【どうなる?平成30年】介護保険法の改正ポイントをわかりやすく解説【まとめ】

介護ロボットONLINE編集部介護ロボットONLINE編集部

作成日2018/06/06 更新日2018/06/148,872views


3年ごとに改正される介護保険法。平成29年に公布され、翌平成30年4月に施行された今回の改正では、「自己負担額が3割に増加」と大きくニュースに取り上げられました。

しかし、注目すべきなのは自己負担額の見直しだけではありません。じっくり読み解いていくと、私たちの生活に大きな影響を与える改正ポイントが多数あるのです。

今回は、介護保険法の改正ポイントをまとめて、わかりやすく解説します。

介護保険法の改正とは

2000年に施行されて以来、3年ごとに改正されてきた介護保険法。

介護保険とは、40歳以上のすべての人が介護保険の被保険者となり、要介護認定をうけた人の介護サービスを1~2割負担で利用できるようにする制度です。

介護保険法は、そんな介護保険制度について定めた法律のこと。これまでに4回改正されており、利用者の自己負担額などが改正されてきました。

今回の改正では、大きな改正ポイントが5点あります。それぞれわかりやすく解説していきます。

5つの改正ポイント

自己負担割合が最大3割負担に!

自己負担額の見直し・新旧

1つめの改正は、サービス利用料の自己負担額の増加です。これまで、サービス利用料の自己負担額は、所得に応じて1割負担もしくは2割負担でした。しかし、今回の改正にともなって、最大で3割負担となる人が出ることになります。ただし、自己負担額の上限は、44,000円とされています。

自己負担額が3割になるのは、現在2割負担している人のうち、特に高所得の人です。

対象となる具体的な基準はまだ公表されていませんが、現時点では、「合計所得金額が 220万円以上」かつ「年金収入+その他合計所得金額340万円以上(単身世帯の場合。夫婦世帯の場合463万円以上)」と想定されています。

厚生労働省の試算によると、3割負担となる対象者数はおよそ12万人。これは利用者全体の3%にあたります。

収入に応じて保険料が変わる!

2つめの改正は、介護納付金における総報酬割の導入です。これによって、40~64歳の被保険者による負担が、収入に応じて変わることになります。

詳しい説明の前に、まずは介護納付金の流れについて説明しましょう。

介護給付費(1年間の介護保険給付費の総額)の財源は、50%が税金、残りの50%が被保険者による保険料でまかなわれています。このうち、被保険者による保険料はさらに2つにわかれ、1つが65歳以上の被保険者(第1号被保険者)による保険料、もう1つが40~64歳の被保険者(第2号被保険者)による保険料によって成り立っています。

今回、改正の対象となるのは、後者の第2号被保険者の保険料の仕組みです。

第2号被保険者の保険料の仕組み図解

第2号被保険者の保険料は、介護給付費の全体の28%と決められています。全体の28%にあたる介護給付費を、第2号被保険者の人数で割った数字が、第2号被保険者1人あたり保険料となります。

第2号被保険者の保険料は、効率よく、かつ確実に徴収するために、被保険者が加入している医療保険から納付されます。

第2号被保険者の保険料の介護納付金図解

これまで、各医療保険者が納付する金額(介護納付金)は、医療保険に加入している第2号被保険者の人数で決められていました。

そのため、加入人数が多い医療保険者は、報酬額にかかわらず、多く介護納付金を収める必要がありました。

第2号被保険者の保険料の介護納付金図解

上の図の場合、A医療保険の加入者のほうが、B医療保険の加入者より平均月収が少ないにもかかわらず、加入人数が多いという理由で、A医療保険者はより多くの介護納付金を収めることになるのです。

それが、今回の改正で、人数ではなく、保険者の報酬額に応じて決められることになりました。

介護納付金における総報酬割の導入図解

上の図の場合、A医療保険とB医療保険の加入人数は異なりますが、全体の報酬額が同額であるため、A・Bの介護納付金は同じです。

つまり、人数ではなく報酬額に応じて介護納付金が決まるということは、加入者の所得に応じて負担額が変わるということを意味しているのです。

3割自己負担の導入にもいえることですが、今回の改正では、「高所得者がより多く負担する仕組み」がいっそう強化されたといえます。

自立支援・重度化防止を見据えた「インセンティブ」

3つめの改正は、自治体の機能を強化し、高齢者の自立支援・重度化防止のための取組を進めることです。中でも重要なのが、自立支援・重度化防止のための取組に対して付与される財政的インセンティブ(報奨金)です。

インセンティブが付与される指標案には、「要介護状態の維持・改善の状況等」も含まれています。つまり自治体は、高齢者の要介護度を下げられれば、国からインセンティブがもらえることになります。

医療・介護ニーズに応えた「介護医療院」

4つめの改正は、新しい介護保険施設となる「介護医療院」の創設です。「介護医療院」とは、長期にわたって療養が必要な要介護者に対して、医療や看護・介護・生活上の世話を行うことを目的とする施設です。

背景には、今後、増加が見込まれる慢性期の医療・介護ニーズがあります。

地域共生社会の実現に向けた「共生型サービス」

5つめの改正は、地域共生社会の実現に向けたさまざまな規定です。ここでは、そのうちの一つである、介護保険と障害福祉両方の制度に位置づけられた「共生型サービス」について説明します。

「共生型サービス」とは、高齢者と障害者が同一の事業所でサービスを受けやすくするための新しいサービスの形です。

これまで、障害者と高齢者は、別々の事業所でサービスを受けなければいけませんでしたが、今回の改正によって、障害福祉サービス事業所等でも、介護保険事業所としてサービスを提供することができるようになります。

介護保険法、改正したらどう変わる?

ここまで、今回の改正ポイントを5つにしぼって解説してきました。ここからは、改正にともなって訪れると考えられる変化について、考えていきましょう。

介護離職者が増えてしまう

まず考えられるのが、介護離職者の増加です。介護離職者とは、家族等の介護を理由に、今の仕事を辞める人のことを指します。

介護離職者が増えると考えられる理由は、「自己負担額の増加」と「自立支援・重度化防止に対するインセンティブの付与」の2つです。

利用者の負担が増えれば、介護サービスを利用するのでなく、自分で介護しようと考える人が増える可能性があります。中には、増加するサービス費を支払うことができず、やむを得ず会社を辞めて介護に専念する人も出てくるかもしれません。

もう ひとつの懸念は、自治体に付与される要介護度の改善に対するインセンティブの存在です。

要介護度が改善すること自体はよいことですが、家族にとっては、介護度が重い方がより多くの介護サービスを利用できることになるため、要介護度の判定には慎重になることがほとんどです。

そこへきて、要介護度の改善にインセンティブが付与されるとなると、「できれば重めの介護度を」と考える家族の思いとは裏腹に、これまで以上に厳しく判定され、軽い介護度と認定される可能性があるのです。

そうなると、受けられる介護サービスの量が減ってしまい、家族の負担が増えることにもなりかねません。中には、介護離職をして、自ら介護にあたらざるを得ないという人も出てくる可能性があります。

今後ますます自己負担が増えていく?

次に考えられるのが、自己負担額のさらなる増加です。今回の改正では「現役世代並みの所得のある者」を対象に利用者負担割合の見直しが行われましたが、対象者が全体の約3%にとどまるなど、大きなインパクトではありませんでした。

しかし、膨張し続ける社会保障費や、止まらない少子化などを考慮すると、介護にかかる財源の確保には、今後も頭を悩ませ続けることになるでしょう。これまでの改正で、1割から2割、そして3割と、少しずつ大きくなってきた自己負担割合ですが、さらに拡大される可能性は十分にあると考えられます。

まとめ

3年ぶりなった、平成29年(2017年)介護保険法改正。大きな話題となった「利用者負担の増加」は、平成30年(2018年)8月から施行される予定です。

自己負担割合の拡大をはじめとした今回の改正は、要介護者はもちろん、周囲の家族や介護スタッフにも影響を与えます。

改正をうけて、これからの介護がどう変わっていくのか、介護ロボットONLINEでは引き続きウォッチしていきます。」

<参考資料>
厚生労働省『 「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」 の公布について(通知)
厚生労働省「 地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律のポイント

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