どうなる?2018年の介護報酬改定を大予想!

介護ロボットONLINE編集部介護ロボットONLINE編集部

作成日2017/10/24 更新日2018/03/2769,640views

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2018年度、3年ぶりに介護報酬が改定されます。

介護報酬は、事業所の経営や職員の給料に直接影響する重要な要素。前回の改定では大幅な引き下げが行われた結果多くの事業所が倒産に追い込まれるなど、介護の現場に深刻なダメージを与えました。

残念ながら、今回の改定も介護現場にとって「非常に厳しいものになる」というのが大方の見通しです。

その根拠は?どのように改定されるの?改定されたら、介護現場はどうなるの?

気になる2018年度の介護報酬を予測してみました。

2018年度も介護報酬の引き下げが濃厚

介護報酬改定の流れ

記録的なマイナス改定が行われた前回の介護報酬改定。その結果、介護事業所の倒産件数は過去最多を記録しました。今回の改定でも、同じくマイナス改定が行われるのではないかと予測されています。なぜでしょうか?
 

介護報酬が引き下げられる背景


介護報酬が引き下げられる理由は、増え続ける社会保障費を少しでも抑制するためです。

高齢化にともない要介護者が増加する一方、制度を支える現役世代は減少していきます。そうなると当然、いつか制度自体が成り立たなくなります。政府は、そうなる前になんとか社会保障費の自然増を抑え、医療・介護の提供体制の見直しを図りたいと考えているのです。具体的には、約6300億円の社会保障費の自然増を、5000億円にまで圧縮することを目指しています。
制度を支える現役世代は減少のため、社会保障費の自然増を抑え、医療・介護の提供体制の見直しを図りたいと考えている図

引き下げの根拠は“利益率”


とは言っても、何の根拠もなく介護報酬を引き下げると、介護事業者や従事者、被保険者である高齢者から反発を招きかねません。そこで政府はこれまで、「介護事業所が平均以上に儲かっている」というデータを根拠に、報酬引き下げを実行してきました。
介護報酬引き下げ、根拠は「介護事業経営実態調査結果」での利益率の高さ
今回の改定でも、同じく利益率の高いサービスにメスが入ると考えられます。サービスごとの利益率は、通常9月頃に公表される「介護事業経営実態調査結果」にもとづいて計算されていますが、現時点でまだ公表されていません(2017/10/20時点)。

ここでは、今年の4月に公表された「2016年度経営概況調査」と、4月から9月までに開催された「社会保障審議会 介護給付費分科会」から今後の改定の流れを読み取っていきます。

 

引き下げ対象は「通所介護」と「訪問介護」

今回マイナス改定の槍玉に上がるのは、「通所介護」と「訪問介護」だと予想されます。介護サービス全体の利益率が3.8%だったのに対し、「通所介護」は6.3%、「訪問介護」は5.5%と、高い水準を示しているからです。財務省はこの2サービスについて「適正化すべき」と述べています。

通所介護(デイサービス)の争点

通所介護で争点となるのは、機能訓練に力を入れていない預かり主体のデイサービスです。

「自立支援型サービス」が強化されている今、機能訓練やリハビリテーションなどの質の高い介護を行わない施設に対して、介護報酬を引き下げようという提案がされています。

標的となる小規模デイサービス

とくに標的とされるのは、小規模デイサービスだと考えられます。

実は、施設の規模が小さいほど個別機能訓練加算の取得率が低くなる(=機能訓練がなされていない)一方で、1回あたりのサービスの単位数は高くなる傾向にあります。

言いかえれば、利用者は小規模施設で質の高いサービスが受けづらいにもかかわらず、高い費用を支払っているということです。

そのため、とくに小規模施設に対してマイナス査定のメスが入っていくと予想されます。

訪問介護(ホームヘルパー)の争点


訪問介護の争点は、ホームヘルパーの人員基準緩和です。

具体的には、ホームヘルパーでない人も生活援助サービスを提供できるようにすることで、ホームヘルパーの敷居を下げつつ、生活援助サービスの基本報酬を引き下げてはどうか、という提案がされています。

有資格者であるヘルパー職員ではなく、地域の専業主婦や学生などをアルバイトスタッフとして雇う場合、時給が大きく異なるため、その分基本報酬を引き下げてもいいだろうという論法です。

引き下げに対する反発も


この提案に対して、日本ホームヘルパー協会は、「ヘルパーの社会的評価の低下を招きかねない」と異論を唱えました。生活援助は誰にでもできる仕事というわけではなく、重度化を防ぐ役割も担っていると主張し、基本報酬の引き下げに反対しています。

介護報酬アップは「処遇改善」と「介護ロボ」?


通所介護と訪問介護を中心に、全体的にマイナス改定が予想される2018年の介護報酬。しかし、中には介護報酬が加算される項目も存在すると考えられます。それが、「処遇改善」と「介護ロボット」、そして「通所リハビリテーション」です。

処遇改善加算が増額or区分新設?

処遇改善加算とは、主に賃金アップを想定した介護職員の待遇向上策です。

これまでに、月額1万円~1万3千円程度の賃金アップ(平成27年度の改定)や、月額平均1万円程度の賃金アップ(平成29年度の臨時改定)を見込んだ報酬加算が行われました。

処遇改善加算の流れ

2018年度の改定でも、これまでと同様またはそれ以上の処遇改善加算が行われるのではないか、と予想されています。

発端は安倍首相の発言

この予想は、9月末になされた安倍首相の発言が根拠となっています。安倍首相は衆議院解散に際して、介護職員の賃金をさらに引き上げる方針を打ち出したのです。

自民党の勝利に終わった衆院選の結果を受けて、今後介護職員の処遇改善にむけた動きが進められると考えられます。

介護ロボット加算が新たに創設か


介護ロボット加算とは、介護ロボット等を活用している事業所に対して、介護報酬や人員・設備基準の見直しを図る動きを指します。

介護ロボットやICT機器によって介護の業務を効率化するとともに、介護負担を軽減して介護職員の定着率を向上させる狙いがあります。

これまでの流れ

 
介護ロボットに対しては、経済産業省や厚生労働省がすでにさまざまな支援事業を行ってきました。

経産省は、開発企業に最大1億円の助成金を出す「ロボット介護機器開発・導入促進事業」において、平成25年度から通算133件の開発支援を行っています。

厚生省は、52億円という予算を投入した「介護ロボット等導入支援特別事業」において、昨年度に約5,000の介護施設等に対して導入支援を行ってきました。

審議会では慎重論も


多額の予算が費やされている介護ロボット。しかし、介護給付費分科会では慎重論も目立ちます。

例えば、介護ロボット自体がまだ検証段階であることを指摘し、報酬加算や人員配置基準の緩和は時期尚早であるとする意見や、業務負担軽減という視点だけではなく、介護サービスを利用する高齢者の立場から評価すべきという意見が出ています。

医療と介護の一本化に向けた改定


近年、「自立支援」や「地域包括ケア」とならんで、「医療と介護の一本化」が強調されています。
今回の改定が診療報酬改定と重なるW改定であることを考慮すると、医療と介護の一本化に向けた介護報酬改定が行われることは当然だといえます。

通所リハビリテーションへの加算


考えられるのは、通所リハビリテーションへの加算です。

平成30年度以降は、医療保険の回復期リハビリテーションが介護保険に移行される予定です。そのために、リハビリ専門職の手厚い配置体制や、効率化を目的とした短時間のサービス提供に対して、報酬加算されていくと予想されます。

どう変わる?改定後の介護業界を予測


ここまで、2018年の介護報酬改定を予測してきました。仮にこうした改定が行われたとすると、介護の現場はどのような影響を受けるのでしょうか?

事業所は行き詰まり?

大幅な報酬引き下げが行われた前回の介護報酬改定。その結果、介護事業所の倒産件数は過去最多を記録しました。2018年度にて同規模のマイナス改定が行われた場合、前回と同様、もしくはそれ以上の倒産件数をマークすることになるでしょう。

介護報酬引き下げ論が濃厚になりつつある昨今の流れを受けて、12の介護関係団体が引き上げを求める署名活動を行いましたが、そこでは「良質なサービスの提供に困難を強いられている」「介護人材の不足は危機的な状況」などと主張されており、前回の引き下げで深刻なダメージを受けたことが強調されています。

すでに“ギリギリ”の経営を強いられている上に、さらなる報酬引き下げが実行されれば、立ち行かなくなる事業所は当然増えるでしょう。

処遇改善しても人材確保は進まない?

大幅なマイナス改定が実行されれば、処遇改善加算が行われたとしても、人材確保は進まないでしょう。

事業所の経営が介護報酬で成り立っている以上、結局はどこかで帳尻を合わせなくてはいけないということで、人件費を削らざるを得ない事業所が増えるからです。

実際に、前回の処遇改善加算がボーナスなどで相殺され、恩恵にあずかれなかったという声は少なくありません。

医療との連携に遅れ?

今回の改定は、診療報酬改定と時期がかぶる、いわゆるW改定となります。以前より進められている医療と介護の連携は、このW改定でますます強化されていくと考えられます。

しかし、介護報酬の引き下げで医療の受け皿となるべき介護の整備が整わなければ、連携にも遅れが出るでしょう。その結果、早期退院や在宅復帰といった取り組みが上手く機能せず、「自立支援」「地域包括ケア」も名ばかりのものとなってしまう恐れがあります。

介護ロボットの浸透?

介護ロボットやICT・IoT機器の活用によって報酬が加算されれば、そうした機器が少しずつ介護の現場に浸透していくと考えられます。

しかし、とくに介護ロボットは価格の高さが問題視されており、経営に余裕のない施設では導入が困難な現状があります。よって、一般的な普及にはまだまだ時間がかかるでしょう。

注目が集まる2018年度の介護報酬改定

4月から議論が重ねられている2018年度の介護報酬改定。

具体的な議論は12月頃まで行われ、12月中旬に介護報酬に関する基本的な考え方が取りまとめられる予定です。最終的な改定が行われるのは、2018年4月です。

前回の大幅なマイナス改定で、すでに大きな痛手を追っている介護業界。今回の改定で生き残れるか否かが決まるという厳しい状態に立たされている施設も少なくないはずです。 介護報酬の引き上げを求める署名活動 は、介護業界全体に漂う危機感の表れでしょう。

介護ロボットONLINEでは、今後も介護報酬改定に向けた動きを追っていきます。


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<参考資料>
厚生労働省「社会保障審議会 (介護給付費分科会)」(2017年10月23日 , http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698
厚生労働省「平成28年度介護事業経営概況調査」(2017年10月23日 ,
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/153-3a.html
「次もマイナスはありえない」 介護関係団体、次期改定へ署名の協力を要請 (2017年10月16日)
安倍首相、介護職員のさらなる賃上げを言明 年末に具体策 財源は消費増税 (2017年9月26日)
「生活援助は誰にでもできる仕事じゃない」 ヘルパー協会、報酬引き下げに反発 (2017年9月16日)



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