【第1回】教えて、大川先生! ~介護ロボットって、そもそもなんですか?~

介護ロボットONLINE編集部介護ロボットONLINE編集部

作成日2017/12/25 更新日2018/04/022,319views


最近よく耳にする“介護ロボット”。見守りロボットが夜勤職員の代わりとして認められるなど、その存在感は日に日に高まっています。近い将来、多くの介護職員が介護ロボットといっしょに働くことになるのは間違いないでしょう。

一方で、「介護ロボットについて興味があるけど、どこで勉強すればいいかわからない…」「いざ介護ロボットを使わなければいけなくなったときが不安…」そんな思いを抱えている人も多いはず。

だから介護ロボットONLINEは、「よくする介護」や介護ロボットにくわしい大川弥生先生に、 介護ロボットにまつわるアレコレを対話形式でじっくり教えてもらうことにしました! 

第一回目は、「介護ロボットって、そもそもなんですか?」という素朴な疑問を大川先生に聞いてみます!

インタビュー風景(場所:国立研究開発法人 産業技術総合研究所 ロボットイノベーション研究センター)

インタビュー風景(場所:国立研究開発法人 産業技術総合研究所 ロボットイノベーション研究センター)

「教えて!大川先生」とは?

ICFの権威でありながら、介護ロボットにも精通している大川弥生先生に、介護ロボットにまつわるアレコレを対話形式でじっくり教えてもらうコーナー。

介護ロボットについて勉強しながら、「介護って何?」「ICFについて知りたい」「よくする介護のためには、どうすればいいの?」など、介護そのものについても勉強できます。

登場人物

介護ロボットのイメージ
大川弥生先生。国立長寿医療センター研究所生活機能賦活研究部部長。
「よくする介護」やICFにおいて国内の権威でありながら、介護ロボットについても詳しい。2015年には、コミュニケーションロボットの実証試験も担当する。
著書に「『よくする介護』を実践するためのICFの理解と活用ー目標思考的介護にたって」(中央法規出版、2009)「新しいリハビリテーションー人間『復権』への挑戦ー」(講談社現代新書、2004)などがある。
大川弥生(2009)『「よくする介護」を実践するためのICFの理解と活用ー目標指向的介護に立って』中央法規出版
かい ごろうくん。大学卒業後、介護職員として働き始めて2年目。ようやく仕事に慣れてきて、自分なりに「要介護者にとってよりよい介護とは何か」を考えるようになってきた。大川先生の著書は何度も読んでいる勉強熱心な24歳。

介護ロボットのイメージ

介護ロボットは介護を受ける人を「よりよくする」ためにある
大川先生、はじめまして!ぼくは介護職員として働き始めて2年目になるのですが、最近よく「介護ロボット」について耳にします。

将来的にはぼく自身も介護ロボットをつかって仕事をすることになると思っているんですが、じつは介護ロボットについて詳しく知らないんです。

大川先生のことはICFの勉強をしているときに知ったのですが、先生が介護ロボットにも詳しいということを最近知ったので、ぜひ教えてほしいと思って伺いました。よろしくお願いします!
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ごろうくんには、「今後自分も介護ロボットを使うことになるかもしれない」という危機感があるんですね。たしかに、介護ロボットの研究開発は活発になってきました。いずれは多くの介護職員の方が介護ロボットとともに介護をすることになるでしょう。

さっそくですが、介護ロボットと聞いてどういうものをイメージしますか?
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介護ロボットのイメージ?うーん、ドラえもんとかガンダムみたいな感じかなあ…。あとは、力を増強してくれるパワードスーツみたいなものも最近よくききますね。

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現在活躍している産業用ロボットとは?

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たしかに「ロボット」と聞くと、人間の形に近いロボットを思い浮かべがちですね。またあなたがおっしゃるとおり、力をアシストするようなものもあります。

ところで、実際に現在活躍しているロボットがどんなものかは知っていますか?
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そういえば、友達が勤めている自動車工場では、ロボットがボディの塗装をしているって言っていたなあ。
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そうしたロボットは、産業用ロボットと呼ばれます。現在活躍しているロボットのほとんどは、この産業用ロボットと呼ばれるものです。

産業用ロボットとは、労働者の作業を代わりにやってくれるロボットのこと。これが、今のロボットの現状なんです。

介護ロボットの目的とは?

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人型の介護ロボットやパワードスーツにも、「介護者の代わりに介護してくれる」というイメージがあります。実際、「介護ロボットは介護者の負担を軽減する」っていう話もよく聞きますし…。
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なるほど。でも実は、「介護者の作業を代行する」ことが、介護ロボットの第一の目的ではないんです。
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え!そうなんですか?じゃあ、介護ロボットの目的って、いったいなんなんですか?
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そこをいっしょに考えていきましょう。

ここがポイント!

・現在活躍している“産業用ロボット”。おもに工場などでつかわれ、組立や搬送、塗装、溶接など「労働者の作業を代行する」ことを目的に開発されている。
・一方“介護ロボット”は、「介護者の作業を代行する」ことが目的ではない。「介護者の負担を軽減する」ことだけが介護ロボットの役割という考え方は誤り。

介護ロボットは介護を受ける人のためにある

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介護ロボットは、介護者の作業を代行するわけではないということを理解いただけたと思います。実際、産業用ロボットと介護ロボットは、本質的にまったく違うものなんです。どこが違うかわかりますか?
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本質的な違い…?産業用ロボットは労働者の作業を代行するけど、介護ロボットは介護者の作業を代行するわけじゃない…つまり…うーん。

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ちょっと難しいですね。大事なのは、「介護とは何か?」をもう一度考えてみることです。ヒントは、私の著書にも書いてありますよ。

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じつは今日、先生の著書「『よくする介護』を実践するためのICFの理解と活用」を持ってきました!

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大川弥生(2009)『「よくする介護」を実践するためのICFの理解と活用ー目標指向的介護に立って』中央法規出版

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「介護」とは何か…この部分かな?
介護の対象は「活動」の不自由をもっている一人の「人」です。(中略)そして、その「人」の「活動」への働きかけが、現在および将来の生活機能にどのような意義をもつかを見ます。

出典:「よくする介護」を実践するためのICFの理解と活用



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思い出してきたぞ。介護の主役は「人」で、その人の「活動」を「よくする介護」が“最良の介護”なのだったな。

ということは介護ロボットも、介護者だけでなく介護を受ける人のためにあるものということか!そこが、産業用ロボットとの大きな違いなんじゃないかな?
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そのとおり!介護ロボットは、じつは介護を受ける人を「よりよくする」ためにあるんです。

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だからこそ介護ロボットでまず考えていただきたいのは、「介護ロボットとはなにか」ではなく、「よくする介護のために、介護ロボットをどう使えばいいか」あるいは「どのような介護ロボットが必要なのか」という点なんです。

ここがポイント!

・介護ロボットは介護者のためではなく、「よくする介護」の実現のためにある。
・介護ロボットそのものではなく、「介護ロボットを介護の中でどう使うか?」が大事。

次回は「よくする介護」にフォーカス!

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介護ロボットって、介護者の負担軽減のためにあるわけじゃないということがわかって、安心しました。正直にいって、負担を軽減するためだけだったら、介護ロボットなんて必要ないんじゃないかと思っていたんです。ぼくはまだ若いからたくさん動けるし、今後のことを考えて腰を傷めないような移乗を心がけているし…。

でも、「よくする介護」のためにあると考えると、ぜひ使ってみたくなりました!次回は、「よくする介護」についてくわしく教えてほしいです!
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では次回は、「よくする介護とは?」という問題に踏み込んでいきましょう。その流れで、ICFについてもおさらいしていきます。ごろうくん、ぜひ予習しておいてくださいね!

<参考資料>
大川弥生(2009)『「よくする介護」を実践するためのICFの理解と活用ー目標指向的介護に立って』中央法規出版

※本コンテンツの文章および図表の引用・転載を希望される方は、 介護ロボットONLINE問い合わせフォーム よりご連絡ください。

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