介護や認知症に期待。遠隔操作型アンドロイド「テレノイド」|株式会社テレノイド計画

介護ロボットONLINE編集部介護ロボットONLINE編集部

作成日2017/06/14 更新日2017/09/202,775views

「こんにちは。はじめまして、テレノイドって言いますーー」そう語りかけてきたのは、無表情で性別も年齢も見た目からは判別できない「テレノイド」です。一見すると「不気味」「怖い」と感じますが、接し始めて数分で、その印象は大きく変わっていきます。

今回は、テレノイドを使って医療・介護の分野に特化したサービス展開を行う株式会社テレノイド計画代表取締役の宮崎氏にお話を伺いました。

初体験!テレノイドとおしゃべりしてきた

ーーーテレノイドを実際に見るのは初めてです。

はじめにご挨拶代わりの体験をしていただきましょうか。テレノイドを抱っこしてみてください。
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テレノイドの重量は約2.7kg。新生児と同じくらいの重さだ

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こんにちは。はじめまして。テレノイドって言います
ーーーこんにちは。しゃべると口が動くんですね。

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ぎゅっと抱っこしてくれる?


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遠隔操作でハグさせることができる



ーーーテレノイドもぎゅっとしてくれました!可愛いですね。

手はハグするためにあるんです。抱き心地や動作でノンバーバルコミュニケーション(非言語のコミュニケーション)が可能になっています。

ーーー初めて見たときは奇妙に感じましたが、実際に話して抱っこしてみると、だんだん可愛く見えてきました。

皆さんそうおっしゃいますよ。まずは簡単に、操作についてお話しておきます。テレノイドは、遠隔操作型アンドロイドです。テレノイドとインターネットをつなぎ、テレノイドに搭載されているスピーカーからオペレーターが声を出したり、タブレットを使って操作します。ローカルネットワークで直接つないでいただくことも可能なので、安定したネット環境がない施設でもご利用いただけます

テレノイドの目にはカメラが搭載されており、映し出された映像をタブレットで見ることができます。オペレーターは、相手の反応を確認しながらテレノイドを通して話をすることができるんです。

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タブレット操作画面で、テレノイドの目を通した映像が確認できる

コンセプトは”想像力で「人らしさ」補う”

ーーーテレノイドが自律的に話をするわけではないんですね。コミュニケーションロボットというとAIを搭載していることが多いですが…。

それをご説明するために、テレノイド開発のきっかけからお話します。

テレノイドは、大阪大学基礎工学部の石黒浩教授によって開発されたアンドロイドです。石黒教授は、「人とは何か」というテーマでアンドロイドを研究・開発されている方です。テレノイドのデザインコンセプトは、できるだけ「人らしい」情報を削ぎ落としたときに、見ている人が足りない情報を想像力で補い始めるという立場からきています。

人としての最低限の見た目と動作のみを持つテレノイドだからこそ、見る人の想像力によってどんな人にも見える、つまり投影できるんです。

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膝に乗せればフェイス・トゥ・フェイスで対話ができる




人型を有しつつ、ロボットなりのキャラクターを持つPepperなどのヒューマノイド・ロボットとはコンセプトがかなり異なりますね

そうですね。テレノイドがAIを搭載しない理由もそこにあります。テレノイドはあくまで人らしさを感じさせることが大前提であるため、後ろで人が操作することによってより人間らしさを認めてもらうことを優先しています。想像力を掻き立てる造形であることと、実際に人間が操作・対話することという2つの軸で、テレノイドの「人間らしさ」が実現できているのです。
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テレノイドには、マイク・スピーカー・カメラが搭載されている

テレノイドで自然と笑顔に|新しいコミュニケーションの可能性


当社は、テレノイドを広く普及させるために創設した会社です。テレノイドを使ってどんなことができるだろうとさまざまな方面を模索した結果、自閉症や認知症の方とのコミュニケーションツールとして活躍できるのではないかと考えました。現在では、医療・介護に特化したサービスモデルの開発を行っています。

ーーーなぜ、自閉症や認知症の方と相性が良いのでしょうか?

そうした症状を持ってない方でも、テレノイドを使ってコミュニケーションをしていただくことはもちろん可能です。実際、展示会では幅広い世代の方に受け入れていただいています。

しかし、若い世代には、テレノイド以外にも多くのコミュニケーションツールがありますよね。たとえば、スマートフォンやタブレットを使用してコミュニケーションを取ることができます。私たちは、テレノイドでなければコミュニケーションができないという方々にフォーカスして、サービスを展開していきたいと考えたのです。

ーーーすでに導入されている施設もありますが、そこでの反応はいかがですか?

実際にお使いいただいている施設には、認知症状が重度化されている方や、脳梗塞などで声が出づらかったり表情が乏しいなどの症状をお持ちの方がいらっしゃいます。しかしテレノイドを持っていくと、無表情だった方が自然に笑顔になり、一生懸命テレノイドに語りかける姿が見られます。また、自分が楽しむだけでなく、テレノイドをあやしてあげようとする光景も見られます。一緒に歌ったりテレノイドをくすぐったり、褒めてあげたりしてくれるんです。

さらに、他の利用者さんに話しかける方もいます。ふだん入居者同士の会話量が少ないユニットでも、テレノイドが入ることで場の雰囲気がガラッと変わります。スタッフの方が持っているだけで入居者さんが話しかけたりするので、コミュニケーションのきっかけにもなります。

ーーーテレノイドがコミュニケーションの糸口になる?

そうですね。私たちは、テレノイドを「コミュニケーションのゼロをイチに変えるツール」だと考えています。これまで対話が難しいと考えられてきた入居者さんに対して、テレノイドを使うことでコミュニケーションが可能になれば、次の展開が見えてくる。コミュニケーションのドアを開ける鍵として、テレノイドを使っていただきたいですね。

ーーー常にテレノイドを後ろで操作しなければならないとなると、コツがいりそうですが。

基本的な取扱方法や注意事項を知っていただくために、有料でテレノイドケアの入門研修を開催しています。研修教材としてテレノイドを使い、なぜテレノイドがこのような造形をしているのか、どんな話し方であればコミュニケーションが取りやすいのかといったコツをお伝えしています。

実は症状が重度化してくるほど、テレノイドを本物の子どものように思われる傾向にあるんです。ですから私たちは、その方が感じている世界を壊さない形でコミュニケーションしていきましょうとお伝えしています。

テレノイドは、手間を省くためのロボットではなく、むしろ新しい手間を産むロボットです。既存のオペレーションに組み込めない場合は、新たにオペレーションを追加しなければいけません。しかし、とくに認知症状が重度化した入居者さんとのコミュニケーションに課題を感じている施設からは、それだけの価値があるというお言葉を頂いています。

価格の見直し、短期レンタルも開始


ーーー課題や今後の展開は?

現在テレノイドは、本体とコンサルティング料合わせて1体100万円でご提供していましたが、今後は本体とコンサル料を切り分け、本体価格60万円でご提供していきます。

また、3泊4日の短期レンタルも始めました。35,000円で貸出が可能です。短期レンタルであれば、月に一度のレクリエーションとして既存のオペレーションに取り込んでいただくこともできます。そのようにしてご利用いただき、使いこなしのイメージを持っていただくことで、長期レンタルやご購入につなげていければと考えています。

先ほど、テレノイドの操作にはコツがいるのではとご質問をいただきましたが、私たちはテレノイドの操作を学ぶことが、究極的には認知症の方の理解に結びつくはずだと考えています。だからこそより多くの方にテレノイドを体験していただき、入居者の方の表情の変わりようを見ていただきたいですし、オペレーターの人材育成にも力を入れていきたい。そうすることで介護業界自体の人材の質を上げていくことにもつながるのではないかと思っています。

ーーー最後にメッセージをお願いします。

私自身、認知症の祖母を15年間介護してきた経験があります。そこで感じたのは、家族間のコミュニケーション・エラーです。上手くコミュニケーションが取れないことで、お互いイライラしたり、家族がばらばらになったり…。コミュニケーション・エラーという非常に難しい問題にチャレンジしているのが、介護職員の方や家族の方です。

そんな方々が、ロボットの介入によってコミュニケーション・エラーを乗り越え、幸せになってくれればいいなと思っています。

編集部まとめ

見た瞬間は「ちょっと怖いかも…」という印象でしたが、抱いて話をしてみると、たちまち「可愛い」という印象に変わるので不思議です。触り心地や重さがちょうど人間の赤ちゃんを思い起こさせるため、自然と愛着がわきます。 自身も認知症の方の介護を経験してきた宮崎氏は、「テレノイドを使って会話量を維持することで、介護度の重度化を後倒しにできるかもしれない。そういう意味での社会保障費削減にも貢献できるのでは」と述べます。介護でのコミュニケーションに悩むすべての人にとって、テレノイドはひとつの解決の鍵になるかもしれません。

名称 テレノイド
価格 600,000円(税別)操作端末付
サイズ 高さ50cm
重量 2700g

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