ロボットならではの的確な支援!歩行リハビリ支援ツール「Tree」|リーフ株式会社

介護ロボットONLINE編集部介護ロボットONLINE編集部

作成日2017/10/02 更新日2017/10/18772views

介護ロボットのなかでも最近とくに注目を集めているのが、歩行を支援するロボットです。HONDAやロボットスーツで有名なCYBERDINE社がこぞって開発をすすめるこの分野で、海外からも注目を集めている医療・介護ロボットがあります。それが、今回ご紹介する歩行リハビリ支援ツール「Tree」です。

開発したのは、北九州に本社を構えるリーフ株式会社。北九州は、全国でもとくに高齢化が進む地域です。ロボット技術を使って課題解決に挑むリーフ株式会社に、歩行リハビリ支援ツール「Tree」の魅力を聞きました。

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代表取締役の森 政男氏に話を伺った

コンセプトを重視するメーカー

当社は2008年に設立し、来年1月で10年になる会社です。

もともとは産業系をメインとした制御ソフトウェアのエンジニアリング事業を展開していましたが、歩行リハビリ支援ツール「Tree」で医療介護分野に新規参入を果たしました。

当社の強みは、社会の課題を見極め、その解決のために本当に必要なものを一から企画し開発していく、コンセプト構築力です。メーカーではありますが、ニーズ発掘、課題の本質を見据えた製品開発、そして社会実装までを一気通貫で行う点が他社との違いだと自負しています。

歩行リハビリ支援ツール「Tree」 とは


ーーー歩行リハビリ支援ツール「Tree」はどのような商品なのでしょうか?

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歩行リハビリ支援ツール「Tree」は、映像と音声機能によって歩行練習をサポートするリハビリロボットです。「Tree」でリハビリすることで、利用者は足の踏み込みや運び方を学習でき、歩幅の向上や歩行スピードの改善が期待できます。

利用者は杖を持つように片手でハンドル部分を握り、「Tree」の案内に合わせて歩行練習するため、片麻痺などの症状によって両手が使えない方でもお使いいただけます。

「Tree」は、本体と足に取り付ける足圧測定器の2つから成ります。足圧測定器が荷重の分布やバランスなどを測り、それを分析してリアルタイムで足の接地位置などを正確に指示します。

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利用者は、本体に搭載されているモニターを見ながら歩行練習を行います。足元を見ながらの練習と違って前を見ながら歩くことができるので、リハビリ中も自然で正しい姿勢を保つことが可能です。

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前かがみにならず、より通常の歩行に近い状態でのリハビリが可能

ーーー他社の歩行アシストロボットには、利用者へ力を付加するタイプがありますが。

「Tree」は、利用者に対して力を付加するタイプではありません。あくまで、その人自身が持っている能力を上手く引き出すことに重点を置いています。

足の接地位置を指示したり、振り出し方を案内したりすることで正しい歩き方を思い出させ、自分の力で歩行できるよう促すのが「Tree」の役割です。

ーーーロボットスーツ型のものとは役割が異なるのですね。

そうですね。ロボットスーツのような装着型にしなかった理由としては、より広い対象の方に使っていただけるものにしたかったからでもあります。

外骨格タイプは、利用者の体格や能力に合わせる必要があるため、その分コストがかかります。歩けない方のサポートとしては非常に有益ですが、「その人自身の能力を引き出す」という方向性とは異なります。

「Tree」は、脳血管障害による片麻痺の方はもちろん、下肢の骨関節疾患の方や廃用症候群の回復リハビリなど、歩行練習・バランス練習が必要なあらゆる方にお使いいただけます。

開発のきっかけ

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ーーー介護ロボットにはさまざまな種類があります。その中でも、「歩行リハビリ支援」に着目したのはなぜですか?

ひとつは、北九州という全国的に見ても高齢化が進んでいる地域で、今後「歩行」が大きな課題になるだろうと考えたからです。



歩行障害は、「歩けないから不便」というだけにとどまらず、健康全体にさまざまな影響を与えます。廃用症候群や寝たきりという状態を招く大きな原因なのです。そのため、歩行に困難さを感じている方が楽しくリハビリテーションできるロボットがますます求められていくだろうと考えました。

ふたつめは、以前より「歩行」という生活基本動作を支援する機器の開発をしてきた経験があったためです。「Tree」開発を開始する前は、「Tree」にも用いている球体の制御技術を使って、歩行困難者や視覚障害者の方向けの”転ばない杖”が作れないかと試作を繰り返していました。その後、現場からのヒアリングや課題の分析を通して、現在の「Tree」の形に発展していったのです。

開発中のこだわり

ーーー「Tree」は、厚生労働省の「福祉用具・介護ロボット実用化支援事業」やロボット産業振興会議の「生活支援ロボット実証実験促進事業」で効果検証・実証試験をしています。開発時に気をつけたことやこだわりはありますか?

リハビリの有効性はもちろんですが、同時に療法士や介護士などの指導者から見た使い勝手にはこだわりました。介護ロボットは、使い勝手が悪いとどんなに良い商品でも結局使われなくなってしまいます。

さらに指導者にとっては、これまで知識や経験に基づいて指導していたリハビリが、定量的なデータに基づいて行えるようになったことで、肉体的負担はもちろん、精神的な負担の軽減にもなります。

ーーーシンガポールでも実証試験を行っていますね。

日本貿易振興機構(ジェトロ)北九州の支援をうけて、現地の公立病院への導入を見据えた実証試験を行っています。そこでも同じく、利用する側、運用する側双方の使い勝手を重視しています。「ロボット技術でモチベーションを高く、楽しく歩行練習をしてもらう」「リハビリにかかる業務負担を減らす」「ロボットならではの正確さで的確な回復支援を導く」といった目的を忘れず、コンセプトからぶれない改良を続けていくつもりです。

反響と課題

ーーー反響はいかががですか?

現在、臨床研究用モデルとして、複数の介護福祉施設や病院で導入いただいています。これまで定量的に判断することが難しかったリハビリ効果がデータとしてあらわれるので、「モチベーションアップにつながる」「効果的なリハビリにつながっている」という声が寄せられていますね。

また効果や実用性に関しては、複数の学会で発表いただき、専門家からも高い評価をいただいています。

ーーー逆に課題はありますか?

一番の課題はコストです。本格的な普及のためには、介護施設用に特化したモデルとして今の3分の1まで価格を削減しなければならないだろうと考えています。そのためには、今後も国の支援を受けながら、同時にスピード感のある海外での展開も見据えつつ、特に高齢化が進むアジア諸国に向けた情報発信をしていきたいと思っています。

介護ロボットだけでは変わらない――新しい介護のために必要なこと


ーーーメッセージをお願いします。

介護ロボットの導入で、今後ますます介護負担が軽減されることは間違いないでしょう。しかし私が介護現場でのヒアリングで感じたのは、「介護ロボットを導入するだけでは介護は変わらない」ということでした。

リハビリはチームで連携して行われますが、介護はそれ以上に、施設経営者や介護士、家族などの関係者全員で連携して行われるものです。現場から課題を抽出するにしたがって、ロボット技術を活用した次世代の「新しい介護」を実現するためには、システムの全体的な見直しを含めた意識改革が不可欠だと痛感しました。

それぞれの立場にある人がそれぞれの視点から意見を出し合うことで、より良い介護ロボット開発につながっていくのではないかと考えています。当社でも、そういった意見から本質的な課題を見極め、製品に反映していきます。

編集部まとめ

力を付け足すのではなく、「その人自身の能力を引き出す」ことを目的とした新しい 歩行リハビリ支援ツール「Tree」。ロボットならではの正確さで数値測定や分析ができるので、根拠に基づいた効果的なリハビリが可能となります。森氏が話すとおり、歩行は健康全体に大きな影響を与える動作です。超高齢社会への突入とともに大きな課題となった「歩行」への挑戦は、まだ始まったばかりです。



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