より文化的な排泄介助をめざして「ベッドサイド水洗トイレ」|TOTO株式会社

介護ロボットONLINE編集部介護ロボットONLINE編集部

作成日2017/10/12 更新日2017/10/23712views

誰もが使える”ユニバーサルデザイン”を心がけるTOTO株式会社。しかし、高齢者や歩行が困難な人は、そもそもトイレまでたどりつけないことも…。同社はそんな人に向けて、室内に置けるポータブルトイレの開発・販売を行ってきました。今回紹介する「ベッドサイド水洗トイレ」もそのひとつです。2017年10月2日(月)、同商品の新モデルが新たに販売開始しました。

これまでのポータブルトイレとどう違うのか?「ベッドサイド水洗トイレ」の開発者である吉冨利彦氏に、商品の特徴や開発秘話を聞きました。

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機器水栓事業部の吉冨氏に話を伺う

ベッドサイド水洗トイレとは?


ーーーベッドサイド水洗トイレとはどのような商品ですか?

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ベッドのすぐそばに設置できる。もちろん移動可能だ

水洗トイレでありながら、従来のポータブルトイレと同様に、ベッドのそばに後付けで設置することができる、動かせる水洗トイレです。

一人でトイレまで行くのが困難という方や、ポータブルトイレではにおいや後始末が気になるという方におすすめです。

ーーー特徴を教えてください。

一つ目の特徴は、簡単な工事で設置が可能である点です。一般的なトイレの場合、75mmという大きな配管と、水が流れるようにするための勾配が必要ですが、「ベッドサイド水洗トイレ」は20mmという細い配管で排泄物を圧送するので、大掛かりな工事や勾配の有無の心配なく、簡単に設置することができます。

二つ目の特徴は、移動性です。2017年10月に販売開始する新モデルは、重量を軽くし、キャスターを付けることで、従来品より本体を動かしやすくしました。ご自宅ではお部屋の模様替えやお掃除時等に合わせてトイレの置き場所を変えられますし、施設でもご利用者の方の身体状況に合わせて最適な位置にレイアウトすることができます。

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後部にキャスターがついているため、一人で持ち上げて移動させることができる

ーーー在宅と施設、どちらからのニーズが多いですか?また、どういったニーズを持った人が「ベッドサイド水洗トイレ」にたどり着くのでしょうか?

現状では、施設よりも戸建てで当商品を導入いただく実績のほうがやや多いです。従来のポータブルトイレと比較し、とくに「排泄の処理が不要」という点に魅力を感じて導入いただくケースが目立ちます。

ーーー「排泄の処理が不要」という点は、介護者にとっての利点ですね。

介護者の方はもちろん、被介護者の方もその点を非常に評価してくださっているんです。

私自身、開発当初は介護者の方の負担軽減を念頭に置いていたのですが、実際に導入された方にヒアリングしてみると、被介護者の方の「自分の排泄の処理で家族に迷惑をかけたくない」という精神的な負担が非常に大きかったことを知りました。

なかには、家族に排泄物がたまったバケツを処理してもらうことに気兼ねして、食事や水分を摂るのを控えていたという方もいらっしゃるほどです。「ベッドサイド水洗トイレ」を導入するとき、「これで好きなだけ水が飲めるわ」とおっしゃる言葉を聞いて、「今までそんな遠慮をしていたのか」と驚くとともに涙ぐまれるご家族の姿を目の当たりにしたこともあります。

そういった意味で、「ベッドサイド水洗トイレ」は介護する方はもちろん、介護を受ける方の精神的負担軽減につながる機器であると考えています。

お客様が”本当に望んでいるトイレ”のために


ーーー水洗式のポータブルトイレを作ろうと考えたきっかけは?

私はもともとバケツ式のポータブルトイレ開発を担当していました。開発当時は業界内でもトップレベルに使いやすいポータブルトイレができたという自負があったんです。

しかし、実際のお客様にヒアリングを行ったところ、予想外にネガティブな意見を多く頂いてしまいました。意見の多くは、「これでは恥ずかしくて孫を部屋に呼べない」「においが広がるのであまり使いたくない」といったものでした。

この経験から、「お客様が本当に望んでいるトイレとは何だろう?」と考えるようになったんです。最終的に、いただいた課題を解決できるような新しいポータブルトイレ、すなわち水洗式ポータブルトイレを作ろうという思いに至りました。

ーーー開発にあたって特に苦労されたことは?

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実は、「水洗式のポータブルトイレ」というコンセプト自体は10年以上前からあったのです。しかし技術的な課題が大きく、なかなか商品化までたどり着けていませんでした。

当時、海外ではカッターを用いてミキサーのように排泄物を粉砕するタイプの商品がありましたが、おむつやタオルなどを流してしまったとき、カッターの歯を避けながら処理しなくてはいけないという安全性の問題がありました。商品開発のためには、より安全性が高く、かつ確実に排泄物を粉砕し汚水マスまで流せる技術を開発する必要があったのです。

そのために約一年半、毎日自分の排泄物を触って研究しました。さまざまな硬さの排泄物を研究するために、パン食にしたり肉中心の食事にしたり、食生活を限定して挑みましたね(笑)。その結果、排泄物には鋭いカッターの歯ではなく、洗濯機のように激しい水流で衝突を促して粉砕した方が効果的であることに気づき、現在の方式に至りました。

在宅・施設利用|それぞれの反響


ーーーすでに導入された方からの反響を教えてください。

もっとも違いを実感していただくのが「におい」のようです。従来のポータブルトイレをお使いのある方は、においを気にして冬の寒い時期でも頻繁に窓をあけて換気されていたそうですが、当商品を導入してからはにおいを気にする必要がなくなり、いつでも快適に過ごせていると言っていただきました。

また、「ベッドサイド水洗トイレ」を導入したことで、これまでおむつを使用していた人がおむつなしで過ごせるようになったというケースもあります。

ご自分でトイレに行けるようになったことで生活のさまざまなシーンに影響が表れ、ネイルやおしゃれをはじめたり、美容院に行ったりなどの変化が見られるようになった方もいます。「ベッドサイド水洗トイレ」を使用しているご本人だけでなく、その旦那様も、そうした変化を見て非常に前向きになられました

ーーー介護する方からの反響はいかがですか?

バケツ処理が不要になったことに対する喜びの声をよくいただきます。なかには、これまで誰がバケツ処理をするのかで家族間で揉めてしまうことがあったそうですが、そうした諍いがなくなったのが一番嬉しいとおっしゃる方もいました。

また介護施設でご利用いただいているスタッフの方からは、「バケツ処理という重労働から解放された」「効率的かつ行き届いた排泄介助ができるようになった」「転倒事故の低減につながる」と高い評価をいただいています。

課題は価格――それでも導入する施設の狙い


ーーー反響から見えてきた課題はありますか?

価格ですね。2017年10月発売の新モデルは、前のモデルに比べて13万円お安くさせていただき、39万8千円でご提供しています。しかし、バケツ式のポータブルトイレと比較するとまだ価格が気になるという方はいらっしゃいます。

ーーー高くても購入する介護施設は、それだけの費用対効果を感じているということでしょうか?

そうですね。長い目で見て、介護者の負担軽減が労務時間や人件費の軽減につながるというコストパフォーマンスを期待して導入する施設もあります。

また、より被介護者の方の尊厳に配慮した排泄介助できるという観点で「ベッドサイド水洗トイレ」を導入する施設も少なくありません。

より文化的な排泄介助へ


ーーー最後にメッセージをお願いいたします。

現在の排泄介護は、まだ十分に文化的でない側面があるのではないかと考えています。

排泄は人間の尊厳に関わる、非常にプライベートな活動です。誰もが最後まで、尊厳を保ちつつ快適な排泄ができるということを、特別なことではなく当たり前にしたい。そのために、今後もお客様の声と共に商品開発を進めていきます。

編集部まとめ

トイレのスペシャリトであるTOTOが作る水洗ポータブルトイレは、開発者の”身体を張った”技術開発によって支えられていました。ポータブルトイレとしては高価に思える価格でも、価格以上の価値を見出す施設や家族、そして何より現在排泄介助を受けている当人を中心に導入が進んでいます。今年10月に新モデルが発売し、ますますの普及が予想されます。



戸建住宅・高齢者施設(居室)向け『ベッドサイド水洗トイレ』

セット品番
EWRS320
希望小売価格
398,000円(税抜、設置・工事費別途)
寸法
幅698mm×奥行き871mm×高さ709mm








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