現役介護職員160名にアンケート調査を実施!97%が「人材不足を感じる」一方で対策は「特にしていない」が4割

介護ロボットONLINE編集部介護ロボットONLINE編集部

作成日2017/11/28 更新日2017/12/15433views

厚生労働省によると、2025年には介護職員が約253万人必要になるのに対し、供給の見込みは約215万人で、およそ37.7万人もの人材が不足すると報告されています。介護職員は毎年増えているものの、実際に必要とされる人数には追いついていないという現状があるのです。

これをうけ、政府は人材確保のためにさまざまな施策を打ち出しました。具体的には、処遇改善として介護報酬を加算したり、労働環境改善として介護ロボットの開発・導入を支援したりしています。

一方で、実際に介護の現場で働く介護職員は、こうした現状をどう受け止めているのでしょうか。スタッフはふだんから人材不足を感じているのか、感じている場合は、解決には何が必要だと感じているのでしょうか?

介護ロボットONLINE編集部では、全国の介護従事者向けに、働く職場での人材不足の実態についてアンケートを行いました。

97.5%が「人材不足を感じる」

(1)あなたの職場では、人材不足を感じますか?

現在働いている職場で人材不足を感じているかどうか聞いたところ、「人材不足を感じている」と答えた人が97.5%(156名)、「感じていない」と答えた人が2.5%(4名)となりました。

グラフ:「人材不足を感じている」と答えた人が97.5%

圧倒的多数の人が自らの職場で人材不足を感じており、人材不足問題が介護業界で常態化していることがうかがえます。

「人材不足を感じている」と回答した人

まずは、「人材不足を感じている」と回答した人の詳細をチェックしていきます。

6割以上が「一人当たりの業務量が多い」

(2)どんなときに人材不足を感じますか?

グラフ:6割以上が「一人当たりの業務量が多い」

人材不足を感じる場面を聞いたところ、「一人当たりの業務量が多い」が63.2%(96カウント)ともっとも多く、次いで「休みがとりにくい」が61.8%(94カウント)となりました(複数回答)。

それ以降は「予定外の残業が多い」(28.3%/43カウント)、「希望する勤務時間・日数より多く働いている」(25%/38カウント)、「残業時間が長い」(16.4%/25カウント)と続きました。

仕事の負担が多いときや、望んだ働き方ができないときに人材不足を感じてることが分かります。

半数以上が「給与の低さ」について言及

(3)人材不足の原因は何だと思いますか?

自由回答にて人材不足の原因について聞いた項目では、120件の回答中64件が「給与の低さ」について言及されています。

グラフ:過半数が「給与の低さ」を指摘

その他には、「介護業界全体のマイナスイメージ」「人間関係」「雇用する財源がない」「介護保険制度の限界」「配置基準がおかしい」などの回答が寄せられました。

コメントの一部を紹介いたします。

コメント(自由回答)

● ハードな仕事な割に待遇が良くない。(男性/40代)
● 国の人員配置基準が少ない。(男性/50代)
● 介護従事者たちが疲れ切ってしまっている。介護業界で働く中の人たちを大切にする必要があると思う。(女性/20代)
● 上司のサービス残業の多さを見て、この業界での希望が持てない。(女性/50代)
● 介護業界全体のマイナスイメージ。(女性/50代)
● 同世代より給与が低い!結婚したら、共働きしないと子育てできない!(男性/40代)
● 好景気で他業種に人が流れた。(女性/40代)

人材不足解消にむけた取り組みについて

ここからは、すべての回答者に向けた質問に戻ります。

人材不足解消のために「給与の引き上げ」が行われたのは約1割

(4)あなたの職場では、人材不足解消のためにどのような取り組みをしていますか?

グラフ:人材不足解消のためにしている取り組み

人材不足を解消するために実施された取り組みを聞いたところ、「特にしていない」が40.9%(65カウント)ともっとも多く、次いで「職場でのコミュニケーションの円滑化」が28.3%(45カウント)という結果になりました。

それ以降には「スキルアップ・資格取得のサポート」(25.2%/40カウント)、「社内・社外研修の実施」(23.9%/38カウント)、「メンタルヘルス対策の実施」(20.8%/33カウント)と続きます。

「給与の引き上げ」は13.8%(22カウント)となっており、「人材不足の原因」と感じている給与に関して直接的な措置をとっている事業所は少数派であることが分かります。

「介護ロボット導入による業務効率化」は5%(8カウント)となっており、 前回の調査 と同様、介護ロボットの普及があまり進んでいない現状が明らかになりました。

77%が「解決には“介護職の社会的地位の向上”が必要」

(5)どうすれば介護職の人材不足が解決すると思いますか?

グラフ:人材不足解消のためには「給与の引き上げ」が必要

介護職の人材不足を解決するために何が必要か質問したところ、「給与の引き上げ」と回答した割合が84.4%(135カウント)ともっとも高く、次いで「介護職の社会的地位の向上」が76.9%(123カウント)、「休暇がとりやすい環境づくり」64.4%(103カウント)となり、それぞれが半数を上回りました。

実際に実施された取り組みとして挙げられていた「職場でのコミュニケーションの円滑化」と回答したのは36.9%(59カウント)で、過半数にはとどかないものの比較的高いニーズがあることがうかがえます。

逆に、「実際に実施されている取り組み」(問4)と「介護職員が有効だと感じている解決法」(問5)のあいだに25ポイント以上の差があるのは、上位の「給与の引き上げ」と「休暇がとりやすい環境づくり」に加え、「労働時間の調整」(問4:16.4%/問5:43.1%)「福利厚生の充実」(問4:9.4/問5:35%)となりました。ここから、介護職員の求める改善と実際に行われている改善に大きな乖離があることが分かります。

グラフ:実際と理想の乖離

ちなみに、「介護ロボット導入による業務効率化」での差は10.6ポイント(問4:5%/問5:15.6%)となりました。

(6)その他、介護の人材不足問題にたいする意見を自由に記述してください。

コメントの一部を紹介いたします。

コメント(自由回答)

● 処遇改善だと思う!きつい仕事の割には給料安くて手当ても少ない。だからやめる人も増える。(女性/30代)
● 加算ではなく、基本報酬を公務員並みにしてほしいです。(女性/60代以上)
● この業界は誰でも入りやすいが、誰でも続けられる職業ではない。心理的にストレスの多く、さまざまな面で配慮が求められる仕事であるにも関わらず、社会的地位、給与、福利厚生すべてにおいて、他業種より悪い。それでも高い意識を持って仕事をしている人が、安心して続けられる環境を整えないと、悪循環は解消されないと思う。(女性/40代)
● 賃金の引き上げを行い、労働者の流入を促進しつつ人員配置基準を見直し、労働者一人当たりの業務量を減らしてゆとりのあるケアを提供できるようにすることが必要。(男性/50代)
● 介護は人材不足だと前から騒がれているのに、国は改善をしてくれるどころか介護報酬を厳しくしていくばかりで、介護職員の首を絞めている。介護の仕事は好きだしこれからも続けていきたいと思っていても、給料への不満は常にある。さらに社会的地位が低く胸を張って自分の仕事を周りのみんなに言えない自分がどこかにいるのがとても悲しい。(女性/30代)
● 人材不足は少子高齢化が進む流れで、全国のあらゆる業界が直面する問題。介護業界は人材獲得競争を他業種も含むあらゆる企業と競争する羽目になるが、正直勝ち目がないと感じている。(男性/30代)
● とにかくお給料が安いので男性職員は結婚して子どもができると辞めてしまう人が多い。もったいないです。(女性/50代)
● テクノロジー導入に関する情報や助成。人とロボットの共存という概念が当たり前になること。(女性/50代)
● もっと書類業務をへらす。もしくは、AIの導入で記録を効率化する。(男性/40代)

まとめ

今回の調査では、全体の97%以上が実際に自らの職場で人材不足を感じているという結果となり、介護現場での人手不足が常態化している実態が明らかになりました。

人材不足の原因として「給与の低さ」をあげる人が半数以上いる反面、実際に「給与の引き上げ」が実施されたと回答した人は13.8%にとどまっています。

その他、労働時間や休暇のとりやすさなどが改善すべき点として挙げられている一方で、そうした改善策があまり取られていない現状から、現場からの要望と実際の対応にずれがあることが浮かび上がってきました。

コメントでは、「給与の引き上げ」には基本報酬のあり方から問いなおす必要があるという意見が散見され、事業所単位での対応には限界があるという考えがうかがえます。

介護職員が考える人材不足問題の有効な解決法として、2番目に多く挙げられている「介護職の社会的地位の向上」。その実現には、「給与の引き上げ」はもちろん、それを可能にする介護保険制度の見直しを含む、国単位での対応が求められていると言えそうです。


「介護の人材不足」について、また、このアンケートの結果や内容についてのご意見やご感想は、公式Twitter( @kaigo_robot )または Facebook までお寄せください。なお、本コンテンツの文章およびグラフの引用・転載を希望される方は、 介護ロボットONLINE問い合わせフォーム よりご連絡ください。

< アンケート調査概要 >
・調査期間:2017年11月11日(土)~11月22日(水)
・調査対象:介護従事者10代~60代以上の男女160名
・男女割合:男性/30.6%・女性/68.1% 









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