介護ロボット導入のメリットって何?今後の課題と問題点

介護ロボットとは介護ロボットONLINE編集部

作成日2018/06/05 更新日2018/06/058,861views

今、介護ロボットに注目が集まっています。

超高齢社会に突入した日本で、介護にまつわる問題が取り沙汰されない日はありません。介護職員の人材不足、在宅での老老介護など、問題は深刻になっていくばかり。それらに対するひとつの解決方法として、「介護ロボット」が登場したのです。

最近では、介護現場におけるAIの活用や、個人でも使える在宅用ロボットの販売も話題になっています。ここでは、介護ロボットに興味のあるすべての人に向けて、介護ロボットに関する基礎知識をまとめました。

  • そもそも「介護ロボット」って何?
  • 介護ロボットにはどんな種類があるの?
  • 介護ロボットの現状は? 今の普及率は?
  • 介護ロボットのメリット・デメリットは?
  • 介護ロボットの課題は?問題点は?
こんな疑問を解決していきます。

介護ロボットとは

介護ロボットとは

介護ロボットとは、介護に用いるロボットの総称です。

しばしば「福祉ロボット」や「ロボット介護機器」「介護用ロボット」「次世代福祉機器」などと呼ばれることもあります。

介護ロボットには、おもに2つの役割があります。

1.介護者の負担を軽減

1つ目は、介護者の負担軽減です。介護の業務量そのものを減らすだけでなく、介護者の身体にかかる負担をロボット技術によって軽減したり、見守りや看取りなどの精神的な負担となる業務をサポートしたりします。

2.高齢者の自立支援

2つ目は、高齢者(要介護者)の自立支援です。低下した身体機能を補助して自立をうながしたり、ロボット技術を応用した訓練やリハビリを行ったりします。

介護ロボットときくと、つい「介護する人の代わりに、ロボットが介護をしてくれる」というイメージを抱きがちですが、間接的に介護者をサポートしたり、高齢者の自立をうながしたりすることで、さらなるケアの向上につなげるのが最大の目的なのです。

ロボットの定義

介護ロボットは、介護に用いるロボットの総称だと説明しました。ここでは、そもそも「ロボット」とは何かを定義していきます。一般的に、「ロボット」とは以下の3つの条件を満たしているものを指します。

  1. 情報を感知し(センサー系)
  2. 判断し(知能・制御系)
  3. 動作する(駆動系)
ロボットと聞くと、つい鉄腕アトムのような二足歩行のロボットを思い描きがちですが、実はそれだけではないということがわかります。

介護ロボットって何?意外と知られていない定義に迫る
介護ロボットって何?意外と知られていない定義に迫る

介護ロボットの種類

現在、介護ロボットは大きく3つの種類に分けられます。介護支援型・自立支援型・コミュニケーション・セキュリティー型です。

介護ロボットの種類

介護支援型

介護支援型ロボットとは、主に移乗・入浴・排泄など介護業務の支援をするロボットのことです。現在、要介護者の移動・移乗は多くの場合「人の手」によって行われており、それによる介護職員の腰痛などが問題となっています。介護支援型ロボットは、それらの負担を軽減することが期待されています。

同時に、要介護者の介護負担の軽減も望めます。要介護者側にとって、人力による移乗介助は、落とされるような不安や痛みを伴うことがあります。介護支援型ロボットを使用することによって、介護者・要介護者双方が、より安心感のある介助が実現できます。

ベッドが車いすに大変身!離床アシストロボット「リショーネPlus」|パナソニックエイジフリー株式会社
ベッドが車いすに大変身!離床アシストロボット「リショーネPlus」|パナソニックエイジフリー株式会社

自立支援型

自立支援型ロボットとは、歩行・リハビリ・食事・読書など介護される側の自立を支援するロボットのことです。利用者が上肢や下肢に装着して運動機能を補助するものや、体の一部を動かすだけで自分で食事ができるようにするものなどがあります。

利用者の負担を軽減するだけでなく、利用者の生活力を向上させることで、利用者に自信をつけ、自立した生活 への意欲を引き出すことが期待できます。

世界初の”実用的な”介護ロボット!食事支援ロボ「マイスプーン」|セコム株式会社
世界初の”実用的な”介護ロボット!食事支援ロボ「マイスプーン」|セコム株式会社

コミュニケーション・セキュリティー型

コミュニケーション・セキュリティー型ロボットとは、利用者とコミュニケーションをとることで、メンタルケアや見守りに活用するロボットのことです。言語的コミュニケーションに限らず、音楽や体操などのレクリエーションなどを通して、利用者のメンタルケアをサポートするものもあります。 近年の調査では、コミュニケーションだけでなく、セルフケアなどの活動にも効果があることが明らかになりました(※)。

介護や認知症に期待。遠隔操作型アンドロイド「テレノイド」|株式会社テレノイドケア
介護や認知症に期待。遠隔操作型アンドロイド「テレノイド」|株式会社テレノイドケア

また、介護施設や在宅介護において、ロボット技術を用いた見守り支援ロボットもここに含まれるでしょう。要介護者が自発的に助けを求める行動に依存せず、センサーなどで情報が自動的に介護従事者に知らされることで、見守りが可能となります。

世界初!五感AIロボカメラ「アースアイズ」が不安や心配を根本から取り除く|アースアイズ株式会社
世界初!五感AIロボカメラ「アースアイズ」が不安や心配を根本から取り除く|アースアイズ株式会社

※国立研究開発法人 産業技術総合研究所(2017年)「介護分野におけるコミュニケーションロボットの活用に関する大規模実証試験」より

介護ロボットの重点開発分野

現在、国を挙げて介護ロボットの開発・普及を後押ししていますが、政府は特に重点的に開発をすすめる分野として、下記の5分野8項目を策定しました。
→※重点分野が1分野5項目追加となりましたので追記します(2017/10/17)。合計で6分野13項目になりました。

介護ロボットの重点分野が6分野13項目に拡大

経済産業省「「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました~自立支援に資するロボット介護機器の開発を後押し!~」(2017/10/17)より

1.移乗介助

  • 装着型
介助者のパワーアシストを行う装着型の介護ロボットです。 「ロボットスーツ」や「パワーアシストスーツ」などと呼ばれます。

人工筋肉で介護の腰痛問題を解決!マッスルスーツ| 株式会社イノフィス
人工筋肉で介護の腰痛問題を解決!マッスルスーツ| 株式会社イノフィス


  • 非装着型
介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の介護ロボットです。
ベッドが車いすに大変身!離床アシストロボット「リショーネPlus」|パナソニックエイジフリー株式会社
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2.移動支援

  • 屋外用
高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できる歩行支援用介護ロボットです。

高性能でカッコイイ!新しい歩行器ロボットアシストウォーカーRT.1・RT.2|RT.ワークス株式会社
高性能でカッコイイ!新しい歩行器ロボットアシストウォーカーRT.1・RT.2|RT.ワークス株式会社

  • 屋内用
高齢者等の屋内移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援する歩行支援用介護ロボットです。

自立支援につながる移乗ロボット「愛移乗くん」|株式会社アートプラン
自立支援につながる移乗ロボット「愛移乗くん」|株式会社アートプラン

  • 装着型歩行支援 ←NEW!
高齢者等の外出等をサポートし、転倒予防や歩行等を補助するロボット技術を用いた装着型の移動支援ロボットです。

無動力で安心、快適。「歩き」を助ける「ACSIVE(アクシブ)」 |株式会社今仙技術研究所
無動力で安心、快適。「歩き」を助ける「ACSIVE(アクシブ)」 |株式会社今仙技術研究所

3.排泄支援

  • ポータブル型排泄機器
居室での使用・位置調整が可能で、においが室内に広がらない排泄支援用介護ロボットです。 


  • 排泄予測  ←NEW!
ロボット技術を用いて排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する排泄支援ロボットです。

世界が注目!排泄予知ロボット「DFree」|トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社
世界が注目!排泄予知ロボット「DFree」|トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社

  • トイレ内動作支援  ←NEW!
ロボット技術を用いてトイレ内での下衣の着脱等の排泄の一連の動作を支援する排泄支援ロボットです。

4.認知症の方の見守り

  • 介護施設用
 介護施設において使用する転倒検知センサーや外部通信機能を備えた見守り支援用介護ロボットです。

業界初!予測型見守りシステム「Neos+Care(ネオスケア)」|ノーリツプレシジョン
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  • 在宅介護用
在宅介護(自宅介護)において使用する、転倒検知センサーや外部通信機能を備えた見守り支援用介護ロボットです。

個人賠償責任保険も!認知症外出通報システム「おでかけキャッチ」|フランスベッド株式会社
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  • コミュニケーションロボット  ←NEW!
高齢者等とのコミュニケーションにロボット技術を用いた生活支援機器、いわゆるコミュニケーションロボットです。介護施設・在宅介護の両方で活躍が期待されています。

Pepperが個人に合わせたクイズ出題、血圧測定も!介護施設向けロボアプリ「まいにちロボレク」|株式会社ロゴス
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5.入浴支援

浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する介護ロボットです。

シャワー式だから安全、なのにしっかり温まる。介護用入浴装置「美浴」|株式会社エア・ウォーター
シャワー式だから安全、なのにしっかり温まる。介護用入浴装置「美浴」|株式会社エア・ウォーター

6.介護業務支援 ←NEW!

ロボット技術を用いて、見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者等の必要な支援に活用することを可能とする介護ロボットです。

「ケアコラボ」で介護はもっとクリエイティブに!”利用者”中心の記録システム|ケアコラボ株式会社
「ケアコラボ」で介護はもっとクリエイティブに!”利用者”中心の記録システム|ケアコラボ株式会社

ここまで、介護ロボットの種類や分野を見てきました。次章からは、「そもそもなぜ、介護ロボットの開発がこれほど進められているのか」という背景と、介護ロボットの現状について解説していきます。

介護ロボットの背景

2013年(平成25年)、に閣議決定された「日本再興戦略」に、「ロボット介護機器開発5ヵ年計画」が盛り込まれました。これは、介護ロボットの開発と実用化をすすめるための計画です。

国を挙げて介護ロボットの普及をすすめる背景には、3つの要因があります。

背景1.超高齢社会

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1つ目は、超高齢社会問題です。日本の総人口が減少するなか、65歳以上の人口は増え続けているため、総人口に対する高齢者の比率は年々上昇しています。高齢化率はこれからも最高水準を維持していくと言われています。2035年には約3人に1人、2060年にはなんと約2.5人に1人が高齢者になると見込まれているのです。

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そんな高齢化の進展にともない、要介護(要支援)認定者数も大幅に増加すると予想されます。介護保険制度開始時の2000年(平成12年)の約218万人だった要介護(要支援)認定者数は、2015年(平成27年)には約608万人に増加しており、今後も更なる増加が見込まれています。

背景2.介護人材不足

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2つ目は、介護現場の人材不足問題です。厚生労働省が2015年(平成27年)に公表した「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」によると、2025年には介護職員が約253万人必要になるのに対し、供給の見込みは約215万人で、およそ37.7万人もの人材が不足すると報告されています。介護職員は毎年増えているものの、実際に必要とされる人数には追いついていないというのが現状です。

また、介護人材不足問題を考えるうえで、腰痛を引き起こす介護現場の労働環境の見直しも非常に重要な課題となっています。ある調査によると、職員に対する腰痛などがあるかという問いにたいして、69.9%が「現在ある」、15.8%が「過去にあった」と答えています。さらに厚生労働省による調査では、14.3% が離職理由に「腰痛」を上げていることがわかっています。

介護人材の確保や離職防止のためには、腰痛を引き起こさない労働環境作りが不可欠なのです。

背景3.社会福祉における「自立」の考え方の変遷

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3つ目は、社会福祉における「自立」に対する考え方の変化です。

これまでの自立支援の考え方に大きな影響を与えていたのは、1980年に世界保健機関(WHO)が制定した国際障害分類(ICIDH)です。ICIDHは身体的機能障害を医学的に診断することを前提としています。よって、自立支援も「身体機能の欠損をいかに補うか」に主眼が置かれてきました。具体的には、入所型福祉施設での施設職員によるケアや見守りが支援の中心となります。福祉用具は、障害を補完する補装具としての役割が求められるにとどまりました。この考え方は「医学モデル」と呼ばれています。

これに対し、新しい自立支援の考え方として台頭しはじめたのが「社会生活モデル」です。「社会生活モデル」とは、身体的機能障害だけでなくその人の生活全体に目を向け、生活の質を高めて自己実現を図ろうという考え方です。

社会生活モデルのきっかけとなったのが、2001年にICIDHから改訂された国際生活機能分類(ICF)です。近年はICFの視点から、入所型施設での自立支援から地域での自立生活支援へと見直されはじめています。また福祉用具に関しても、従来の補装具の提供というレベルの支援から、積極的に自立生活を支援する福祉機器の開発が求められるようになってきました。

これらを踏まえ、要介護者の自立促進や介護従事者の負担軽減を実現するために、介護ロボットが今注目を集めているのです。

介護ロボットの現状

介護ロボットONLINEが2017年6月から7月にかけて行った独自アンケート調査のグラフ、現在、介護ロボットを導入していますが?の問いに、いいえは71.4%、はいは28.6%

現在、介護ロボットはどのくらい普及しているのでしょうか?

現状の普及率を表す正式な調査はまだ行われていませんが、 介護ロボットONLINEが独自で行ったアンケート  では、アンケートに回答した施設の約3割が介護ロボットを導入しているという結果となりました。

少しずつ導入が進んでいるといえますが、本格的な普及へはまだまだ時間がかかりそうです。

介護ロボットの普及率はどのくらい?普及を阻む3つの要因
介護ロボットの普及率はどのくらい?普及を阻む3つの要因

話題となった「介護ロボット等導入支援特別事業」

そんな普及を加速させるために、政府はこれまでさまざまな支援事業を行ってきました。代表的なものが「介護ロボット等導入支援特別事業」です。

平成27年度の補正予算52億円を使って厚生労働省によって実施された支援事業で、1施設につき最大300万円まで介護ロボットの購入費用を補助してくれることで話題となりました。しかし全国の介護福祉施設から応募が殺到したため、補助金額の上限は約3分の1にまで引き下げられています。

これほど「介護ロボット等導入支援特別事業」に注目が集まったのも、多くの施設が介護ロボットに興味があることの証拠でしょう。

現在、「介護ロボット等導入支援特別事業」はすでに終了しているため、現状ではそれほど大規模な導入支援事業は行われていません。しかし、気軽に介護ロボットを体験できる施設やショールームも増えてきており、着実に知名度を上げてきているのは間違いないでしょう。

介護ロボットを見れる・触れる場所まとめ
介護ロボットを見れる・触れる場所まとめ

介護ロボットのメリット・デメリット

ここからは、介護ロボットのメリットとデメリットについてまとめていきます。

介護ロボットのメリット

介護ロボットのメリットとしては、介護業務の効率化介護スタッフの身体的負担の軽減などがまず挙げられます。

例えば、見守り支援ロボットを導入したことにより、巡回での見守りを減らし、必要なときにのみ駆けつけるというオペレーションに変更したことで、巡回していた時間を他の業務に充てることができます。

「まもる~の」で定期巡視が不要に!扉の向こうがわかる見守りへ(株式会社礎・わらい)
「まもる~の」で定期巡視が不要に!扉の向こうがわかる見守りへ(株式会社礎・わらい)

また、移乗介助ロボットを使うことで、これまで人の手でやっていた移乗業務の一部を介護ロボットが担うため、介護スタッフにかかる身体的な負担が減ります。

さらに介護ロボットは、利用者(要介護者)の心的・身体的な負担の軽減にもつながるケースがあります。

例えば、寝ているのに定期巡回のたびに起こされてしまっていた利用者が、見守り支援ロボット導入で必要なときのみの駆けつけに切り替わることにより、朝までぐっすり眠れるようになった、などのケースです。

また、おむつを利用しており、これまで決められた時間でしかおむつ交換されなかった利用者が、自動排泄処理装置によりいつでも清潔な状態が保たれるようになったケースも考えられます。

介護ロボットのデメリット

介護ロボットのデメリットとしては、価格が高いことや設置スペースを要すること、使用までに研修などの時間を要すること等が挙げられます。

また、介護スタッフの正しい理解が得られていないと、「介護ロボットの導入によってむしろ負担が増えてしまった」と感じてしまうケースもあります。この点に関しては、次章の「 介護ロボットの問題点 」で詳しくお伝えします。

介護ロボットの問題点

 介護ロボットONLINEでは、介護ロボットの導入実態と利用状況に関する独自のアンケートを行いました。そこからは、大きく3つの問題が浮かび上がってきました。

介護ロボット、約7割が「導入していない」――導入阻む原因1位は「価格」|ウェルクスが「介護ロボット」に関する調査を実施
介護ロボット、約7割が「導入していない」――導入阻む原因1位は「価格」|ウェルクスが「介護ロボット」に関する調査を実施

問題点1.普及を阻む介護ロボットの「価格」

介護ロボットONLINEが2017年6月から7月にかけて行った独自アンケート調査のグラフ、介護ロボットを導入しない理由の56%は価格が高いから

1つめは、介護ロボットの価格の高さです。アンケートでは、介護ロボットを「導入していない」と答えた施設の半数以上が、導入していない理由として「価格が高いから」を選択しました。

介護ロボットの普及率が低い現段階では介護ロボットの単価が高くなりがちなため、余裕のない介護施設では導入に踏み切れない要因となっているようです。

また、「介護ロボットを導入すればこのくらい業務負担が軽減される」などという費用対効果を表す指標が出しづらいため、介護ロボット導入が後回しになる傾向もあります。

アンケートより抜粋

 ・導入に必要なコストや手間がかかりすぎている。(グループホーム/50代・男性)
 ・費用対効果が明確ではない。 (介護老人保健施設/50代・男性)  
 ・大変便利なものもあれば、全く役立ちそうもないものがひとくくりにされており、その費用対効果が全く考えられていない。(介護老人保健施設/50代・男性) 

介護ロボットの価格が気になる!いくらで買えるのか調べてみた【HAL、PALRO、パロetc】
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 問題点2.”慣れるまでが大変”な「操作」「使い勝手」

2つめは、介護ロボットの操作や使い勝手の問題です。 介護ロボットは、導入して終わりではありません。介護ロボットを操作する介護職員の理解があって初めて有効活用が成り立つものです。

そのため、運用するためのオペレーションの見直しや、安全に操作するための研修などが不可欠です。 しかし実際には、介護ロボットの操作が煩雑すぎたり、研修のための時間が確保できなかったりするという問題があります。

アンケートより抜粋

 ・使い勝手についてももう少し簡単に扱えるようにしてほしい。(特別養護老人ホーム/50代・男性)
 ・導入は試みたいが、その過程における必要人員を割けられない。 (特別養護老人ホーム/40代・男性) 

 問題点3.介護現場と介護ロボット開発企業の「ミスマッチ」

3つめは、開発側と介護現場のミスマッチです。双方の情報・認識不足により、介護現場のニーズにそぐわない介護ロボットが開発されてしまうという課題があります。

例えば、移乗介助などにかかる負担を軽減するために役立つ装着型の介護ロボットは、しばしば現場から「装着や実装に時間がかかる」「機器自体が重い」という声が寄せられます。

介護業務の中には、臨機応変に対応しなくてはならない業務が多く存在し、介護職員は刻一刻と変化する状況に瞬時に反応することが求められています。そのような環境では、いくら高性能であっても、装着に時間がかかる介護ロボットは実用的とは言えないでしょう。

アンケートより抜粋

 ・装着型のロボットを検討したことがあるが、着用感等の疑問があるから。 (特別養護老人ホーム/40代・男性)
・介護ロボットは開発途上で実用化には今一歩と思う。(特別養護老人ホーム/60代・男性)

こうした問題の背景には、「介護ロボットの実証試験に協力してくれる施設が見つからない」という開発側の悩みがあります。実用的な介護ロボットの開発には、開発側と現場の協力が不可欠です。

その他の問題

これら3つの他にも、さまざまな問題が潜んでいます。

プライバシーの問題

例えば、近年とくに注目を集める見守り型の介護ロボットに対しては、要介護者のプライバシーが問題視されています。「カメラを使って監視することは、要介護者のプライバシー侵害にならないか」という点は、慎重に議論していくべき課題です。

職員と現場を守る!これからの介護リスクマネジメント
職員と現場を守る!これからの介護リスクマネジメント

マインドギャップの問題

また、「介護は人の手ですべき」という根強い意見もあります。そういった考え方を強く持っている職員に対して、どう介護ロボットの理解を深めてもらうかという問題は、開発メーカー・施設経営層ともに協力して取り組む必要があるでしょう。

設置場所の問題

商品化されている介護ロボットは、手のひらに収まるものから、天井に吊り下げて使う大掛かりなものまでさまざまなサイズがあります。大型のものは設置スペースを確保するのが困難なケースもあります。

また現状の介護ロボットは、基本的に特定の単一業務しかできないため、1人の要介護者にかかる業務をまかなうのに、多種類の介護ロボットを組み合わせて使わなくてはなりません。そうなるとコストがかかるのはもちろん、設置スペースの確保がますます困難になります。

どうなる?介護ロボットの今後

深刻化する介護問題の救いの手として期待される「介護ロボット」。 介護業務の負担を軽減する「介護支援型」、要介護者の自立を促す「自立支援型」、癒やしと安全をサポートする「コミュニケーション・セキュリティー型」の3領域で、日々開発が進められています。政府の支援のもとで商品化された介護ロボットも出てきており、今後に期待が集まります

一方で、普及にはまだまだ課題や問題が山積みなのも現状です。介護現場からは、より実用的で安価な介護ロボットが求められています。 介護の新しいカタチとして、介護ロボットはこれからますます注目を浴びるでしょう。

<参考資料>
厚生労働省(2015)「 2025 年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について
厚生労働省(2016)「 平成28年版厚生労働白書
厚生労働省 老健局振興課(2014) 「 福祉用具・介護ロボット開発の手引き
内閣府政府広報室 (2013)「 介護ロボットに関する特別世論調査
公益 財団法人テクノエイド協会(2010)「介護職員の腰痛等健康問題に係わる福祉用具利用調査報告書」
公益財団法人テクノエイド協会(2014)『介護福祉経営士 実行力テキストシリーズ9 新しい福祉機器と介護サービス革命 導入の視点と活用のポイント』日本医療企画厚生労働省(2015)
社団法人かながわ福祉サービス振興会 (2012)「平成23 年度 介護・医療分野ロボット普及推進モデル事業 報告書」
社団法人かながわ福祉サービス振興会 (2012年3月15日) 『平成23 年度 介護・医療分野ロボット普及推進モデル事業 報告書』
公益社団法人かながわ福祉サービス振興会「介護ロボット普及推進事業」(2017/09/11, http://www.kaigo-robot-kanafuku.jp/category/1438992.html
介護労働安定センター (2015) 「 平成26年度介護労働実態調査

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