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水洗ポータブルトイレ
キューレット

名称キューレット 家具調トイレ
希望小売価格150,000円(税抜)
寸法54 × 71 × 81 ~ 87cm
便座面高さ 36・39・42cm
重量約23kg
最大使用者体重100kg
名称キューレット 樹脂製トイレ
希望小売価格100,000円(税抜)
寸法幅49.5 ×奥行67 ×高さ75 ~ 85cm
(便座までの高さ35 ~ 45cm[1cm ピッチ])
重量15kg
最大使用者体重100kg
名称真空ユニット 屋外仕様
希望小売価格425,000円(税抜)
寸法58 × 37.5 × 80cm
重量約47kg
電源コード20m
名称真空ユニット 屋内仕様
希望小売価格470,000円(税抜)
寸法44.5 × 65 × 101.5cm
重量約54kg
電源コード3m

製品概要

ポータブルトイレでありながら水洗で排泄物を処理できる、水洗式ポータブルトイレです。専用の真空ユニットとつなげることで、排給水工事なしで設置することが可能です。

真空圧で匂いも吸引!水洗ポータブルトイレ「キューレット」|アロン化成株式会社

取材記事アイキャッチ画像

ポータブルトイレなのに、水で流せる。そんな介護ロボットを作っているのがアロン化成株式会社です。新幹線のトイレのように一瞬で排泄物が吸い込まれる技術を使った「キューレット」は、屋内仕様なら工事も不要だそう。そんな水洗ポータブルトイレ「キューレット」の裏側に迫りました。

作り続けて45年!アロン化成だからこそ実現した水洗ポータブルトイレ

ーーーはじめに会社説明をお願いします。

まずは新事業開発部長である中居氏に話を聞いた

アロン化成は、プラスチックの総合加工メーカーです。1951年に日本で初めて硬質塩化ビニル管の製造に成功して以来、様々な製品を開発、提供してきました。現在は、主に4つの分野を中心に事業を展開しています。給排水分野、介護・福祉分野、高機能エラストマー分野、環境・リサイクル分野です。

介護・福祉分野についてご説明します。我々はこれまで生活に身近な様々な製品を開発、販売してきました。例を挙げると、赤ちゃん用のベビーバスやおまるなどがあります(現在は販売終了)。
1972年に初めてポータブルトイレを発売してからは、「安寿」というブランド名で多くの介護用品を提案してきました。

また2000年に施行された介護保険制度をきっかけに、介護福祉の分野により注力しようということになりました。現在の主力は、排泄介護と入浴介護の製品です。

このように45年間、ポータブルトイレを作り続けてきたという歴史があります。それが今回の水洗ポータブルトイレ「キューレット」にも生かされていると言えます。

ーーー新事業開発部について教えてください

新事業開発部という部署は、文字通り今までにない新しい事業を生み出すことを目的としています。

その文脈で開発されたのが、今回の「キューレット」です。「キューレット」という介護ロボットは、給排水分野と介護の分野のちょうど中間に位置する製品といえます。福祉用品の性格を備えつつ、水洗トイレにつきものの給排水工事や設置のし易さまで考えられている製品なんです。

ーーーキューレットについて教えてください。

キューレットは、ポータブルトイレに真空吸引力を利用した水洗機能を付加した、全く新しい製品です。

真空吸引というのは、新幹線のトイレに採用されていますが、家庭用電源で真空式のトイレを動かすというのは、世界でも初に近い取り組みです。

実際に見ていただきましょう。

キューレットのデモを見学してきた

部屋にマッチする家具調ポータブルトイレ

キューレットには屋外仕様と室内仕様があり、今回お見せするのは室内仕様になります。

まずはトイレユニットの説明をします。トイレ本体の部分は、介護用ポータブルトイレの基本的な機能をすべて有しています。例えば温水洗浄、脱臭機能、暖房便座、あとは個人の個体に合わせて高さを変えられる、移動ができるなどですね。それに加えて、水洗機能がついています。

真空ユニット(写真左の木製のボックス)とトイレはホースの長さ分だけ離すこともできる(最長5m)

そしてこちらが、真空をつくる真空ユニットです。室内仕様の場合は、このふたつで排水工事も給水工事もなしですぐ使うことが可能です。

トイレユニットと真空ユニットをホースでつないで使います。ホースさえ繋がっていれば、ふたつを離して置くことができます。だから、真空ユニットをベッドの後ろや廊下といった気にならない場所に置くという使い方もできるんです。

早速、実際に流すところを見ていただきましょうか。今回は疑似便として、ぶどうのフルーツゼリーを使います。フルーツゼリーを使用するのは、流す前後での匂いの変化を確認してもらうためです。今はぶどうの匂いがしているかと思います。ここにトイレットペーパーと疑似尿(水300cc)を追加します。ではボタンを押して流してみます。

ゼリー4個+トイレットペーパー90cm 2枚+水300ccを入れて流してみる

ーーー真空ユニットから音がしたあと、新幹線のトイレのように一瞬で疑似便が流れましたね。

先ほどの音は真空を作っている音です。疑似便が流れた後、便器内に水が溜まっているのが分かりますか?これが水洗の特徴で、便器内に水が溜まることで匂いの逆流を抑えられるんです。

ーーー確かに、先ほどまであったぶどうゼリーの匂いが全くしません。

これは、便が流れると同時に、まわりに滞留している匂いも吸い込まれるからなんです。圧送式には無い真空吸引式だけの特長です。吸い込まれたものは、真空ユニット内のタンクに溜められます。タンク蓋部にはシール材ついているので、匂いが漏れません。

吸い込まれたものは真空ユニットの中にあるタンクに溜められる

ーーー何回分くらい溜められるんでしょうか?

6回分溜まるようになっています。

「キューレット」では、1回の洗浄に500ccの水が使われます。通常のトイレは6Lほど使用するので、画期的な少なさです。溜まったものを処理していただく必要がありますので、その際に重くなりすぎないよう6回分で設計しています。

タンクがちゃんとはまっていないと、トイレユニットのエラーランプがつきます。この状態では水が流れないようになっています。また、タンクが満杯になっていても、センサーが感知してエラーランプがつくようになっています。ここがロボットである所以ですね。

ーーートイレットペーパーが粉々になっていますね。

はい、吸い込む力で粉砕されますし、流れていく際もL字に曲がる部分を複数個所設け確実に粉砕します。

「キューレット」では、粉砕するのに刃物を一切使っていません。一般的なものは、刃物を使ってトイレから流れた瞬間に砕くという装置を搭載していることが多いですが、それとは全く違います。だから、仮に作業者が分解したとしても、刃物はないので安全です。

ポータブルトイレをずっと作っている弊社の思想と、給排水分野での技術がミックスされていると言えます。

ーーー水はどこにあるんですか?

給水タンクを設置することで、給水工事が不要になる

トイレユニットの後ろにある給水のタンクに溜めていただけます。そのため、給水工事が不要なんです。

ーーー給水工事ってそんなに大変なんでしょうか。

水回りって、だいたい家の一箇所にかたまっているんです。「使っていない部屋があるから、そこを潰してトイレにしよう」と簡単に考えがちですが、水が流れるためには勾配が必要だったりして、実はけっこう難しい。全く水回りのない部屋に配管を持っていこうとすると、時間とお金がかかるんです。

ーーーなるほど。つぎに屋外仕様の説明をお願いします。

屋外仕様の場合は、排泄物をタンクに溜めるのではなく、直接下水道に流すことができます。給水工事は屋内仕様と同じく不要ですが、下水道の管につなぐという工事は必要になります。真空ユニットとトイレユニットの距離は、20m以内、また高さ2m以内であれば逆勾配配管が可能です。

3年間の実証実験をとおして気づいたこと

ーーー「キューレット」の実証実験はどのくらいされたんですか?

「キューレット」は、介護ロボットとして経産省の審査を3年間で2回通過しており、そのたびに実証実験をやっています。
例えば先ほどの運転ランプの部分も、実証実験を通して改良されています。もともと、稼働時は緑色のランプが常につくようにしていたんです。でも、高齢者の方に実際に使っていただくと、「電気がもったいないから」といってコードを抜いてしまわれるんですね。だから、水洗しているときやエラーのときのみランプがつくようにしたという経緯があります。

ランプの点灯ひとつにも、実証実験が生かされている

開発は工場長の一言。そこから始まる挑戦

ーーー開発のきっかけを教えてください。

私が新事業開発部の担当になったとき、様々な人に話を聞きに行ったんです。ポータブルトイレを作っている工場の工場長と話しているとき、「中居の力で、このトイレ(ポータブルトイレ)を流してみろよ」と言われたんですね。その言葉がきっかけで、「こうすれば流せるかもしれない」というひらめきが生まれ、研究に繋がったんです。

ーーー開発時に大変だったことはありますか?

直径何mmのホースが良いのか、トイレの内部はどういう形状が良いのかなどを、疑似便を作って延々と実験したことですね。

人間の汚物の標準的な大きさは、25mmの円筒形・長さ80mm・比重0.95-1.05と言われています。当然重たいほうが流れづらいですし、実際の便は千差万別です。そんな汚物が、ペーパーと一緒にどう砕けながら流れるようにするか、という研究に2年かかりました。

また、流れる際に使用する水の量は、最初から500ccにするという目標がありました。少ない水で、しかも家庭用電源で真空式のトイレを作るという試みは、先ほども言いましたようにおそらく世界初です。様々な制限がある中で製品化までこぎつけることができたのは、給排水事業と介護用品事業、どちらもやってきたからこそだと自負しています。

2年間研究をしてるときに、経産省の「ロボット介護機器開発・導入促進事業」が始まりました。そこでの排泄支援ロボットの定義が、たまたま開発中の「キューレット」と一致したんですね。経産省の定義は、「排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置の調整可能なトイレ 」というものです。我々の製品も、ただ流せればいいということではなく、自立を支援するという認識のもと開発していました。

負担が減る、だけじゃない。身も心も軽くなる

ーーー反響はいかがですか?

介護する人の負担が軽くなったとか、匂いが気にならないとか、そういった反響は多く頂いています。あとは、「キューレット」を導入してから、介護を受けている方の行動が積極的になっという声も頂きました。

ーーーなぜ積極的になったのでしょう?

一例をご紹介します。ある方は、通常のポータブルトイレから「キューレット」に変更したところ、トイレの使用頻度が約3倍に増えたんです。

その方は要介護度3程度だったのですが、談話室に行ってコミュニケーションをとるように施設側から勧められていました。しかし、これまではなかなか行きたがらなかった。でもキューレットにしてから、積極的に談話室に行くようになったんです。

談話室って、お菓子やお茶が出てくるんですよ。お茶を飲むとトイレに行かなくちゃいけないですよね。トイレに行くと、誰かがそれを処理しないといけない。そういうのを全部頭で考えて、今まで我慢されていたんです。

ーーー排泄行為だけでなく、生活全体に影響していくんですね。

キューレットのキーワードは「気兼ね」「気遣い」という磯本

その通りです。我々は、「キューレット」のキーワードは気兼ねと気遣いだと考えています。介護を受ける方の「介護してもらうのが忍びない」という気兼ねや、介護をする方の「安心してトイレに行ってほしい」という気遣いの部分で、喜んでいただく事例が増えてきています。

ーーー最後に一言お願いします。

現在、介護ロボットというと、施設で介護をする方の負担を軽減することに目が向けられがちです。しかし今後の日本の未来を考えると、施設ではなく在宅での介護が中心になってくるはずです。在宅介護をすることになったとき、新しいトイレを作る必要が本当にあるのなら、作るべきだと我々も思っています。しかし、介護が終わった後、そのトイレをどうするのかといったことはあまり考えられていないのが現状です。

我々の「キューレット」は、介護における空間の使い方を考える上でも、ひとつの提案ができるのではないかと考えています。

編集部まとめ

人間の生活の3大要素として、食事・睡眠・排泄があります。しかし排泄は、悩みがあっても食事や睡眠に比べ人に相談しづらく、介護する側も受ける側も「我慢」してしまいがち。今回見せていただいたキューレットは、負担軽減や自立支援という福祉用具に求められる役割はもちろん、利用者の気兼ねや気遣いというセンシティブな問題解決にまでつながる可能性を秘めていました。


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