2018年の介護報酬改定を解説!介護ロボット導入で加算も

介護ロボットONLINE編集部介護ロボットONLINE編集部

作成日2017/12/12 更新日2018/03/2936,363views

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2018年度、3年ぶりに介護報酬が改定されます。

これまで介護ロボットONLINEでは、「つぎの改定では介護報酬が引き下げられるのではないか?」と予想してきました。

しかし11月に入ってから、引き下げ論から一転、引き上げ論へと軌道修正がはかられています。

介護報酬が引き上げられれば、事業所の経営にも余裕ができ、そこで働く介護職員の給与もあがる可能性があります。一方で、介護報酬の出どころである我々の税金や、サービス利用者の自己負担額があがることにもつながります。

今回は、どのサービスの報酬が引き上げられるのか、はたまた引き下げられるのかについて、現時点での方針をまとめていきます。さらに、そうした改定によって介護業界はどのように変わるのか、再度予想してみました。

引き下げ論から一転、介護報酬引き上げへ!しかし…

介護報酬改定の流れ

2017年12月11日時点で、政府は次回の改定で介護報酬を引き上げる方向で調整を続けています。

2017年10月、11月の2度に渡り財務省が介護報酬のマイナス改定を要求したことをうけ、前回同様2018年度の改定でも介護報酬は引き下げられるのではないかというのがこれまでの大方の見方でしたが、そうした風潮をくつがえす結論といえます。

この引き上げ論の背景には、

  • 前回のマイナス改定による事業所の経営悪化
  • 慢性的な人手不足
  • 引き下げに強く反対する関係団体による署名活動
などがあると考えられます。

ただし、引き上げ幅は微増となる見通しで、サービスによっては引き下げになることも検討されています。

引き下げ or 減算されるサービスは?



まず、どのサービスがどれくらい引き下げられるのか、あるいは減算されるのかを見ていきましょう。

通所介護の基本報酬が引き下げへ!


基本報酬の引き下げを検討されているのが、大規模型の通所介護です。

現在、通所介護の基本報酬は、事業所規模ごとに設定されています。

事業所規模ごとの基本報酬

現行の介護報酬制度でも、大規模型の通所介護は報酬単価は低く設定されていますが、それでも他の規模とくらべて高い利益率を記録しています。

ここに目をつけ、大規模型の通所介護の基本報酬をさらに引き下げようというのが、今回の提案です。

訪問介護が議論の的に!集合住宅減算の拡充、生活支援の報酬引き下げも?


引き下げおよび減算が検討されているのは、訪問介護です。

「集合住宅減算」の拡充を検討!


まずは、減算項目から解説していきます。

現行の介護報酬では、事業所と同じ敷地内、または隣接する敷地内にある建物で暮らす利用者に対してサービス提供する場合、10%減算するとされています。これを「集合住宅減算」とよびます。

今回の改定では、「集合住宅減算」に該当する範囲を広げようという議論がなされています。

具体的には、以下の3つの観点から見直しが進められています。

  1. 現行、 10%減算の対象となっているのは有料老人ホーム等に限られているが、有料老人ホーム等以外の建物、たとえば一般の集合住宅も、10%減算の対象にする
  2. 事業所と同一の敷地内、または隣接する敷地内にある集合住宅でなくても、そこで暮らす利用者の人数が月20人以上いる場合も、10%減算の対象にする
  3. 同じ敷地内、または隣接する敷地内にある建物で暮らす利用者が月に50人以上の場合、減算幅を広げる
これが決定されれば、集合住宅を中心に訪問介護を行っている事業所の報酬が大幅に減ることもありえます。

ヘルパーの資格取得が簡単に!生活援助は報酬引き下げも?


引き下げが検討されているのは、訪問介護の「生活援助」の基本報酬です。


介護給付費分科会にて提出された資料には、

  • 訪問介護の中でも、身体介護に重点を置くこと
  • それをふまえて、身体介護と生活援助の報酬にメリハリをつけること
が提案されています。

つまり、身体介護の報酬を手厚くする一方で、生活援助の報酬を引き下げる方針ということです。

身体介護の報酬を手厚くする一方で、生活援助の報酬を引き下げる図


そのために、ホームヘルパーの資格がなくても生活援助ができるように新たな研修制度を創設することも検討されています。ヘルパーへのハードルを下げることで人材確保しつつ、生活援助の報酬引き下げに対して妥当な理由づけをしていると言えるでしょう。

引き上げ or 加算されるサービスは?


ここからは、介護報酬が引き上げ、あるいは加算されるサービスをまとめていきます。

今回の改定のキーワードとなるのは、「地域包括ケア」「自立支援」そして「人材確保」です。この3つを推進すると思われるサービスや取り組みに対しては、介護報酬が新たに創設されたり、加算されたりしています。ここでは、とくに「自立支援」と「人材確保」にむけた改定について解説します。

リハ専門職との連携で特養・ショートステイの報酬アップ!

ひとつめは「自立支援」にむけた改定です。

理学療法士や言語聴覚士など、外部のリハビリ専門職と連携した機能訓練を実施する事業所に対して、報酬を手厚くする改定が議論されています。

具体的には、「個別機能訓練加算」の要件緩和と、「生活機能向上連携加算」を新たに創設することが検討されています。

  1. 「個別機能訓練加算」の要件緩和
    現行の介護報酬では、特養と介護付きホームにおいて機能訓練指導員を務めるリハビリテーション専門職を常勤・専従で1人以上配置することが求められているが、施設内ではなく外部のリハ職と連携して行う形も認める
  2. 「生活機能向上連携加算」を新たに創設
    ショートステイにおいても同様の加算を取得できるように、「生活機能向上連携加算」を創設
これにより、これまで機能訓練指導員を雇うことができなかった事業所でも、積極的に機能訓練が行えるようになると考えられます。

介護ロボ15%=夜勤職員0.1人分!特養で見守りロボット導入加算


2つめは「人材確保」にむけた改定です。

人材の確保が難しい夜勤職員にかわって、見守りロボットを導入することを認める改定が議論されています。

特養における夜勤職員は、入居者の数によって最低人員数が決められています。現行の介護報酬では、最低基準より1人以上多く夜勤職員を配置した場合、報酬が加算されます。これを、「夜勤職員配置加算」とよびます。

今回の改定では、「1人以上多く夜勤職員を配置する場合」という要件に、下記の2つを追加する案が出ています。

  1. ベッド上の入所者の動向を検知できる見守りロボットを、入所者数の15%以上に設置している場合
  2. 見守りロボットを安全かつ有効に活かすための委員会を設置し、必要な検討を行っている場合
具体的には、この両方を満たしている場合に、夜勤職員の数が最低基準を0.9人上回っていれば取得できるようにするとしています。

つまり、見守りロボットが夜勤職員の0.1人分に相当するということです。

見守りロボ導入で夜勤職員配置加算の要件を緩和

これによって夜勤職員の数を減らすことはできなくとも、職員の勤務時間を減らすことはできるので、休憩時間が多く取れるなどのメリットがあると考えられます。

処遇改善加算で、介護士の給与が8万円アップ!


「人材確保」にむけた2つめの施策として、「介護職員の処遇改善加算」があります。

これまでにも、「処遇改善加算」として介護士の給与を実質1~2万円アップする改定が行われてきました。

今回の改定では、なんと8万円相当の賃上げを行う方針で調整が進んでいるのです。

具体的には、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について、月額平均8万円相当の処遇改善を行うとされています。

改定における介護福祉士のの給与アップグラフ

この処遇改善のために公費1000億円程度が投じられると言われており、財源には消費税率の10%への引き上げによって生じる増収分が使われるとされています。

どうなる?改定後の介護業界を大予想!


1.介護報酬は微増。しかし基本報酬部分は引き下げもあり、厳しい状態は続く?


引き下げ論から一転して、微増に着地しそうな介護報酬。しかし、基本報酬の部分で引き下げが検討されているサービスもあり、事業者にとっては苦しい状況がつづくと考えられます。

前回のマイナス改定後は、過去最高水準の倒産件数をマークしてしまいました。倒産をまぬがれた事業所も、厳しい経営状態であることは想像に難しくありません。

そんななか、わずかながらの報酬引き上げが介護業界に好影響を与えるのかは疑問です。

2.処遇改善では一定の効果が。でも本当に必要なのは「イメージアップ」?


一方で、介護職員の処遇改善加算はこれまでに一定の効果をあげてきたといえるでしょう。実際に、12年と16年の介護職員の給与(月額)を比較してみると、約2万円上昇していることがわかります。

今回の改定では、これまでとくらべても大幅な加算となる8万円の処遇改善が見込まれています。これにより、今まで以上に介護士の給与アップがすすむと考えられます。

しかし、「人材確保」には、賃金アップだけではじゅうぶんでないという意見も散見されます。
介護ロボットONLINEが独自に行ったアンケートでは、人材不足解消のために必要なこととして、「介護職の社会的地位の向上」が「給与の引き上げ」に次いで多くあげられていました。

政府は、賃金アップと同時進行的に、介護職のイメージアップをはかる施策をうつべきではないでしょうか。

3.今回は見守りロボット限定も、今後はその他のロボットも活用されていく?


2018年の改定では、はじめて介護ロボットが介護報酬加算の要件として採用されそうです。今回は見守りロボットのみが取り上げられましたが、この改定で介護ロボットが身近になれば、今後さまざまなロボットが介護の現場に参入していくと考えれます。

経済産業省は、すでに来年度より「ロボット介護機器開発・標準化事業」として11億円の予算確保にむけて動き始めています。

介護ロボットは、介護の人材不足や職員の負担軽減のためだけでなく、介護を受ける側の自立支援を促すものとして注目を浴びています。

次世代介護の鍵をにぎる「介護ロボット」と共生する、新しい介護の形を考えていく必要がありそうです。

まとめ


2018年4月に大詰めをむかえる「介護報酬改定」。

「地域包括ケア」「自立支援」「人材確保」など、今後の介護の方向性を決定づける議論が今、白熱しています。

介護ロボットONLINEでは、今後も介護報酬改定に向けた動きを追っていきます。


関連記事:介護ロボが夜勤職員の代わりに!見守りロボット導入で報酬加算、厚生労働省が発表

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<参考資料>
厚生労働省(2017年)第155回社会保障審議会介護給付費分科会資料
厚生労働省(2017年)平成 30 年度介護報酬改定に関する審議報告(案)
経済産業省(2017年)「ロボット介護機器開発・標準化事業
JOINT 介護(2017年11月16日)「介護報酬の引き上げを」 関係団体、182万筆の署名を政府へ提出


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