介護ロボが夜勤職員の代わりに!見守りロボット導入で報酬加算、厚生労働省が発表

介護ロボットONLINE編集部介護ロボットONLINE編集部

作成日2017/12/13 更新日2017/12/131,504views

2018年4月に行われる介護報酬改定。すでに改定に向けてさまざまな議論が行われています。

そんななか、厚生労働省は見守りロボットを導入することで加算対象となる夜勤職員の数を減らしてもよいとする方針を固めました。

一言で言えば、見守りロボットが夜勤職員の代わりになるということです。見守りロボットとは?どのくらい導入したら加算が取得できるの?など、詳しく解説していきます。

※2017/12/13更新しました。

見守りロボが夜勤職員の代わりに!?夜間職員配置加算が緩和

話題になっているのは、「夜勤職員配置加算」の緩和です。見守りロボットの導入で、「夜勤職員配置加算」を取得しやすくしようとしているのです。

夜勤職員配置加算とは?

夜勤が発生する特別養護老人ホーム(以下、特養)では、介護の質を保証するためおよび介護職員の過負担を防ぐために、夜間に配置する最低人員数が決められています。

介護報酬制度では、この最低基準よりも多く夜間に人員を配置した場合、報酬加算するシステムがあります。これを夜勤職員配置加算と呼びます。

現行のルールでは、夜間に最低基準よりも1人以上多く職員を置いた場合に報酬が加算されます。

加算要件に「見守りロボット」が追加される?


今回の改定では、「最低基準よりも1人以上多く置いた場合」という加算要件に以下の2つの要件を追加しようとしています。

1.ベッド上の入所者の動向を検知できる見守りロボットを、入所者数の15%以上に設置している場合

2.見守りロボットを安全かつ有効に活かすための委員会を設置し、必要な検討を行っている場合

この両方を満たしている場合に、夜勤職員の数が最低基準を0.9人上回っていれば取得できるようにするとしています。

夜勤職員配置加算の要件緩和

つまり、見守りロボットが夜勤職員の0.1人分に相当するということです。

これによって夜勤職員の数を減らすことはできなくとも、職員の勤務時間を減らすことはできるので、休憩時間が多くとれるなどのメリットがあると考えられます。

見守りロボットの効果は?

気になるのは、見守りロボットが本当に夜勤職員0.1人分の働きができるのか?という点です。

この疑問に応えるべく、厚生労働省は平成29年5月~8月にかけて見守りロボットの効果検証を実施しました。この検証により、見守りロボットには介護職員の負担軽減効果や業務改善効果があると判明したのです。

ナースコールによる訪室回数が6分の1に減少

ナースコールによる訪室回数が6分の一に減少

実証研究では、 非接触の見守りシステム  OWLSIGHT (アウルサイト)福祉用マット式見守りシステム 眠りSCAN を含む7機種が採用されました。その結果、導入後の訪室回数が減少したという結果がでたのです。

とくにナースコールによる訪室は導入前の6分の1まで減っていることから、介護職員の負担を減らしつつ、必要なときに訪室できていることがわかります。

ヒヤリハット、介護事故が0件に!

ヒヤリハット、介護事故が0件に減少

ふたつめの効果として、ヒヤリハットや介護事故の減少があげられます。見守りロボット導入から3回調査が行われましたが、回数を重ねる毎にヒヤリハットや介護事故の件数がすくなくなっていき、最終的には0件になっています。

半数以上の介護職員が高評価

半数以上の介護職員が高評価

介護職員への聞き取り調査では「夜間も安心して見守ることができる」と回答したのが50%、「介護者の心理的負担が軽くなる」と回答したのが42.8%と、過半数が好意的な評価をくだしています(複数回答)。

ただし、「必要以上に見に行くこととなってしまう」と18.8%が回答しており、状況や使い方によっては、導入前よりも訪室を増やしてしまう可能性も示唆されています。

対象となる見守りロボットとは?


今回の基準緩和の対象となる見守りロボットについては、現在のところ「 高齢者がベッドから落ちそうになったり、はいかいしたりした場合、センサーが感知して知らせる機器 」とのみ報道されています( NHKニュース より引用)。

ここでは、経済産業省の「ロボット介護機器開発・導入促進事業」において開発された介護ロボットを中心に、対象となると考えられる見守り機器をご紹介します。

Neos+Care(ネオスケア)

Neos+Care(ネオスケア)

Neos+Care(ネオスケア)は、3Dセンサを用いて人の動きを検知し、それをシルエット画像で表示することで、早く正確に、しかもプライバシーに配慮しながら見守りができる予測型見守りシステムです。2017年春には「生体モニターオプション」も追加され、対象者の3種の生体状態(体動:身体を動かす動作、静止:椅子やベッドで安静にしている動作、停止:生体反応がない状態)をリアルタイムに把握することができるようになりました。

開発メーカーによれば、 Neos+Care(ネオスケア) を導入した現場からは「転倒の回数が減った、転倒者の数が減った」という反響や、駆けつけの前に状況が確認できるので、実際にケア時間の削減につながったというデータもあるとのことです。

Neos+Care(ネオスケア)の効果データまとめ

取材記事はこちらから

業界初!予測型見守りシステム「Neos+Care(ネオスケア)」|ノーリツプレシジョン


シルエット見守りセンサ

シルエット見守りセンサ

シルエット見守りセンサは、ベッド上の空間を検知する赤外線センサを使った見守りシステムです。センサによって起床やはみ出し、離床を検知して通報するだけでなく、端末を使って離れた場所からも様子が確認できるのが特徴です。

シルエット見守りセンサのシルエット画像

開発メーカーによれば、シルエット画像を確認することで本当に今すぐ駆けつけが必要かどうか判断できるため、不要な駆けつけを減らすことが期待できるとのことです。

取材記事はこちらから

離床はもちろんはみ出しも!人の動きを検知する「シルエット見守りセンサ」|キング通信工業株式会社


OWLSIGHT (アウルサイト)福祉用


OWLSIGHT (アウルサイト)福祉用は、非接触・無拘束のベッド見守りシステムです。ベッドの上に取りつけることで、ベッドの上での立ち上がりや離床などの動きの変化はもちろん、悶えや震え、呼吸などの非常に小さな動きも検出できます。

OWLSIGHT (アウルサイト)福祉用

開発メーカーによれば、のどや胸の小さな動きも捉えることができるため、見守りだけでなく、無呼吸症候群の方が寝ている間にちゃんと呼吸できているか、脳梗塞で胸の筋肉が麻痺してしまった方がリハビリでどれくらい改善されたか、などさまざまな活用シーンが考えられるとのことです。

取材記事はこちらから

慶応大学発ベンチャーが開発!非接触の見守りシステム 「OWLSIGHT (アウルサイト)福祉用」|株式会社イデアクエスト

眠りSCAN

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眠りSCAN

眠りSCANは、マットレスの下に敷くだけでベッド上に居る人の状態をリアルタイムでモニタリングできる、非接触型の見守りシステムです。

センサーは体動や呼吸・心拍などを検知します。それらの情報から睡眠・覚醒・起き上がり・離床などの状態を判断し、リアルタイムでモニター表示します。

眠りSCANの表示モニター

開発メーカーによれば、状況を見える化することはスタッフの精神的負担の軽減につながるだけでなく、状況に合わせて介護の優先順位をつけることで、目が覚めているときに介護するなどして入居者の睡眠を確保しつつ、巡視業務にもメリハリをつけることができるとのことです。実際に眠りSCANを全床に設置している施設からは、「夜間の見守りが楽になった」という声があがっていると言います。

取材記事はこちらから

ケアプラン改善にも!次世代マット式見守りシステム「眠りSCAN」|パラマウントベッド株式会社


見守りロボットのこれまでとこれから


上で紹介した以外にも、さまざまな見守りロボットがこれまでに開発されてきました。経済産業省の事業である「ロボット介護機器開発・導入促進事業」では、他分野と比較してもっとも多い35社が見守りロボットの開発に乗り出しています。

介護ロボットONLINEが独自に行った調査 では、半数を超える61.5%の人が 「今後導入する予定のある介護ロボット」に「見守り支援型」をあげており、介護施設も高い関心を寄せていることが分かりました。

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「今後導入する予定のある介護ロボット」に対する回答


さらに 介護ロボットONLINE独自の取材 では、すでに「シルエット見守りセンサ」を導入している施設の声として「駆けつけの回数が減っていると思う」という聞き取りも行っています。見守りロボットの有用性は、すこしずつ証明されてきていると言えるでしょう。

今後の社会保障審議会に注目!

ロボットスーツや大型の移乗支援ロボットに比べて安価な商品も多く、安全面でも不安が少ない見守りロボットは、介護ロボットとしては導入へのハードルも低いといえます。

厚生労働省の実証研究では、見守りロボットによって介護職員の負担や介護事故が減少するという結果もでています。

見守りロボット導入に加算がつけば、費用対効果の面でも期待が高まるでしょう。

介護ロボットONLINEでは、今後も見守りロボットの取材を積極的に行っていきます。

<参考資料>
厚生労働省(2017年)第153回社会保障審議会介護給付費分科会資料
厚生労働省「介護ロボットの導入支援及び導入効果実証研究事業」公募開始 (2017/12/13)

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