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介護ロボットの普及率はどのくらい?普及を阻む3つの要因

介護ロボットONLINE編集部介護ロボットONLINE編集部

作成日2017/09/25 更新日2018/03/276,332views


介護施設での介護ロボットの活用がしばしばニュースになっていますが、実際の普及率はどれくらいなのでしょうか?

介護ロボットONLINEが介護福祉施設に向けて行った独自のアンケート では、約3割が介護ロボットを導入していることが分かりました。

介護ロボットの普及のために、今何が行われているのでしょうか?また、普及を阻む要因もまとめました。

介護ロボットの普及率

介護ロボットは、現状どのくらい普及しているのでしょうか?介護ロボットの普及率を表す正式なデータは、残念ながらまだありません。しかし、 介護ロボットONLINE独自で行ったアンケート によれば、現在介護ロボットを導入している施設は、全体の約3割程度となりました。

介護ロボットの普及率グラフ

全体の3割を「多い」と見るか「少ない」と見るかは人それぞれですが、数年前には「介護ロボット」という言葉すら知られていなかったことを考えると、着実に導入が進んでいるといえるでしょう。

介護ロボットが普及しない3つの理由


少しずつ導入されてきているとはいえ、大半の施設では介護ロボットが使われていないのが現状です。なぜ、普及は進まないのでしょうか? 普及を阻む要因は、大きく3つあると考えられます。

1.コストが増える

ひとつ目はコストです。政府は安価な介護ロボットの開発を支援してますが、市販されている介護ロボットの多くは高額で、なかなか購入できないという施設がほとんどです。介護ロボットONLINEが行ったアンケート でも、導入しない理由として「介護ロボットの価格が高いから」を挙げている施設が半数を超えています。

介護ロボットを導入しない理由グラフ

ただしここで述べるコストは、介護ロボット本体のコストだけではありません。介護ロボットの導入には、ロボットの価格以外にも、さまざまなコストがかかるのです。

コストには、介護ロボットを扱う介護従事者に対する研修費用や、保守・運用のための費用などがあります。また、介護ロボットを使うことで介護従事者の肉体的負担が軽減されサービスの質もあがるものの、時間が余計にかかるという場合は、人件費の面でむしろコストが増えているといえるでしょう。

つまり、単に「介護ロボット本体の価格が安くなればいい」という単純な問題ではないのです。

同様の問題は、介護リフトの普及率にもいえます。介護リフトは、介護従事者の腰痛対策として導入が勧められていますが、実際の国内の普及率は10%にも達していません(※1)。

その要因として、リフト自体の価格や収納場所等の問題の他に、「人力のほうが速くできるので、無理をしてでも人的介護で終わらせてしまう」ことが挙げられています(※2)。

介護リフトに関しては「ノーリフトポリシー」がありますが、介護ロボットには法規制がないため、介護施設としては、使わなければいけない理由が特にありません。介護ロボットの本格的な普及には、何らかの規則が必要になってくるのかもしれません。


※1 独立行政法人産業技術総合研究所(2013)「  ロボット介護機器開発・導入促進事業 全体概要 
※2  公益財団法人テクノエイド協会(2014)『介護福祉経営士 実行力テキストシリーズ9 新しい福祉機器と介護サービス革命 導入の視点と活用のポイント』日本医療企画

2.実用的でない・役に立たない

二つ目は、介護ロボットが実用的でない、つまり「役に立たない」という問題です。

これは、介護ロボットの供給側である開発メーカーと、使う側である介護福祉施設のミスマッチが原因で起こります。どれほど高性能なロボットでも、実際の介護業務に適していないと無用の長物となってしまいます。これまで開発されてきた介護ロボットの中には、高スペックでも使い勝手の悪いものが少なくなかったため、なかなか普及に至らなかったといえます。

介護ロボットの供給側である開発メーカーと、使う側である介護福祉施設のミスマッチ

また、現在市販されている介護ロボットのほとんどは、介護の中でも単一の動作しかできません。たとえば、食事を支援するロボットなら食事のみを、移乗を支援するロボットなら移乗のみを支援します。

しかし実際の介護は、食事や移乗だけでなく、排泄、着替え、入浴など、ありとあらゆる生活項目に対して行われます。そのため、介護業務は多岐にわたり、しかも人によって異なったアプローチが求められます。

そんななか、単一の作業を繰り返すだけの介護ロボットが、介護業務全体の手助けをすることは不可能といえます。現状、さまざまな業務を支援するには、異なる複数の介護ロボットが一度に必要となります。

コストや収納場所を考えると、それは現実的に困難です。それ故に、現在の介護ロボットは「役に立たない」ということになってしまうのです。

3.安全性

三つ目安全性の問題です。「万が一ロボットが暴走したら?」「突然故障してしまったら?」というロボットならではの不安が、介護ロボットの導入に二の足を踏ませています。

ただしこちらに関しては、生活支援ロボットの国際安全規格「ISO13482」が発行されるなど、安全性の確保に向けて世界的な取り組みが進められています。

普及のためにしていること

政府は、普及のためにさまざまな施策を行っています。

例えば
  • 介護ロボット導入支援事業
  • 福祉用具・介護ロボット実用化支援事業 
などです。
介護ロボット導入支援事業
効率化や負担軽減などの効果がある介護ロボットに対し、1機器につき10万円を補助する。
→各自治体の介護ロボット導入支援事業について知りたい方は 【平成29年度】介護ロボット導入支援事業における補助金【都道府県別一覧】 から
福祉用具・介護ロボット実用化支援事業
相談窓口の設置、実証の場の整備 、モニター調査の実施、普及・啓発を行う事業。普及のために、介護ロボットに関するパンフレットの作成 や、介護ロボットの展示・体験 、介護ロボットの活用に関する研修などを行う。
こうした導入促進事業によって、より実用的な介護ロボットの開発が進められるようになってきました。また、パンフレットなどによる一般への周知が、介護ロボットに対する誤解(ロボットは危険、冷たい等)を解く手立てとなっていくことが期待されています。

介護保険制度と介護ロボット

平成30年度に予定されている介護保険制度の改訂では、介護ロボットの導入に対する介護報酬加算が検討されています。

現状の介護保険制度は、入居者や利用者の数に対して、有資格者や介護従事者の数が定められています。定められた数の人員を配置していないと、介護報酬を受けることができません。

そのため、仮に介護ロボットによって業務が軽減できたとしても、介護報酬を受け取るためには、人材削減するわけにいかないのが現状です。

つまり、現状の介護報酬システムは、そもそも介護ロボットの導入が想定されていないのです。施設経営者にとって、介護ロボット導入には何のメリットも無いということです。

こうした現状を受け、政府は、介護ロボットの導入に対して介護報酬を加算する方針を打ち出しました。安倍総理大臣は、「介護者の負担を軽減するロボットやセンサーの導入を、介護報酬や人員配置基準などの制度で後押しする」と述べています(※3)。

しかし、2017年8月23日に行われた介護給付分科会では、介護ロボットの導入は時期尚早なのではないかという意見も出ています(※4)。

介護ロボットで負担が軽減できる業務もあるけれど、同時に安全管理など新たに発生する業務もあると考えられるため、すべての介護ロボットが人員削減につながるとは思えない、というのが主な理由です。

今後、介護ロボット導入による介護報酬加算がどう動くか、ますます注目が集まります。

※3 首相官邸ホームページ「第7回未来投資会議」より引用
(2017/09/19, http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai7/gijiyousi.pdf
※4 厚生労働省(2017年8月)「 第145回社会保障審議会介護給付費分科会資料

まとめ

介護ロボットONLINE独自調査では、約3割が「導入している」と答えた介護ロボット。普及を阻む一番の壁は「コスト」ですが、介護ロボットが安くなれば良いという単純な問題ではなく、介護スタッフの教育や運用、その他の費用対効果などが問題として挙げられます。

政府は、介護ロボットの普及のためにさまざまな支援を行っていますが、施設運営に影響力のある介護報酬加算に関しては賛否両論が出ています。

介護ロボットの本格的な普及にはまだまだ問題が山積みな印象をうけますが、少しでも介護の人材不足や自立支援につながるような介護ロボットが引き続き求められるのは間違いないでしょう。


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