいやしや生きがいを提供するのに役立っています。介護の環境整備にかかる期間は約3ヶ月一般的に、介護に適した環境整備には約3ヶ月ほどかかると言われています。その3ヶ月の間に、介護家族はさまざまな準備をする必要があります。ただでさえ大変な介護の第一歩の時期に、何度も会社を休んだり早退したりすることに遠慮や気兼ねを感じてしまうと、さらなるストレスを抱え込むことになります。そうしたストレスが介護離職につながれば、結果的に要介護者や介護スタッフにとってもマイナスの影響を与えかねません。もっとも助けを必要としている時期に「育児・介護休業法」を始めとする的確な情報提供やアドバイスをすることで、介護家族の介護離職を防ぎ、要介護者・介護スタッフにとってもより良い介護を導くことができます。<参考資料>厚生労働省「育児・介護休業法について」(2017年11月20日,http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html)厚生労働省「【平成29年10月1日施行対応】育児・介護休業法のあらまし」(2017年11月20日,http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/34.html)和氣美枝(2016)『介護離職しない、させない』毎日新聞出版

【11/29~12/2開催】2017 国際ロボット展@東京ビッグサイト

【11/29~12/2開催】2017 国際ロボット展@東京ビッグサイト

国内の介護ロボット市場は、2015年度に10億7,600万円となり、前年度比549.0%と大きく伸長しました。2020年度には149億5,000万円になると予測され、他業種他職種からも注目されている介護ロボットですが、不透明さもまだまだあるのではないでしょうか。人とロボットが共存・協働することでより優しい社会となることを願い、「ロボット革命がはじまった ― そして人に優しい社会へ」をテーマに開催される「2017 国際ロボット展」について、ご紹介いたします。 開催概要概要は以下のとおりです。 名称2017 国際ロボット展[ INTERNATIONAL ROBOT EXHIBITION 2017 (iREX2017) ] 開催趣旨国内外における産業用・サービス用ロボットおよび関連機器を一堂に集めて展示し、利用技術の向上と市場の開拓に貢献し、ロボットの市場創出と産業技術の振興に寄与する。 開催期間2017年(平成29年) 11月29日(水) ~ 12月2日(土) 開催時間10:00~17:00 会場東京ビッグサイト 東 1、2、3、4、5、6 ホール 〒135-0063東京都江東区有明3-11-1 アクセスマップはこちらよりご覧ください 入場料1,000円※事前登録者および招待券持参者、中学生以下は無料 主催一般社団法人 日本ロボット工業会、日刊工業新聞社 後援経済産業省、厚生労働省、国土交通省、総務省、文部科学省、駐日英国大使館、日本商工会議所、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、日本貿易振興機構(JETRO)、日本放送協会(NHK) 〈順不同、申請予定、法人格略〉 協賛計測自動制御学会、情報通信ネットワーク産業協会、製造科学技術センター、全日本プラスチック製品工業連合会、テクノエイド協会、日本アミューズメントマシン協会、日本機械工業連合会、日本金属プレス工業協会、日本クリーン環境推進機構、日本建設機械工業会、日本建設機械施工協会、日本工作機械工業会、日本産業機械工業会、日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、日本食品機械工業会、日本鍛圧機械工業会、日本鉄鋼協会、日本電気計測器工業会、日本電機工業会、日本電気制御機器工業会、日本塗装工業会、日本半導体製造装置協会、日本福祉用具供給協会、日本福祉用具・生活支援用具協会、日本フルードパワー工業会、日本ベルト工業会、日本防錆技術協会、日本包装機械工業会、 日本溶接協会、日本ロボット学会、マイクロマシンセンター、ロボット革命イニシアティブ協議会〈順不同、申請予定、法人格略〉 お問い合わせ「2017国際ロボット展」事務局日刊工業新聞社 業務局イベント事業部 〒103-8548東京都中央区日本橋小網町14-1 TEL:03-5644-7221FAX:03-5641-8321URL:http://www.nikkan.co.jp/eve/irex/E-mail:j-event@media.nikkan.co.jp

“後ろから乗る”電動車いす「RODEM(ロデム)」が新発売!|株式会社テムザック

“後ろから乗る”電動車いす「RODEM(ロデム)」が新発売!|株式会社テムザック

ロボット会社の株式会社テムザックは2017年11月20日、“ 後ろから乗り込めるロボット”「RODEM」の販売を開始しました。介護ロボットONLINE編集部が新製品発表会に潜入してきたので、そのレポートをお送りします!“乗れるロボット”RODEMとは?RODEM(ロデム)は、新しい形の電動車いすです。一般的な車いすが「前から“座る”」形式であるのに対し、RODEMは「後ろから“乗る”」形式をとっているのが一番の特徴です。これにより、ベッドやいすなどへ移乗するときも、身体の向きを変える必要がありません。6つのメリット発表会では、RODEMの6つのメリットについて説明されました。1.ベッドやいすからの乗り移りがスムーズにソファからRODEMを操作し、一人で乗り込むことができるRODEMは座席の高さが変えられるため、乗り込む際はいすやベッドと同じ高さまであげて、腕の力を使って前方にスライドするように乗り込むことができます。2.狭い場所でも旋回がしやすい大きく感じるが、実は一般的な車いすとほぼ同じ大きさRODEMは四輪駆動で動いているため、その場での旋回がスムーズにできます。また、一見大きく感じられるサイズ感ですが、実は全長は一般的な車いすよりも小さく、幅もほぼ同じか数ミリ大きい程度です。ふだん車いすで無理なく生活できる環境であれば、RODEMも活躍することができます。3.スマートフォンで遠隔操作ができる降りたあとは、邪魔にならない場所に停めておけるRODEMは、スマートフォンで遠隔操作できるため、乗らないときは部屋の隅に停めておき、必要になったら自分のそばまで呼び寄せることができます。発表会では、離れた場所からソファまでRODEMを呼び寄せ、向きを変えて一人で移乗する様子がデモンストレーションされました。4.歩行車と視線の高さを合わせることができ、会話しやすい横に立つ髙本代表取締役とほぼ同じ高さだRODEMはこれまでの車いすと比べて、座った状態でも高い目線を保つことができます。髙本代表取締役によれば、「デンマークでの実証実験の際も、目線が高くなり見下されなくなったという点が非常に評価された」とのことです。  座面高は 、シートが一番高い状態で785mm、一番低い状態で400mmになります。5.生活空間を広げ、自立度をアップテーブルの下にも入り込めるRODEMでは、車いすでは困難だった活動もできるようになります。デモンストレーションでは、シートを上げて前かがみして、テーブルの奥にあるコップをとり水を飲む様子が見られました。動画では洗面台で身支度をする様子や、食事の準備をする様子も映し出されました。6.前傾姿勢により、気持ちが前向きになるRODEMは、“質の高い生活を、すべての人に”をコンセプトに開発された製品です。髙本代表取締役は、いすに“座る”形式の車いすから、後ろから“乗る”形式へと発想を転換したことで、生活が楽になるのはもちろん、気持ちまで前向きになるというメリットがあると話します。価格は?レンタルできる?RODEMのメーカー希望小売価格は、98万円(非課税、送料・調整費別)。レンタルの場合は月額で約5万円程度となる予定とのことです。介護保険適用の場合、ユーザーの負担額は約5,000円~10,000円程度を想定しているとのことでした。さらにリースでの展開も予定しており、6年契約で月額約18,000円程度と想定されています。販売やレンタルは、総合商社のCBC株式会社と協業し、全国の福祉機器レンタル会社や医療機器販売代理店にて行われます。今後の展開は?まずは日本を中心に販売を開始し、来年の5月頃に配送を予定しているとのことです。国内以外では、イギリスやロシア、EUからはじめ、2019年からはアメリカや中国での販売も開始し、2020年には5000台の販売を目標としています。2017国際ロボット展で試乗できるRODEMは、2017年11月29日(水)~12月2日(土)に東京ビックサイトで開催される「2017国際ロボット展」にて試乗体験ができます。概要は下記のとおりです。 日時 2017年11月29日(水)~12月2日(土) 10:00~17:00 会場 東京ビックサイト 東6ホール NEDOブース内 RODEM(ロデム)スペック 名称/型番 RODEM(ロデム)/M651  サイズ  全幅690mm × 全長1000(~1203)mm  ※( )シートが一番低い状態 高さ 全高920(~1254)mm 座面高400(~785)mm   ※( )シートが一番低い状態 重量 約110kg 速度 最高6km/h ※速度調整可能 コントローラ  ジョイスティック/スマートフォンによる遠隔操作(Bluetooth) 駆動方式 4輪駆動  充電 プラグイン方式(家庭用100V)/充電時間:8時間 カラーバリエーション ブルーメタリック、ピンクメタリック、ダークグレーメタリック、シルバー、ホワイト 防水 生活防水

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