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先進的な取り組みで魅力的な現場作りを!東京都ロボット介護機器・福祉用具活用支援モデル事業に選出|社会福祉法人友愛十字会砧ホーム

介護ロボットONLINE編集部介護ロボットONLINE編集部

作成日2017/09/20 更新日2018/08/075,402views


東京都が行なった平成28年度ロボット介護機器・福祉用具活用支援モデル事業に、特別養護老人ホームとして唯一選出された、世田谷区にある社会福祉法人友愛十字会砧ホーム。モデル事業での取り組みは、専門的知見を有するアドバイザーによる、施設へのコンサルティング及び効果検証と、施設のロボット介護機器等導入の際の補助の2つがあります。モデル事業に応募した経緯から、介護ロボット導入後の今日までの状況、現場で働く介護職員の反響について、お話を伺ってきました。

歴史ある法人での先進的な動き

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今回お話を伺った方:鈴木健太氏

こんにちは、砧ホームへようこそ。本日は看護師であり介護部部長の私、鈴木がお話させていただきます。

―――早速ですが、東京都のロボット介護機器・福祉用具活用支援モデル事業に応募した経緯を教えていただけますか?

私たちの施設では、先進的な取り組みを積極的に行おうと、モデル事業に応募する前からロボット体験会を開催していました。さらに、さまざまな福祉用具を試したり、施設に講師を招いて研修したりしていました。その取り組みの一貫として、介護ロボットのモデル事業の話を知り、応募を決めました。

「この介護ロボットが欲しくて」とか、「施設で問題視されている課題を解決するため」というわけではなく、介護業界における先進的な取り組みのひとつとして、介護ロボット導入について考えていたことがきっかけと言えます。

―――介護ロボットを導入したらどういった取り組みをしたいと考えていらっしゃいましたか?

今後、さらなる介護職員人材不足が見込まれる中で、人が集まる施設になって、ケアの充実化を図れる魅力ある施設作りの一助になればと考えていました。具体的に言うと、介護ロボットを活用することで、 先進的な取り組みに積極的に挑戦したいという前向きな職員で溢れる職場にしたいなと。

―――やはり、介護職員の人材不足というものは感じられますか?

かなり感じています。私たちは人材確保の取り組みを含め、対外的なアピール力に課題を抱えているんです。「介護するのであれば、砧ホームに一度は入職しないと専門職として面白くないんじゃないですか?」とまではいきませんが、ゆくゆくは介護の登竜門的施設になれたらと考えているんです。

そのため、社会福祉法人東京都社会福祉協議会が主催するアクティブ福祉in東京で、施設での取り組みを報告したりして、受賞をとおして世の中に知ってもらおうという動きはしているのですが、前述のとおり、アピール力が弱くて…なかなか難しいですね。

介護ロボット導入したことで得られた反響

―――水をさす質問かもしれませんが、介護ロボットに頼っている施設という印象を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そうですね。介護ロボットがいきなりポンとくるとそうかもしれませんが、私たちはずっと先進的な取り組みを行なっていたというのもあり、おかげさまで、介護ロボット導入の影響から、「私も介護ロボットを利用したケアをしてみたい」という介護職員からの問い合わせをいただいております。

―――逆に集まってきているんですね!

まさに期待通りなんです。前向きに学びたいという気持ちを持って入職いただくことで、現場も活性化するんですね。私たちが目指している現場の形になってきているかなぁと思います。

日本の人口減少に比例し、介護する人口も減少する中で、昔ながらの介護思考では難しいという認識は、 砧ホームだけではなく広く業界に浸透しているのではと感じています。介護ロボットもそうですが、外国人介護士の受け入れなんかも昔なら考えられなかったと思いますし。

施設を利用されている方のご家族からも、これからも新しいことを実践していってほしいという声をいただきます。

―――確かに、ご家族の方だけではなく、少子高齢化は周知の事実ですものね。

むしろ介護職員を労ってくださっている状況です。

介護職員の方にマッスルスーツを実演していただきました!

―――現在導入されている介護ロボットについて教えてください 。

1番最初に持ってきたのが、イノフィスのマッスルスーツです。マッスルスーツとは、装着することで腰の負担を軽減してくれる腰補助用の介護ロボットです。担当の方にレクチャーいただいたのですが、当初装着に1分以上かかっていました。自分のポジションにあわせるのに時間がかかっていたんですね。しかし、4ヶ月経った今、慣れている職員に関しては、移動しながら10秒くらいでつけちゃうんです。それこそ変身しながら現場に駆けつけるではないですけど(笑)

さらに、次の職員が着用しやすい脱ぎ方というのがあるんです。いろんな職員が使うので、バンドをゆるめて外しておくとか、使いながら発見していくこともあります。マイナス思考だと「面倒くさいなぁ、ダメじゃん」といった感じですぐ終わってしまいますが、みんな前向きにいろんな提案をし、「どうしたらいいんだろう?」と、随時改善し活用しています。

うちにマッスル三浦と呼ばれている、マッスルスーツマスターがいるので、せっかくなので彼に実演してもらいましょう。

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「こんにちは」と言いながら颯爽とマッスルスーツを着用しはじめる三浦さん

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慣れた手つきでベルトをしめていく

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歩きながらにも関わらずものの10秒で着用完了

―――歩きながら10秒で着用完了は、さすがマッスル三浦さんですね!

回答
そうですね、もう慣れました。

―――マッスルスーツを使う場面はどういったときですか?

回答
モデル事業なので、 課題の解決場面として計画したベッド上の排泄介助か、トイレ誘導の際に使用しています。夜勤中に使うことが多いのですが、明けの朝の疲労感が違いますね。

―――どのくらいの時間装着していらっしゃるのでしょうか?

回答
けっして軽いわけではないので、長くても30分ちょっとくらいですね。

―――30分だったらつけている方がいいですか?

回答
朝の4時半から30分くらい排泄入るんですが、なかったときとは全然違います。ベッドの排泄介助を行うときはずっと前かがみの姿勢なんですが、本当に楽なんです。マッスルスーツがあってよかったと思います。

ご家族にも喜んでもらえた見守りケアシシステム対応ベッド

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フランスベット株式会社製見守りケアシステムM1


―――見守りケアシステム対応のベッドについてはいかがでしょうか?

見守りケアシステムは、ベッドの上の体重のズレによって、状態を検知する介護ロボットです。まず、四隅に体重計がついていると思ってください。例えば、頭側の2つの荷重がなくなるとこの人は起き上がったな、片側に荷重が移ったら端座位になったな、全荷重がなくなったら立ち上がって離床されたな、といった具合に、寝ている方の状態を検知します。

以前はマットを踏むことで立ち上がりを通知させる機器を使っていたので、さまざまなパターンに対応できるようになりました。このベッドは端座位の時点で鳴るので、以前の通知時にはすでに足がついてる、転倒の可能性が高い危険な状態の手前で、情報をキャッチすることができます。

何より、設定が簡単なんです。誰でもすぐ使えます。コントローラーの表示どおりに、言われたとおりに設定するだけで完了です。通知は職員が持っているPHSに送られますし、画面には通知元の部屋番号も表示されているので、すぐ確認できます。

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左側のリモコンで設定を行う


当初補助金が600万に対して、8分の7、つまり、525万上限でるということで、全額ベッドにつぎ込む算段だったんです。「20台買える!」って。しかし現実はそうじゃなかった。4種類選んでという話になって。それでも10台増やすことができましたけど。また介護ロボットの種類も3種類に落ち着きました。


―――職員から「覚えにくい」「使いづらい」といった声は聞こえましたか?

もともと床に貼るタイプのセンサマットを使っていたので、スムーズに導入できました。設定も簡単ですからね。以前使っていた床のセンサは、養生テープで貼るんですけど、1ヶ月くらいではがれてきちゃうんです。床の清掃のたびに貼り直しが発生したこともあり、労力がかかり見栄えも悪かったんです。ベッドにはテープ貼りの労力はかからず、見栄えに関しては新品なので、逆に綺麗になりました。

見守りベッドを導入したことで、ご家族からも、「新しいベッドにしていただいてありがとうございます」という喜びの声もいただきました。これは本当にありがたかったですね。

介護ロボット周辺機器の費用ってどこが負担する?

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キング通信工業株式会社製シルエット見守りセンサ


―――シルエット見守りセンサに関してはいかがですか?


シルエット見守りセンサは、部屋に赤外線センサをつけて、 wi-fiルーターを中継地点とし、職員が持っているタブレットに情報を送る介護ロボットです。 以前使っていたセンサはベッドセンサという、圧がかかって反応するタイプなんですね。ベッドに2本の電極をかけて、電極が離れるとセンサが離床を感知する物理的なものなんです。それをシルエット見守りセンサに変えました。

しかし、ひとつ問題になったのは、wi-fiの環境を整えないといけなかったということです。私たちの施設はwi-fi環境が整っておらず、そもそもwi-fi料金は補助の対象外になっているんです。そのため、施設でお金払って、自前で整えないといけないんです。

―――介護ロボットだけではなく環境を整えるためにも費用がかかるのですね。

当初の見積もりですと、ざっと5台くらいで足りるだろうということだったのですが、部屋の端にいてもタブレットに電波が届かないと意味がないため、結局15台必要ということになりました。しかし、やるって決めたからにはという感じで15台設置しました。

―――タブレット端末にはどのような情報が届くのでしょうか。

設定も操作も全てタブレットでできるんです。従来のものは寝返りだけでもPHSに通知がくるので、必ず駆けつけないといけなかったのですが、見守りセンサは寝返りひとつにしてもシルエットを確認し、壁側に寝返ったのであれば安心だなと判断できるので、駆けつける回数は減っていると思います。

ただ、導入していきなり成果を発揮したかというとそうでもなく、より使いやすくするために細かい設定が必要でした。現在も改善途上ですが、それも面白さではありますね。

介護ロボット導入することで現場は混乱?

―――3種類の介護ロボットはどのように現場に浸透していったのですか?

シルエット見守りセンサは、レクチャー受講チェック表を作って、業者から直接説明を受ける形でした。移行期間を設け、従来のセンサと平行して利用しつつ、職員が使えるようになったのを確認して古いものを外し、新しいもののみ残しました。

ベッドタイプのものは簡単だったので、私が業者の説明を聞き、リーダーへレクチャーし、リーダーがメンバーにレクチャーしていった感じですね。

1番大変だったのはマッスルスーツです。そもそもマッスルスーツがなくても自力で介護していましたし、重さが5kgあるんです。スポーツするときに利用するサポーターをイメージいただくと分かりやすいかと思いますが、着用の仕方を間違えると、マッスルスーツのサポートが得られないんです。効果を得られるポジションで着ることができないといけないんです。

業者の薦めで、リーダー以上からレクチャーしていくことになりました。そして使えるメンバーを毎月4人ずつ増やしていこうと。しかし、途中でレクチャーを受けた者が私的な怪我で離脱するなど、うまく進まなくなってしまったんです。少ない人数でやるメリットとして、確実にレクチャーしやすい点が挙げられるかと思うのですが、今回はデメリットが露呈したというか、うまく進まず何やっているんだろうって。さらには取り組みが見えない部分もあったんです。

―――取り組みが見えないというのは具体的にはどういった点でしょうか?

マッスルスーツを着用している職員に対して、使い方をレクチャーされていない職員がフォローしきれないという事態が起きました。以前はポケットにナースコールをいれていたんですけど、マッスルスーツをつけているとナースコールが取れなかったり、5kgを背負っているので何か鳴ったときにパッと動けないんです。

使っている者同士だとフォローの仕方が分かるのですが、使っていない職員には分からないのです。東京都とコンサルとの打ち合わせが7月にあって、このままではうまくいかないので計画を変更してはという話になって、それなら一斉にやってしまおうということになりました。

4人ずつではなく、職員全員できるようになろうということで、レクチャーの仕方を業者に教えてもらって、職員同士で伝えていく流れにし、8月中に全職員が使えるようにするということで、まさに今やっているところです。

施設で利用する際の介護ロボットの可能性について日々模索中


―――ひとつのやり方がダメだと分かった場合、他の方法も考えていかないといけないですね。

そうですね、それが今回の東京都の活用支援モデル事業の主な視点なんです。介護ロボットの利用者に対する効果は、開発業者が効果検証を行っています。今回のモデル事業は、介護ロボットを施設に導入し、施設の中でどのように行えば使っていけるようになるか見ているので、いい例だと思います。ですので、ひとつの方法ではうまくいかなく、方向転換してというのはひとつの報告になるのではないでしょうか。

―――難しかったのは導入方法の部分であって、導入してからは順調に進んでいますか?

導入した後も、改善点や問題点が報告されています。しかし、チームであったり体制が組まれているので、すぐにこうしていこうと都度フィードバックが可能となっています。改善点や問題点を吸い上げて克服していく体制を整えることも、介護ロボット導入にあたって必要な要素なのではと思います。


―――介護ロボットを見てみたいと同業他社からの問い合わせがあったりしますか?

見学会自体、モデル事業の取り組みの一貫として組み込まれているので、 今後行う予定です。 あと、海外から見学させてほしいという問い合わせが2件くらいあったのですが、調整がつかなくて実現はしませんでした。

―――本日お聞きした中にネガティブな意見があまりないように感じますが?

便利な部分と便利すぎて便利じゃない部分があるという印象です。センサなので反応すると鳴っちゃうわけで、鳴ると確認するということが生じます。しかし、もともとセンサを使っていたので、とくに業務が増えたというわけではないのですが。現場職員の目線を業者に伝え、改善という名の機器のバージョンアップを常に行っていただいているので、私たちはより使いやすい仕組みだったり、手順だったりを模索していけたらいいかなと考えています。

導入する上で職員はどのように介護ロボットを考えていたの?

―――介護ロボットは介護業界においてひとつの大きな変化だと思うのですが?

もちろんマイナス思考の職員もいると思います。ただ、これ以外の取り組みでもそうですが、「みんなでやっていこう!」と、今までさまざまな課題をひとつひとつ達成してきました。話がずれてしまうかもしれませんが、以前オムツ0というケアが業界で主導されたときがあったんです。そこで、私たちもオムツを使わないケア、つまり、トイレでの排泄を行うために便通コントロールやトイレ誘導を積極的に行おうと。

しかし、なかなか難しく、ゼロって達成できないんです。達成できなくても目標に向かっていく気持ちややりきる気持ちを、職員は身につけていると思うので、こうしましょうといったらみんながその方向に邁進できるような、施設ではありますね。

―――施設職員が先進的な取り組みに前向きなんですね。

スライディングシートやリフトを使った持ち上げない介護であったり、新しいケアに関して常にアンテナを張っています。介護ロボットやICTもそのひとつだと思います。ずっと昔のままでは魅力もないですし、そもそも今現場にいる職員ひとりひとりが魅力を作っていかないといけないので、前向きな取り組みをすることが施設の魅力づくりにつながっていくのではと考えています。

―――その時々の時代の変化を受け入れて、対応していくということですね?

私も専門職なので、変化をポジティブに受け入れる施設じゃないと魅力を感じないということがあります。医療に医療機器があるように、福祉に福祉用具があって、それらを使いこなすのは当然それぞれ専門職の専門性かと。専門職にとって向上心というのは本当に大事なので、成長できる施設じゃないと面白くないですよね!

編集部まとめ

取材中、「時代の流れに沿った介護をまず行ってみる!」という強い気持ちがひしひしと伝わってきました。砧ホームの取り組みはケアの手法から介護ロボット導入まで広がりを見せました。まだまだ検証段階と鈴木さんはおっしゃっていましたが、確かな手応えとともに施設の発展に尽力する姿がとても印象的でした。



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