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自立支援につながる移乗ロボット
愛移乗くん

商品名
愛移乗くん
寸法
770(全長)× 350(幅)× 970(高さ)mm
重量
30kg
耐荷重
80kg
レンタル
介護保険対象商品
販売開始
2012年11月
販売価格
39万8千円(非課税)

製品概要

下半身に不具合があっても、上半身が動かせれば介助者の手を借りずに、要介護者自身で操作し移乗ができる、自立支援型の移乗支援ロボットです。誰にも気兼ねせず自分の好きな時に一人で移乗することができるので、精神的な負担の軽減にもつながります。

自立支援につながる移乗ロボット「愛移乗くん」|株式会社アートプラン

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移乗支援ロボットというと、介護者が装着するタイプを思い浮かべがちです。しかし、要介護者の自立支援につながる移乗ロボットもあるんです。それが、株式会社アートプランが開発した「愛移乗くん」。下半身が動かない方でも、おんぶの姿勢ができれば自分で移乗ができる自立支援型移乗補助装置開発のきっかけや、新商品「愛移乗くんⅡ」や「愛移乗くんN」 についても聞いてきました。

undefined株式会社アートプラン代表取締役 渡辺氏に話を伺った

全くの異業種から始めた 「愛移乗くん」開発

当社は、産業用の自動化・省力化機械装置をオーダーメイドで設計・製作している会社です。クライアントのニーズに合わせてさまざまな製品を開発しています。

したがって、これまでの当社の売り物はいわば「技術力」でした。しかし次第に、当社の経営理念でもある「地域社会の発展」に貢献するために、自社製品を持ちたいと考えるようになりました。そこで、あるきっかけから全くの異業種である福祉分野に参入し、今回ご紹介する自立支援型移乗補助装置「愛移乗くん」の開発をはじめました。

「愛移乗くん」は平成24年に販売開始して以来多くの方からお問い合わせをいただいています。また、今年の8月には、新機種「愛移乗くんⅡ」ならびに、「愛移乗くん」の改良バージョン「愛移乗くんN」の販売を予定しています。

自立支援型移乗補助装置 「愛移乗くん」とは?

ーーー「愛移乗くん」について教えてください。

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「愛移乗くん(あいじょうくん)」本体。ヘッド部やヒザ当て部は淡いグリーンで安心感を演出

「愛移乗くん」とは、下半身に障害がある方が、ベッドから車いす、またはトイレなどに移乗するときに使う、移乗補助装置です。ご利用者は、「愛移乗くん」におんぶされるイメージで寄りかかり、リモコン操作で90°回転し、ベッドから車椅子やトイレに移乗することができます。

愛移乗くんの2つの特徴

「愛移乗くん」の主な特徴は2つです。1つ目は、下半身に不具合がある方でもご利用いただけるという点です。装着型の移乗支援機器などは、ある程度下半身に力を入れられる方でないと使用できないものがありますが、「愛移乗くん」の場合は、下半身が全く動かない方でも、おんぶの姿勢(腰を30~40度まで曲げる姿勢)ができればご利用いただくことが可能です。

2つ目の特徴は、介助者の手を借りずに要介護者が自身で操作し移乗ができるという点です。ベッドから車いすに移動したいという場合は、「愛移乗くん」を利用することで自分の好きなタイミングで移動できます。また、通常トイレ介助は移乗介助する人(要介護者の身体を支える)とズボンを下ろしたり清浄したりする人の2名で行われますが、「愛移乗くん」があれば1名の介助で事足ります。

開発のきっかけは「地域貢献」への思い

ーーー「愛移乗くん」開発のきっかけを教えてください。

先ほど申し上げたとおり、当社はクライアントのニーズに応え、オーダーメイドで産業用の自動化機械装置を開発してきました。しかし、もっとダイレクトに地域社会の発展に貢献するため、消費者の方に直接役立つ機器を自社開発したいと考え続けてきました。より具体的に言うと、社会のなかでもとりわけ支援を必要としている方々に向けて、福祉機器が作れないかと日々思案していました。

そんなとき、滋賀県立大学工学部 安田寿彦准教授より、「自立支援型移乗補助装置」のシーズ発表がありました。施設等で介助をしている方は時間に追われ、介助者が使用する移乗補助器具は使用されない傾向にあり、要介護者の自立を支援する移乗補助装置が必要とのことでした。その発表を聞いたとき、「これなら当社の技術力で商品化が可能だ」と感じたんです。そこで、平成21年からさっそく開発をスタートしました。

しかし、折しもそのときリーマンショックが起こり、このままでは開発が続けられないという事態に陥りました。そこで自治体の補助金に申請を出したのですが、「ニーズが不明確」という理由で不採択となっていまいます。我々はニーズの検証として、彦根市を中心に近郊の施設等へアンケート調査を約半年間行い、施設全体でも約50%の方が「自立支援型移乗補助装置」を必要としていることを突き止めました。

その後、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「福祉用具実用化開発推進事業」に採択され、ようやく開発が軌道に乗ったのです。

愛移乗くんの3つのこだわり  

ーーー施設の約半数でニーズがあることが分かったのですね。開発ではどのようなことにこだわりましたか?

開発でこだわったのは、使い心地、量産化に向けたコストダウン、耐久性です。

使い心地に関しては、開発段階で近辺の施設に応援を要請し、乗りやすさや降りやすさについて意見をもらいました。

量産化に向けたコストダウンでは、これまでのオーダーメイド機器とまったく開発方法が異なるため、試練の連続でした。通常オーダーメイド機器を開発する場合は、コストをかけてでも安全性の高いものを作り上げます。しかし量産機では、安全性とコストのバランスを取る必要があります。どんなに安全性が高くても、価格が高すぎると普及しないからです。ですので、安全性を担保しつつコストをできる限り抑えるため、幾度も改良を繰り返しました。

耐久性に関しては、介助者が1日に行う移乗動作回数は5回~15回であることから、20回/日×365日×5年=約4万回の計算で耐久試験を実施しました。

利用者からの反響は?

ーーーすでに多くの家庭や施設で「愛移乗くん」が導入されていますが、反響はいかがですか?

施設からは、移乗にともなう身体的負担はもちろん、腰痛の防止につながるという声をいただいています。

在宅介護をされている方からも、身体的負担が軽減されたという喜びの声をいただきます。奥様の介護を旦那様がされているあるご家族では、一人で移乗介助、とくにトイレでの介助が非常に大変だったとのことです。しかし「愛移乗くん」をご利用いただいてからは、身体を支える必要がなくなるので、とてもスムーズに介助できるようになったとおっしゃっていただけました。

ーーー一人で介助にあたる必要が多い在宅介護では、とくにニーズがありそうです。

そうですね。「愛移乗くん」は施設でご利用いただいている割合のほうが多いですが、実は在宅介護をされている方からのニーズのほうが多いと感じています。

在宅介護でも必要に応じてデイサービスなどを利用することはできますが、それ以外は基本的にご家族が介護にあたらなければならないですよね。しかし在宅介護をされている方は自分の仕事があったりして、必ずしも常に要介護者をケアできるとはかぎりません。そうなると、トイレ介助に限界があるからということで、おむつでの対応に切り替えるケースがあります。

しかし「愛移乗くん」があれば要介護者自身の操作で移動ができるため、トイレもしくはポータブルトイレの使用期間を長引かせることができます。「自分でできることを、できる限り自分でする」という自立支援の側面からも、「愛移乗くん」は評価していただいています。

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「愛移乗くんⅡ」は、これまでの安全性や耐久性はそのままに、より利便性を高め

新商品「愛移乗くんⅡ」とは?

ーーー要介護者の方も、気兼ねせず移乗できれば精神的な負担の軽減につながりそうです。8月に販売開始予定の「愛移乗くんⅡ」は、これまでの「愛移乗くん」とどう違うのでしょうか?

もっとも大きな違いは、おんぶの姿勢がとれない、腰が曲がらない方でもご利用いただけるようになったことです。

「愛移乗くん」を商品かしてから、デモに来てほしいという問い合わせを施設からいただくことがありますが、そのなかの一つに、腰が曲がらない方が多く入居されている施設がありました。その職員の方から、そのような方々の移乗ができればとご意見をいただいたことが、「愛移乗くんⅡ」の開発につながっています。

施設での使い心地を考えた5つの改良

ーーーそれ以外にはどのような違いがありますか?

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「愛移乗くんⅡ」では、施設での使い勝手を良くする5つの改良が施された

「愛移乗くんⅡ」ではこれまで以上に施設での利用を考慮し、利便性を高めるための改良をおこなっています。例えば、リモコンのコードレス化、バッテリーを搭載したことによる本体のコードレス化、本体移動がワンタッチでできるキャスターの改良防滴仕様などです。

これらの改良点は今ある「愛移乗くん」にもフィードバックし、「愛移乗くんN」として販売を開始する予定です。

今後の展開や課題

ーーー課題や今後の展開はありますか?

重度の方やさまざまな症状の方向けに改良し、より多くの方がご利用いただけるよう「愛移乗くん」をシリーズ化していきたいです。例えば、「愛移乗くんⅡ」では腰が曲がらない方でもご利用いただけるようになりましたが、片麻痺の方にはまだ対応できていません。「愛移乗くんⅢ」では、そういった方々でもご利用いただけるよう、バージョンアップを図っていくつもりです。

ーーー最後にメッセージをお願いします。

介護の人材不足が問題になっているなか、介護施設では今後ますます省人化が進んでいくはずです。しかし、既存のオペレーションでは省人化にも限界があるのではと思います。介護ロボットの導入と同時に、抜本的なオペレーションの見直しが不可欠になっていくのではないでしょうか。

例えば現在の介護施設では、1日の約30%~50%の時間を要介護者の付き添いに割いていると言われています。これは、要所要所での移乗介助が必要だからです。移乗介助が必要な場所に「愛移乗くん」を固定的に設置することでその手間を減らし、一人で動ける人は一人で動くというローテーションに変更すれば、かなりの省人化につながるはずです。

「愛移乗くん」にかぎらず、介護ロボットをより有効活用するためにも、介護施設、介護業界全体で仕組みづくりの見直しをすべきだと考えています。

編集部まとめ

介護者ではなく、要介護者が利用する移乗介護ロボット「愛移乗くん」。装着型の移乗介護ロボットが介護者の腰痛防止や負担軽減を目的としているのに対して、「愛移乗くん」は要介護者の自立支援にも配慮しているのが大きな特徴です。在宅介護にも使えるのはもちろん、「愛移乗くんⅡ」では施設での使い勝手をさらに高め、より多くの人が使えるように改良されています。「地域社会の発展のためにも、今後はバリエーションを増やしていきたい」という言葉に頼もしさを感じます。




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