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介護の事故で損害賠償も!?|介護ロボット導入、5割が安全を重視

介護ロボットONLINE編集部介護ロボットONLINE編集部

作成日2017/07/31 更新日2018/03/272,834views


テレビや新聞でも話題になる介護事故。
最近では、埼玉の特別養護老人ホームに入所していた高齢女性が介護ミスで死亡した事故にたいして、遺族が約4千万円の損害賠償を求めたことで大きな話題となりました。

介護現場のヒヤリハットの多くは、福祉用具を使用しているときに発生しています。
介護現場で新しい福祉用具がなかなか普及しないのも、事故への不安が大きいからでしょう。
とくに介護ロボットのような次世代福祉機器は、「自分で制御しきれないかもしれない」「いつ故障するか分からない」という不安がつきまといます。

介護事故って何?どんな介護事故が多いの?介護ロボットの安全性は?万が一事故が起きたらどうする?などなど、介護と事故にまつわる不安と疑問について解説していきます。

介護事故の傾向


介護事故の8割が転落・転倒事故!


福祉介護施設は、介護事故が発生した場合に自治体へ詳細を報告するよう義務付けられています。
自治体によって差はありますが、報告の約8割が転落や転倒による事故となっています。

その他の事故として、食べ物を喉につまらせたり誤嚥したりすることによって肺炎などを併発する事故、体位交換などの介助を行っている際に骨折させたり皮膚を傷つけてしまう事故、薬の誤薬・処方漏れなどがあります。

損害賠償は9割が「無し」


介護職員が感じる介護事故へのプレッシャーは、単に「利用者に怪我をさせてはいけない」という気持ちだけでなく、事故によっては訴訟が起こり、損害賠償を請求される恐れもあることが関係しています。

しかし実際には、介護事故によって損害賠償を請求されるケースはまれです。
世田谷区の事故報告によれば、介護事故による損害賠償の有無は、約9割が「なし」を占めています。

介護事故の要因

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介護事故の要因には、人的要因、物的要因、環境要因の3つが挙げられます。
ただし、「人」「モノ」「環境」のどれかが単体で事故要因となるよりは、複数が絡み合って最終的に事故につながることが多いのが実態です。

福祉機器による事故の実態は?


その中でも、「モノ」つまり福祉機器が介在している事故・ヒヤリハットには、以下のような特徴があります。

  • 移動・移乗時、歩行中に多い
  • 車いすに多い
  • 転倒・転落が多い
  • 人に起因したものが多い 
福祉用具の中で、とくに死亡事故に多いのは介護ベッドと電動車いすです。ただし「製品に起因する事故」に比べ、「製品に起因しない事故」は件数も多く、かつ重篤な被害を発生させていることが分かっています。

つまり、介護事故の多くは福祉機器が原因なのではなく、ヒューマンエラーが原因ということです。

<<ヒヤリ・ハットについてのお役立ち情報>>

こテクノエイド協会では、福祉用具の安全な利用を推進するためにネット上で みんなのヒヤリ・ハットを集めています
その数、なんと300ケース以上!ぜひ検索してみてください。


介護ロボットの事故に対する不安


物的要因の介護事故はそれほど多くないということが分かりました。
しかし、次世代福祉機器である介護ロボットはどうでしょうか?

介護ロボットはこれまでの福祉機器とは異なり、センサーなどで情報を検知し自ら判断し、稼働するという新しい福祉機器です。
もし、ロボットが情報の検知や判断の部分を誤ってしまったらどうなるのでしょうか?

5割以上が介護ロボットの「安全性」を重要視


介護ロボットの安全性に対する不安は、内閣府が行った「介護ロボットに関する特別世論調査」にも表れています。
「介護ロボットを選ぶ際の重視点」として、5割以上の人が「安全認証を取得していること」を挙げているのです。
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また 当社が独自に行ったアンケートでは、「機械の故障で事故が起きたら責任はどうなるか分からない」「壊れるのが早いのでは」といった意見も寄せられました。

介護ロボットそのものの安全性はもちろん、万が一事故が起きたときの責任の所在や、使い続ける際の耐久性に対する不安があることが分かります。

介護ロボットの安全規格


このような不安に応えて、介護ロボットの安全性を保証する安全規格が新たに策定されました。生活支援ロボットの国際安全規格ISO13482について解説します。

生活支援ロボットの安全規格


介護ロボットを含む生活支援ロボットは、産業用ロボットにくらべ人との接触度が高いため、これまでの安全規格ではカバーできない問題をはらんでいます。
そこで政府は、介護ロボットの開発促進や普及を促すために、国際安全規格の策定への取り組みを始めました。

経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)によって2009年に開始された「生活支援ロボット実用化プロジェクト」は、生活支援ロボットの安全性検証手法の研究開発を目的とした事業です。
ここでの研究成果によって、2014年に生活支援ロボットの国際安全規格ISO13482が策定されました。

国際安全規格ISO13482を取得済みの介護ロボット


世界で初めて国際安全規格ISO13482認証を取得したのは、日本の介護ロボット「リショーネ®」です。
「リショーネ®」は、ベッドが車いすに分離する画期的な離床支援ロボットです。

取材記事:ベッドが車いすに大変身!離床アシストロボット「リショーネPlus」|パナソニックエイジフリー株式会社

その他、ISO13482認証を取得している生活支援ロボットは以下のとおりです。

  • Honda歩行アシスト|本田技研工業株式会社
  • HAL作業支援用(腰タイプ)・HAL介護支援用(腰タイプ)|CYBERDYNE株式会社 
  • ガイダンスロボット LIGHBOT|日本精工株式会社
  • ロボットアシストウォーカー RT.2|RTワークス株式会社
取材記事:

高性能でカッコイイ!新しい歩行器ロボットアシストウォーカーRT.1・RT.2|RT.ワークス株式会社


介護ロボットによる事故に対する保険や対応


安全規格があるとは言え、介護ロボットに対する不安が完全になくなるというわけではありません。万が一介護ロボットを使用して事故が起こった際、どうすれば良いのでしょうか?

介護ロボット専用の保険


介護ロボットによる万が一の事故に備えて、介護ロボット専用の保険があります。
三井住友海上火災保険株式会社が販売している「医療機関総合補償プラン」は、病院等の医療機関に向けた介護ロボットをはじめとする特殊なリスクに対応した補償プランです。

  • 電気的・機械的事故によって介護ロボットに生じた物的損害
  • 設備・用具等の欠陥による事故の損害賠償金
  • 職員のミスによる事故の損害賠償金
など、さまざまなリスクに対応しています。

介護ロボットによる事故は誰の責任?


もしロボットが事故を引き起こしたら、誰がその責任をとるのか?」という命題には、まだまだ問題が山積みです。

NEDOは「国際ロボット展」にて、「無人ロボットが人に危害を与えてしまった」という想定の模擬裁判を行い、ロボットの安全上のリスクについて社会全体で検討する必要があることをアピールしました。

介護ロボットを含む生活支援ロボットの本格的な普及にともない、ロボットと人が共存していくために、法整備も含めた早急な対応が求められています。

まとめ


介護事故の傾向と、介護ロボットの安全性についてまとめました。
国際安全規格が策定されたとはいえ、万が一の事故が完全になくなるという保証はありません。

既存の福祉用具と同様、要介護者・介護者双方が介護ロボットのリスクを十分に理解した上での活用が必要と言えそうです。

<<この記事で参考にさせてもらった資料>>
朝日新聞デジタル「介護ミスで母親が死亡」 遺族が特養老人ホーム提訴へ(2017/07/13)
世田谷区(2014)「平成26年度 介護保険事故報告」
内閣府政府広報室 (2013)「介護ロボットに関する特別世論調査」
公益財団法人テクノエイド協会(2014)『介護福祉経営士 実行力テキストシリーズ9 新しい福祉機器と介護サービス革命 導入の視点と活用のポイント』日本医療企画

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